LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
速報 Ouroboros Consensus 4.0.0.0リリース、Leios開発進展 7時間前 速報一覧 →
HOMESignal › 2026年度の財務準備スマートコントラクトが公開ダッシュボードに載りました——可決した ADA が動く先を見る
Signal

2026年度の財務準備スマートコントラクトが公開ダッシュボードに載りました——可決した ADA が動く先を見る

2026-08-14SIPO

Intersect が、2026 年度の財務準備スマートコントラクト(TRSC)の動きを公開ダッシュボードで追えるようになったと発表しました。これまで見えていた 2025 年度の契約に、2026 年度分が並んだ形です。ガバナンス投票で決まるのは「出すかどうか」までで、可決したあとに ADA が実際どこへ動くのかは別の層にあります。SIPO はこれまで 2026 年度予算の各提案について DRep としての判断を記事にしてきましたが、今回置かれたのはその先——決まった資金が動く側を見る面です。何が見えるようになり、見えても分からないことは何かを整理します。

■ 何が追加されたのか

告知の本文は次のとおりです。

You can now track activity on the 2026 Treasury Reserve Smart Contract (TRSC) for treasury withdrawals administered by Intersect on the public treasury dashboard, in addition to the 2025 TRSC.

新しい仕組みが始まったという話ではありません。すでに動いていた 2025 年度の契約と同じ見え方が、2026 年度の契約にも用意された、という追加です(初期報はこちら)。ダッシュボードは Sundae Labs のドメイン(treasury.sundae.fi)で公開されており、2026 年度の契約に対応するページが今回示されました。

Intersect は財務ツールについて、IO のエンジニアリング・Sundae Labs・Xerberus と緊密に協力して開発を進めてきたと説明しています。オンチェーンのデータを独立して読み取り、透明性のための表示を生成するアプリケーションを別途置く、という構想も同じ文書に書かれていました。今回公開されたのは、その系統にある面だと読めます。

■ 準備契約とベンダー契約——資金は二段で動く

ダッシュボードで何を見ているのかを理解するには、契約が二種類あることを押さえておく必要があります。

ひとつが財務準備契約です。Cardano の本体財務から引き出された ADA を保持する口座にあたり、資金の移動先はあらかじめ限定されています。Intersect の説明では、他の財務契約・ベンダー契約・本体財務への返却のいずれかにしか送れません。「各財務契約は、限られた行動と権限の組み合わせで構成される」と書かれています。個別のベンダーとの契約内容が固まっていない段階でも資金を受け止められるように、柔軟な割り当てを想定した設計です。

もうひとつがベンダー契約で、こちらはプロジェクトごとに作られます。ベンダー組織・プロジェクトの総額・マイルストーンを含む支払いスケジュールが指定され、マイルストーンが満期を迎えると資金が解放されます。運用側が取れる行動には名前がついていて、準備契約からベンダー契約へ資金を割り当てる Fund、問題が確認されたときにマイルストーンの支払いを一時停止する Pause、その解除にあたる Resume、契約内容を変更する Modify があります。

つまり、可決した金額がそのままベンダーへ渡るのではなく、いったん準備契約に置かれ、そこから成果の進み方に合わせて出ていきます。今回 2026 年度分が見えるようになったのは、この最初の受け皿のほうです。

■ 誰が確認しているのか

この仕組みには外部の確認役が置かれています。Oversight Committee は 5 つの組織で構成されており、Sundae Labs・Xerberus・NMKR・Dquadrant・Cardano Foundation が名前を挙げられています。

役割の書き方が具体的です。「Oversight Committee の役割は、データ保証に狭く限定される」と明記されており、確認の対象はベンダー契約の展開・資金の支払い・契約の変更・管理上の操作の 4 つです。金額や宛先が事前に承認された内容と合っているかを照合する役であって、すでに決まったオンチェーンのガバナンス判断そのものに裁量を及ぼすことはない、という線が引かれています。

署名の閾値も公開されています。通常の操作は 5 名中 2 名、枠組みの外での支払いなど、より慎重を要する操作は 5 名中 3 名の承認が必要とされています。承認が要るということは、Intersect が単独で動かせる範囲が構造として狭められている、ということでもあります。

■ 3% の手数料と、Intersect が引き受けていない判断

2026 年度から、Intersect が管理する財務引き出しには 3% の管理手数料が適用されます。公式の説明では、この手数料はマイルストーンの監督・ベンダーとの調整・報告・調達・契約・スマートコントラクトによる支払いを支えるものだとされています。

同時に、Intersect が引き受けていない役割も明示されています。デューデリジェンス、契約、資格の確認、契約の設定、そして契約どおりに資金が使われているかの確認までは行う一方で、「提案の是非を評価することはなく、資金提供の主体としてふるまうこともない」と書かれています。何に出すかを決めるのは投票の側で、決まったものを契約どおりに運ぶのが管理の側、という分担です。

この分担を前提にすると、ダッシュボードで確認できることの性質も見えてきます。そこに出るのは「合意された手順どおりに資金が動いているか」であって、「その支出が正しかったか」ではありません。後者は引き続き、提案を読んで投票する側の仕事として残ります。

■ 次に見ておくこと

【1】2026 年度の契約に実際に何がどれだけ入るか。今回追加されたのは見る面であって、金額そのものは各自がダッシュボードで確認する形になります。2025 年度の契約と並べて見られるようになったので、比較もできます。

【2】Pause が使われる場面が出てくるかどうか。マイルストーンの支払いを止める行動が仕組みとして用意されている以上、それが実際に使われたときの見え方は、この枠組みが機能しているかを測る材料になります。

【3】オンチェーンで追える範囲と、契約書の中身との距離。資金の移動は追えますが、マイルストーンの達成をどう判定したのかは、契約と報告の側にあります。透明性がどこまで届いているのかは、この二つを分けて見るほうが正確です。

ガバナンスの議論は、可決した瞬間で終わりがちです。可決した資金が動く先を同じ画面で見られるようになったことは、その議論を投票日のあとまで延ばすための、地味ですが具体的な土台だと言えます。


一次ソース / 関連リンク