Cardano 財団は 10 月 14 日、財務記録をブロックチェーンに載せる仕組み「Reeve」が完全なオープンソースであり、他の組織が組み込めるよう作られていると公式 X で案内しました。財団自身もこの仕組みで自らの財務報告を公開しているとし、Cardano 上で記録を書き込み、読み出し、検証するコードは GitHub にあると述べています。
財団が自分の帳簿のために育ててきた道具を、他の組織にも使ってもらう共有の基盤として差し出した、という位置づけの投稿です。国庫から資金を受けて動くチームを多く抱える Cardano にとって、資金の受け取りから支出までを誰でも確かめられる形で残す手段が、すでに手の届く場所にあることを意味します。
GitHub にあるもの
財団が投稿で示したリポジトリ「cf-reeve-platform」は 2024 年 7 月に作られ、Apache 2.0 ライセンスで公開されています。今回の投稿は新しいリリースの告知ではなく、すでに公開されているコードへの案内です。最新版は 9 月 28 日の 1.7.2 で、8 月には 1.7 が出荷されたと財団が月次の総括で伝えていました(9 月 9 日の Daily Intel)。
README によると、プラットフォームはいくつかの部品に分かれています。会計と報告の中核、ブロックチェーンへの書き込みと読み出し、会計ソフトとの接続(NetSuite 向けのアダプター)、組織情報の管理、そして台帳を追いかけて記録を同期するバックエンドの仕組みです。財団はこのほか、アプリケーション本体(cf-reeve-application)と、チェーン上の Reeve の記録を集めるインデクサー(cf-reeve-indexer)も GitHub に置いています。
チェーンに載るのは「読める」記録
Reeve の記録は、取引のメタデータにラベル 1447 を付けて載せます。会計の父とされるイタリアの数学者ルカ・パチョーリにちなんだ番号だと、仕様書は説明しています。
形式は 3 種類あります。個々の会計取引(INDIVIDUAL_TRANSACTIONS)、貸借対照表や損益計算書などの報告書(REPORT)、そして助成金の受け取り・支出・返金といった資金の流れ(FUNDING)です。仕様書が設計方針の最初に挙げるのは「人が読めること」で、専用のソフトがなくてもブロックエクスプローラーで生のデータを開けば中身が分かるようにしたといいます。その代わりに取引のサイズは大きくなるという割り切りも、仕様書ははっきり書いています。
9 月 4 日には、グラント・ソントン・スイスが財団の 2025 年の財務諸表への監査意見を Cardano 上に署名したことを、財団自身が紹介していました(9 月 5 日の Daily Intel)。帳簿の中身と、それに対する監査人の意見の両方を、同じチェーンの上で確かめられる形がすでに財団の中では動いています。
他の組織が使うまでの距離
ただし、今日ダウンロードしてすぐ使える完成品ではありません。README が示す手順は、自分で Spring Boot のアプリケーションを作って必要な部品を組み込み、自分の会計システム向けのアダプターを実装する(NetSuite なら用意されたものを使う)というものです。使い方を示すサンプルアプリケーションは「近いうちに提供する」とされており、まだ README には載っていません。
導入には開発者の手が要るということです。財団の案内が「コードを見て、財務をオンチェーンに」と呼びかけている相手は、まず自前でシステムを組める組織だと読めます。Reeve の公式サイトは、何を誰に見せるかを組織が細かく設定できる点も強調しており、機密を保ちながら必要な部分だけを開く運用を想定しています。
国庫の資金と FUNDING 形式
DRep が国庫からの資金引き出し案を判断するとき、論点の一つになるのが「受け取った資金がどう使われたかを、後から確かめられるか」です。Reeve の FUNDING 形式は、助成金の受け取りから支出、返金までを出来事ごとに記録する前提で作られています。国庫から資金を受けるチームがこの形式で支出を残すようになれば、報告書の PDF を待たずに、チェーンの上で資金の流れを追えるようになります。
Cardano 財団以外の組織が、ラベル 1447 の記録を Cardano 上に載せ始めるかどうか。確認できる次の一点は、cf-reeve-platform の README に載る予定のサンプルアプリケーションと、リリースページに出る 1.7.2 の次の版です。サンプルが出れば導入の手間は大きく下がり、財団の外で最初に使う組織が現れる時期も近づきます。
ことば
- Reeve — Cardano 財団が開発する、財務記録をブロックチェーンに載せる報告基盤。別名 Ledger on the Blockchain(LOB)。財団は自らの財務報告をこの仕組みで公開しており、今回それを他の組織にも組み込める基盤として案内しました。
- メタデータのラベル — Cardano の取引に添えられる付加情報を種類ごとに区別する番号。Reeve は 1447 を使うため、エクスプローラーでこの番号を探せば Reeve で載せられた記録を見つけられます。
- Apache 2.0 — 商用を含めて自由に使い、改変し、再配布できるオープンソースのライセンスの一つ。組織が自社のシステムに組み込んで使うことを妨げない条件です。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano 財団公式 X の告知(Reeve は完全なオープンソース・2026 年 10 月 14 日)
https://x.com/Cardano_CF/status/2110349648825311577
Reeve 公式サイト(reeve.technology)

