このページでは、Cardano憲法の改正を議論する場「CAP Portal」で、SIPO DRepがどの提案をどう見て、何を発言し、どんな反応があったかを、提案ごとにまとめています。議論の進み具合に合わせて更新していきます。
最終更新: 2026年9月26日(日付は日本時間)
CAP Portalとは、なぜSIPOが参加するのか
CAP Portalは、Intersectが運営する、Cardano憲法の改正案(CAP)と、その前段となる問題提起(CIS)をオフチェーンで議論する場です。提案者はコメントを受けて改訂を重ね、議論がまとまったものが、やがてオンチェーンのガバナンスアクションとして投票にかけられます。
オンチェーンの投票では、文面はすでに固まっていて、選べるのは賛成・反対・棄権だけです。条文を良くできるのは、その手前の議論の段階です。SIPOはDRepとして、問題を早く見つけ、具体的な改善を提案し、Cardanoの持続的な成功につながる、シンプルで公正な仕組みづくりに貢献するために参加しています。
SIPOはDRepであると同時に、3つのステークプールを運営するSPOでもあります。ステークプールの運営に関わる提案では、その立場を明示したうえで発言します。また、CAP Portalでの発言や暫定見解は、議論への参加です。将来のオンチェーンの投票での賛否は、その時点の提案内容をもとに改めて判断します。
SIPOが議論で大切にしている考え方は、CAP Portalの5つの議論をまとめた記事の「5件を通じて見えるSIPOの基本姿勢」で詳しく紹介しています。
提案ごとの現在地
| 提案 | SIPOの暫定見解 | SIPOのコメント |
|---|---|---|
| CAP-1 マイルストーン連動の支払い | 方向性を支持 | 9月14日 |
| CAP-2 監査費用要件の削除 | 現行文面には不支持寄り | 9月14日 |
| CAP-3 NCLを戦略的支出計画へ | まず深いレビューが必要 | 9月14日・16日 |
| CIS-4 憲法改正の「抱き合わせ」 | 問題提起を支持 | 9月14日 |
| CAP-9 文書保存の要件をハッシュ照合へ | 追加説明が必要 | 9月14日 |
| CAP-10 SPO経済パラメータへのSPO承認 | まず深いレビューが必要 | 9月26日 |
| CIS-11 役割の重複の開示手続 | 問題提起を支持 | まだなし |
CAP-1――トレジャリー支出をマイルストーンに連動させる
トレジャリー資金の支払いを、達成度を測れるマイルストーンと、その達成を認める基準に連動させる提案です。
SIPOのコメント(9月14日): 方向性を支持したうえで、誠実に取り組む事業者を萎縮させないよう、規模に応じた要件、合意した基準による公正で迅速な判定、適時の支払いをどう確保するかを尋ねました。あわせて、マイルストーンの受入と資金使途の独立監査の役割分担、担い手の独立性、異議申立てと是正、支払いの再開、公開で検証できる証拠の基準を質問しました。
反応: 9月26日時点で、提案者からの返信や提案の改訂はまだありません。
CAP-2――独立監査・監督指標の費用要件を削除する
トレジャリーからの資金引出し提案に、独立監査と監督指標の費用を含めるよう求める現行の要件を削除する提案です。
SIPOのコメント(9月14日): 監査要件があいまいだと過剰な手続や解釈のばらつきを生むという懸念は理解しつつ、同等の代わりの仕組みを示さずに独立監査の資金確保の要件を削除する現行文面には不支持寄りだと伝えました。そのうえで、権限濫用とされる具体的な判断の根拠、削除後に誰がどの財源で監査を担うのか、全面削除が規模やリスクに応じたルールより優れる理由、CAP-1と組み合わせた条文案を質問しました。
反応: 9月26日時点で、提案者からの返信や提案の改訂はまだありません。
CAP-3――NCLを戦略的支出計画へ発展させる
Net Change Limit(NCL)に、大きな分野ごとの予算配分を加え、戦略的な支出計画へ広げる提案です。9月25日に第3版が公開されています。
SIPOのコメント(9月14日・16日): 上限・予定総額・分野別配分・個別の資金引出しを区別すること、分野別配分を拘束的な上限にするか目安にするか、67%という承認基準や変更禁止期間の根拠、中核の仕組みと数値の保護措置を切り分けて評価できる構成、分野の判定と検証、計画の期間の切れ目の扱いなどを質問しました。
反応: 提案者は9月14日にSIPOのコメントへ返信し、9月16日の第2版で、分野別配分を拘束的な上限と明記し、中核の仕組みと保護措置を分けて評価できるよう説明を加えました。9月25日の第3版では、他の参加者の指摘を受けて変更禁止期間が削除されました。分野の判定や分類への異議の扱いについては、提案者が他の参加者への返信で検討中としています。SIPOが9月16日に質問した、計画の期間の切れ目の扱いや分野ごとの残りの枠の確認方法については、9月26日時点でまだ回答がありません。詳しい現状は5つの議論の記事のCAP-3の節(9月26日更新)をご覧ください。
CIS-4――憲法改正の「抱き合わせ」問題
一つの憲法改正案に独立した複数の変更をまとめることで、投票者が「一部には賛成、一部には反対」という意思を表せなくなる問題を扱う問題提起です。
SIPOのコメント(9月14日): 特定の解決策ではなく問題提起として支持したうえで、一つの改正案が一つの目的に絞られているか、変更同士が本当に切り離せないか、それぞれを単独で取り消せるか、組み合わせた影響を開示しているか、という4つの問いを議論のたたき台として示しました。
反応: 9月26日時点で、提案者からの返信や提案の改訂はまだありません。
CAP-9――文書の変更不能な保存を求める要件をハッシュ照合へ置き換える
ガバナンスアクションの参照文書を変更できない保存先に置く要件を削除し、オンチェーンに記録されたハッシュ値と一致する文書を最終版として扱う提案です。
SIPOのコメント(9月14日): 保存技術を固定せず、必要な性質を定める方向に価値があるとしつつ、ハッシュ値の照合は同一性を確かめられても将来の入手可能性までは保証しないと指摘しました。そのうえで、オンチェーンの内容と最終版の同一性の要件を削除する意図、ハッシュの計算方法と共通の検証ツール、文書を取得できない場合の扱いと保管の義務を質問しました。
反応: 9月26日時点で、提案者からの返信や提案の改訂はまだありません。
CAP-10――ステークプールの経済パラメータの変更にSPOの承認を求める
minPoolCost、poolPledgeInfluence、stakePoolTargetNumなど、ステークプール運営の経済条件に直接かつ重大に影響するパラメータの変更に、DRepの承認に加えて、SPOの承認(全アクティブ・ブロック生成ステークの50%超)を求める提案です。
SIPOのコメント(9月26日): SIPOが3つのステークプールを運営するSPOでもあり、直接の利害があることを明示したうえで、SPOの承認権を広げることが適切な解決策だと前提にせずに、移行期の扱い(台帳が新しい投票基準に対応した時点で要件を発効させる案)、改正後の条文での定義の配置、未投票の扱いと、必須の二重承認が諮問や協議より優れる理由を質問しました。
反応: 9月26日時点で、提案者からの返信や提案の改訂はまだありません。
CIS-11――役割の重複を開示する手続がない
憲法は、DRep・SPO・憲法委員会のうち複数の役割を持つ人に、オンチェーンのガバナンスに参加する前に重複を公に開示するよう求めています。しかし、何を、どこで、どう開示すれば十分かが定められていない、という問題提起です。
SIPOの暫定見解: 開示の実務が定まっていないという問題の存在を支持します。解決策については、今後の議論を見て判断します。SIPO自身もDRepとSPOを兼ねており、この開示義務の当事者です。SIPOはDRepの登録情報で、3つのステークプールを運営していることを公開しています。
反応: SIPOはまだコメントしていません。
更新履歴
- 2026年9月26日: このページを公開。CAP-10に初めてコメント。5つの議論の記事のCAP-3の節を第3版に合わせて更新
- 2026年9月25日: CAP-3の第3版が公開
- 2026年9月16日: CAP-3に追加の質問を投稿。同日、CAP-3の第2版が公開
- 2026年9月14日: CAP-1、CAP-2、CAP-3、CIS-4、CAP-9にコメントを投稿。同日、CAP-3の提案者がSIPOのコメントに返信
- 2026年9月13日: CAP Portalの5つの議論とSIPOの暫定見解をまとめた記事を公開
注記: CAP / CISへのコメントや暫定見解は、オンチェーンのガバナンスアクションへの投票でも、最終的な投票理由でもありません。提案の内容は各日付時点のCAP Portalの公開情報に基づきます。