スイス・チューリッヒのオンチェーン投資プラットフォーム Eldora が 10 月 10 日、Midnight Foundation が投資家として同社を支援すると公式 X で発表しました。TOKEN2049 シンガポールの会期中に Midnight が開いた非公開のピッチの場を経ての発表で、出資額は明らかにされていません。
Eldora は米国株のトークンなどを扱うサービスで、ファミリーオフィス(富裕層の資産を管理する会社)をオンチェーンに呼び込むにはプライバシーが鍵だ、という主張を前面に出しています。データを守りながら使える仕組みを掲げる Midnight が、現実の金融資産を扱う事業者に資金を入れた形です。発表の中身と、Eldora がどんなサービスなのかを順に整理します。
発表に書かれていること
Eldora の投稿は「プライバシーは、ファミリーオフィスをオンチェーンに呼び込む鍵だ」という一文から始まります。続けて、TOKEN2049 シンガポールで Midnight が開いた非公開のピッチで、チャールズ・ホスキンソン氏が同社の創業者兼 CEO に、プラットフォームの開放性、他のサービスとの統合、機関投資家への普及について質問したと書いています。そのうえで、Midnight Foundation が投資家として Eldora を支援することになったと述べ、「大きな前進だ。続報がある」と結んでいます。
同じ 10 月 10 日には、創業者兼 CEO 本人も X で、Midnight のピッチの場で自社の取り組みを話したこと、Midnight Foundation に投資家として支えられることを誇りに思うことを投稿しました。別の投稿では、ホスキンソン氏の問いをプライバシーと統合、そして実際の機関投資家の採用についての「強い質問」だったと振り返っています。
この記事の時点で、Midnight の公式 X にこの出資についての告知は見当たらず、発表は Eldora 側の 2 つのアカウントの投稿にもとづきます。出資の額や形態、Midnight Foundation の持ち分も示されていません。
Eldora はどんなサービスか
Eldora が 6 月 18 日に出したプレスリリースによると、同社はチューリッヒに本拠を置き、創業者兼 CEO は Theophane Rame 氏です。1 つの画面と 1 回の本人確認(KYC)で、次の 3 つの商品を使えるとしています。
- 280 銘柄を超える米国の株式と ETF のトークン。原資産は SEC に登録された名義書換代理人の Dinari が保管し、各トークンは原資産の米国上場株への受益権を表すと説明しています
- 米国債(T-Bill)の利回りを受け取る商品
- Aave・Maple Finance・Morpho の貸付市場をまとめた DeFi の貸付
対応しているブロックチェーンは、リリースの時点で Ethereum・BNB Chain・Polygon・Arbitrum・Base の 5 つです。Midnight も Cardano も、この一覧には入っていません。今回の出資が、Eldora の商品を Midnight の上でも使えるようにする話につながるのかどうかは、発表には書かれていません。
ファミリーオフィスにとってのプライバシー
Eldora がプライバシーを強調する理由は、発表後のやり取りに表れています。同社は「ファミリーオフィスに必要なのは利回りだけではない。プライバシーが必要だ」と書き、創業者兼 CEO は、ファミリーオフィスにとってのプライバシーはデータの保護にとどまらず、投資戦略と保有ポジションを守ることだと補っています。
誰でも取引履歴を追えるパブリックなブロックチェーンでは、大口の資金がどの銘柄にどれだけ入っているかが外から見えてしまいます。ここに Midnight の設計が重なります。Midnight は、必要な事実だけを相手に示し、それ以外のデータは手元に置いたまま取引できる仕組みを掲げています。トークン化した株式や国債を、保有の中身を見せずに扱いたい事業者にとって、Midnight は「検討する理由のあるチェーン」になりえます。
ホスキンソン氏が開放性と統合を問うたことも、この文脈で読めます。プライバシーを守る仕組みがあっても、既存のチェーンや金融の仕組みとつながらなければ、事業者は乗り換えません。Midnight は同じ TOKEN2049 で Night Mode を初めて公開しており(10 月 7 日の記事)、会期中のピッチと出資は、Midnight が自らの上に載せたい事業者を外から集める動きの一部と見ることができます。
「続報」の中身はどこで分かるか
確認できる次の一点は、Eldora が「続報がある」と書いた次の発表です。同社の公式 X と公式サイト(eldora.network)で、対応チェーンの一覧に Midnight が加わるか、出資の条件が示されるかを確かめられます。Midnight 側の公式 X や公式ブログで、この出資が取り上げられるかどうかも、もう一つの確認先です。
ことば
- ファミリーオフィス — 富裕層の一族の資産を専門に運用・管理する会社。投資先や保有額が外に知られること自体を嫌うため、取引が公開されるブロックチェーンへの参入では、プライバシーが最初の条件になりやすい投資家です。
- トークン化株式 — 実在の株式を裏付けに発行されるブロックチェーン上のトークン。Eldora の場合は名義書換代理人の Dinari が原資産を保管し、トークンは受益権を表すとしています。株価に連動する派生商品とは別物だという点が、同社の説明の要になっています。
- Midnight Foundation — Midnight ネットワークの普及と生態系の育成を担う財団。今回のように、Midnight の上で事業を広げうる企業に投資家として関わることがあります。
一次ソース / 関連リンク
- Eldora 公式 X の告知(Midnight Foundation による出資・2026 年 10 月 10 日)
https://x.com/eldoraglobal/status/2108925264512286764 - Eldora 創業者兼 CEO の X アカウント(2026 年 10 月 10 日の投稿 2 本)
https://x.com/swisstatoshi
Eldora のプレスリリース(2026 年 6 月 18 日・The Block 掲載)(theblock.co)

