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省いたところが、壊れどころでした──Hydra が検証を戻し、minPoolCost が束をほどき、ADA が5日で5.40%下げた5日間

2026-09-12SIPO

エポック654(2026年9月7日〜9月12日)

序章:飛ばした一手は、あとから請求書になって戻ります

前回のエポック653で、SIPOは「反対も、票になりました」と書きました。投票が集まらずに流れた議案と、明示的に反対された議案は、次に提案する人にとって意味が違う——落ちた理由が読めるから、という話でした。

エポック654で起きたのは、その次のことです。落ちた理由を読んだ人が、提案を作り直して戻ってきました。

日本時間9月12日5時27分、エポック654の終了境界のわずか1時間17分前に、ひとつのパラメータ変更提案がオンチェーンへ登録されました。題は「Reduce minPoolCost to 75 ada」。プールの最低固定費を75 ADAへ下げる、それだけの提案です。

エポック653で失効した提案の題は「Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)」でした。そちらは5つのパラメータを一度に動かすものでした——最低固定費に加えて、取引の実行メモリ上限、取引の実行ステップ上限、ブロックの実行メモリ上限、ブロックの実行ステップ上限です。今回の提案が触れるのは1つだけです。

束をほどいた、ということです。 5つをまとめて聞けば、どれか1つに反対したい人も全体に反対するしかありません。1つだけ聞けば、反対の理由は1つに絞られます。前号でSIPOは「明示的に反対された議案からは、何を直せばいいのかが読める」と書きました。今回の提案は、その読み取りが実際に行われた形跡そのものです。

そして同じ5日間に、まったく別の領域から、同じ形の話がふたつ出てきました。

ひとつは Hydra です。 Cardano のレイヤー2として本番の資金を預かる実装に、重大と分類された脆弱性が見つかり、修正版の2.4.1が周知されました。何が問題だったのか。スナップショットを確定する処理で、署名の検証とスクリプトの評価を省く最適化が入っていたことです。一度検証した取引をもう一度検証するのは無駄に見える——その判断自体は、おそらく妥当でした。崩れたのは「一度検証した」という前提のほうです。

もうひとつは Leios です。 テストネット「Musashi Dojo」が作り直され、投票に使う鍵の登録方式が変わりました。そしてリリースノートにはこう書かれています。検証に通らない鍵は拒否されない。プールは席に座ったまま、投票だけができなくなり、それを知らせるエラーも出ない。

省いた検証。出ないエラー。束ねられたまま落ちた提案。この5日間に並んだ材料は、領域はばらばらですが、形がそろっています。「いま省いておけるもの」は、あとで請求書になって戻ってくる、という形です。

軸は「省いたところが、壊れどころでした」です。

市場のほうは、前号と逆向きでした。ADAは日次の記録で$0.220559から$0.208644へ−5.40%。境界の確定値では−6.94%です。期間の記録では最高が初日、最安が最終日という、一方向の下げです。前号が「下げ切ったところからそのまま戻した」5日間でしたから、戻した分をまた返した格好になります。ただしこの5日間で最も大きく動いたのは暗号資産ではありません。原油です。WTIは記録上$91.48から$103.85へ+13.52%。第7章で並べます。

第1章:エポック654の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。読者がこの章だけで期間の全体像をつかめることを目的にしています。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
9月9日OpenZeppelin へ 11,787,063 ADA を支出する国庫提案がオンチェーンに登録された(日本時間1時27分・期限エポック661)GovTool
9月9日Cexplorer が同提案の登録を告知Cexplorer
9月11日Intersect が2026年理事選の応募締切を公表。会員選出2議席に11人、投票は9月14日12時UTC開始・9月25日12時UTC終了Intersect
9月12日プールの最低固定費を75 ADAへ下げる提案が、パラメータ1つだけの形で登録された(日本時間5時27分・期限エポック661)Koios
期間末期限エポック656の国庫引き出し2件は、取得時点で Ikigai が賛成率58.37%、Governance Incentives Framework 2026 が1.63%AdaStat

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
9月7日Leios プロトタイプ 2026w36 が公開。テストネットの作り直し(respin)が必要と冒頭に明記されたGitHub
9月9日cardano-node 11.1.1 が公開。旧トレーシングの完全撤去と、次のエラに向けた台帳側の変更が同じ版に入ったGitHub
9月10日Musashi Dojo の作り直しが実施され、BLS鍵の登録し直しが運用者へ案内されたkiwipool2
9月10日CIP-0159 に開始時アカウント残高の注記と項目が追加されたGitHub
9月11日週次開発レポートが Hydra 2.4.1 への更新を呼びかけ。Plu-stan v1.0.0、cardano-init のオープンベータも並んだEssential Cardano

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
9月7日機関投資家の取引監督にプライバシー技術を使う設計を、規制側の語彙で公式ブログが説明Midnight
9月8日「AIが決定した」をセキュリティモデルとすべきではない、と公式が指摘Midnight
9月10日MPS-0039「契約を呼ぶにはコンパイル済み成果物一式が必要である」が merge。試験用契約10本で合計384MBGitHub
9月10日シールド資産がフィッシングに効く理由を公式ブログが説明Midnight
9月10日日本語公式がアンバサダーリーダーの3日間ツアーを告知(11日福岡・12日名古屋・13日東京)Midnight 日本語公式
9月11日Midnight Foundation が専任の DevRel チームの解散を公表。縮小ではなく方針転換と説明Midnight Foundation
9月11日MPS-035 シールドノート第2版が取り込まれ、シールド支出の認可に検証可能ランダム関数を使う提案が MIP-0017 として採番されたGitHub

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
9月8日Sundae Labs の Float が姿を見せた。主要5DEXの価格・ウォレット・取引履歴を、確定したチェーンのデータだけで並べるFloat
9月9日Liqwid V3 が原子的な実行に対応。同じ日に、清算役をDAOが担う提案が投票にかかったLiqwid Finance
9月9日SecondFi が、委任していて動かせなかったウォレットの移行を開始。手数料は同社が負担SecondFi
9月10日Sundae v4 のメインネット公開日を10月1日と告知し、プレビュー用テストネットを公開SundaeSwap
9月12日Eternl が分析機能のオープンベータを開始(ベータ期間中は無料)Eternl

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
9月7日2027年のCardanoイベントをどこで開くかについて、日本語で意見を出せる窓が開いたCardano Foundation
9月9日x402 に Cardano の決済経路が実装として入ったCardano
9月10日Mesh の SDK が Bitcoin も扱えるようになり、Catalyst Fund 14 の5マイルストーンを全納品Mesh
9月11日UTXOのビルダー向けピッチイベントに総額最大50万ドルの枠。応募締切は9月14日、舞台はTOKEN2049週のシンガポールCardano Foundation
9月12日PRIME が1か月かけたDeFiエコシステム監査の最初の公開報告を実施。他チェーンとの比較採点Cardano

市場

日付出来事一次ソース
9月9日〜11日原油が3日続けて急騰し、記録上の地合いが「原油急騰×株式軟調の警戒局面」で固定された。WTIは$94.30→$97.10→$103.85本記事 第7章(12指標の日次記録)

この5日間でいちばん重かったのは、開発と Midnight の側です。 ガバナンスは提案が2件増えましたが、どちらも提出直後で票はほとんど動いておらず、決着したものはありません。一方で開発側には、Hydra の重大な脆弱性、Leios のテストネット作り直し、ノードの新版、静的解析器の初の安定版が並びました。Midnight 側も、文書が3本(MPS-0039、MPS-035、MIP-0017)動き、組織の形そのもの(DevRel チームの解散)が変わっています。

DeFi は「日付が付いた」5日間でした。 Sundae v4 のメインネット公開が10月1日に決まり、プレビュー用のテストネットが公開されています。Liqwid V3 は原子的な実行に対応し、SecondFi は止まっていたウォレットの移行を開始しました。告知ではなく、触れる場所が出てきた側の動きです。

組織・資金の側では、締切が3つ並びました。 UTXOビルダー向けピッチが9月14日、Intersect 理事選の投票開始が9月14日、TOKEN2049 のハッカソン応募が9月18日です。このうち理事選だけは、いま入会しても間に合いません——投票資格は投票開始時点で会員歴180日以上と定められているためです。

第2章:束をほどいて、ひとつだけ聞きます

5つを一度に聞いた提案は、落ちました

エポック653で失効した提案を、もう一度確認しておきます。題は「Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)」、提出はエポック646、期限はエポック653でした。そこに含まれていたパラメータは5つです。

パラメータ提案されていた値
minPoolCost(プールの最低固定費)75,000,000 lovelace(75 ADA)
max_tx_ex_mem(取引の実行メモリ上限)17,500,000
max_tx_ex_steps(取引の実行ステップ上限)10,000,000,000
max_block_ex_mem(ブロックの実行メモリ上限)77,500,000
max_block_ex_steps(ブロックの実行ステップ上限)20,000,000,000

この提案は、反対が多くて落ちたのではありません。投票が集まらずに期限を迎えました。 そのことをSIPOは前号と前々号で記録しています。そして前号の終章では、確認すべきものとして「minPoolCost の次の形」を挙げました。Part 3 が出るのか、それとも報酬設計の組み直しという別の形で出てくるのか、という問いでした。

次の形は、Part 3 ではありませんでした

日本時間9月12日5時27分、新しい提案がオンチェーンへ登録されました。

項目内容
Reduce minPoolCost to 75 ada
Action IDgov_action1whncs25w727rj5tml7lmv48gnaf9mm66sdjds8s3l306et7xmkdsqzqd7s2
種別ParameterChange
変更するパラメータmin_pool_cost = 75,000,000 lovelace(75 ADA)のみ
提出エポック654
期限エポック661
保証金100,000 ADA

題から「and increase Plutus Memory Limits」が消え、「Part 2」という通し番号も消えています。 そして変更の中身は、最低固定費ただ1つです。

これは「もう一度出した」ではありません。「聞き方を変えて出した」です。

5つを束ねた提案に反対する人は、5つのうちどれに反対しているのかを表明できません。プールの固定費を下げることには賛成でも、実行上限の引き上げに懸念がある人は、反対か棄権を選ぶしかありませんでした。逆もまた同じです。束ねられた提案は、賛成の理由も反対の理由も、票の形では読み取れなくなります。

1つだけ聞けば、結果がどちらに転んでも意味が読めます。通れば「最低固定費を下げることに三分の二以上が賛成した」と言えますし、落ちれば「最低固定費を下げることには合意がない」と言えます。 前号で失効した提案からは、そのどちらも読み取れませんでした。

提出から1時間17分で、エポックが変わりました

この提案が登録されたのは、エポック654の終了境界(日本時間9月12日6時44分51秒)の1時間17分前です。つまりエポック654に属する提案でありながら、エポック654のあいだに票が積まれる時間はほとんどありませんでした。

2026年9月12日朝の取得時点で、投票の状態はこうです。

状態
DRep 賛成2票・97,239 ADA
DRep 反対0票
DRep 棄権0票
常時不信任139,364,455 ADA
未投票5,068,327,162 ADA
批准の分母5,207,788,857 ADA
賛成率0.0%(必要な水準は67%)
憲法委員会7席すべて未投票

この数字から読めることは、ほとんどありません。 提出から1時間しか経っていない断面だからです。SIPOがここに置いておきたいのは票の並びではなく、期限がエポック661であるという一点です。エポック654からエポック661までは7エポック、およそ35日あります。前回の提案は、同じ7エポックを使い切って投票が集まりませんでした。

SPO 側にも票の面があります

もうひとつ、この提案が前章までの国庫引き出し2件と違うのは、パラメータ変更にはブロック生産者の投票面があることです。取得時点の数字を並べます。

項目
賛成0プール・0 ADA
反対0プール・0 ADA
明示的な棄権0プール・0 ADA
常時棄権(AlwaysAbstain)614プール・11,622,533,932 ADA
常時不信任(AlwaysNoConfidence)18プール・51,639,352 ADA
未投票9,712,390,240 ADA
批准の分母9,764,029,592 ADA
プール総数2,899
全プール委任ステーク21,386,563,525 ADA

分母の作り方を確認しておきます。 批准の分母(9,764,029,592 ADA)は、全プール委任ステークから、明示的な棄権と常時棄権を差し引いたものです。ブロック生成の実績があるプールに絞った母数ではありません。 そして未投票のステーク(9,712,390,240 ADA)は、この分母に含まれたままです。つまり、投じないことは事実上の反対として効きます。

いま常時棄権に置かれているステークは116億2,253万ADAで、これは全プール委任ステークの半分を超えています。この提案に賛成したい運用者が票を投じるとき、分母は約97億6,403万ADAです。 ここで三分の二を集める、というのが実際の作業になります。

SIPOは、この提案の賛否について本記事で立場を述べません。 記録するのは、聞き方が変わったという事実と、7エポックという時間があるという事実です。票が集まるかどうかは、前回と同じ問いが、前回より答えやすい形で置かれた結果として出てきます。

第3章:反対が、沈黙を追い越しました

前号で「ほぼ同じ厚み」だったものが、入れ替わりました

期限エポック656の国庫引き出し2件は、このエポック654のあいだも投票を受け付け続けていました。そして片方で、前号から形が変わりました。

「Governance Incentives Framework 2026」(4,207,967 ADA の引き出し・Action ID gov_action174lclj6wswk3km6chl755vp24ja44yy8fjput7z20795hdpuax7qq67pvcp)の、DRep 側の投票力を並べます。数字はいずれも2026年9月12日朝の取得時点です。

項目前号(エポック653記事)今回(エポック654終了時点)
賛成率1.66%1.63%
賛成11 DRep・6,969万ADA11 DRep・6,924万ADA
明示的な反対80 DRep・18億3,076万ADA91 DRep・21億8,138万ADA
棄権18 DRep・9億4,765万ADA
未投票21億6,459万ADA18億7,013万ADA
批准の分母42億6,013万ADA

前号では、未投票が明示的な反対の1.18倍でした。今回は、明示的な反対が未投票の1.17倍です。 ほぼ同じ比率のまま、上下が入れ替わっています。

内訳で見ると、反対は3億5,062万ADA増え、未投票は2億9,445万ADA減りました。 反対したDRepの数も80から91へ、11増えています。黙っていた側が、黙るのをやめて反対に回ったという読み方が、数字の上ではいちばん素直です。ただし未投票の減少分と反対の増加分は厳密には一致しませんし、同じ主体が動いたかどうかは票の集計からは分かりません。SIPOはここを断定しません。事実として、反対の厚みが沈黙の厚みを上回ったことを記録します。

前号でSIPOは、この議案について「SIPOが見たいのは67%に届くかどうかではなく、明示的な反対がさらに積み上がるか、それとも未投票のまま流れるか」と書きました。答えは、積み上がった、です。

Ikigai のほうは、未投票が賛成に変わりました

もう1件、「Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit.」(供託金103,000 ADA の返還・Action ID gov_action105mjyzm3spjppny2m776lwk5jnsuu07uva9tz0yg5u4nkf770rvsql5raht)は、逆の向きに動いています。

項目前号(エポック653記事)今回(エポック654終了時点)
賛成率51.55%58.37%
賛成22億3,993万ADA118 DRep・25億6,713万ADA
明示的な反対7 DRep・1億1,059万ADA
棄権7 DRep・8億0,956万ADA
未投票19億0,875万ADA15億8,115万ADA
批准の分母43億9,823万ADA

賛成率は6.82ポイント上がり、67%まで残り8.63ポイントです。 そして賛成は約3億2,720万ADA増え、未投票は約3億2,760万ADA減りました。ほぼ同じ量が、沈黙から賛成へ移った形です。

前号でSIPOは「67%まで残り15.45ポイント。前号の委員会更新は48時間で17ポイント動きました。期限まではまだエポック3つぶんありますので、同じ性質の動きが起きるかどうかを見ます」と書きました。動きました。ただし48時間で17ポイントという速さではなく、1エポック(5日)で6.82ポイントです。 期限のエポック656は日本時間9月17日6時44分頃ですから、残りは2エポックぶん、約10日です。

同じ日に投票を受け付けている2件が、真逆の向きに動いています。 片方は沈黙が反対へ、もう片方は沈黙が賛成へ。議案の性格が違えば票の動き方も違う、という当たり前が、同じ期間・同じ有権者の集まりの中で観測できたことになります。

新しい国庫提案は、出だしから反対が先行しています

エポック654に登録されたもう1件、「Withdraw 11,787,063 ada for the OpenZeppelin Stack administered by Intersect」(Action ID gov_action1gxxltxr02p28a398p8c6t08xhpg82wkkv9xgwvuxkly48lhgf20sqlkl2l8)です。

監査済みのスマートコントラクト部品を Cardano 向けに作らせる、という内容で、管理は Intersect が担います。SIPOはこの提案を、登録の2日後に個別記事として扱いました。 そのときに確認した票の状態は「DRep 賛成0.0%・投票済みの反対0.48%(3票)・憲法委員会は6席すべて未投票」でした。

エポック654の終了時点では、こうなっています。

項目
DRep 賛成2票・940,007 ADA
DRep 反対8票・107,530,970 ADA
未投票4,959,953,424 ADA
批准の分母5,207,788,857 ADA
賛成率0.02%(必要な水準は67%)
憲法委員会7席すべて未投票
期限エポック661

反対が8票・1億0,753万ADA、賛成が2票・94万ADA。 提出からの日数を考えれば、どちらも小さい数字です。それでも、出だしで反対が賛成の100倍を超えるステークで先行していることは、記録として置いておきます。この提案は、買うものと払い方を数えられる形で書いた提案です。 納品分の2割をキックオフで、残り8割を4回の等額マイルストーン払いにし、各回に公開可能な証拠の提出と検証部門の承認をかけ、契約満了時の残余は自動的に国庫へ戻る、という設計になっています。その細かさが票にどう効くのかは、これから35日かけて出てきます。

憲法委員会の集計は、7に揃いました

前号でSIPOは「AdaStat の集計に現れる行数は決着済みの議案で7、進行中の2件で6ですが、この差の理由をSIPOは特定できていません。持ち越します」と書きました。

エポック654の終了時点では、4件すべてで7に揃っています。

議案委員会の集計
Ikigai の供託金返還賛成2・未投票5(計7)
Governance Incentives Framework 2026反対2・未投票5(計7)
Reduce minPoolCost to 75 ada未投票7(計7)
OpenZeppelin Stack未投票7(計7)

前号で観測した6と7の食い違いは、解消しています。 そしてSIPOがこのエポックのあいだに個別記事で記録した「6席すべてが未投票」という状態も、エポックの終わりには7になっていました。

ただし、これが議席数そのものであるという確認は、まだ取れていません。 施行後の委員会の構成を告知として示したものを、SIPOはこの5日間の公開情報の中に見つけられていません。集計の行数が7で揃ったという事実だけを記録し、議席数の確定は持ち越します。

そして、いちばん大きいのはこちらです。批准されたばかりの委員会は、エポック654のあいだ、新しい2件のどちらにも票を投じていません。 前号では「批准後の最初の議案に委員会の票が実際に出た」ことを記録しました。今回は、次に来た2件に対しては、まだ動いていません。 これが慎重さなのか、単に時間の問題なのかは分けられません。期限エポック661までのあいだに票が出るかどうかを、次号で見ます。

第4章:省かれていたのは、署名の検証でした

「重大」と分類された脆弱性が、レイヤー2にありました

Cardano のレイヤー2「Hydra」のノード実装に重大な脆弱性が見つかり、修正版の2.4.1が公開されました。そして9月11日の週次開発レポートが、これを「以前の版を使っている人はアップグレードを」という一行で伝えました。

一行と、中身のあいだには、はっきりした温度差があります。 リリースノートは、取り除いた最適化をこう説明しています。

Transactions are now always fully validated, including signature and script checks, when processing a snapshot request.

裏返せば、2.4.0までは、スナップショットの要求を処理するときに取引を再適用する経路で、署名の検証と Plutus スクリプトの評価が省かれていた、ということです。

Hydra のヘッドでは、参加者が取引をやり取りし、その時点の状態をスナップショットとして全員で署名して確定させます。問題は、その確定処理の内側にありました。 脆弱性の告知(GHSA-cg83-6w6r-6hx3)が書いているのは、悪意のある参加者が他人の資金を動かす取引を偽の署名つきで作り、スナップショットの要求と一緒に流すと、正直なノードがそれを含んだスナップショットに署名してしまう、という内容です。

原因は1点ではなく、3つの連鎖でした

告知が丁寧なのは、原因を3つの連鎖として書いていることです。

  1. 検証を通っていない取引が、無条件にプールへ入ること
  2. それが、検証を飛ばす最適化経路で再適用されること
  3. テストが、この隙間を露出させなかったこと

3つ目が効いています。告知の説明によれば、テストは再適用を完全な検証と同じものとして扱うか、正当な取引だけを使って試すかのどちらかでした。つまりテストは、実装と同じ前提の上に立っていたのです。

最適化そのものは、おそらく妥当な判断でした。 一度検証した取引をもう一度検証するのは、計算資源の無駄に見えます。崩れたのは「一度検証した」という前提のほうで、そのずれは、テストが同じ前提を共有していたために、テストからは見えませんでした。

自分のノードを上げることが、自分の資金を守ります

運用者にとって実務的に効くのは、リリースノートの次の一文です。

Upgrading your own node to 2.4.1 protects your funds, as confirming a snapshot requires every participant’s signature.

スナップショットの確定には、参加者全員の署名が要ります。 したがって、自分のノードが2.4.1になっていれば、偽の署名を含む取引が混ざったスナップショットに自分のノードは署名しません。ヘッド全体が上がるのを待つ必要がない、ということです。

上げる判断を他人の都合に合わせる理由がない——これが、この脆弱性の実務上いちばん大きな含意だとSIPOは考えます。

手順の面では、2.4.0からなら差し替えるだけで済みます。Hydra のスクリプト、スナップショットの署名、保存されるデータベースの形式は、いずれも変わっていません。2.3.0から上げる場合は、開いているヘッドを一度閉じる必要があります。 2.4.0の時点で互換性のない変更が入っており、データベースはCBOR形式へ移行して戻す経路がありません。

同じ週に、検査を機械へ寄せるものが2つ出ています

同じ週次レポートには、Plu-stan v1.0.0 が並んでいます。Plutus / Plinth 向けの静的解析器の、初の安定版です。9月7日公開で、監査の知見にもとづく7つの検査(PLU-STAN-21〜27)が追加されました。拾うのは、ハードコードされた資格情報、出力先のアドレス制約の欠落、コンストラクタ番号の不安定さ、長さを比べない zip といった、実際に事故になってきた型の問題です。

Plu-stan の安定版と Hydra の件は、別々の話に見えて向きは同じです。 どちらも「人間のレビューでは見落とされる種類の誤り」を機械に拾わせる方向の作業にあたります。片方はスマートコントラクトの書き手に向けて、もう片方はノード実装の側で、検証を省く経路を塞ぐ形で。

あわせて cardano-node 11.1.1 も公開されました。 旧トレーシングの完全撤去と、次のエラに向けた台帳側の変更が、同じ版に入っています。開発者環境を一つのコマンドで用意する cardano-init も、最初のオープンベータに入りました。

この章で並べた4つ——Hydra の修正、Plu-stan の安定版、ノードの新版、cardano-init のベータ——は、いずれも「前へ進む」告知ではありません。 土台を固め直す側の作業です。エポック654は、そういう5日間でした。

第5章:エラーの出ない失敗と、384MB の重さ

席は残る。票だけが、静かに止まります

Leios を試す公開テストネット「Musashi Dojo」が、プロトタイプ2026w36への入れ替えにともなって作り直されました。リリースノートは9月7日20時29分に公開され、冒頭で作り直し(respin)が必要だと明記しています。実施は9月10日に告知されました。

参加しているプール運用者がやることは、ローカルの状態を消して同期し直し、ノードと設定を更新し、プールを登録し直したうえで、投票に使うBLS鍵を新しい cardano-cli で登録し直すことです。

そして、運用者にとって性質の悪い変更が1つ入っています。

A key that fails to verify is not rejected: the pool stays seated but cannot vote, with no error to say so.

検証に通らない鍵は拒否されません。プールは委員会の席に座ったままで、しかし投票はできず、それを知らせるエラーも出ません。

鍵の所有証明が参照するIETF草案のドメイン分離タグが変わったため、これより前の版で作られた証明はもう検証を通りません。 つまり、以前の鍵をそのまま置いておくと、この状態に落ちます。

運用者の視点でこれを言い換えると、ログを見ても正常に見える、ということです。 何かが壊れていれば気づけます。静かに票だけが出なくなる状態は、意識して確かめない限り見つかりません。

もう1つ、鍵に有効期限が付きました。Leios の委員会はエポックの境界で選ばれるようになり、投票鍵はKES鍵と同じように期限が来たら交換する対象になります。そして期限切れも、席を空けてはくれません。 失効した鍵を持つプールは委員会での重みを保持したまま投票できなくなり、その席が他へ割り当てられることもない、と明記されています。鍵の失敗と鍵の失効は、どちらも「席はあるのに票がない」という同じ状態に着地します。

確かめるための出口は、CLIに用意されています。query pool-state がそのプールのBLS鍵と登録エポックを返し、query stake-snapshot が各席のプール・重み・登録鍵・登録エポック・投票中かどうかを返します。鍵はあるのに投票中でない席は、期限が切れています。 ただしリリースノートは、この出力について「初版であり、また変わる可能性が高い」と断っています。

前章の Hydra と、この Leios は、同じ形をしています。 片方は「省いた検証」、もう片方は「落ちても止めない検証」。どちらも、動いているように見えるあいだに壊れています。

委員会の設定が、プロトコルパラメータへ移りました

運用手順とは別に、この版にはガバナンス側から見て意味のある変更が入りました。委員会の規模、定足数のしきい値、エンドーサーブロックの上限、証明書までの間隔が、プロトコルパラメータから読まれるようになりました。 リリースノートはその狙いを、ノードのリリースなしにガバナンスがこれらを変更できるようにするためだと説明しています。

これは小さな行に見えて、決定権の置き場所の話です。 委員会の大きさやしきい値がノードのコードに埋まっている限り、変えるにはリリースが要ります。パラメータへ出せば、変更はオンチェーンの手続きの側へ移ります。Leios がメインネットへ来たときに、この種のつまみを誰がどの手続きで回すのかは、SPOとDRepの双方に直接効いてくる論点です。テストネットの段階でその形が先に置かれたことは、記録しておく価値があります。

そして第2章で扱った minPoolCost の提案も、まさにその「つまみを回す手続き」そのものです。 Leios がパラメータへ出した設定は、将来こういう提案の対象になります。

呼ぶ側が、384MB を持ち歩くことになります

同じ「見えていなかったコスト」の話が、Midnight 側からも出ました。改善提案リポジトリに、9月9日付でMPS-0039「Calling a Contract Requires Its Full Compiled Artifacts(契約を呼ぶには、そのコンパイル済み成果物一式が必要である)」が merge されています。

Midnight では、契約呼び出しの取引が「回路名と引数」を運ぶのではなく、現在の台帳状態に対して回路を実行したトランスクリプトと、その実行の証明を運びます。 つまり実行するのはチェーンではなく、呼ぶ側です。

実行するのが呼ぶ側である以上、呼ぶ側は回路そのものを持っていなければなりません。回路1本につき必要なファイルは、証明鍵・検証鍵・ZKIR の3種類です。文書が挙げている実測値を並べます。

回路証明鍵検証鍵
counter/increment14KB約1.3KB
unshielded/mintUnshieldedToUserTest2.7MB約2KB
shielded/mintAndSendShielded9.5MB約2KB
events/emitMisc64.3MB約2KB
fee-mint/mintWithShieldedFee72.9MB2.1KB

チェーンが保存するのは検証鍵だけで、単位はKBです。呼ぶ側が持たなければならないのは証明鍵で、大きいものでは数十MBになります。 文書はこの差を「最大のものでおよそ35,000倍の比率」と表現し、小さな試験用契約10本を合計すると384MBになると書いています。

効いてくるのは配布の場面です。 複数のdAppに対応するウォレットSDKを作ろうとすると、対応する契約の数だけ成果物が積み上がります。ブラウザの拡張機能やモバイルアプリに384MBを同梱することはできません。

ここで大事なのは、この文書の種類です。 MPS(Midnight Problem Statements)は「エコシステムの摩擦・欠落・機会を、解決策に依存しない形で記述したもの」で、何を解くべきかを定義します。対してMIP(Midnight Improvement Proposals)はどう解くかを示します。MPS-0039 は前者です。状態は Proposed で、いちばん手前の段階にあります。

つまりこの5日間に起きたのは「解決策が採用された」ではなく、「解くべき問題として登録された」です。 そしてSIPOがこれを前進として記録するのは、当事者が自分の設計の重さを、自分で数えて公開したからです。数えられていない重さは、直せません。

第6章:入口を作り替えているあいだに、10月1日が並びました

専任チームを畳んで、範囲を広げると言っています

9月11日、Midnight Foundation が専任のDevRel(デベロッパーリレーション)チームを解散したことを公表しました。財団の説明によれば、これは縮小ではなく方針の転換で、理由は「Midnight 上で開発できる人の範囲を広げたいから」だとされています。開発者向けの窓口を専門チームが一手に引き受ける形をやめる、という判断です。

そして同じ日、日本では別の入口が動き始めました。 Midnight の日本語公式が、アンバサダーリーダーによる3日間のツアーを告知しています。9月11日が福岡、12日が名古屋、13日が東京です。

中央の専任チームを畳む一方で、地域のアンバサダーが人を集める場は予定どおり開かれる。 順序として見ると、入口の担い手が置き換わっていく途中に見えます。 ただし財団の投稿は方針の宣言までで、置き換えの中身はまだ示されていません。 ドキュメント、助成、ハッカソン、アンバサダー——そのどれが窓口の役を引き受けるのかは、これから出てきます。

10月1日に、二つの公開日が並びました

9月10日、Sundae Labs がSundae v4 のメインネット公開を10月1日に行うと告知し、あわせてプレビュー用のテストネットを公開しました。7月末に設計の全体像が示されてから、日付と、実際に触れる場所が同時に出そろったのは今回が初めてです。

告知の本文は3行で、書かれているのは公開日が10月1日であることプレビュー用テストネットがすでに動いていることの2点だけです。10月1日に何が有効になるのか(7月時点では中核機能から段階的に出す方針と説明されていました)、監査結果の公開v3の流動性の移行条件については、告知に書かれていません。

そして10月1日という日付には、もう1件が置かれています。 前号でSIPOは、確認すべきものとして「RealFi の10月1日」を挙げました。メインネット到達日に日付が付いたものは、守られたかどうかを後から数えられるからです。この5日間に、RealFi 側からの新しい告知をSIPOは確認できていません(終章で扱います)。 ただし、同じ10月1日に、別の実装が公開日を置いたことは記録しておきます。

締切が、3つ重なっています

組織の側では、9月14日に2つ、9月18日に1つの締切が並びました。

締切内容
9月14日UTXOビルダー向けピッチイベントの応募。総額最大50万ドルの枠、舞台はTOKEN2049週のシンガポール
9月14日 12時UTCIntersect 2026年理事選の投票開始(終了は9月25日12時UTC)。会員選出2議席に11人が応募
9月18日TOKEN2049 Origins ハッカソン Cardano トラックの応募。課題はx402を使ったエージェント経済、賞金は3組に合計27,500ドル

理事選については、投票資格の条件が示されています。 投票開始の時点から数えて180日以上、つまり6か月以上前からIntersectの個人会員または法人会員であること。会員資格が有効であること。そしてIntersectが求める本人確認の手続きを終えていること。この3つを満たした人だけが票を投じられます。

逆に言えば、いま入会しても今回は間に合いません。 SIPOがこれを書いておくのは、ガバナンスへの参加には「決めるときに手を挙げる」のとは別に、「決める資格を先に持っておく」という時間軸があるためです。DRepへの委任も、同じ性質を持っています。

エージェントの決済経路が、実装として入りました

もう1件、静かですが位置づけの変わった動きがあります。x402 に Cardano の決済経路が、実装として入りました。 仕様書の中の記述ではなく、リポジトリのパッケージとして置かれた、ということです。

Cardano Foundation は別の投稿で、AIエージェントには「財布がない、身元がない、他のエージェントに支払う手段がない、何をしたか何を決めたかの記録がない」という4つの共通の問題があり、ブロックチェーンはその4つすべてを解けると述べています。TOKEN2049 のハッカソンの課題設定が、まさにそこに置かれました。

Mesh の SDK も、この5日間で Bitcoin を扱えるようになりました。 あわせて Catalyst Fund 14 の5マイルストーンを全納品しています。エージェント、複数チェーン、決済——道具の側が、同じ方向に少しずつ揃ってきています。

第7章:エポック654 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック654期間・9月7日〜9月11日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。また株式・金利・商品の記録は市場が閉じているあいだ直前の値が据え置かれます。この期間では、9月7日と9月8日の株式系の記録はどちらも9月4日時点の値です。 日本国債は9月11日の記録に値が入っていません。

この5日間のADAは、前号と逆向きの、きれいな一方向の下げでした。

日次の記録で$0.220559(9月7日)→ $0.219571(9月8日)→ $0.220034(9月9日)→ $0.211157(9月10日)→ $0.208644(9月11日)。−5.40%です。期間の記録での最高は初日の$0.220559、最安は最終日の$0.208644。 前号は「最高が9月4日、最安が初日」という戻しの形でしたので、向きがそのまま裏返っています。

エポック境界の確定値では、エポック653終了時の$0.221816からエポック654終了時の$0.206425へ、−6.94%。時価総額は$8.32bから$7.74b−6.92%です。ADA/JPYは¥31.7017、そのときのUSD/JPYは153.58です。前号が境界価格で+13.53%でしたから、戻した分のおよそ半分を返した形になります。

円建てでは−8.46%です。 ドル建ての−6.94%より下げ幅が大きいのは、同じ期間に円が強くなったからです(USD/JPY 156.12→153.58)。前号は円高が戻りを削りましたが、今回は円高が下げを深くしています。向きが変わっても、円で持っている人には同じ方向に効いています。

$NIGHTは記録上$0.02357412 → $0.02106387(−10.65%)記録上の全銘柄で最大の下げ幅です。 前号ではNIGHTが+21.75%で上げ幅の首位でしたので、2エポック連続で、上下どちらでも先頭に立っています。

BTCとETHの下げは、ADAより浅い幅でした。 BTCは$79,785 → $77,096(−3.37%)、ETHは$2,498.18 → $2,454.38(−1.75%)ADAの−5.40%はBTCの約1.6倍です。 前号ではADAの上げ幅がBTCの約3.6倍でしたから、倍率は縮んでいます。

記録上の14銘柄のうち、上げたのは3つだけです。 上げ幅の大きい順に、DOT(+15.30%)、ATOM(+13.29%)、ICP(+4.46%)。下げ幅の大きい順は、NIGHT(−10.65%)、LINK(−9.64%)、ADA(−5.40%)、SOL(−5.30%)、XRP(−4.93%)、FET(−4.81%)、BTC(−3.37%)、ALGO(−2.80%)、AVAX(−2.57%)、ETH(−1.75%)、WLFI(−0.05%)。前号は12銘柄すべてが上げましたので、今回は分かれました。 DOTとATOMの2桁の上げは、下げ一色ではなかったことを示しています。

この5日間でいちばん大きく動いたのは、原油です。 WTIは$91.48 → $103.85(+13.52%)、ブレントは$96.28 → $109.00(+13.21%)どちらも期間の最高は最終日で、最安は初日です。 記録上の地合いは、9月9日から11日まで3日続けて「原油急騰×株式軟調の警戒局面」でした。前号ではWTIが+0.72%とほぼ横ばいでしたので、この5日間で局面が入れ替わっています。

株式は下げ、VIXは上げました。 S&P500が7,718.60 → 7,591.70(−1.64%)、ナスダックが26,506.99 → 26,081.72(−1.60%)、ダウが53,414.25 → 52,064.10(−2.53%)。日経平均先物は65,820 → 63,930(−2.87%)で、期間中の最高は9月8日記録の66,100です。VIXは14.53から17.84へ+22.78%期間中の最高は最終日の17.84で、最安は初日の14.53です。 前号がVIX −11.08%の低下でしたので、警戒の水準がそのまま押し戻されています。

金は下げました。 金は$4,476.60 → $4,359.80(−2.61%)で、期間中の最高は初日、最安は最終日です。原油が上げて金が下げるという組み合わせは、前号(金+1.27%・WTI+0.72%)とは形が違います。

為替では、円が強くなりました。 USD/JPYは156.243から154.442(−1.15%)へ。期間中の最安は9月10日記録の153.394です。ドル指数(DXY)は99.161から99.090(−0.07%)とほぼ横ばいで、2エポック続けて円だけが動いています。 米10年債利回り(TNX)は4.784%から4.944%(+3.34%)へ、16ベーシスポイント上がりました。 前号がほぼ横ばいでしたので、金利は上、株は下、原油は上という並びです。

日本国債は、記録の基準日に遅れがあります。 10年は2.966%(9月3日時点)から9月10日の記録で2.896%(9月8日時点)へ、30年は4.052%から3.961%へ。どちらも下げています。 日米10年金利差は1.818から1.941へ拡大し、米金利が上がって日本国債の利回りが下がったぶんが、そのまま差に出ています。なお9月11日の記録には日本国債の値が入っていないため、最終記録は9月10日時点のものです。

暗号資産関連株のCOINは184.64 → 172.28(−6.69%)期間中の最高は初日、最安は最終日で、ADAと同じ形です。

この5日間についても、価格を動かした個別の引き金をSIPOは特定していません。 前号でSIPOは「下げた理由を特定していない以上、戻した理由も特定できません」と書きました。今回も同じです。 ただし記録の上では、原油が3日続けて上げ、VIXが上がり、株式が下げ、金利が上がった5日間であって、暗号資産だけが下げたわけではありません。 Cardano 固有の材料でこの下げを説明することはしません。

Cardano オンチェーンKPI

データ基準日は2026年9月10日23時59分23秒(UTC)です。エポック654の終了境界(9月11日21時44分51秒 UTC)より前の断面であることに注意してください。第9章のネットワーク指標とは出典も時点も違います。

指標エポック654(基準日 9月10日)前回記録(エポック653基準日 9月5日)
ステーキング率57.01% of supply57.04%
Nakamoto係数163163
日次Tx(最新日)19,735(9月10日)18,229(9月5日)
アクティブアドレス9,2419,488
Script Tx比率27.59%35.85%
ステーブルコイン総額$62.58M$58.79M
Treasury1,348,927,211 ADA(エポック654)1,344,850,366 ADA(エポック653)

前号で持ち越した2件に、両方とも答えが出ました。

Treasury は、単独エポックの数字として並べられるようになりました。 エポック653の1,344,850,366 ADA から、エポック654の1,348,927,211 ADA へ、+4,076,845 ADAです。前号では「エポック652の値を持っていないため、2エポックの合計としてしか記録できない」と書きました。今回は1エポックぶんの増減として記録できます。 なお前号の2エポック合計は+7,493,706 ADA でしたので、1エポックあたりの水準としてはおおむね同じ範囲にあります。

ステーブルコイン総額は、減少が止まって増えました。 $58.79M から $62.58Mへ、+$3.79M(+6.4%)です。動かしたのは USDCx です。 内訳を並べると、USDCx $46,086,081(前回$41,652,014・+$4.43M)、USDM $8,915,886(前回$9,315,351)、USDA $4,252,178(前回$4,452,393)、Djed USD $1,467,129、iUSD $1,373,126。USDCx 以外はいずれも小幅に減っており、総額の増加はUSDCx単独の増加で説明がつきます。

アクティブアドレスと日次トランザクションの向きは、前号と逆になりました。 アクティブアドレスは9,488から9,241へ−247。日次Txは18,229から19,735+1,506。そしてScript Tx比率は35.85%から27.59%−8.26ポイントです。前号は「件数が減ってスクリプト比率が上がる」形でしたが、今回は「件数が増えてスクリプト比率が下がる」形です。 2つの基準日で向きがそっくり入れ替わっていますので、前号で観測した構成の変化は、継続的な傾向ではなく揺れだった可能性が高くなりました。 ただし基準日が2つあるだけですので、SIPOはここで結論を出しません。

Nakamoto係数は163で変わらず、ガバナンスアクションの集計は提案中3・批准0・失効71(基準日時点)です。なお基準日は9月10日23時59分(UTC)で、最低固定費の提案が登録される前の断面にあたります。 第2章・第3章で扱った進行中の4件とは時点が違いますので、この「提案中3」と本記事の4件は突き合わせないでください。

SIPO DRep 活動

SIPO DRepの投票力は、2026年9月12日の確認時点で約₳87.55Mです(登録済み・active・有効期限エポック671・委任者384名)。エポック653記事の時点では約₳83.90M・379名でしたから、₳3.65Mほど増え、委任者も5名増えています。

量と人数が同時に増えたのは、これで2エポック連続です。 前号でSIPOは「量も人数も、同時に増えたのは今回がはじめてです」と書きました。今回は、増え幅がさらに大きくなっています(前号が₳1.61M・6名増、今回が₳3.65M・5名増)。委任者のほうは、4エポック連続の増加になります。

取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

第8章:エポック654 配信記事の紹介

エポック654の5日間に、SITIONグループの3アカウントから配信した記事のうち、暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋して並べます。

日付媒体種別タイトルURL
9月7日SIPO.TOKYOエポックな日々反対も、票になりました──入れ替わった委員会が賛成と反対を1つずつ投じ、ADAが5日で12.67%戻した5日間記事
9月7日SIPO.TOKYODeep Dive決める人が入れ替わりました——委任投票力の65.6%は、いまも既定の選択肢の上にあります記事
9月7日SIPO.TOKYODaily Intel憲法委員会の4議席が、6時44分のエポック境界で入れ替わりましたX
9月7日SIPO.TOKYO速報SecondFi、残高ゼロ表示でも「委任していたウォレットは移行が必要な場合あり」と注意喚起記事
9月8日SIPO.TOKYOSignalMidnight が機関投資家の取引監督に踏み込みました——見せずに検証させる設計を、規制側の言葉で説明しています記事
9月8日SIPO.TOKYOSignalTapTools の空白に、Sundae Labs の Float が姿を見せました——主要5DEXの価格・ウォレット・取引履歴を、確定チェーンのデータだけで並べます記事
9月8日SIPO.TOKYOSignal橋を止める判断ができたのは、止められる人がいたからです——Liquid の凍結が見せたペグ設計の分かれ目記事
9月8日SIPO.TOKYOSignalADA の無期限先物が、米国の規制下取引所に載りました記事
9月8日SIPO.TOKYOSignal2027年のCardanoイベントをどこでやるか、日本語で意見を出せる窓が開いています記事
9月8日SIPO.TOKYODaily Intelサプライチェーン証明50万件がCardanoに載り、取引先データは公開されませんでしたX
9月9日SIPO.TOKYOSignalcardano-node 11.1.1 が出ました——次のエラの下地と、旧トレーシングの完全撤去が同じ箱に入っています記事
9月9日SIPO.TOKYOSignalLiqwid V3 が原子的な実行に対応しました——同じ日に、清算役を DAO が担う提案が投票にかかります記事
9月9日SIPO.TOKYOSignalチェーンの履歴を書き換えられる人がいる、という設計の話です——Cronos が 10,961 ブロックを取り消しました記事
9月9日SIPO.TOKYOSignal委任していて動かせなかったウォレットが、移行できるようになりました——手数料は SecondFi が負担します記事
9月9日SIPO.TOKYODaily IntelCardanoが「台帳の規則は機械が検査している」と説明しましたX
9月10日SIPO.TOKYOSignal監査済みの契約ライブラリに 1,178 万 ADA——OpenZeppelin の資金要求が投票にかかりました記事
9月10日SIPO.TOKYOSignal契約を呼ぶ側が、384MB を持ち歩くことになる——Midnight の重さが MPS-0039 として文書になりました記事
9月10日SIPO.TOKYOSignalx402 に Cardano の決済経路が実装として入りました——仕様書の中の話ではなくなります記事
9月10日SIPO.TOKYOSignalMesh の SDK が、Bitcoin も話せるようになりました——Catalyst Fund 14 の5マイルストーン、全納品記事
9月10日SIPO.TOKYODaily IntelMesh の SDK が Cardano と Bitcoin の両方を話せるようになりましたX
9月11日SIPO.TOKYOSignalHydra 2.4.1、署名検証を省く最適化で資金を持ち出せた脆弱性を修正記事
9月11日SIPO.TOKYOSignalLeios のテストネットが作り直されました——BLS 鍵を更新しないと、席は残ったまま投票だけが止まります記事
9月11日SIPO.TOKYOSignalSundae v4 のメインネット公開は 10 月 1 日です——プレビューのテストネットは、もう触れる状態にあります記事
9月11日SIPO.TOKYOSignal攻撃の起点は「誰を狙うか」の選別です——Midnight の CTO が説明した、シールド資産がフィッシングに効く理由記事
9月11日SIPO.TOKYODaily IntelMidnight が DevRel チームを畳み、ビルダーの入口を作り直しますX
9月12日SIPO.TOKYOSignalUTXO ビルダー向けピッチイベントに最大 50 万ドルの枠、締切は 9 月 14 日記事
9月12日SIPO.TOKYODaily IntelIntersect 理事選、11人が2議席を争い9月14日に投票開始記事

この5日間のSIPO.TOKYOは、Signal 18本を含む本数を配信しました。 上の表に載せたほかにも、LiveMakers・LifeMakers の2媒体から市場・地政学・ライフスタイルの記事が出ています。LifeMakers の「星読み」は毎日配信を続けていますが、本表の対象外としています。

エポック654は、SIPOにとって「同じ材料を2回書いた」5日間でもありました。 OpenZeppelin の提案は登録の2日後にSignalで扱い、本記事の第3章で票の動きを追っています。Hydra と Leios も同じです。速報として1回、エポックの区切りでもう1回。 前者は「何が起きたか」を、後者は「5日間の中でどう位置づくか」を書いています。

第9章:エポック654 終了時点 ステーキング動向

3プール合計(エポック654:100%時点)

項目前エポック比
ライブステーク108,860,563.64 ADA(108.86M)−764,030.91
有効ステーク109,624,594.55 ADA(109.62M)−486,591.15
委任者数2,153名−9
エポック生成ブロック105−21
累計生成ブロック47,294+105

プール別

プールライブステーク有効ステーク委任者エポックブロック累計ブロック
SIPO57,496,513.60(−257,538.60)57,754,052.20(+560,132.99)1,121(−3)60(+18)20,116
SIPO225,145,232.06(−81,603.80)25,226,835.86(−112,626.37)472(−3)14(−40)15,079
SIPO326,218,817.98(−424,888.51)26,643,706.49(−934,097.77)560(−3)31(+1)12,099

マージンは3プールとも3.9%、固定費340 ADA、保証金50,000 ADA です。

3プールとも、委任者が3名ずつ減りました

今回いちばん目につくのは、3プールの委任者が揃って3名ずつ減ったことです。 合計で−9名です。

前号は−4名(SIPO −1 / SIPO2 +1 / SIPO3 −4)でした。今回は3プールが同じ幅で減っています。 3つのプールで同じ数だけ減るというのは、同じ人が3プールすべてに委任していて、まとめて外したと読むこともできますし、単に偶然揃ったとも読めます。SIPOは断定しません。 3名という規模はライブステークへの影響が小さく(3プール合計で−76万4,031 ADA、率にして−0.70%)、大口の移動ではありません。

ライブステークは3プールとも減りました。 減り幅はSIPO3が最も大きく−42万4,889 ADA、次がSIPO −25万7,539 ADA、SIPO2 −8万1,604 ADAです。合計で−76万4,031 ADA、−0.70%。 前号が−48万6,591 ADAでしたので、2エポック続けて小幅に減っています。 ADA価格が同じ期間に−5.40%動いていますが、委任量と価格の関係をSIPOは主張しません。

有効ステークとライブステークの照合が、5回続けて成立しました

エポック653の終了時点のライブステークが、そのままエポック654の有効ステークになっています。

プールエポック653 ライブステークエポック654 有効ステーク
SIPO57,754,052.2057,754,052.200.00
SIPO225,226,835.8625,226,835.860.00
SIPO326,643,706.4926,643,706.490.00

3プールとも、小数点以下まで完全に一致しました。 前号ではSIPOに0.17 ADAの差が残っていましたが、今回は差がありません。

Cardano のステーキングは「委任した内容が2エポック後の報酬に効く」という設計になっていますので、この一致は仕組みどおりです。前号で「4回続けて成立」と書きました。今回で5回目です。

この照合を毎回書いているのは、数字の出どころが正しいことを毎回確かめるためです。 ライブステークと有効ステークは別々の出典から取っていますので、別々の出典から取った数字が一致するかどうかが、そのまま検算になります。 そして本記事の第9章の数字は、同じ境界の時点でステーキング状況としても公開しています。 記事と告知で数字が食い違わないように、同じ値を使っています。

SIPO2 のブロックが、54から14へ落ちました

エポックブロックは3プール合計で126から105へ、−21です。 内訳を見ると、SIPOが42から60へ+18、SIPO3が30から31へ+1、そしてSIPO2が54から14へ−40です。

SIPO2 の14ブロックは、有効ステーク2,522万ADAという規模に対して少ない数字です。 同じエポックのSIPO3は有効ステーク2,664万ADAで31ブロックですから、近い規模のプールで倍以上の差が出ています。

ブロック生成は確率的です。 どのプールがどのスロットを引くかは抽選で決まりますので、1エポックの数字から「調子が悪い」とは読めません。 前号ではSIPO2が39から54へ+15と伸びており、そのときSIPOは「有効ステークが減ったにもかかわらず起きた動き」と書きました。 今回はその逆が起きています。上振れの次に下振れが来た、という以上のことは言えません。

そのうえで、書いておくべきことがあります。 SIPOは運用側で異常を検知していません。次のエポックで水準が戻るかどうかを見ます。戻らなければ、それは確率の話ではなくなります。

累計47,294ブロック

3プールの累計ブロックは47,294です。SIPO 20,116 / SIPO2 15,079 / SIPO3 12,099。 前号で3プールがそれぞれの大台(20,000 / 15,000 / 12,000)を越えたことを記録しました。今回はその上を、105ブロックぶん積み上げています。

ネットワーク全体では、ブロックを引けたプールが戻りました

指標エポック654前エポック比
ステーキング率56.49%−0.05ポイント
総ステーク21,370,797,071 ADA−15,466,454
流通供給量37,829,582,646 ADA+6,247,985
委任者総数1,337,992名−975名
アカウント総数5,979,367+4,715
総ホルダー3,297,261
ブロック生成のあったプール953+32
総プール数2,894−1
ステークのあるプール2,675−2

前号で確認点に置いた2つに、答えが出ました。

ブロック生成のあったプールは、921から953へ+32です。戻りました。 前号でSIPOは「944から921へ23プール減っている。これはエポックごとの確率的な揺れも含むので、1エポックの減少からプールが減ったとは読めない。次のエポックで水準が戻るかを見ます」と書きました。戻っただけでなく、前々号の944も上回っています。 総プール数(2,894)とステークのあるプール数(2,675)はほぼ動いていませんので、前号の減少は、やはりブロックを引けなかったプールが一時的に増えたという読み方でよさそうです。

委任者総数は、5エポック連続で減りました。−975名です。 前号が−938名、その前が−1,222名。減り方は前号から少し拡大しています。 前号でSIPOは「減り方が鈍った段階にいる。5エポック目で向きが変わるかを見ます」と書きました。向きは変わらず、鈍化も止まりました。

一方でアカウント総数は+4,715で増え続けています。 総ホルダーは3,297,261名です。新しいアカウントは増え、委任している人は減っているという構図が、これで5エポック続いています。

総ステークは−1,547万ADAです。 前号が−506万ADA、その前が+1,781万ADA。3エポックのうち2回が減少で、減り幅は今回のほうが大きくなっています。 流通供給量は+625万ADAで増えていますので、ステーキング率は56.54%から56.49%へ、0.05ポイント下がりました。

SIPOの3プールは、この5日間で105ブロックを生成しました。 委任していただいているみなさまのおかげです。

終章:省かれた検証は、次の版で戻ってきます

エポック653の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

Governance Incentives Framework 2026 の賛成率が動くかは、答えが出ました。 賛成率は1.66%から1.63%へほぼ動いていませんが、SIPOが見たいと書いたのは賛成率ではありませんでした。「明示的な反対がさらに積み上がるか、それとも未投票のまま流れるか」——答えは、積み上がった、です。 反対は80 DRep・18億3,076万ADAから91 DRep・21億8,138万ADAへ、未投票は21億6,459万ADAから18億7,013万ADAへ。前号で「未投票が反対の1.18倍」だったものが、今回は「反対が未投票の1.17倍」です。上下が入れ替わりました。

Ikigai の供託金返還が51.55%からどこまで動くかは、答えが出ました。58.37%です。 +6.82ポイントで、67%まで残り8.63ポイント。そして動いた分は、ほぼそのまま未投票から移っています(賛成+約3億2,720万ADA、未投票−約3億2,760万ADA)。前号の委員会更新は48時間で17ポイント動きました。今回は5日で6.82ポイントです。速さが違います。期限まで残り2エポックで、この速度なら届きません。

委員会の議席数が、別の形で確認できるかは、部分的に答えが出ました。 集計に現れる行数は、進行中の4件すべてで7に揃いました(前号は決着済み7・進行中6)。食い違いは解消しています。 ただし施行後の委員会の構成を示す告知を、この5日間の公開情報の中にSIPOは見つけられていません。 行数の一致は観測しましたが、議席数の確定は持ち越します。

Treasury とステーブルコインの向きは、両方とも答えが出ました。 Treasury は単独エポックの数字として並べられるようになり、エポック653の1,344,850,366 ADA からエポック654の1,348,927,211 ADA へ+4,076,845 ADA。ステーブルコインは減少が止まり、$58.79M から$62.58M+$3.79M増加分はUSDCx単独(+$4.43M)で説明がつき、他の銘柄はいずれも小幅に減っています。

RealFi の10月1日は、今回は確認できていません。 この5日間の公開情報の中に、RealFi 側からの新しい告知をSIPOは見つけられていません。持ち越しです。 ただし同じ10月1日に、Sundae v4 のメインネット公開日が置かれました。 10月1日という日付に2件が並んだことは、次号で両方を数える材料になります。

アクティブアドレスと日次トランザクションの水準は、答えが出ました。前号の構成の変化は、続きませんでした。 アクティブアドレスは9,488から9,241へ微減、日次Txは18,229から19,735へ増加、Script Tx比率は35.85%から27.59%へ−8.26ポイント前号が「件数減・スクリプト比率増」でしたので、今回はそっくり逆です。 単発の揺れだった可能性が高くなりましたが、基準日が2つあるだけですので、結論は出しません。

委任者数とブロック生成プール数は、分かれました。 ブロック生成のあったプールは921から953へ+32で、戻りました(前々号の944も上回っています)。委任者総数は5エポック連続で減少(−975名)し、しかも減り方は前号の−938名より拡大しています。 前号で「5エポック目で向きが変わるか」と書きましたが、変わりませんでした。

7件のうち、答えが出たものが5件(GIFの反対の積み上がり・Ikigaiの動き・Treasuryとステーブルコイン・アクティブアドレス・ブロック生成プール数)、部分的に答えが出たものが1件(委員会の議席数)、持ち越しが1件(RealFiの10月1日)です。前号は答え3件・部分1件・持ち越し3件でしたので、今回はさらに答えの側が増えました。

そのうえで、エポック655で確認すべきものを挙げます。

  1. 最低固定費の提案に、SPO側の票が入るか:提出から1時間17分でエポックが終わったため、SPO側は賛成0・反対0・棄権0です。期限はエポック661、残り約35日。 前回の提案は同じ長さの期間を使い切って票が集まりませんでした。SIPOが見たいのは可決の可否ではなく、束をほどいたことが投票行動に効くかどうかです。 常時棄権に置かれた614プール・116億2,253万ADAが動くかどうかも、あわせて見ます。
  2. 期限エポック656の2件が、どう終わるか日本時間9月17日6時44分頃が期限です。 Ikigai は58.37%で残り8.63ポイント、GIF は1.63%。この2件の終わり方は、前号でSIPOが書いた「投票が集まらずに流れた議案と、明示的に反対された議案は意味が違う」という読みの、最初の実例になります。
  3. Hydra 2.4.1 への追随と、テスト設計への手当て:告知は原因の3つ目としてテスト設計を挙げました。再適用の経路を完全な検証と同一視しないテストが入るかどうかは、次のリリースノートで確かめられます。 実装の修正だけで終わるのか、テストの前提まで直すのかを見ます。
  4. Musashi Dojo で、鍵の登録まで到達するプールがどれだけ出るか「席はあるが票がない」プールが多く残れば、定足数の設計そのものを試す材料になります。 テストネットで表面化する分には、むしろ好都合な失敗です。CLIの出力が固まって自動監視が可能になるかどうかも、あわせて見ます。
  5. 10月1日に向けた告知が、どう積み上がるか:Sundae v4 と RealFi の2件です。Sundae v4 については「初日に何が有効で、何が後から来るのか」が段階の公表として出るかを見ます。 RealFi については、この5日間に告知がなかったこと自体を持ち越しの材料とします。
  6. DevRel の後継として、何が置かれるか:財団が示したのは方針の転換までです。ドキュメント、助成、ハッカソン、アンバサダーのどれが窓口を引き受けるのかは示されていません。 福岡・名古屋・東京の3日間が終わったあとに、日本語圏で何が残るかを見ます。
  7. SIPO2 のブロック生成が、水準に戻るか:エポック654は54から14へ落ちました。確率的な揺れとして扱っていますが、2エポック続けて低い水準にとどまるなら、確率の話ではなくなります。 次のエポックの数字で判断します。
  8. 委任者総数の減少が、6エポック目に入るか:−975名で、減り方は鈍化から拡大へ転じました。新しいアカウントは増え続けていますので、「入ってきた人が委任へ進まない」という構図が続いているのかどうかを、次の数字で見ます。

エポック654は、省いたところが壊れどころだと分かった5日間でした。

Hydra は、速くするために署名の検証を省いていました。その省略が、他人の資金を持ち出す経路になっていました。 修正版のリリースノートが書いたのは「常に完全に検証する」という、当たり前へ戻す一文です。

Leios は、検証に落ちた鍵を拒否しない設計になっていました。拒否すれば止まりますが、拒否しなければ動いているように見えます。 席は残り、票だけが静かに出なくなる。リリースノートは、そのことをわざわざ書きました。書かれたということは、当事者が「これは気づかれない」と分かっていたということです。

Midnight は、契約を呼ぶ側が数十MBの証明鍵を持たなければならないという設計を、自分で数えて、384MBという数字として公開しました。 解決策はまだありません。解くべき問題として登録されただけです。

そして minPoolCost の提案は、5つを束ねたまま落ちたあとで、束をほどいて1つだけを聞く形で戻ってきました。

この4つは、領域も規模もばらばらです。 レイヤー2の脆弱性、テストネットの鍵管理、プライバシー層の配布容量、パラメータ変更の提案。共通しているのは、どれも「省略や束ね方を、あとから解いている」ことです。

SIPOがこれを良い5日間だと考えるのは、そのためです。 新しい機能はほとんど出ていません。出たのは、前に省いたものを数え直し、戻し、書き出したものばかりです。 速く進むために飛ばしたものは消えません。どこかで請求書になって戻ってきます。エポック654は、その請求書が3通まとめて届いた5日間でした。

市場のほうは、5日間で−5.40%です。ただしこの5日間で最も大きく動いたのは原油で、WTIが+13.52%、ブレントが+13.21%。VIXは+22.78%、株式は3指数とも下げ、米10年債利回りは16ベーシスポイント上がりました。 SIPOはこの下げを Cardano の材料で説明しません。下げた理由を特定していない以上、原油と金利の動きとの関係も特定できません。事実として記録し、次のエポックで水準が戻るかを見ます。

いつもSIPO / SIPO2 / SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRepを通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPOはSPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。

次の期限は、エポック656です。9月17日の朝6時44分頃に、2件が同時に終わります。

出典・参照