LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
速報 Constitutional Committee更新ガバナンス提案、投票残り4日間 21時間前 速報一覧 →
HOMESignal › レビュアー承認済みのマイルストーンが、1 か月以上サインオフを待っています——Bifrost の M4 と、Catalyst 移管期の資金運用
Signal

レビュアー承認済みのマイルストーンが、1 か月以上サインオフを待っています——Bifrost の M4 と、Catalyst 移管期の資金運用

2026-08-29SIPO

Bitcoin と Cardano をつなぐブリッジ Bifrost を開発する FluidTokens が 8 月 28 日、Catalyst のマイルストーン M4 について、7 月 28 日に提出してレビュアーの承認はすでに得ているものの、1 か月以上たった今も Catalyst 側の最終的なサインオフを待っている状態だと公表しました。投稿の言葉を借りれば「we’re still waiting for the final Catalyst sign-off」で、自分たちの側の準備は整っている、と続けています。

SIPO は助成プログラムを「いくら配分されたか」ではなく「資金がどの段で止まるか」で読んでいます。開発が終わっていても支払いが動かない区間があるとすれば、それは提案の採否ではなく運用の設計に属する話です。しかも Catalyst はいま、運営主体そのものが移り変わる途中にあります。

片側の申告だけで結論を出すことはできませんので、公開されている一次情報を並べて、手続きのどこに一段あるのかを確認します。

■ 提出から 1 か月、待っているのは最後の一段です

Catalyst の提案ページによれば、このプロジェクトは Fund 14 の「Bifrost: Bitcoin-Cardano bridge secured by Cardano SPOs」、プロジェクト ID は #1400012 です。チームは FluidTokens(Matteo Coppola 氏、Raul Rosa Padilla 氏)、ZkFold(Vladimir Sinyakov 氏)、Lantr(Alex Nemish 氏、Oleksii Khodakivskyi 氏)の連名になっています。

マイルストーンは全 6 本で、提案ページの表記は「3 out of 6 milestones are completed」です。今回話題になっている M4 は次のとおりです。

  • タイトル: Minimal Loveable Version
  • 金額: 138,200 ADA
  • Delivery Month: Month 7 – Jun 2026
  • ステータス: In Progress

並べ直すと、提案書に申告した提出予定月は 2026 年 6 月、実際の提出は 7 月 28 日、レビュアーの承認はその後に得られ、8 月 28 日の時点でまだ完了扱いになっていない、という順序になります。提案ページ側のステータスも In Progress のままです。

■ Catalyst の手続きでは、レビュアーの承認は終点ではありません

ここが今回の要点です。Catalyst のドキュメントを読むと、レビュアーの承認と資金の解放のあいだには、もう一段はさまっています。

現行ファンドの手引きには、少なくとも 2 名の Milestone Reviewer が割り当てられること、そしてレビュアーの合意が形成されたあとに「the Catalyst team will provide their final review and approval」と書かれています。役割のドキュメントではさらに明確で、最終承認を出せるのは Catalyst Team のサインオフ権限を持つ利用者だけとされ、Milestone Reviewer にできるのはレビューまでと整理されています。

そしてこの最終承認が何を動かすのかも、ドキュメントに書かれています。

Approval by the Catalyst Team unlocks the Milestone Funding Amount attributed to the next Milestone.

支払いの構造も同じ手引きにあります。各マイルストーンの資金額のうち 80% は、提案時に申告した達成予定日にもとづいて月ごとに分割して支払われ、残る 20% は達成の確認後に支払われます。最終マイルストーンだけは例外で、達成後に一括で支払われる形です。

つまり「レビュアーが承認した」という状態は、手続きのうえではまだ途中です。サインオフが出ていない限り、20% の完了分も、次のマイルストーンに紐づく資金も動きません。FluidTokens が自分たちの側の準備は整っていると書いたのは、この構造を指していると読めます。

■ 公開されている数字が示す、保留されている部分

提案ページには資金の受け渡し状況も出ています。要求額 739,000 ADA に対し、Distributed が 563,560 ADA、Remaining が 175,440 ADA です。

内訳そのものは公表されていませんので断定はできませんが、公開されている数字は次の組み合わせと一致します。

  • M1〜M4 の資金額の合計 591,200 ADA の 80% = 472,960 ADA
  • 完了済みの M1〜M3 の合計 453,000 ADA の 20% = 90,600 ADA
  • 合計 563,560 ADA(提案ページの Distributed と同額)

この読み方が正しければ、M4 の 80% にあたる分割払いはすでに渡っており、サインオフを待って止まっているのは M4 の残り 20%、金額にして 27,640 ADA と、その先の M5 に紐づく資金ということになります。金額の規模としては大きくありません。ただ、止まっているのが金額の多寡ではなく手続きの側だという点が、この件の性格をよく表しています。

■ 移管の途中にあるプログラム

背景として押さえておきたいのが、Catalyst 自体の運営体制です。2026 年 2 月 24 日、Cardano Forum に告知が出ました。Catalyst を現在運営している IOG と Cardano Foundation が、Cardano Foundation が stewardship を引き継ぐ方向で作業を進めることに合意したこと、Catalyst チームのメンバーが Cardano Foundation に加わること、そして Fund15 と Fund16 を当初の形で実施することは移行期の現状では現実的ではなく、割り当てられていた ada はトレジャリーに戻されること、が示されています。

同時に、当面の優先事項として挙げられているのが Fund14 の継続です。告知には、資金が「in line with agreed milestones」で引き続き執行されるようにする、と書かれています。プログラムはこの時点で 500 を超える稼働中プロジェクトを抱え、累計では 2,200 件超に資金を配ってきたとされています。Fund14 のマイルストーン運用を回し続けることが、移行期の明示的な約束になっている構図です。今回の M4 は、まさにその約束の対象にあたります。

6 月 26 日には、Cardano Forum に新しい Catalyst Pilot Fund の告知も出ました。総額は 200 万 ada で、原資は過去のファンドで未配分だった ada です。特徴として、多段階の公開投票に代えて、簡素化した community expert curation model を用いると書かれています。配分の入口を作り直す動きと、既存の Fund14 の出口を回し続ける作業が、同じ時期に並んでいることになります。

運用側の改善も進んではいます。Milestone Module の 2025 年 11 月の更新では、レビュアーが、各マイルストーンがいつ提出され、どれだけレビューを待っているかを確認できるようになりました。ただ、ドキュメントに記載があるのはレビュー待ち時間の可視化であって、サインオフ待ちの時間についての記述は見当たりません。今回止まっているのは、その可視化の外側にあたる段です。

なお、本稿の時点で、Catalyst 側からこの件についての公開の応答は確認できていません。1 件の申告から運用全体を評価することはできませんので、ここでは手続きの構造と、公開されている数字の状態までを示すにとどめます。

■ 次に見るもの

  • Milestone Module のプロジェクト #1400012 で、M4 のステータスが完了側へ変わるかどうか
  • 提案ページの Distributed が 563,560 ADA から動くかどうか(動けば、サインオフが出た可能性が高いと読めます)
  • Catalyst 側から、この件あるいはサインオフの滞留一般について公開の説明が出るかどうか
  • Cardano Foundation への移管にともなう運用体制の告知が、Fund14 のマイルストーン処理にどう触れるか

SIPO は助成の話を、採択の瞬間ではなく資金が最後まで届くかどうかで見ています。提案が通ること、成果物が承認されること、資金が動くことは、それぞれ別の手続きです。今回はその 3 番目が、公開の形で可視化された例にあたります。


一次ソース / 関連リンク

マイルストーンの金額・ステータス・Delivery Month および配分状況は、Catalyst の Fund 14 提案ページに掲載されている値です(日本時間 2026 年 8 月 29 日取得)。配分額の内訳についての読み方は、公開されている合計値とドキュメント記載の支払い構造から突き合わせたもので、Catalyst が内訳として公表しているものではありません。