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Midnight で動く perps のトークンが、Cardano の貸借市場に載りました——条件の一覧には、まだありません

2026-08-28SIPO

FluidTokens が日本時間 8 月 28 日 4 時 57 分、「$ASCEND is now live on Fluid for lending and borrowing」と告知しました。Ascend は Midnight 上で無期限先物(perps)を動かしているプロジェクトで、そのトークンが Cardano の貸付プロトコルで貸し借りの対象になった、という内容です。

順番としては、先物のほうが先でした。Ascend が Midnight のメインネットで perps を動かし始めたのは 8 月中旬です。今回はその後で、トークンのほうが Cardano 側の与信市場に入りました。プライバシー層で動くアプリケーションと Cardano の流動性が、担保という形でつながる経路が 1 本増えたことになります。

何が確認でき、何がまだ確認できないのかを分けて見ます。

■ 告知に書かれていること

$ASCEND is now live on Fluid for lending and borrowing!
Ascend is building private, multichain perpetual markets on Cardano and Midnight, bringing institutional-grade DeFi into the privacy stack.
Another Cardano/Midnight project joins Fluid’s lending markets

書かれているのは、$ASCEND が Fluid の貸借の対象になったこと、Ascend が Cardano と Midnight にまたがる無期限先物市場を作っていること、そして Cardano / Midnight 系のプロジェクトが Fluid の貸付市場に加わった例がまた 1 つ増えたこと——この 3 点です。

Fluid 側の設計は公式ドキュメントに書かれています。貸し手は ADA またはステーブルコインを預けてプールを作り、担保として受け入れるネイティブトークンを自分で選びます。借り手は、自分の持つトークンを担保として受け入れているプールにまとめてアクセスできる、という組み立てです。ネイティブトークンが「貸借に対応した」というのは、この担保の側に入る、という意味になります。

■ Ascend 側の表記は「Public Mainnet」に変わっています

SIPO は 8 月 17 日に、Ascend の perps 稼働を扱いました。そのときサイトの先頭にあったのは「Private Mainnet is live. Testnet has concluded.」で、開発者向けドキュメントも提供段階を「the Ascend private mainnet beta」と書いていました。告知の言葉より慎重な表記になっている、というのがそのときの記録です。

8 月 28 日時点で同じサイトを開くと、表記は「Public Mainnet is live」に変わっています。製品の説明は「Predictions Perpetual Markets」、そして「Trade probabilities with up to 1001x leverage across outcomes, crypto, stocks, metals, commodities and more.」です。価格そのものではなく、出来事の確率を取引する設計であることは 8 月時点から変わっていません。

基盤側の記録も出ています。Midnight の 8 月の State of the Network は、Ascend について次のように書いています。

Ascend launched a verifiable events perpetuals exchange and orderbook spot DEX on Midnight, introducing perpetual futures to the protocol for the first time.

「このプロトコルに無期限先物が入ったのは初めて」という点は、基盤を運営する側の月次報告にも書かれた形です。ただし 8 月 17 日に SIPO が保留にした「Midnight 上で最初の dApp かどうか」については、今回も判定材料は出ていません。「最初の perps」と「最初の dApp」は別の主張です。前者は裏づけが出ましたが、後者はまだです。

Ascend 自身は 8 月 26 日に、メインネットでの取引高が 100 万ドルを超えたと告知しています。ただし、貸借市場で担保として扱うときに問われるのは取引所としての出来高ではなく、トークンそのものの流動性の厚みです。両者は別の数字です。

■ $ASCEND というトークンが何をしているのか

Ascend のドキュメントによれば、手数料の構造はこうなっています。メイカーはどの段階でも 0%。テイカーは $ASCEND の預け入れ量(ドキュメントの表記は staked $ASCEND)に応じた段階制で、基準の 0.040% から、最大 40% 引きの 0.024% まで下がります。区切りは 10,000 トークンで 5% 引き、1,500,000 トークンで 40% 引きです。そして、テイカー手数料の 100% が $ASCEND の預け入れ者(stakers)へ回ると書かれています。

つまりこのトークンは、手数料の割引券であると同時に、プロトコル収益の分配先でもあります。預けている量が、そのまま取引コストと受取額に効く設計です。

この性質は、貸借市場に載ったときに 1 つの論点を作ります。担保として Fluid に預けているあいだ、同じトークンを Ascend 側にも預けたままにできるのか、という点です。Ascend 側から引き上げれば割引と分配を失い、引き上げなければ担保に回せません。Ascend は自己保管のまま扱える仕組み(liquid staking)を案内していますが、Fluid の担保として置いた場合にどう扱われるのかは、告知にもドキュメントにも書かれていません。

■ 条件の一覧には、まだ載っていません

Fluid のドキュメントには、貸借対応資産の LTV と清算閾値の一覧があります。そこに並んでいるのは FLDT・USDM・USDA・SNEK・NIGHT・WMTx・DJED・iUSD・STRIKE・IAG・HOSKY・wBTC・wUSDC・cAP3X・C3・BBSNEK です。8 月 28 日時点で、この表に ASCEND はありません。

ドキュメント自身が、その理由になりそうな一文を持っています。

Initial markets focus on liquid assets with standardized LTV and liquidation thresholds. Future assets will have variable thresholds based on liquidity depth.

初期の市場は標準化された条件の流動性の高い資産に絞り、今後の資産は流動性の厚みに応じて可変の閾値になる、という記述です。実際、表に載っている資産の多くは最低 LTV 66%・清算閾値 80% で揃えられており、C3 と BBSNEK だけが 50%・66% と別扱いになっています。

$ASCEND がどの条件で扱われるのかは、この記事の時点でドキュメントからは読み取れません。借りる側も貸す側も、実際の数値はアプリ側の表示で確認する必要があります。告知が先に出て、条件表が後から追いつく——新しい資産が入るときの順序としては珍しくありませんが、担保の条件は借り手のリスクそのものなので、確認せずに前提を置かないほうがよい部分です。

■ 次に見るもの

1 つ目は、$ASCEND がドキュメントの閾値表に載るかどうか、載るときにどの区分に入るかです。「流動性の厚みに応じて」と書かれている以上、そこに入る数字は Fluid 側がこのトークンの厚みをどう見積もったかの表明になります。

2 つ目は、Fluid の貸付市場そのものの状態です。SIPO は 8 月 6 日に、8 市場のうち 6 つで利用率がほぼ 100% に達していた局面を記録しました。貸せる資金が薄い市場に新しい担保が加わると、借り手が増えても貸し手が足りない状態が続きます。新しい資産の追加は、需要側だけを増やすこともあります。

3 つ目は、この経路が Ascend 固有の話で終わるかどうかです。告知は「Cardano / Midnight 系のプロジェクトがまた 1 つ」という言い方をしていました。Midnight 側で動くアプリケーションのトークンが Cardano の貸付市場に順に入っていくのであれば、それは 2 つのチェーンが担保を通じてつながっていく過程として数えられます。件数が積み上がるかどうかを見ます。


一次ソース / 関連リンク

サイトとドキュメントの表記は 2026 年 8 月 28 日に確認したものです。更新される可能性があります。