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Cardano の取引件数、2日余りで前エポックの5.8倍

2026-10-09SIPO

10 月 7 日朝(日本時間)に始まった Cardano のエポック 660 で、取引件数が急に増えています。Koios の集計では、10 月 9 日 14 時半の取得時点で 92 万 2,251 件と、5 日間あった前のエポック 659 の 15 万 8,011 件の 5.8 倍に、2 日余りで達しました。

編集部でブロックの中身を抜き出して確かめると、件数の大半は、一つのアドレスに 2 ADA を送り、HOSKY トークンを受け取る取引でした。何が件数を押し上げたのか、ネットワークにどんな影響が出ているのかを、オンチェーンのデータから整理します。

2 日余りで前のエポックの 5.8 倍

エポックは Cardano の 5 日ごとの区切りで、エポック 660 は 10 月 7 日 6 時 44 分(日本時間)に始まり、10 月 12 日 6 時 44 分に終わります。直近のエポックの取引件数は、657 が 13 万 442 件、658 が 15 万 9,916 件、659 が 15 万 8,011 件でした。1 ブロックあたりにならすと、エポック 659 の約 7.5 件に対し、エポック 660 は約 93 件です。

増え方は、エクスプローラー各社の観測とも合っています。cexplorer は 10 月 7 日(UTC)、エポックの開始から 30 万件を超え、数時間で 2 倍になったと投稿しました。ウォレットの Eternl は 10 月 8 日(UTC)、直近 24 時間の取引が 45.8 万件と、その前の 24 時間の 9.3 万件から増えたと伝えています。AdaStat は、このペースが続けばエポックで 200 万件に届くとみています。Koios の数字を経過時間で割り戻すと約 198 万件で、AdaStat の見立てと同じ水準です。

中身は「2 ADA を送ると HOSKY が返ってくる」取引

件数を押し上げた中身を確かめるため、編集部ではエポック 660 の開始直後から 10 月 9 日昼までの間で 5 つのブロックを抜き出し、Koios で全取引を読みました。318 件のうち 287 件が 2 ADA ちょうどの出力を含み、そのうち 284 件の送り先は同じ一つのアドレス(addr1vy740r73…tyns4)でした。

このアドレスから出ていく取引も見ると、1 回の取引で 20 前後の宛先に、それぞれ約 1.86 ADA と HOSKY トークンを送り返しています。トークンのポリシー ID は、Cardano のトークン登録で「HOSKY Token」と登録されたもの(a0028f35…)と一致しました。つまり、多くの利用者がこのアドレスに 2 ADA を送り、HOSKY と、受け取りに必要な最低限の ADA がまとめて返ってくる流れです。取得時点で、このアドレスには約 16 万 2,413 ADA が 8 万 1,206 個の UTXO(未使用の取引出力)に分かれて残っていました。

HOSKY は Cardano の初期からあるミームトークンです。Eternl はこの急増を「DOGGIE BOWL 効果」と呼び、ほかの利用者の投稿も HOSKY の配布と結びつけています。ただ、今回の配布の条件や期間を HOSKY 自身が説明した告知は、編集部では確認できていません。

混雑と手数料、SIPO の立場から見たこと

件数がここまで増えると、ブロックが埋まって一般の送金が遅れる心配が出ます。AdaStat は、ブロックが 2 ADA の取引で「ぎりぎりまで詰まっている」と指摘しました。抜き出したブロックでも、10 月 9 日未明(日本時間)の 1 ブロックに 163 件が入っていました。一方で Eternl は、24 時間で 47.6 万件を処理した時点で「すべて順調」と伝えています。1 ブロックの大きさの上限は 9 万 112 バイトで、今回の取引は 1 件が小さいため、1 ブロックに 100 件を超えて入っています。

ステークプールを運営する立場から目に入るのは手数料です。エポック 660 の手数料の合計は、取得時点で約 17 万 3,369 ADA と、エポック 659 全体の約 4 万 9,495 ADA の 3.5 倍になっています。Cardano の手数料はステーキング報酬の原資に加わるため、件数が増えたエポックは、その分だけ委任者とプールに配られる報酬の元手が厚くなります。小口の取引が大量に流れても止まらずに処理できたことは、ネットワークの負荷試験としても一つの実績です。

エポック 661 で分かること

確かめる点は二つあります。一つは、エポック 660 が終わる 10 月 12 日 6 時 44 分(日本時間)の時点の最終的な件数が、AdaStat の見立てどおり 200 万件に届くかどうかで、AdaStat と cexplorer のエポック 660 のページで確かめられます。もう一つは、続くエポック 661 の件数が 15 万件前後の水準に戻るかどうかです。戻れば今回の急増は HOSKY の配布による一時的な山で、高い水準が続けば、ほかのアプリの利用が重なっていることになります。

ことば

  • エポック — Cardano の 5 日ごとの区切り。ステーキング報酬の計算やプロトコルの変更がこの単位で行われます。エポック 660 は 10 月 7 日から 12 日(日本時間の朝 6 時 44 分区切り)です。
  • HOSKY — 2021 年 11 月に Cardano で発行されたミームトークン。今回は、2 ADA を送ると HOSKY が返ってくる形の取引が、エポック 660 の件数の大半を占めました。
  • UTXO — 未使用の取引出力。Cardano では残高が一つの数字ではなく、受け取った出力の集まりとして記録されます。少額の受け取りが続くと、同じアドレスに出力が大量にたまります。

一次ソース / 関連リンク

cexplorer: エポック 660(cexplorer.io)

cexplorer: 2 ADA の送り先アドレス(cexplorer.io)

cexplorer: HOSKY Token(asset17q7r59zlc3dgw0venc80pdv566q6yguw03f0d9)(cexplorer.io)

取引件数・手数料・アドレスの残高は、日本時間 2026 年 10 月 9 日 14 時台に Koios の公開データから取得した値です。