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Midnight、DevRel 解散でブロック運用の担い手も離任

2026-09-12SIPO

Midnight Foundation が 9 月 10 日に専任の DevRel チームを畳んだと公式アカウントで発表し、その翌日、同チームに籍を置いていた Stevan Lohja 氏が自分の役割も今月で終わると公表しました。同氏の説明によれば、ここ数か月は肩書きの上の担当ではないまま、ブロックが 6 秒ごとに出続ける状態を保つプロトコル運用を専任で担っていたとのことです。

財団の発表は、開発者の入口を作り直すという話として書かれています。ただ、同氏の投稿を読むと、今回畳まれた部署が抱えていたのは開発者コミュニティだけではありませんでした。ここでは、財団が何を発表し、本人が何を書いたのか、そしてノードを動かしている側から見て何が空くのかを順に見ていきます。

■ 財団が発表したこと

Midnight Foundation の公式アカウントは日本時間 9 月 11 日 0 時 55 分、9 本つながりの投稿で DevRel チームの終了を伝えました。冒頭はこう始まります。

Some news: we’ve wound down Midnight’s dedicated DevRel team as we shift our strategy for how we bring builders into the ecosystem. The reason is simple: we want to expand who can build on Midnight.

理由として書かれているのは、ビルダーの定義を広げたいという方針です。これまで暗号資産の世界ではビルダーがコードを書いて出荷できる人とほぼ同義だったが、AI がその前提を変えつつある、というのが財団の説明です。例として Replit の利用者が世界で 6,000 万人を超えていることが挙げられ、アイデアや業務知識を持つ人が技術的な摩擦の少ない形でソフトウェアを形にできるようになった、と続きます。

そのうえで、AI を前提にした開発道具、エコシステムへの入りやすい経路、着想から公開まで支える仕組みへ焦点を移すこと、そしてこれが Build Club や Night Sky といった既存の取り組みの延長にあることが示されました。進め方については、道具も手順もまだ成熟していないため、まずは絞ったビルダーのグループと組んで学ぶと書かれています。8 本目には「開発者からの撤退ではない」とあり、迎える対象を広げるのだという位置づけが繰り返されています。

■ 本人が書いたこと

その翌日、日本時間 9 月 12 日 1 時 50 分に、Stevan Lohja 氏が自身の状況を投稿しました。Midnight Foundation での役割は今月で終わり、在籍していた部署も月末で畳まれること。そして、表には出ない場所で、ブロックが 6 秒ごとに見える状態を保ってきたということ。

この数か月はプロトコル運用に専念していたと同氏は書いています。そのうえで、それは自分のチームでも自分の肩書きでもなかった、と続けています。

But an open source protocol is not just developers. It is the operators, and the network of nodes expressing that technology correctly, block after block. Someone had to hold that. So I did.

具体的な数字も本人の言葉として並んでいます。テストネットの各段階を通じて運用者コミュニティをおよそ 200 の SPO まで育てたこと。Testnet-02 への移行時に genesis パラメータの不一致が見つかり、ハッカソン会場の床でノートパソコンを開いて緊急の修正にあたったこと。メインネット稼働を通じて 13 のノード運用者、11 の運用会社、およそ 50 のノード、3 つの環境があり、Midnight は動き続けてきたこと。

それ以前には Midnight の開発者コミュニティを立ち上げて Discord を作り、devnet-0 の時期におよそ 700 人の最初のアルファ参加者を率いたとも書かれています。そこにいた人の一部がいま Midnight のアンバサダーになり、ハッカソンで勝ち、暗号資産や工学の仕事を始めた。もっとも誇りに思っているのはその部分だ、と同氏は記しています。

終わり方については、予期していなかったと本人が書いています。投稿の末尾では次の役割を探していることが示され、経歴をまとめたページが添えられています。

■ 空くのは、運用の層

本人が挙げた数字を並べ直すと、Midnight のノードを支えている輪郭が見えてきます。13 のノード運用者、11 の運用会社、およそ 50 ノード、3 つの環境。ネットワーク全体の規模から見れば小さな集団です。こうした構成では、運用者側の窓口を一人が抱える状態が自然に生まれます。

財団の 9 本の投稿は、ビルダーをどう迎えるかという主題で一貫しています。AI を前提にした道具、入口の設計、Build Club と Night Sky。プロトコル運用を誰がどう引き継ぐのかについては、この一連の投稿には書かれていません。開発者向けの窓口の話と、ノードを動かし続ける層の話は、同じ部署に同居していても別の仕事だからです。

SPO の側から見ると、意味は具体的です。テストネットの各段階で約 200 の運用者が集まったのなら、その間に積み上がった手順やつまずきの記録がどこへ引き継がれるのかは、今回の発表からは読み取れません。次に genesis パラメータの不一致のようなことが起きたとき、それが誰の机の上に載るのかも同じです。

■ 運用者は、あとから数えられる

オープンソースのネットワークは、コードが公開されていれば動くわけではありません。仕様を読んだ誰かがノードを立て、設定を合わせ、壊れた朝に直す。その積み重ねがあって初めて、6 秒ごとのブロックという当たり前が続きます。同氏が書いた「an open source protocol is not just developers. It is the operators」という一文は、自分の立場を説明するために書かれたものですが、Midnight に限らずどのネットワークにも当てはまります。

そしてこの層は、うまく回っているあいだは外から見えません。数えられるのは、誰かが抜けたときか、ブロックが止まったときです。今回は前者でした。畳まれた部署に運用の実務が同居していた以上、この層をどう組み直すのかは、開発者の入口をどう広げるかとは別に残された論点です。

■ ことば

  • DevRel:Developer Relations の略で、開発者がそのプロトコルを使い始められるように案内し、質問を受け、コミュニティを保つ役割です。Midnight ではこの専任チームが 9 月 10 日に終了し、AI を前提にした入口の設計へ方針が移りました。
  • genesis パラメータ:ネットワークを最初の 1 ブロックから立ち上げるときに全員が同じ値を使う必要がある設定です。ここが食い違うと参加者ごとに別の履歴ができてしまうため、移行の場面では最初に疑う場所になります。
  • 3 つの環境:開発用の devnet、公開テスト用の testnet、本番の mainnet を指します。同じソフトウェアでも環境ごとに設定と運用者が分かれるため、運用の手間は単純に 3 倍では済みません。

一次ソース / 関連リンク