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Intersect の準備金コントラクト、初の返却で 115,172 ADA

2026-10-25SIPO #Intersect

Cardano のガバナンス運営団体 Intersect は日本時間 10 月 24 日夜、2025 年度の財務準備スマートコントラクト(TRSC)で SweepTreasury という機能をメインネットで初めて実行し、115,172 ADA を Cardano のトレジャリーへ戻したと公表しました。戻った資金は、2025 年度に Intersect の Cardano Product Committee(製品委員会)の事業向けとして引き出された 75 万 ADA の一部です。

トレジャリーから資金を出すには DRep(委任代表者)の投票が必要ですが、使われなかった資金を戻す経路がメインネットで動いたのは今回が初めてです。2 本の取引に何が書かれているか、コントラクトはどんな条件で返却を認めているのかを、オンチェーンの記録とコードに沿って整理します。発表直後の初期報はこちらです。

2 本の取引で 55,172 ADA と 60,000 ADA

返却は 2 回に分けて行われました。1 本目は UTC で 10 月 20 日(日本時間 21 日 0 時 53 分)に 55,172 ADA、2 本目は UTC で 10 月 21 日(日本時間 22 日 0 時 28 分)に 60,000 ADA で、どちらもエポック 662 の取引です。合計 115,172 ADA は、元の引き出し額 75 万 ADA の約 15% にあたります。

2 本とも、資金の出どころは同じスクリプトのアドレスです。このアドレスのステークの部分は、元の提案が引き出し先に指定したステークアドレスと一致しており、Intersect が 2025 年度の TRSC と呼ぶ受け皿から直接戻されたことがチェーン上で確かめられます。

取引には、返却の理由を書いたメタデータ(取引に添える記録)が付いています。プロジェクトの識別子は「ER-0004a-25」で、理由は次の 1 文です。

Return funds from these milestones to Cardano Treasury because the overall scope of the proposal has been completed.

提案の作業範囲が全体として完了したため、これらのマイルストーンに充てていた資金をトレジャリーへ戻す、という趣旨です。2 本目の取引には対象のマイルストーンとして MS-2、MS-3、MS-4、MS-5、MS-6、MS-8、MS-9、MS-13、MS-14 の 9 つが列挙されています。

元の提案は 2030 年ビジョンと 2026 年ロードマップの意見集め

戻った資金の元になったのは、2025 年 7 月に提出されたトレジャリー引き出し提案「Withdraw ₳750,000 for Cardano Product Committee」です。エポック 577 で批准され、エポック 578(2025 年 8 月 23 日開始)で実行されました。

提案の目的は、創設者がつくったロードマップから、コミュニティが主導する 2030 年の Cardano ビジョンと 2026 年のロードマップへ移ることでした。そのための手段として、オンラインと対面のワークショップ、SPO や Cardano 内外の企業を交えたフォーカスグループ、謝礼つきの利用者・市場調査が挙げられています。

提案書には資金の流れも書かれています。可決後の資金はまず TRSC のステークアカウントに入り、TRSC 上の UTxO に引き出されます。ベンダーとの法的な契約が整った段階で、Fund という操作でプロジェクトごとのコントラクトへ移し、マイルストーンはメタデータに記す、という手順です。今回の返却は、このうち最初の受け皿である TRSC に残っていた資金を、トレジャリーへ戻したものです。

戻す取引は投票を通らない

返却の仕組みは、Sundae Labs が開発し Intersect が使っている財務コントラクトのコードで確かめられます。SweepTreasury は、TRSC から資金を出すときの操作の名前の 1 つです。

この操作では、取引の「トレジャリー寄付」の欄を使います。Cardano の現行の取引には、ADA をトレジャリーへ直接送るための欄があり、ガバナンスの投票を経ずに資金を戻せます。コードは、コントラクトから出ていく ADA のうち手元に残らない分をすべて寄付の欄に入れること、コントラクト側に残せるのは 5 ADA までであることを条件にしています。今回の 2 本も、取り出した 55,172 ADA と 60,000 ADA がそのまま寄付の欄に入っています。

返却できる条件は 2 通りです。コントラクトに設定された期限を過ぎていれば、誰でも返却の取引を出せます。期限より前に戻す場合は、コントラクトに設定された承認(監督する側の署名など)が必要です。今回の 2 本がどちらの条件で通ったかは、告知には書かれていません。監督委員会の構成と署名の条件は、8 月 14 日の記事で整理しました。

出すときには DRep の投票が要り、戻すときには要らない、という非対称がこの設計の要点です。返却はトレジャリーを増やす方向にしか働かないため、投票の手間をかけずに速く戻せるよう作られていると読めます。

DRep が手元で確かめられること

2 本の取引は、ブロックエクスプローラの cexplorer で誰でも開けます。元の提案は GovTool の結果ページから内容をたどれます。どちらも下の一次ソース節にリンクを置きました。

今後の予算提案を判断するとき、可決した事業が作業を終えたあとに余った資金を戻しているかは、提出者の実績として見られる材料になります。今回の返却は、その実績がメインネットに初めて記録された例です。

確認できる次の一点は、Intersect が X に出している「Budget Administration Services Update」の続報と、Sundae Labs の財務ダッシュボード(treasury.sundae.fi)にある 2025 年度 TRSC の記録です。2025 年度のほかの事業でも SweepTreasury による返却が続くかは、この 2 か所に現れます。

ことば

  • TRSC(Treasury Reserve Smart Contract) — Intersect がトレジャリーから引き出した資金をいったん預ける準備用のコントラクト。ここからプロジェクトごとのコントラクトへ資金を移したり、使わなかった分をトレジャリーへ戻したりします。
  • SweepTreasury — TRSC の資金を Cardano のトレジャリーへ戻す操作。期限後は誰でも、期限前は設定された承認があれば実行できます。今回 2025 年度の TRSC で初めてメインネットで使われました。
  • トレジャリー寄付 — Cardano の取引に用意された、ADA をトレジャリーへ直接送るための欄。投票を必要としないため、返却はこの欄を使って取引 1 本で完結します。

一次ソース / 関連リンク

返却の取引 1(55,172 ADA・cexplorer)(cexplorer.io)

返却の取引 2(60,000 ADA・cexplorer)(cexplorer.io)

元の提案「Withdraw ₳750,000 for Cardano Product Committee」(GovTool)(gov.tools)

Sundae Labs の財務コントラクト(返却処理のコード)(GitHub)

タグ: #Intersect
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