Draper University は 10 月 12 日(米国時間)、Cardano Foundation・Orion Fund と組む 10 週間のプログラム「Apex Growth Accelerator」の最初の参加チーム 8 組を発表し、同日からシリコンバレーでの活動を始めました。顔ぶれは WhatsApp を使ったステーブルコイン決済から、互いに支払い合う AI エージェントの基盤まで、Cardano の上で動く製品づくりに振れています。
8 月に応募の窓口として告知されたプログラムが、具体的なチーム名を持って動き出した形です。Cardano のエコシステム資金が「枠の大きさ」から「誰に渡るか」の段階に入ったところで、8 チームが何を作り、Cardano とどう結びついているのかを、Draper University の紹介記事にもとづいて整理します。
決済、AI エージェント、コンプライアンス: 8 チームの顔ぶれ
Draper University が公開した紹介記事「Meet the Apex Growth Accelerator」によると、参加するのは次の 8 チームです。拠点はスペイン、アルゼンチン、米国、アラブ首長国連邦、北アイルランド、スイスに分かれています。
- Kenomic(スペイン・マドリード) — トークンの設計・検証・発行・運用までを扱う AI の基盤
- ChatterPay(アルゼンチン・ブエノスアイレス) — WhatsApp の中で送れるステーブルコイン決済
- Ascent Rivals(米国・シアトル) — レースとゲームにオンチェーンの賭けを組み合わせた観戦型の競技
- Ospree(スペイン・バルセロナ) — 金融機関どうしがトラベルルールやマネーロンダリング対策の情報をやり取りするためのコンプライアンスの道具
- Origami(アラブ首長国連邦・アブダビ) — トレーダーと AI エージェント向けの、資産を預けない形の売買の自動化と執行の基盤
- Nomadz(アラブ首長国連邦・ドバイ) — デジタルノマドや暗号資産のコミュニティ向けの旅行予約
- Mentioned(北アイルランド・ベルファスト) — ライブのイベントで「どの言葉が口にされるか」を予想するソーシャル型の予測市場
- Masumi(スイス・チューリッヒ) — AI エージェントが互いを識別し、支払い、協力するための基盤
Draper University の X の告知は、この顔ぶれを「WhatsApp の決済から、取引する AI エージェントまで」とひとことでまとめています。8 組のうち 3 組(Kenomic・Origami・Masumi)が AI に関わる製品で、決済や支払いに触れるチームも ChatterPay・Masumi・Nomadz と複数あります。
Cardano との結びつきは、チームごとに濃さが違う
紹介記事は、チームごとに Cardano を選んだ理由や使い方を書き分けています。読み比べると、すでに Cardano 上で動いているチームと、これから Cardano に載せようとしているチームが混ざっていることが分かります。
結びつきがはっきりしているのは、まず Masumi です。紹介記事は、AI エージェントどうしが識別し合い支払い合うための基盤を「Cardano の上に作っている」と書いています。Ascent Rivals はすでに Cardano のメインネットで動いている実績があり、創業者にも Cardano での経験があるとされています。ChatterPay は、Draper University の前段のプログラム Genesis の期間中に Cardano をテストネットに組み込み、Apex では企業間の決済の基盤づくりに進む計画です。
Kenomic は、Cardano のネイティブアセット、eUTXO(Cardano の取引モデル)、ガバナンスの仕組みがチームの狙いに合うと説明しています。プライバシーを重視する Origami は、Cardano と Midnight が「関連のある土台」になると書かれています。Nomadz は Cardano のコミュニティとイベントの予定表を使っており、ADA や Cardano 上のステーブルコインで旅行代金を払えるようにする計画です。
一方で、Ospree と Mentioned については、紹介記事の中に Cardano をどう使うかの記述が見当たりません。Mentioned の項では、USDC での取引の実績に触れています。どのチームも Cardano を軸にした製品として選ばれていますが、記事の段階では、統合の深さに差があると読めます。
最大 7 万ドルと 3.5%: 出資を前提にしたプログラム
紹介記事によると、選ばれたチームは持分 3.5% と引き換えに最大 7 万ドルの出資を受けます。期間は 10 週間で、締めくくりはデモデイです。Draper University の X の告知は、この 10 週間を「開発と成長と資金調達」の期間と書いています。
8 月に募集が告知された時点で、Draper University のプログラムページは対象を「投資家対応段階のスタートアップ 10 社」と書いていました(8 月 20 日の記事)。最初の期は 8 チームでの出発です。
Cardano のエコシステムで長く前面にあったのは、渡した時点で完結する助成金でした。Apex は持分を取る形の資金で、チームが伸びればその果実の一部が出し手に戻る設計です。4 月の発表で、Orion Fund を通じて生まれた価値を時間をかけて Cardano の財務に戻す枠組みが示されており、今回の 8 チームはその枠組みが実際に資金を渡す最初の相手になります。
次に見るもの: 10 週間後のデモデイ
確認先は 2 つです。1 つ目は、10 週間の締めくくりとなるデモデイの告知です。紹介記事にはまだ日付がなく、Draper University の Substack と公式 X が案内の場所になります。デモデイで各チームが何を見せるかは、Cardano 上の製品がどこまで進んだかを測る最初の機会です。
2 つ目は、各チームの Cardano 側の動きです。とくに Masumi のように Cardano 上で基盤を作っているチームと、ChatterPay のように企業間決済を計画しているチームは、メインネットでの公開や提携の告知が出れば、プログラムの成果がそのまま Cardano の利用につながる例になります。
ことば
- Orion Fund — Draper Dragon が運用し、Cardano Foundation が枠組みを支えるエコシステム向けのファンド。助成金ではなく持分を取る出資の形で、Cardano 上のスタートアップに資金を出します。
- トラベルルール — 暗号資産の送金で、送り手と受け手の情報を事業者間で受け渡すことを求める規則。Ospree のように、その情報交換を担う道具が機関の参入に欠かせなくなっています。
- eUTXO — Cardano が採る取引のモデル。取引の結果を実行前に見通しやすい性質があり、Kenomic はトークン設計の基盤として挙げています。
一次ソース / 関連リンク

Draper University: Meet the Apex Growth Accelerator(参加 8 チームの紹介)
draperuniversity.substack.com
- Draper University 公式 X の告知(2026 年 10 月 12 日)
https://x.com/draper_u/status/2109674598941995287

