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インデクサを建てずに Midnight のデータを引ける Explorer API

2026-09-18SIPO

Midnight のチェーンデータをそのまま問い合わせられる API サービスを、ブロックエクスプローラの Midnight Explorer が公開しています。ブロック、トランザクション、アドレス、スマートコントラクト、ネットワーク統計を、メインネットと Preprod、Preview の 3 つのネットワークすべてに対して、ホストされた形で引ける、というものです。

Midnight の公式アカウントが 9 月 17 日にこれを改めて紹介したことで目に触れた方も多いと思いますが、公開そのものは 8 月です。何が使えて、どこはまだ自分で確かめる必要があるのかを整理しておきます。初期報は こちらの記事で扱いました。

■ 告知は 8 月 1 日、公式アカウントの紹介は 9 月 17 日

時系列を先に置きます。Midnight Explorer の公式 X が API サービスの公開を告知したのが 8 月 1 日、同じ内容が Midnight Network の公式フォーラムに掲載されたのが 8 月 3 日です。そして 9 月 17 日、Midnight Network の公式アカウントが「ICYMI(見逃していたら)」と添えて改めて紹介しました。

告知の書き出しはこうです。

We’re excited to announce the official launch of the Midnight Explorer API Service – making blockchain data on the Midnight Network easier than ever to access and integrate.
(Midnight Explorer API サービスの正式公開をお知らせします。Midnight Network 上のブロックチェーンデータへのアクセスと組み込みを、これまでより容易にするものです)

想定している作り手として挙げられているのは、ウォレット、dApp、分析プラットフォーム、ダッシュボード、企業向けソリューションです。基盤については「自前で運用するインデックス基盤の上に構築されている」と書かれており、性能面の説明として、高速な応答、99.9% のサービス稼働率、本番運用に耐える拡張性、組み込みやすさの 4 点が並んでいます。稼働率の 99.9% は告知に書かれた数字で、実績値として第三者が測ったものではありません。

■ インデクサを自分で建てる、という手前の作業

今回の告知が開発者に向けて言っているのは、突き詰めると 1 点です。Midnight で何かを作り始めるときに、まずインデクサを建てなくてよくなった、ということです。

チェーンに記録されたデータは、ブロックを時間順に並べた形で保存されています。この形のままでは「このアドレスに関わる履歴を新しい順に出す」「このコントラクトの呼び出しを数える」といった問い合わせに答えられません。そこで、ブロックを頭から走査して検索しやすい形に並べ直すサーバーを用意することになります。これがインデクサです。

作る側から見ると、これは本題の手前にある作業です。ウォレットの画面を作りたい、分析ダッシュボードを出したいと思っても、その前にインデクサを書き、動かし続け、チェーンが伸びるのに合わせて面倒を見る必要があります。しかも一度動かし始めたら、本題と同じだけ運用が続きます。ホストされた API は、この部分を外に預ける選択肢です。

同じ話は Cardano 側でも 9 月 16 日にありました。Maestro が自社のインデクサを Apache-2.0 で公開し、自分で建てたい人が中身ごと持っていける形になっています(9 月 16 日の記事)。自分で建てる道と、借りる道。作り手が選べる幅が、Cardano と Midnight の両方で同じ時期に広がった形です。

■ ポータルに書いてあること、書いていないこと

実際に使うには、API 管理ポータルで登録して鍵を発行します。ポータルの案内から読み取れるのは、次のあたりです。

  • API キーは作成した時点ですぐ有効になる、と明記されています。
  • 鍵の生成・ローテーション・監視と、細かい権限設定がダッシュボードにまとまっています。
  • 利用状況とレート制限の消費具合を、ダッシュボードから追えるとされています。
  • セキュリティ面として、エンドツーエンドの暗号化、IP ホワイトリスト、JWT 認証、監査ログが挙げられています。
  • 支払いは月額と年額があり、年額を選ぶと 17% 引きと書かれています。

一方で、ポータルのトップページに出ていないものもあります。料金の金額そのものは表示されておらず、料金表を開くか登録に進む導線になっています。「無料で始める」ボタンは置かれていますが、無料で何回呼べるのかという枠の中身は、ここには書かれていません。レート制限についても「ダッシュボードで監視できる」と書かれているだけで、具体的な上限値は出ていません。組み込みを検討する段階で、まず確かめることになるのはこの 2 点です。

提供元についても触れておきます。ポータルのフッターには「Official Midnight Network partner」と「Powered by TexLabs」の表記があり、フォーラムに公開を投稿したのは minh.tex というアカウントでした。Midnight Network 本体が運営するサービスではなく、パートナーとして掲げられた第三者の提供である、という位置づけになります。

加えて、告知は「これで終わりではない」とも書いています。エンドポイントは今後追加予定とされ、API に加えて SDK や開発者向けツールも準備中だと締められています。いま引けるのはブロック、トランザクション、アドレス、スマートコントラクト、ネットワーク統計までです。

Midnight は、NIGHT を受け取って持つ段階から、実際に何かを作って動かす段階へ移りつつあります。その移り目でつまずきやすいのは、秘匿計算そのものよりも手前にある「データを読む」の部分でした。そこを外に預けられる選択肢が出て、公式アカウントが 1 か月半あとに改めてそれを指したのは、作り手を呼び込む場所がいまそこにある、という判断でもあります。あとは、無料枠と上限がどこに引かれているか。使い始める前に見るべきなのは、性能の数字よりもそちらです。

■ ことば

  • インデクサ — チェーンのデータを頭から読み、検索しやすい形に並べ直して保持するサーバーです。アドレスの履歴やコントラクトの呼び出しを引くには必ず要るもので、今回の API はここを肩代わりする位置にあります。
  • Preprod / Preview — 本番とは別に用意された試験用のネットワークです。Preprod は本番に近い設定で最終確認に、Preview は先行する変更を試すために使われ、今回の API はメインネットと合わせてこの 3 つに対応しています。
  • JWT 認証 — 署名付きの短い文字列を使って、呼び出し元が正当かどうかを確かめる方式です。呼ぶたびに ID とパスワードを送らずに済むため、サーバー間で API を叩く場面で広く使われています。

一次ソース / 関連リンク