Midnight 財団の CTO を務める Sebastien Guillemot 氏が、日本時間 9 月 19 日 14 時 36 分、Midnight のメインネットでスマートコントラクトの配備が近く有効になる、と投稿しました。秘匿カスタムトークンを発行できるようになることも含む、と書かれており、3 月末に立ち上がったメインネットが、動いているだけの段階から、作り手がアプリを載せられる段階へ進むという予告です。
ただし、有効化の日付も、それを告げる公式のリリースノートも、この時点では出ていません。投稿の中身と、公式ブログ・公式ドキュメント・ノードのリリースという一次の面を並べて、いまどこまで確かめられるのかを整理します。
■ 投稿にあるのは、契約と秘匿カスタムトークンの 2 つ
投稿そのものは短いものです。主文は「Smart contract deployment is soon going to be enabled on Midnight mainnet」の一文で、そのあとに秘匿スマートコントラクトへの期待が続き、括弧の中で「秘匿カスタムトークンを発行できるようになることを含む」と添えられています。最後は、ここまで到達するのを助けた作り手たちへの謝辞で締められています。
2 つに分けて読むと分かりやすいと思います。ひとつは契約そのものの配備で、Compact で書いた契約をメインネットへ置けるようになること。もうひとつはトークンの発行で、自分で定義したカスタムトークンを、誰がどれだけ持っているかが外から見えない形で発行できるようになることです。Midnight でこれまで秘匿の対象として扱われてきたのは NIGHT や DUST といった既定の資産と、ウォレットが表示する残高でした。そこに、作り手が新しく定義したトークンが加わることになります。
この投稿は、Midnight の公式アカウント(@midnightfdn)が同じ日の夕方にリポストしています。プロジェクト側の発信として扱われた、ということです。
■ 3 月の公開時点で、アプリの配備は段階的だと書かれていた
Midnight のメインネットが公開されたのは 3 月末です。公式ブログの告知「Midnight network is live」は 3 月 29 日付で、ジェネシスブロックの生成をもって、ネットワークが状態を継続して保持する段階に入ったことが記されています。検証を担うのは、あらかじめ決められた運用者が並ぶ federated な構成でした。
同じ告知に、もうひとつ書かれていたことがあります。アプリの配備は一度に開放されるのではなく、段階的に進めるという説明です。運用の安定性と安全性を確かめるための初期期間を置き、その保護された環境の中で開発者とアプリケーションがネットワークの機能に触れられるようにする、という書き方でした。開発者はまず Preprod で試すことも求められています。今回の「近く有効になる」は、最初から予定されていた段の一つが近づいた、という読み方になります。
公式ドキュメントの側も、いまのところそれと整合しています。契約を配備する手順を説明したガイドが対象にしているのは、手元のローカル環境と Preview、そして公開テストネットである Preprod の 3 つで、メインネットへ配備する手順は書かれていません。一方で、リリースノートの概要ページ(最終更新 9 月 18 日)は、最新のリリースが Preview・Preprod・メインネットの 3 環境に載ったと記しています。土台の側は揃っていて、手順の側がまだ書かれていない、という状態です。
ノードのリリースも見ておきます。GitHub の midnight-node では、9 月 18 日に node-1.0.2 が出た一方で、2.1.x という新しいメジャー系列が 9 月 15 日と 9 月 17 日に rc.1・rc.2 と続き、まだ正式版になっていません。この系列のリリースノートには、1.0.300 のチェーンからのハードフォークが前提であること、set_code の発効にガバナンスの手続きが要ることが明記されています。大型のアップグレードが進行中だという説明と重なる位置に、この 2.1.x の系列があります。
■ 同じ日、ホスキンソン氏が並べた時間割
IOG のチャールズ・ホスキンソン氏は、日本時間 9 月 19 日 6 時 45 分、別の話題への返信の中で自社の予定を並べています。RealFi が来月、Pogen が 90 日以内、そして Midnight も大型アップグレードの最中でアプリを有効化する、という 3 点です。Guillemot 氏の投稿より 8 時間近く前で、書いている人も所属する組織も違いますが、Midnight についての内容は同じ方向を指しています。
同じ投稿の後半には、資金配分をめぐる不満も書かれています。コミュニティは Pogen も Blockfrost も、IOG の商用プロジェクトへの資金拠出を拒んだ。Cardano Foundation は Midnight に言及すらしない。そういう趣旨です。これはホスキンソン氏の側から見た説明であり、各提案の当事者や Cardano Foundation がどう述べているかは、この投稿からは分かりません。ここでは、アプリの有効化という話が置かれている文脈として、同じ日にそうした発言が出ていたという事実だけを記しておきます。
■ 次に確かめる 3 か所
日付はまだ出ていません。確定を待つなら、見る場所は次の 3 つになります。
- 公式ドキュメントの配備ガイド。ここにメインネットを対象とする手順が加わった時点が、作り手にとって実際に開いた時点になります。
- リリースノートの概要ページ。環境ごとの適用状況がここに集約されているため、メインネット側の記述が動けば分かります。最終更新は 9 月 18 日です。
- GitHub の midnight-node のリリース。2.1.x が rc から正式版へ移り、ハードフォークの発効が告知されるかどうか。
このほか、Midnight は公式ブログで State of the Network という月ごとのまとめを出しており、その月に何が動いたかはそこにも集約されます。
SIPO が Midnight の改善提案やツールの周辺を追い続けてきたのは、契約を書く側の環境がどこまで整ったかを見るためでした。配備が開けば、MPS-0040 が記録したような「まだ埋まっていない穴」は、提案書の中の話から、作り手が実際に踏む段差に変わります。そのときに読み直すべき一次資料は、いま挙げた 3 か所です。
■ ことば
秘匿カスタムトークン — 発行者が自分で定義したトークンを、誰がどれだけ持っているかを外から見えない形で扱えるようにしたものです。契約が動くことと、その契約が扱う資産を秘匿のまま作れることは別の機能なので、投稿でも並べて挙げられています。
Compact — Midnight の契約を書くための言語です。処理をゼロ知識証明の回路に落とし込む前提で設計されており、メインネットで配備が開くというのは、この言語で書いたものを本番のチェーンに置けるようになる、という意味になります。
federated(連合型)の検証者 — あらかじめ決められた運用者だけが検証を担う構成です。Midnight のメインネットはこの形で始まっており、配備を段階的に開くという進め方も、この構成とセットで説明されてきました。
一次ソース / 関連リンク
- Sebastien Guillemot 氏(Midnight 財団 CTO)の投稿(2026-09-19)
https://x.com/SebastienGllmt/status/2101183752991088907 - チャールズ・ホスキンソン氏(IOG)の投稿(2026-09-19)
https://x.com/IOHK_Charles/status/2101065153408041089 - Midnight 公式ブログ「Midnight network is live」(2026-03-29)
https://midnight.network/blog/midnight-network-is-live - Midnight 公式ドキュメント : リリースノート概要(最終更新 2026-09-18)
https://docs.midnight.network/relnotes/overview - Midnight 公式ドキュメント : 契約の配備ガイド
https://docs.midnight.network/guides/deploy-mn-app - GitHub : midnight-node のリリース一覧
https://github.com/midnightntwrk/midnight-node/releases - SIPO「Midnight MPS-0040、呼ばれた契約は呼び出し元を知れない」(2026-09-16)
https://sipo.tokyo/signal-20260916-f78f2d91/ - SIPO「インデクサを建てずに Midnight のデータを引ける Explorer API」(2026-09-18)
https://sipo.tokyo/signal-20260918-f24b00e8/
