Midnight は日本時間10月14日未明、新しいロードマップを公式サイトで公開しました。7つの分野について2026年10〜12月期と2027年1〜3月期に出すものを並べ、NIGHT のステーキングと、Cardano の SPO(ステークプール運営者)へのブロック生成の開放は、2027年1〜3月期の項目に置かれています。
Cardano の SPO にとって、今回のロードマップは Midnight が自分の運営に関わる参加先になる時期の目安を、四半期の単位で示したものです。どの項目がいつ、どんな順番で来るのかを、公式ページの記載から整理します。
ブロック生成の開放までの4つの段階
SPO に直接関わるのは「Scale And Sovereignty」(規模と主権)の分野です。2026年10〜12月期には、次の4つが並んでいます。
- 合意の仕組みを Aura から BABE へ段階的に移す(BABE staged migration)
- ブロックを作るサーバーを運営する SPO が、その仕事に対して NIGHT を受け取り始める(Block production rewards)
- プロトコルの脆弱性を見つけた研究者に報奨金を払う、公開のバグバウンティ
- ノードの同期時間の短縮
続く2027年1〜3月期には、NIGHT の保有者がトークンをステークプールに委任して報酬を受け取れるようになる「NIGHT staking」と、Cardano の SPO が Midnight のブロック生成者として加われるようになる「Block production opens to the community」が並びます。BABE のメインネットへの移行もこの期に始まるとしています。
順番としては、まず合意の仕組みを入れ替え、ブロック生成への報酬を NIGHT で払い始め、そのうえで委任と参加の門を広げる、という流れです。Aura は決められた作り手が順番にブロックを作る方式で、参加者の数が限られた段階に向きます。作り手を抽選で選ぶ BABE への切り替えは、外部の SPO を迎え入れる前提の作業と読めます。
一方で、ページに書かれているのはここまでです。Cardano の SPO が加わるための条件(必要なステークの量、登録の手順、機材の要件)や、NIGHT ステーキングの報酬の水準は、ロードマップには記載がありません。10〜12月期の報酬の項目も、対象がどの SPO なのかを特定していません。運営の計画を立てるには、各項目の技術文書を待つ必要があります。
機関の発行、秘匿型の DeFi、本人確認の3分野
SPO 以外の分野では、機関向けと個人向けの両方に具体的な項目が並びます。
「Institutional Issuance & Settlement」(機関の発行と決済)では、10〜12月期にハードウェアのセキュリティモジュールやパスキーで使える鍵の方式(ed25519 と ECDSA P-256)への対応や、監査済みの秘匿型トークンのコントラクト、トークン化した預金のひな形を出すとしています。1〜3月期には、ファンド・貸付・不動産といった実物資産の発行と、そのためのトークン規格が続きます。
「Confidential DeFi & Retail」(秘匿型の DeFi と個人向け)では、一人ひとりの借入と担保が外から見えない貸付市場と、トークンを秘匿したまま交換できる仕組みが10〜12月期に置かれています。他のチェーンからの承認に使う EVM NightMode もこの期の項目です。
「Trust Fabric, Identity & Disclosure」(信頼・本人確認・開示)では、シードフレーズなしでアカウントを作れる Passport SDK の最初の版が10〜12月期、監査人や規制当局に読み取り専用の閲覧鍵を渡す仕組みが1〜3月期です。閲覧鍵は範囲・期限・取り消しを設定できると説明されています。SIPO.TOKYO では10月10日に、Midnight City 日本語版の次の段階として Passport が挙がっていることを取り上げました(既報: Midnight City 日本語版、次は Passport と実資金取引)。今回のロードマップで、その時期が10〜12月期と示されたことになります。
Starstream と Nightstream、UTXO チェーンと量子耐性の基盤
残る2つの分野は、Midnight の外側に広がる仕組みです。Starstream は、異なるチェーンの上でアプリの処理を動かすための言語と実行環境で、10〜12月期の項目は「模擬の台帳で実行環境の方式を検証する」こと。目標として、Bitcoin や Cardano のような UTXO 型のチェーンにプログラム可能なプライバシーを持ち込むことが挙げられています。
Nightstream は、量子計算機に対しても安全とされるゼロ知識証明の基盤で、10〜12月期は証明の生成時間とサイズを縮める最適化が項目になっています。どちらも1〜3月期の項目はまだ置かれておらず、ほかの5分野より早い段階にあることが読み取れます。
ロードマップの冒頭は、プライバシーを「必要な人にとって実用的なものにする」ことを全体の目標に掲げています。7分野を並べると、機関・個人・開発者・SPO のそれぞれに、使い始めるための入口を半年のうちに用意しようとしていることが分かります。
12月末に確かめること
最初の確認点は、10〜12月期が終わる12月末の時点で、「BABE staged migration」と「Block production rewards」の2項目が実際に出ているかどうかです。この2つは1〜3月期のブロック生成の開放の前提になっているため、遅れればステーキングと参加の時期も後ろにずれます。確かめる先は、midnight.network のロードマップのページと、Midnight の開発者向け文書です。Cardano の SPO が加わるための条件が文書として出てくるのも、この流れの中になるはずです。
ことば
- BABE — ブロックの作り手を、時間の区切りごとに抽選(VRF)で選ぶ合意の仕組み。Cardano の Ouroboros Praos の考え方をもとにしており、外部の SPO を作り手として迎えるための土台として、今回のロードマップの最初に置かれています。
- NIGHT ステーキング — NIGHT の保有者がトークンをステークプールに委任し、報酬を受け取る仕組み。ロードマップでは2027年1〜3月期の項目で、報酬の水準や委任の手順はまだ示されていません。
- Passport — Midnight のアプリが使える開発キットで、シードフレーズなしでアカウントを作れるようにするもの。最初の版が10〜12月期、分散型 ID や検証可能な資格情報に対応する2つめの版が1〜3月期に予定されています。
一次ソース / 関連リンク
- Midnight 公式 X のロードマップ公開の告知
https://x.com/MidnightNtwrk/status/2110032576517976405
Midnight Roadmap(公式ページ)(midnight.network)
- Midnight Foundation 公式 X の告知
https://x.com/midnightfdn/status/2110034093748670911

