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マニュアル

SecondFi 資産回復ツールの使い方、準備から着金まで

2026-10-09SIPO #Cardano #SecondFi

SecondFi は 10 月 7 日、2026 年 6 月のセキュリティインシデントで影響を受けたウォレット向けに、公式の資産回復ツールを公開しました。翌 8 日には、最初のバッチの申請が処理されたことも公式に報告されています。

回復の手続きでは、影響を受けたウォレットのリカバリーフレーズを、自分のブラウザに入力します。「フレーズは誰にも渡さない」という原則と、一見するとぶつかる手順です。この記事では、公式 FAQ と 3 分 48 秒の公式解説動画をもとに、準備から着金までを日本語で順に整理します。あわせて、フレーズを入力しても安全側に立てる理由と、詐欺に巻き込まれないための線引きもまとめます。

回復と移行は、別々の手続きです

まず前提をそろえます。SecondFi は 6 月 21〜23 日のインシデントを受けて事業の終了を決めており、利用者向けには 2 つの手続きを用意しています。

  • 移行(マイグレーション):ウォレットにまだ残っている資産を、新しいウォレットへ移す手続きです。アプリ内のツールで行います。
  • 回復(リカバリー):インシデントで流出した資産のうち、対象と判定されたものを返してもらう手続きです。今回公開されたのはこちらで、ブラウザから secondfi.io でのみ行います。SecondFi アプリでは完了しません。

公式の Incident FAQ によると、インシデントでは 374 のウォレットから約 1,610 万 ADA(約 260 万ドル)が流出しました。原因は、トランザクションごとの署名生成にあった暗号上の欠陥で、修正済みです。SecondFi は、4 回の流出イベントで影響を受けたすべての保有者に対して、資産の返還を支援するとしています。

回復の申請は、移行を済ませたかどうかに左右されません。事前にサポートへチケットを出す必要もなく、影響を受けたウォレットは公開初日からすべて申請できます。現時点で、申請の締め切りは公式に示されていません。

始める前に、4 つを準備します

回復の処理はブラウザの中で完結し、パソコンに相当な負荷がかかります。途中で止まらないよう、次の 4 つを先にそろえます。

  • 影響を受けたウォレットのリカバリーフレーズ:12 語・15 語・24 語に対応しています。代わりの本人確認手段はなく、SecondFi もフレーズを復元・再発行できません。
  • 新しく作った Cardano ウォレットと、その受取アドレス(通常は addr1 で始まります):影響を受けたウォレット、取引所の入金アドレス、自分で管理していないアドレスは使えません。公式は、秘密鍵をオフラインに保てるハードウェアウォレットを追加の安全策として勧めています。
  • 自分専用の信頼できるパソコンと、最新のブラウザ:公共のパソコンや共用のパソコンは使いません。公式動画に映るトップ画面には、Chrome を推奨し、スマートフォンや処理能力の低いパソコンでは完了できない場合があるという注記があります。
  • 推奨スペック:空きメモリ 2GB 以上、5 年以内のプロセッサ、50Mbps 以上の回線。処理の途中で約 2GB のファイルをダウンロードします。

新しいウォレットを用意する際は、受取アドレスの全文をすぐに確認できる状態にしておくと、後の手順が落ち着いて進められます。

8 つの画面で進む、回復の流れ

ツールの画面上部には「Verify(確認)→ Review(内容確認)→ Destination(送り先)→ Proof(証明)」の 4 段階が表示されます。公式動画はこれを 8 つのステップに分けて案内しているので、ここでも動画の番号に沿って進めます。画面は英語表示で、右上に言語の切り替えメニューがあります。

ステップ 1:公式ツールを自分で開く

ブラウザのアドレスバーに secondfi.io と自分で入力して開きます。メール・DM・広告・検索結果のリンクからは入りません。トップ画面の「Start recovery」を選びます。すでに申請した人は、隣の「Check recovery status」から状況を確認できます。

SecondFi Recovery のトップ画面。Start recovery と Check recovery status のボタンが並ぶ
トップ画面。「Start recovery」から始めます(画像:SecondFi 公式解説動画より)

ステップ 2:回復規約に同意する

「Recovery Terms(回復規約)」が表示されます。最後までスクロールすると同意のチェックボックスが有効になる仕組みです。内容を読んでチェックを入れ、「Agree and continue」を選びます。

Recovery Terms のダイアログ。末尾までスクロールすると同意欄が有効になる
規約は末尾まで読むと同意できるようになります(画像:SecondFi 公式解説動画より)

ステップ 3:影響を受けたウォレットを確認する

「Enter recovery phrase」を選ぶと、入力欄の上に注意書きが 2 つ表示されます。1 つは入力前の確認事項で、自分専用のパソコンであること、画面を誰にも見られていないこと、画面共有や録画を止めていること、アドレスバーが公式ドメインであることの 4 点です。もう 1 つは、フレーズを求める理由の説明です。

確認できたら、フレーズの語数(12・15・24 語)を選び、1 語ずつ正しい順番で入力します。入力が終わると、そのウォレットの最初のアドレスが表示されます。自分の影響を受けたウォレットの最初のアドレスと一致しているかを確かめてから「Continue」を選びます。

リカバリーフレーズの入力画面。入力前の注意書きと、フレーズが必要な理由が表示されている
入力欄の上に、入力前の確認事項とフレーズが必要な理由が表示されます(画像:SecondFi 公式解説動画より)
フレーズ入力後、ウォレットの最初のアドレスを確認する欄が表示された画面
入力後に表示される最初のアドレスで、正しいウォレットかを確かめます(画像:SecondFi 公式解説動画より)

回復は 1 ウォレットずつ行います。影響を受けたウォレットが複数ある場合は、ここからの流れをウォレットごとに繰り返します。

ステップ 4:ウォレットのチェックを待つ

ツールがウォレット内のアドレスを 1 つずつ、インシデントの記録と照合します。画面には「このスキャンはすべてブラウザ内で行われ、データはどのサーバーにも送られない」という趣旨の表示が出ます。完了するまで待ちます。

ステップ 5:回復できる内容を確認する

回復できる資産の推定合計と、アドレスごとの内訳が表示されます。影響を受けたアドレスは、それぞれが別々の申請として扱われます。回復できる資産があるアドレスだけが申請に進みます。

What you can recover の画面。回復可能な資産の合計とアドレス別の内訳が表示されている
推定合計とアドレス別の内訳。数値は動画内のデモ表示です(画像:SecondFi 公式解説動画より)

この数値はインシデント時点のスナップショットにもとづく推定で、確定額ではありません。最終的な金額は推定と異なることがあり、失った額を下回ることもあります。内容を確認したら、「影響を受けた資産の一部または全部の回復は保証されない」ことを理解した旨のチェックを入れて「Continue」を選びます。

同じ画面には「このウォレットはもう安全ではない」という警告も出ます。回復を申請しても、影響を受けたウォレットが再び安全になるわけではありません。今後、このウォレットへ送金したり、どのアプリでも使い直したりしないようにします。

ステップ 6:送り先アドレスを入力する

準備した新しいウォレットの受取アドレスを入力します。ここが最も慎重さが要る場面です。送り先アドレスは、次のステップで作る証明に組み込まれるため、送信後は変更できません。誤ったアドレスや取引所のアドレスに送られた資産は、取り戻せない可能性があります。

1 文字ずつ照合したら、2 つのチェックボックスに同意します。1 つは「自分が管理する Cardano ウォレットで、取引所のアドレスではない」ことの確認、もう 1 つは「影響を受けたウォレットはもう安全ではなく、二度と使わない」ことの確認です。そのうえで「Continue to proof」を選びます。

送り先アドレスの入力欄と、2 つの確認チェックボックス
送り先アドレスを入力し、2 つの確認にチェックを入れます(画像:SecondFi 公式解説動画より)

ステップ 7:証明を生成する

ツールが、影響を受けたアドレスごとにゼロ知識証明を端末上で作り、送り先アドレスと結びつけます。画面には、証明エンジンの初期化、データのダウンロード、検証、アドレスごとの準備という進み具合が表示されます。

所要時間は最大で約 15 分です。古いパソコンや、影響を受けたアドレスが多いウォレットでは、さらに長くかかることがあります。完了するまでブラウザのウィンドウを開いたままにし、ページを離れたり更新したりしません。重いアプリやタブは先に閉じておくと安定します。途中で止まった場合は、ツールに再試行の選択肢が表示されます。

Generating your proof の画面。証明生成の進み具合が段階ごとに表示されている
証明の生成中は、ウィンドウを閉じずに待ちます(画像:SecondFi 公式解説動画より)

ステップ 8:申請の送信

証明ができると、対象のアドレスごとに回復の申請が送信されます。ここから先、利用者側で行う操作はありません。

着金までの時間と、状況の確認方法

時間は 2 つの段階に分かれています。1 つは、ツールを操作している間の証明の生成で、最大約 15 分です。もう 1 つは、送信後の申請の処理で、最大 5 営業日かかります。安全対策のため、申請はまとめてバッチで処理されます。即時には届きません。

状況は、トップ画面の「Check recovery status」で確認できます。入力するのは新しい送り先アドレスで、影響を受けたウォレットのアドレスではありません。処理中は「Submitted」、資産の送付が終わると「Completed」と表示され、取引へのリンクが出ることもあります。送り先アドレスを知っている人は誰でも状況を見られる可能性があるため、アドレスはむやみに共有しないようにします。

新しいウォレットで ADA を受け取ったら、ステーキングの委任は新しいウォレットで改めて設定することになります。委任先のステークプールや DRep は、ウォレットごとに紐づくためです。

回復の対象になるもの・ならないもの

回復額はインシデント時点のスナップショットにもとづいて算定されます。公式に示されている扱いは次のとおりです。

  • NFT:そのまま返せない対象 NFT は、1 点につき固定で 30 ADA が、そのアドレスの ADA 額に加算されます。NFT の評価額ではなく一律の金額で、ウォレットごとの上限はありません。保全できた対象 NFT は、現物で返される場合があります。スナップショットより後に加わった NFT は対象外です。
  • ステーキング報酬:インシデント期間中に、すでに配分されて影響を受けたアドレスへ入っていた報酬は回復の対象に含まれます。未配分・未払いの報酬は含まれません。
  • NIGHT(Glacier Drop):影響を受けたウォレットに送られた NIGHT の受け取り分は、回復を保証できないとされています。
  • 対象が見つからない場合:ツールは「回復できるものがない」と表示します。結果に疑問があればサポートへ問い合わせられますが、サポートがツールの判定を覆すことはできません。

なぜフレーズを入れても大丈夫なのか

ここが今回の手続きの核心です。通常、リカバリーフレーズを何かに入力することは、鍵そのものを相手に渡すことを意味します。今回のツールはそうではなく、フレーズを持っていることだけを証明して、フレーズ自体は外に出さないという設計です。

公式の説明では、フレーズはブラウザの中でだけ使われ、「このウォレットを管理しているのは自分だ」というゼロ知識証明を作る材料になります。保存も送信もされず、申請と一緒に送られるのは証明だけです。証明には送り先アドレスが組み込まれます。送信後に送り先を変えられないのはこのためです。処理がブラウザの中で完結するぶん、端末のメモリと処理能力を多く使い、約 2GB のダウンロードも必要になります。

ただし、この設計が守るのは「公式のツールの中で入力した場合」に限られます。同じ見た目の偽サイトに入力すれば、フレーズはそのまま盗まれます。安全性を決めるのは技術よりも、どこに入力するかです。

そのため、一部のフィッシング対策ツールやブラウザ拡張機能が、ツールを開いたときやフレーズを入力するときに警告を出したり、画面が真っ白になったりすることがあります。公式は、それだけでツールが悪意あるものだという意味にはならないと説明しています。警告が出たときは、https://secondfi.io と完全に一致しているか(余分な単語・文字・似た綴りがないか)を改めて確かめます。

詐欺から身を守るための線引き

公式は、インシデントに便乗した詐欺やなりすましが急増していると警告しています。次のどれかに当てはまったら、詐欺と判断して手を止めます。

  • 手数料・送金・署名を求められた:回復に手数料はかかりません。ツールが送金やトランザクションの署名を求めることもありません。
  • 相手から先に連絡が来た:SecondFi が回復の開始を促して先に連絡することはありません。
  • フレーズを聞かれた:サポート・スタッフ・パートナー・コミュニティの誰も、メール・DM・チャット・電話・画面共有でフレーズを求めません。
  • 送り先アドレスを指定された:送り先は自分で用意した新しいウォレットだけです。
  • アプリや拡張機能のインストールを求められた:回復に追加のソフトは必要ありません。
  • 「手伝う」と申し出られた:端末・画面・ウォレット・フレーズ・送り先アドレスへのアクセスを誰にも渡しません。

公式の連絡経路は、X の @secondfiapp と @secondfi_jp、ヘルプセンターの kb.secondfi.io、サポート窓口の support.secondfi.io です。

申請前のチェックリスト

  • 新しい Cardano ウォレットを作り、受取アドレスを手元に用意した
  • 影響を受けたウォレットのリカバリーフレーズを確認した(12・15・24 語のどれか)
  • 自分専用のパソコンで、最新のブラウザを使っている。重いアプリやタブは閉じた
  • アドレスバーに secondfi.io と自分で入力して開いた
  • 画面共有・録画を止め、誰にも画面を見られていない
  • 表示された最初のアドレスが、自分のウォレットのものと一致した
  • 送り先アドレスを 1 文字ずつ照合した
  • 証明の生成が終わるまで、ウィンドウを閉じない

これから見ておきたいのは、処理の進み具合です。最初のバッチは 10 月 7 日の時点で処理されたと報告されています。申請した人は、送信から 5 営業日を目安に、ステータスが「Completed」に変わるかを確認します。手続きの変更や一時停止があれば、公式は X とヘルプセンターで告知するとしています。

ことば

ゼロ知識証明:秘密の中身を明かさずに、「その秘密を知っている」ことだけを相手に確かめさせる暗号の技術です。今回は、フレーズを渡さずにウォレットの管理者であることを示すために使われています。

リカバリーフレーズ:ウォレットを復元するための 12〜24 個の英単語で、秘密鍵そのものに相当します。今回の手続きで入力が必要になるのは、本人確認の手段がこれしかないからです。

スナップショット:ある時点のチェーン上の残高などを記録したものです。回復額は、申請した時点の残高ではなく、インシデント時点の記録を基準に算定されます。


一次ソース / 関連リンク

SecondFi Asset Recovery FAQ(ヘルプセンター)(SecondFi)

Incident FAQ(ヘルプセンター)(SecondFi)

SecondFi is Ceasing Operations(ヘルプセンター)(SecondFi)