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DRep Council、ガバナンス提案の共通基準づくりに着手

2026-10-10SIPO #DRep

Cardano の現役 DRep (委任代表者) が集まる調整組織 DRep Council は、最初の具体的な成果物として「Governance Proposal Standards (ガバナンス提案の基準)」づくりに取り組んでいると、日本時間 10 月 7 日に公式 X で明らかにしました。過去の DRep の投票理由をもとに、提案者に求める要件と、DRep がオンチェーンの議案を評価するための共通の枠組みをまとめる作業で、10 月 10 日には Cardano PRIME もこの動きを紹介しています。

国庫からの引き出しを求める提案は、金額も書式もばらばらのまま DRep の判断に委ねられてきました。審査する側が自分たちで物差しをそろえようとしている点が、今回の動きの中身です。基準の文書はまだ公開されていませんが、DRep Council の暫定憲章には、基準が何を含み、どういう手順で正式なものになるかが書かれています。わかっていることと、これから確かめることを分けて整理します。

「5 万 ADA の提案が 500 万 ADA より厳しく見られるべきではない」

DRep Council は 10 月 6 日 (協定世界時) の会合でこの基準を議論し、その内容を 3 本の投稿で伝えました。1 本目は、過去の DRep の投票理由から得た経験を使って、提案者への明確な要件と、DRep が議案を評価する共通の枠組みをつくると説明しています。

2 本目は、問題意識を一文で示しています。

A 50k ADA proposal should not face more scrutiny than a 5M ADA on-chain treasury withdrawal. We need clearer, more consistent expectations.

小さな提案のほうが大きな引き出しより厳しく問われることがある、という不均衡を問題にし、基本の考え方を「求める金額が大きいほど、審査を厳しくする」と置いています。あわせて、のちに Intersect と Catalyst のチームとも連携し、資金の出どころが違っても基準がそろうようにしたい、という方針も示しました。Cardano PRIME の紹介投稿も、この Intersect・Catalyst との整合に触れています。

いま投票が進んでいる議案にも、この問いはそのまま当てはまります。Intersect が管理者となる OpenZeppelin Stack 向けの 1,178 万 7,063 ADA の引き出し案は、日本時間 10 月 12 日朝に投票の受付を終えます。こうした規模の提案を何を基準に読むかが、DRep ごとに違っているのが現状です。

DRep Council はどういう組織か

DRep Council は 2026 年 6 月 2 日、「DRep DAO」という名前で活動を始めました。最初の投稿で、オンチェーンのガバナンスや Intersect、個々の DRep の判断に取って代わるものではなく、現役の DRep が意見を比べ、成果物をつくり、ガバナンスの質を上げるための場だと説明しています。その後、名前を DRep Council に改めています。

9 月 22 日の投稿によると、参加しているのは 14 の DRep で、委任されている投票力は合わせて約 1 億 7,500 万 ADA です。暫定憲章 v0.2 は 9 月 29 日に内部投票で承認されました。有資格者 14 のうち 10 が投票し、賛成は 77.56% で、承認の基準 67% を上回っています。

憲章は、DRep Council が「やらないこと」もはっきり書いています。資金を配分する組織ではなく、オンチェーンのガバナンスや Intersect の代わりでもなく、個々の DRep の投票を縛るものでもありません。内部の議決は、オンチェーンの投票力の常用対数 (log₁₀) を重みにする方式で、大口の DRep の影響が強くなりすぎないようにしています。

運営を担う暫定理事会の選挙は、10 月 9 日 21 時 (協定世界時) に投票を締め切り、承認されました。14 のうち 9 が投票し、賛成は 73.18% でした。理事会は日本時間 10 月 10 日の昼に就任しています。基準づくりは、この新しい体制のもとで進むことになります。

憲章が予告する「必須テンプレート」の中身

「Governance Proposal Standards」という名前の文書は、まだ公開されていません。ただ、暫定憲章は最初の優先課題の 2 番目に、国庫引き出し提案の「必須テンプレート」を挙げており、一定額を超える提案には必須、それより小さい提案にも推奨する、と書いています。含めるべき項目として並んでいるのは次のとおりです。

  • 解決したい問題と、求める金額
  • マイルストーンと予算の内訳
  • チームと実績
  • KPI と報告の約束
  • リスクと、利害関係の開示
  • AI でも読み取れる評価の形式

今回の基準が、このテンプレートと同じものなのか、それを含むより広い枠組みなのかは、公開されている投稿からは読み切れません。とはいえ、議論の出発点が過去の投票理由に置かれていることは確かです。DRep が実際にどこで賛否を分けてきたかを書き出し、提案を出す前の段階で提案者にも見えるようにする、という方向です。

DRep として投票する立場から見ると、これは提案の読み方そのものに関わります。共通の項目がそろえば、提案ごとに確認点を一から組み立てる手間が減り、提案者の側も何を書けば審査に耐えるのかを事前に知ることができます。一方で、憲章へのコメントでは、民間の DRep 集団が出す「必須」の要件が、オンチェーンの権限はなくても事実上の義務として受け取られかねないという懸念も出ていました。憲章 v0.2 はこれを受けて、正式な成果物の前に公開のコメント期間を置く手順を加えています。

正式な基準になるまでの手順

暫定憲章によると、DRep Council の成果物が正式な立場になるには、決まった手順を踏みます。メンバーが調べて草案をつくり、Intersect や Cardano 財団、提案者、技術の専門家などと協議し、利害関係を開示したうえで、仕上げた草案を最低 7 日間の公開コメントにかけます。そのあとメンバーの投票で承認され、少数意見があれば結果とともに公開されます。公式の勧告と憲章の改正には、参加メンバーの 67% の賛成が必要です。

憲章の 2026 年の工程表は、9〜10 月を「最初の成果物」の時期とし、国庫引き出しテンプレートの草案をつくって公開する、と書いています。暫定憲章の有効期限は 2026 年 12 月 31 日で、12 月には正式な憲章 v1 を投票にかける予定です。この期間に承認された基準も、新しい理事会のもとで見直されることになっています。

次に確かめること

最初に見るべきは、DRep Council の公式サイト drepcouncil.org に基準の草案が掲載され、7 日間の公開コメントが始まるかどうかです。工程表どおりなら、10 月中に国庫引き出しテンプレートの草案が出ます。コメント期間は DRep Council のメンバー以外にも開かれる設計で、提案を出す側の意見を反映する機会にもなります。

もう一つは、Intersect と Catalyst との整合が具体的な形になるかです。DRep Council の投稿は、これを「のちに」取り組む課題としています。資金の窓口ごとに求められる書式がそろうかどうかは、提案者にとって最も実務的な変化になるはずです。

ことば

  • DRep — Cardano のオンチェーンガバナンスで、ADA 保有者から投票力の委任を受けて議案に投票する代表者。国庫からの引き出しやパラメータ変更の可否を、委任された投票力で決めます。
  • 国庫引き出し (Treasury Withdrawal) — Cardano の国庫に積み立てられた ADA を、開発や事業の資金として支出するためのガバナンスアクション。DRep と憲法委員会の承認が必要で、金額が大きいほど判断の材料が問われます。
  • Cardano PRIME — Cardano の DeFi で新たに 2 億ドルの預かり資産を生むことを目標にしたプログラム。Alpha Growth が運営しています。DRep Council の憲章は、KPI の基準づくりの最初の例として PRIME を挙げています。

一次ソース / 関連リンク

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