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Intersect Weekly #122 と Midnight 週間ダイジェストが同じ朝に出ました——Dijkstra 期の計画と、憲法改正ポータルのアルファ公開

2026-08-01SIPO

日本時間 8 月 1 日の朝、9 分違いで二つの週次まとめが公開されました。Intersect の Weekly update #122 と、Midnight Japan の週間ダイジェスト(7 月 25 日〜31 日)です。片方は Cardano 本体の次の期の計画と憲法改正の入口を、もう片方は Midnight 側の規制対話とコミュニティの動きをまとめています。

週次のまとめは、それ自体が事件ではありません。ただ、その週に何が終わり、何が次の段階へ渡ったのかが一覧になります。単発の発表を順に追っているだけでは、手続きが実際にどこまで進んだのかは見えにくいものです。7 月 18 日に van Rossem が発効して以降、Cardano の変更はオンチェーンの手続きに乗る形が定着しました。そうなると、注目すべきは発表の華やかさよりも、どの案件がどの段階で止まっていて、いつ次の判断があるのかという記録のほうになります。

以下では、この二本の内容のうち、まだ個別に扱っていない部分を中心に整理します。

■ Dijkstra 期へ移る作業と、次のハードフォークの名前

van Rossem のアップグレードが完了したことを受けて、Hard Fork Working Group は焦点を Dijkstra 期へ移しました。初期のロールアウトは Nested Transactions、Linear Leios、Peras の三段階で構成され、このうち最初の二つ、Nested Transactions と Linear Leios について、Haskell ノードのチームは 2026 年末までのメインネット投入を目標としています。

作業の体制も変わります。van Rossem のロールアウトが一段落したことで、Hard Fork Working Group の会合は週 2 回から週 1 回の頻度へ移行します。会合の回数が減るのは活動の縮小ではなく、緊急に調整すべき事項が減った局面の反映です。

名称についても現時点の意向が示されました。次のハードフォークは Alexander Esgen 氏にちなんだ名前とし、In Memoriam(追悼)の節を設けるとされています。プロトコルの版に人の名前を残すという慣行が、この期でも続くことになります。

■ minPoolCost 170 から 75 へ——オンチェーンに乗った可決要件

Technical Steering Committee の承認を経て、Parameter Committee を代理する形で提出されたパラメータ変更のアクションについては、7 月 31 日に速報でお伝えしました。Weekly update #122 では、その中身が数値つきで整理されています。

一つは minPoolCost を現在の 170 ada から 75 ada へ引き下げること。もう一つは、計画されていた Plutus スクリプトのメモリ上限の累積 25% 増を完了させることで、具体的には maxTxExecutionUnits[memory] を 1,750 万ユニットへ、maxBlockExecutionUnits[memory] を 7,750 万ユニットへ引き上げます。前者は各プールの固定費の下限に、後者はオンチェーンで動かせる処理の重さに、それぞれ直接効きます。

可決の要件は、DRep 側で有効投票権の 67%、SPO 側で 51% です。分母の取り方が両者で異なるわけではありませんが、SPO が判断を求められるパラメータ変更という点で、プール運営者にとっては当事者性の高い案件になります。

8 月 1 日 14 時 22 分(日本時間)の時点では、DRep 側の賛成は 1.4%(11 票)でした。これは未投票を分母に含み棄権を除外する可決基準での数字で、閾値の 67% にはまだ遠い位置にあります。投票済みの反対は 0.0%(0 票)、AlwaysNoConfidence が 3.3%、未投票が 95.3% です。提出からまだ日が浅く、票の大半がこれから入る段階だと読むのが素直だと思います。期限はエポック 653 です。

■ 憲法改正の入口と、検証が並んだ一週間

Weekly update #122 でもう一つ目を引くのは、Constitutional Amendment Portal(CAP Portal)のアルファ公開です。cap.intersectmbo.org で、憲法を条文ごとに通して読めるほか、改正提案(CAP)を出すことができます。変更したい箇所を正確に指定し、その文言を置き換えるのか、後ろに新しい文を足すのかを選び、理由を添える形です。文言の変更までは求めないけれども問題や曖昧さを指摘したい、という場合には issue(CIS)として提起できます。サインインは CIP-30 対応ウォレットで行い、アカウントの作成は不要とされています。

憲法は van Rossem 以降の手続きの土台にあたる文書です。その改正の議論が専用の場所を持つと、どの条文について誰が何を問題にしているのかが、後から追える形で残ります。アルファ段階なので、まずは触って意見を返してほしい、という案内になっています。

同じ週には、検証にまつわる区切りがいくつか並びました。憲法委員会選挙 2026 の監査済み結果はすでにお伝えしたとおり、4 名がオンチェーンのアクションへ進みます。Intersect の Bylaws 改定案の投票は 7 月 31 日 12 時(UTC)に締め切られ、個人会員 47 名が投票しました。結果は DQuadrant による独立監査を経て、8 月 3 日(月)12 時(UTC)に公表される予定です。

技術側では、Eryx の ZK Bridge プロジェクトが Milestone 6「ZK 証明を検証するブリッジのスマートコントラクト(Aiken)」を完了し、プロジェクト全体が終了しました。Cardano から同型のチェーンへ向けたゼロ知識ブリッジの実証で、コントラクトはすべて Aiken で書かれ、Cardano 上に取引が存在することの証明は Mithril を使って取得しています。最大の難所は、Halo2 の証明を Cardano の実行ユニット・メモリ・トランザクションサイズの制限内で検証しきることでした。研究の内容、技術的な判断、限界とトレードオフはいずれも文書として残され、コードは公開されています。

あわせて、エンタープライズ会員の Tweag が、5 年分の Cardano スマートコントラクト監査を振り返る記事を公開しました。2021 年以降の監査手法とツールの変化、Cardano 側の言語と機能の変化、20 件を超える監査から見えた繰り返し現れる指摘が扱われています。Dijkstra 期を前に、契約の安全性をどう見るかという視点からの整理です。

■ Midnight の一週間——期限、規制対話、コミュニティ

Midnight Japan の週間ダイジェストは、7 月 25 日から 31 日までの 4 件を日本語でまとめています。

7 月 31 日の項目は、Wanchain のホワイトハット回収提案への支持です。7 月 20 日に発生した Wanchain の Cardano–BNB ブリッジの事案について、Wanchain がオンチェーンで示した回収提案を Midnight Foundation が支持すると発表しました。8 月 1 日の Daily Intel で扱ったとおり、この提案には 8 月 6 日という期限が入っています。

7 月 29 日の FinCEN・OFAC への提言についても、その背景が改めて紹介されました。7 月 30 日の Daily Intel で主役として扱った内容と重なりますが、ダイジェストでは「コンプライアンスはアーキテクチャではなく成果で測るべき」という原則が軸として示され、選択的開示や暗号学的な執行の有効性を主張したものと整理されています。

残る 2 件は、これまで個別には扱っていない動きです。7 月 30 日には「Midnight is global」と題した投稿が公開され、ブラジル、日本、オーストラリア、ベトナム、アメリカ、韓国など各地のコミュニティが紹介されました。地域ごとのグループへの参加が呼びかけられ、Nightforce を通じた「One team, one dream」という表現が使われています。7 月 29 日には開発者向けの週次ライブストリーム Fireside Dev Hang が開催され、Midnight 上でルーレットゲームを構築するための新しいチュートリアル「Chips」と、ハッカソン優勝チームによる AI エージェント向けプロジェクト「Latch」が紹介されました。

規制当局への提言と、地域コミュニティの呼びかけと、開発者向けのチュートリアルが同じ一週間に並ぶ。層の違うものが同時に動いているという意味では、これも一つの状態の記録だと思います。

■ 次に日付が入っている予定

この二本から、日付の決まっている予定がいくつか拾えます。8 月 3 日 12 時(UTC)に Intersect の Bylaws 投票の監査結果が公表されます。8 月 5 日 16 時(UTC・日本時間では 8 月 6 日 1 時)には DRep Monthly Call #2 が予定されています。minPoolCost と Plutus メモリのパラメータ変更は、エポック 653 を期限として投票が続きます。Wanchain の回収提案の期限は 8 月 6 日です。

週次のまとめが伝えているのは、結論ではなく現在地です。van Rossem で手続きの器ができ、Dijkstra 期の計画が立ち、憲法の改正にも入口ができました。決めるべきことが器の中に増えていく段階に入ったのだと受け止めています。


一次ソース / 関連リンク