Cardano のレンディングプロトコル Surf は、日本時間 9 月 21 日 23 時 7 分、メンテナンスを終えてサービスを再開したと告知しました。預け入れや新規の借り入れは戻った一方で、清算とレバレッジは止まったままで、担保の健全性が 1.0 を下回ったローンは、担保を足さない限り返済できない状態です。
Surf がメンテナンスに入ったのは 8 月末で、きっかけはセキュリティ上のインシデントでした。約 3 週間半ぶりの再開ですが、戻ったのは機能の一部です。何ができて何ができないのか、そして手元にローンがある人が最初に確かめるべき数字はどれかを、公式の告知とドキュメントから整理します。
■ 戻ったのは 4 つ、止まったままなのは 3 つ
再開の告知に続けて、Surf は 1 分後にもう一本の投稿で機能ごとの状況を並べています。利用できるのは次の 4 つです。
- 預け入れ(Supplies)
- 引き出し(Withdrawals)
- 健全なローンの返済
- 新規の借り入れ
一時停止のまま残っているのは、清算(Liquidations)、レバレッジ(Leverage)、担保での返済(Repay with Collateral)の 3 つです。
レバレッジは、Surf が「ワンクリック・レバレッジ」として提供してきた機能です。公式ドキュメントによると、担保を預けて借り入れ、借りた資産を DEX で担保と同じトークンに替えて担保に積み増す、という借り入れの繰り返しを自動で行うもので、倍率は市場ごとに 1.01 倍から 3.33 倍の範囲でした。この機能が止まっているので、いまの Surf でできる借り入れは、担保を置いて借りる通常のローンに限られます。
■ 健全性 1.0 未満のローンは、返済より先に担保追加
告知のなかで、利用者にとっていちばん実務的な注意がこの点です。Surf は、現在のスマートコントラクトでは健全でないローンの返済を処理できない、と書いています。ローンのヘルスファクターが 1.0 を下回っている場合は、先に担保を足して 1.0 以上に戻してから返済する必要があります。
ヘルスファクターは、ローンの安全度を示す数字です。公式ドキュメントでは「担保の価値 × 担保係数 ÷(借入額 + 経過利息)」と定義されており、1.0 を超えていれば安全、1.0 以下になると清算の対象になります。平常時の Surf では、1.0 を下回ったローンは清算ボットが自動で処理し、借入額の返済にあてるぶんの担保を売却したうえで、15% の清算手数料を差し引き、残りを借り手に返す仕組みでした。
いまはその清算が止まっています。つまり、1.0 を下回ったローンは自動では片付かず、借り手が担保を足すまでそのまま残ります。ドキュメントには、担保の追加は順番待ちなしで即時に反映されること、ローンを全額返済するまで担保は引き出せないことも書かれています。返済しようとしてうまくいかない場合、まず確かめるべきなのは、そのローンのヘルスファクターの値です。
清算の再開については、Surf は「サービスの復旧が近づいた段階で追加の詳細を出す」としています。メンテナンス前に開かれたローンは別枠で扱われ、再開後に新しく開いたローンは、清算が戻った時点で通常の清算ルールの対象になる、とも明記されています。同じ Surf のローンでも、開いた時期によって扱いが分かれるということです。
■ 引き出しはプールの流動性しだい
貸し手の側にも注意が 2 つ添えられています。
ひとつは引き出しのタイミングです。引き出しは各プールにある空きの流動性に左右され、足りない場合は注文が順番待ちに入り、借り手の返済や新しい預け入れで流動性が補われるまで待つことになります。もともと Surf の引き出しは注文キューを通して処理される設計で、ドキュメントにも同じ説明がありますが、長いメンテナンスの直後は、引き出したい人が一度に集まりやすい局面です。
もうひとつは利息の扱いです。引き出すと、まだ支払われていない利息を受け取る権利も手放すことになり、借り手の返済が処理されるその時点で預け入れを続けている人だけが、その返済の分配を受けます。すぐに引き出すか、返済を待つかは、利用者が自分で比べる判断になります。
プールの移行作業も続いています。Surf は日本時間 9 月 13 日未明の投稿で 2 つのプールの移行を終えたと報告しており、今回の告知では、残りの移行をこの数日で進め、複数のプールを同時に移して速度を上げるとしています。自分のプールが移行済みかどうかで、使える機能が変わる可能性がある、という点も頭に置いておくとよさそうです。
■ 「週内に再開」の見込みから 3 週間半
経緯を短く振り返ります。Surf は日本時間 8 月 27 日未明、セキュリティ上のインシデントを受けてメンテナンスモードに入ったと告知し、そのときは「週内にはサービスの再開を始められる見込み」と書いていました。優先するのは V1 を安全に戻すことで、それが済めば V2 の開発に戻る、という順番も示されています。インシデントの具体的な内容は、この投稿には書かれていません。
実際の再開は 9 月 21 日で、見込みよりも長くかかりました。その間、公式アカウントは Discord での経過報告の共有や、プール移行の完了報告を重ねてきています。
SIPO は 9 月 22 日の Daily Intel で、この Surf の再開を「今日の焦点」の一つに挙げています。
■ 次に見るもの
確認先は Surf の公式 X アカウント(@surfcardano)です。見るべき点は 3 つあります。
- 清算の再開日と、メンテナンス前に開かれたローンの「別枠の扱い」の中身
- レバレッジと担保での返済がいつ戻るか
- 残るプール移行の完了報告
とくに 1 つ目は、健全性 1.0 未満のローンを抱えている人にとって、担保を足すか様子を見るかを決める材料になります。公式は「復旧が近づいた段階で詳細を出す」としているので、次の告知はこの点が中心になるはずです。
■ ことば
- ヘルスファクター — ローンの担保が借入額に対してどれだけ余裕があるかを示す数字です。Surf のドキュメントでは Health Score とも呼ばれ、1.0 が清算の境目になります。清算が止まっているいまは、返済できるかどうかの境目にもなっています。
- 清算 — 担保の価値が下がってローンが危なくなったとき、担保を売って借入を返し、貸し手を守る仕組みです。Surf ではボットが自動で行い、15% の手数料がかかります。いまはこの処理が一時停止されています。
- 担保での返済(Repay with Collateral)— 手元の資金ではなく、預けている担保を使ってローンを返す機能です。今回の再開では、レバレッジと並んで一時停止の対象に残りました。
一次ソース / 関連リンク
- Surf 公式 X:再開の告知(2026-09-21)
https://x.com/surfcardano/status/2102036933245272324 - Surf 公式 X:再開後に利用できる機能と注意点(2026-09-21)
https://x.com/surfcardano/status/2102037157518950588 - Surf 公式 X:メンテナンスモード入りの告知(2026-08-26 UTC)
https://x.com/surfcardano/status/2092641888184475801 - Surf 公式 X:プール移行の完了報告(2026-09-12 UTC)
https://x.com/surfcardano/status/2098800160620875832 - Surf ドキュメント:清算(Liquidations)
https://docs.surflending.org/surf-mainnet-protocol/5.-liquidations - Surf ドキュメント:レバレッジ(Leverage)
https://docs.surflending.org/surf-mainnet-protocol/5.-leverage - Surf ドキュメント:借り入れ(Borrowing Assets)
https://docs.surflending.org/surf-mainnet-protocol/4.-borrowing-assets - SIPO.TOKYO:Daily Intel 9/22
https://sipo.tokyo/daily-intel-20260922/
