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Cardano Academy、AI エージェントでアプリを作る無料講座を公開

2026-10-03SIPO #カルダノ財団

Cardano 財団は 10 月 2 日、学習サイト Cardano Academy で、AI のコーディングエージェントを使って Cardano のアプリを作る無料講座「Agentic Coding on Cardano」を公開しました。AI にコードを書かせて終わりにせず、生成されたコードを 26 項目の脆弱性チェックリストで点検し、結果をテストネットの実際の取引で確かめるところまでを、一続きの手順として教える講座です。

開発者の入口を広げる施策であると同時に、「AI が書いたスマートコントラクトを、誰がどう確かめるのか」という問いに、財団が教材という形で答えを出した動きでもあります。講座の中身と、同じ週に Cardano 公式が続けて開いた開発者向けの説明会とのつながりを整理します。

4 時間・16 ユニット・63 本の動画で学ぶ開発の流れ

講座ページによると、形式は自分のペースで進めるオンライン講座で、所要時間は 4 時間、難易度は中級・技術者向けと表示されています。全体は 16 ユニット、63 本の短い動画レッスンで構成されています。

講座が軸に据えるのは、「意図 → 仕様 → 生成 → 監査 → 検証」という 5 段の流れです。作りたいものを言葉にし、仕様に落とし、AI エージェントに検証用のコード (バリデータ) を書かせ、それを人が監査し、最後にネットワーク上で動作を確かめます。AI への指示には、Cardano 財団が GitHub で公開しているツール群 cardano-dev-skills と、Cardano Developer Portal を使います。

前半では、Cardano の台帳の土台である eUTXO モデルが、アカウント型の台帳 (Ethereum など) とどう違うのかを扱います。講座ページは、決定性・取引の連鎖・並列処理・手数料の予測可能性を違いとして挙げ、Bitcoin Script や Solidity から Plutus、そして Aiken に至るスマートコントラクト言語の変遷もたどるとしています。

26 項目のチェックリストと、テストネットでの 7 つのスタンプ

講座の中心にあるのは、AI が生成したバリデータを、公開済みの 26 項目の「eUTXO 脆弱性チェックリスト」と照らし合わせ、デプロイ前に問題を見つけて直す工程です。学習成果の欄にも「生成されたバリデータを一般的な eUTXO の脆弱性について評価し、デプロイ前に解決する」ことが明記されています。

検証の工程は、テストネットの一つである pre-production ネットワークで、実際に取引を送って行います。講座ページが挙げているのは次の取引です。

  • 手数料を正確に予測したうえでの送金
  • ステークの委任
  • ネイティブアセットの発行 (ミント)
  • 取引の連鎖
  • オンチェーンでのガバナンス投票

最後に Evolution SDK と CIP-30 対応ウォレットで動くアプリを作り、Cardano の各時代 (エラ) を表す 7 つのスタンプを一つの取引にまとめて、オンチェーンのポートフォリオとして残します。修了すると、検証可能な講座の修了証も得られると案内されています。

課題の並びには、ステーク委任とガバナンス投票という、プール運営や DRep の仕組みに直結する操作が入っています。Conway 期以降の Cardano では、アプリを作る開発者にとってもガバナンスが「チェーンの外の話」ではなくなっていることが、課題の並びに表れています。

9 月 30 日と 10 月 3 日の Office Hour とつながる話

この講座は、Cardano 公式アカウントが同じ週に続けて告知した開発者向けの説明会 (Developers Office Hour) と並べて読むと、狙いがはっきりします。

9 月 30 日の回では、Giovanni Gargiulo 氏が cardano-dev-skills を紹介しました。告知文は「AI のコーディングエージェントは、古い学習データのせいで Cardano について古い答えを返すことが多い」と課題を示しています。cardano-dev-skills の README も同じ問題意識から始まり、Conway 期のガバナンス変更や Aiken の文法の変化、SDK の破壊的変更を例に挙げて、学習データだけに頼る AI エージェントは誤りやすいと説明しています。

中身は、Cardano の主要プロジェクトの文書を週 1 回の自動更新で同梱し、バリデータの作成 (write-validator)、コントラクトのセキュリティレビュー (review-contract)、ガバナンスの解説 (governance-guide) といった作業ごとの手順を AI エージェントに渡すものです。Claude Code のプラグインや Codex のスキルとして使えるほか、単体の参考資料としても読めます。ライセンスは Apache-2.0 です。

翌 10 月 3 日の回では、同じ Gargiulo 氏が、オフチェーンのソースコードとオンチェーンのバイトコードを突き合わせて、スマートコントラクトを透明に検証するためのサイト uplc.link を紹介しました。告知文の書き出しは「盲目的な信頼なしに Cardano のスマートコントラクトを検証する」です。

9 月 30 日に AI へ正しい文脈を渡す道具を示し、10 月 2 日にそれを使った講座を開き、10 月 3 日に出来上がったコントラクトを外から検証する道具を示しました。順に見ると、AI にコードを書かせる部分よりも、書かれたコードを人と第三者が確かめる部分に、財団と Cardano 公式がより多くの手当てをしていることが分かります。

誰のための講座か

講座ページは対象として、Web3 の開発が初めての人、Ethereum などアカウント型チェーンから移ってくる開発者、Aiken の正式版や Evolution SDK など最新の道具を学び直したい既存の Cardano 開発者、技術リードや設計者を挙げています。Cardano Blockchain Certified Associate (CBCA) の修了者が上位資格 Cardano Blockchain Certified Professional (CBCP) を目指す場合には、試験の「Building on Cardano」領域の準備に当たると位置づけられています。

学習成果の欄には、Project Catalyst や Cardano Foundation Accelerator Program といった資金支援の窓口を把握することも含まれています。学んだ人が次にアプリを作り、資金を得るところまでの道筋を一つの講座の中に置いている点も、入口を広げる施策としての特徴です。

次に見るもの

AI エージェントと Cardano 開発の話題は、来週もう一段続きます。Cardano 公式は、シンガポールの TOKEN2049 のハッカソン参加者に向けて、Thomas Kammerlocher 氏による特別回「Build, Pay, Automate with x402」を 10 月 6 日 08:00 (UTC、日本時間 17:00) に開くと告知しています。x402 は AI エージェントがその場で少額を支払うための仕組みで、講座で扱った「AI に作らせる」から、「AI が支払う」側へ話題が移ります。

もう一つの確認先は、GitHub の cardano-foundation/cardano-dev-skills です。講座はこのツールを前提に組まれているため、同梱文書の週次更新や、利用者が誤りを報告する issue がどれだけ積み上がるかが、講座の内容が古びずに保たれるかどうかの目安になります。今週の Cardano 全体の動きは Daily Intel 10/3 にもまとめています。

ことば

  • eUTXO — Cardano の台帳モデル。取引の結果を送る前に計算できるため手数料を正確に予測しやすく、今回の講座が最初の課題に「手数料の予測」を置く理由になっています。
  • cardano-dev-skills — Cardano 財団が公開する、AI のコーディングエージェント向けの手順と文書の束。学習データの古さを補うため、同梱文書を週 1 回自動で更新します。
  • pre-production ネットワーク — Cardano のテストネットの一つ。本番と同じ仕組みで取引を送れるので、講座では委任やガバナンス投票まで実際の取引で確かめる場に使われます。

一次ソース / 関連リンク