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締め切りの前に、3件とも反対が上回っています——エポック646の国庫投票

2026-07-31SIPO

カルダノの国庫から資金を引き出す提案のうち、エポック647を期限とするものが3件あります。7月31日20時(JST)時点、エポック646のオンチェーン集計では、この3件はいずれも DRep の反対が賛成を上回っていて、可決に必要な67%には届いていません。

国庫の配分がどう決まるかは、カルダノのガバナンスが手続きとして機能しているかどうかが最も具体的に見える場所です。提案の中身に賛否があること自体は健全ですが、「誰の票がどれだけ効いているのか」を読み違えると、可決の見込みまで読み違えます。締め切りの位置と、票の数え方を整理しておきます。

■ 期限が近い3件と、いまの集計

オンチェーンの提案一覧で expiration がエポック647と記録されている国庫引き出しは、次の3件です。カッコ内は DRep の投票状況で、パーセンテージは票の重み、票数は投じた DRep の頭数です。

  • Bifrost: Unlocking Bitcoin DeFi on Cardano — Road to Mainnet (Phase 1 of 2)
    要求額 12,332,031 ADA / 賛成 26.95%(79票)・反対 73.05%(27票)・棄権 29票
  • Scalus 2026: Maintenance, Dijkstra Readiness, Interoperability & Application Runtime
    要求額 2,464,844 ADA / 賛成 27.66%(56票)・反対 72.34%(38票)・棄権 29票
  • Global Order Book connect Cardano DeFi to increase transaction
    要求額 3,333,000 ADA / 賛成 15.33%(32票)・反対 84.67%(65票)・棄権 19票

同じくエポック647を期限とする情報提案「Net Change Limit: Cardano Treasury (Epochs 613-713)」も、賛成 46.04%・反対 53.96% で賛成が下回っています。こちらは資金の引き出しそのものではなく、一定期間に国庫から出る純額の上限をどう置くかという枠組みの提案です。

数値はオンチェーンの集計から取得した、エポック646時点の値です。投票は期限まで受け付けられるため、この先も動きます。個々の提案の最新状況は、それぞれの提案ページで確認できます。

■ 票の「数」と「力」が逆を向くとき

Bifrost をご覧ください。賛成79票に対して反対は27票です。頭数では賛成が3倍近くいます。それでも賛成は 26.95% にしかなりません。

DRep の議決権は、その DRep に預けられた ADA の量で決まります。頭数ではありません。つまり、少数の大口 DRep が反対に回れば、賛成した DRep がどれだけ多くても比率は動かないという構造になっています。Scalus も同じで、賛成56票・反対38票と頭数では賛成が上回っていますが、重みで見ると 27.66% です。

この形は PRIME でも続いています。同じ時点で賛成92票・反対35票、しかし重みでは賛成 36.46%・反対 63.54% です。PRIME の期限はエポック649で、今回の3件より後になります。

国庫引き出しに必要な DRep の賛成比率は、プロトコルパラメータで 67% と定められています。今回の3件は、いずれもその水準からかなり離れた位置にあります。

■ 決めているのは DRep と憲法委員会です

国庫引き出しの可否は、DRep と憲法委員会の承認で決まります。SPO の投票は要件に入っていません。プロトコルパラメータを見ても、国庫引き出しに対応する SPO 側の閾値は設定されていません。実際、今回の3件はいずれも SPO の投票が0票です。

憲法委員会の側は、Bifrost と Scalus に賛成3票が入っていて反対は0票、Global Order Book には賛成2票・反対1票が入っています。委員会は提案が憲法に反していないかを見る立場で、資金の妥当性そのものを判断する場ではありません。今回の3件が止まるとすれば、それは委員会ではなく DRep の重みによって止まる、という形になります。

投票の要件は、提案の種類ごとに違います。ハードフォークや無信任動議には SPO 側の閾値がありますが、国庫引き出しにはありません。この種の提案では、SPO ではなく DRep としての判断が問われます。

■ Bifrost が問いかけている設計

3件のうち Bifrost は、7月に起きたブリッジの事案と論点が重なります。

提案元の FluidTokens は7月30日の投稿で、Bifrost について「単一障害点に依存せずにビットコインの流動性をカルダノへ持ち込む」ものであり、「ビットコインの保管はカルダノの SPO が交代で担う。単一の運用者がブリッジを支配することはない」と説明しています。同じ投稿で「Bifrost への投票まで残り3日」とも告知していました。

Bifrost brings Bitcoin liquidity to Cardano without relying on a single point of failure. Bitcoin custody is secured by a rotating group of Cardano SPOs. No single operator controls the bridge.
— FluidTokens(2026年7月30日)

7月20日に起きたのは、カルダノのコア部分ではなく第三者ブリッジの境界が破られた事案でした。単一の運用者にビットコインの保管を預けない設計への資金拠出が、その記憶が新しいうちに票にかけられ、現時点では否決の側に傾いている——という並びになっています。

ただし、この設計の説明は提案者自身によるものです。実装が説明どおりかどうかは、資金が付いた後に検証される部分が残ります。反対が多いこと自体は、その慎重さの表れとも読めます。賛否のどちらが正しいかを、この時点の集計だけで決めることはできません。

■ 次に見るもの

まず、残された期間で大口 DRep の投票が動くかどうかです。頭数がすでに賛成へ傾いている提案でも、重みが動かなければ結果は変わりません。逆に、大口が一つ賛成へ動けば比率は大きく跳ねます。

もう一つは、否決になった場合に理由が残るかどうかです。投票先を結果が出る前に公開する動きは、7月にカルダノ財団が示したばかりです。可決・否決そのものより、なぜその判断になったのかが公開の場に残るかどうかが、次の提案の質を左右します。国庫の議論は、通ったか落ちたかだけでは積み上がりません。


一次ソース

  • Bifrost: Unlocking Bitcoin DeFi on Cardano — Road to Mainnet (Phase 1 of 2)(提案ページ・投票状況)
    https://gov.tools/governance_actions/gov_action1mlvplrdk2t7eyclqeca77ppmfq3sghkr5hdppjqhdqdd573r7q6qqms7jwt
  • Scalus 2026: Maintenance, Dijkstra Readiness, Interoperability & Application Runtime(提案ページ・投票状況)
    https://gov.tools/governance_actions/gov_action1xg69v73lfzkwyhhuz583x6geyc2ewn3r96sxuqj3wqvrrk0yfpksqqa63yc
  • Global Order Book connect Cardano DeFi to increase transaction(提案ページ・投票状況)
    https://gov.tools/governance_actions/gov_action1cpnqmlgpkz3dnwnm4spqzsmsp93y9mr4vqcm2ltcpqyyf7a7nszsq4h586r
  • Net Change Limit: Cardano Treasury (Epochs 613-713)(情報提案ページ)
    https://gov.tools/governance_actions/gov_action15atytcy8ru7mkcs8m7r8mx7k5x36t0h6grtgmak6v5wmf4nq07lsqhakceq
  • Withdraw 120,000,000 ada for AlphaGrowth’s Cardano PRIME(提案ページ・投票状況)
    https://gov.tools/governance_actions/gov_action122wue2k65qq8gmpz795z2axt8apka6ay6xt3pwg8jxj5yfkujmtsqvlfpu7
  • FluidTokens — Bifrost の設計と投票期限の告知(2026年7月30日)
    https://x.com/FluidTokens/status/2082832032145502646

この件の経緯

  • 1 億 2,000 万 ADA の是非——PRIME 投票で、賛成の数と反対の力が逆を向いています
    https://sipo.tokyo/signal-20260726-3dc74824/
  • 1 億 2,000 万 ADA の PRIME——賛成が先行、8 月 13 日までに可決ラインへ届くか
    https://sipo.tokyo/post-47110/