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チャールズ・ホスキンソン氏動画「Welcome to Midnight Sony (S.Blox)」紹介・解説・全翻訳:1 年かからなかった国内上場は、何の「初」だったのか

2026-08-25SIPO

カルダノ創設者のチャールズ・ホスキンソン氏が米国時間 2026 年 8 月 23 日、「Welcome to Midnight Sony (S.Blox)」と題した 4 分 27 秒の動画を公開しました。ソニー系の S.BLOX が NIGHT と ADA の取扱いを始めたことを受けた、短い喜びの表明です。ただし動画には、プレスリリースには書かれていない数字と経緯がいくつか含まれています。SIPO はこれまで NIGHT を「どこに置くかで手元に残るものが変わる」という構造の側から記録してきましたが、この動画が足しているのは時間軸のほうです。規制された市場の入口が開くまでに何年かかるのか、そして開ける側が何を負担するのか。本稿では動画の全文を翻訳したうえで、日付で確認できることと、氏の主張にとどまることを切り分けます。

先に結論

  • 動画は S.BLOX のプレスリリースから 1 時間 16 分後に配信されています。氏はこれを「記念碑的な節目」と表現しました。
  • 「ADA は流動性がつくまでに 5〜6 年、Midnight は 1 年かからなかった」——後半は日付で確認できます。NIGHT がカルダノ上で発行されたのは 2025 年 12 月 4 日、今回の取扱い開始は 2026 年 8 月 24 日で、8 か月 20 日です。
  • 「プライバシー系は日本に一つも載っていなかった」という前提は、2018 年に匿名通貨が国内の取扱いから外れた経緯に照らして、概ね事実に沿っています。
  • ただし今回載ったのは Midnight ネットワーク上の NIGHT ではなく、カルダノネットワーク上の NIGHT(cNIGHT)です。匿名通貨の枠がゆるんだ、という話ではありません。
  • 氏は「S.BLOX は ADA を扱っていなかったので、カルダノのインフラを導入・構築する必要があった」と述べています。取扱銘柄が一つ増えるとは、その裏で動かし続ける設備が一式増えることでもあります。
  • 氏は来日を予告しましたが、時期の言及はありません。発表に合わせた訪日は「SALT の都合」で見送ったと述べています。

今回の動画で何が起きたのか

動画はホスキンソン氏本人のチャンネルで、ライブ配信の形で公開されました。尺は 267 秒、つまり 4 分 27 秒しかありません。画面共有も資料もなく、本人が話すだけの構成です。

配信時刻には意味があります。S.BLOX 株式会社のプレスリリースが出たのは日本時間 8 月 24 日 11 時 55 分で、動画の配信は同 13 時 11 分。氏は動画のなかでこう言っています。

S.BLOX has just announced it hot off the press. Literally just did about an hour ago.(S.BLOX が出来たてほやほやで発表したところです。文字どおり、1 時間ほど前のことです)

実際の間隔は 1 時間 16 分でした。ちなみに Midnight の公式アカウントが同じ件を投稿したのは 14 時 43 分で、この動画のほうが 1 時間半ほど早く出ています。発表を受けて広報の段取りが回った、という順番ではないことがうかがえます。

冒頭で氏は、この会社について以前から名前を伏せたまま触れていたと述べています。

I said a while back that there was a company in Japan that I really wanted to work with, really wanted to do some stuff with.(少し前に、日本にどうしても一緒に仕事をしたい会社がある、何かを一緒にやりたい会社があると話しました)

「日本のある会社」と言い続けていた話が、ここで社名とともに閉じた、という構成です。動画の後半では「しばらくのあいだ、この話を胸に秘めて待っていた」とも述べており、発表待ちの状態が一定期間あったことを示しています。

独立確認できたこと、氏の主張にとどまること

この動画は 4 分半の口頭発表なので、裏の取れる部分と取れない部分がはっきり分かれます。順に置きます。

日付で確認できたこと。動画の配信時刻と尺は YouTube のメタデータで確認しました。S.BLOX のプレスリリースの時刻と、NIGHT を「国内で初めての取扱い」とする記載、そしてその根拠が自社調べであり業界団体の公開情報との照合による旨も、リリース本文に明記されています。NIGHT がカルダノ上のネイティブアセットとして発行されたのは 2025 年 12 月 4 日で、Midnight 公式ブログが同日に告知しています。メインネットの稼働は 2026 年 3 月末でした。ADA については、GMO コインが 2022 年 1 月 26 日に取扱いを開始しています。2018 年の匿名通貨の取扱い廃止は、コインチェックが同年 6 月 18 日付で Monero・Zcash・Dash・Augur を廃止した経緯として記録が残っています。SALT については、SALT と Kraken が 8 月 17 日から 20 日にかけて Wyoming Blockchain Symposium を開催しており、登壇者一覧に氏の名前が含まれていました。

氏の主張にとどまること。「ADA は流動性がつくまでに 5 年か 6 年」の起点は、動画では明示されていません。ADA の発行開始が 2017 年、GMO コインでの取扱い開始が 2022 年 1 月なので、その間は約 4 年 4 か月です。構想の時点から数えるか、十分な板が立つところまで含めるかで幅が動きます。「年単位でかかった」という部分は確認できますが、5〜6 という数字そのものは実感の側です。

「S.BLOX は ADA を扱っていなかったはず」も、氏自身が I don’t believe と留保をつけた言い方をしています。プレスリリースは ADA についても「取扱いを開始」と書いており、S.BLOX にとって新規であることとは矛盾しません。ただし、そこから先の「カルダノのインフラを導入し、構築する必要があった」がどの範囲を指すのかは、S.BLOX 側の資料からは確認できていません。入出庫に対応するのかどうかも、今回のリリースには記載がありません。

Midnight Foundation が「大量の書類作成と、何度ものやり取り」を行ったという説明も、氏の証言です。手続きの内容は公開されていません。

SIPO の視点

1.「国内初」は、匿名通貨が解禁されたという意味ではありません

氏は「プライバシーコインも、コインとして取引されるプライバシー保護のインフラも、今日まで一つも上場されていなかった」と述べています。日本の状況としては、この前提は概ね事実に沿っています。2018 年に匿名通貨が国内の取扱いから外れて以降、移転記録の追跡ができない、または著しく困難な暗号資産は、業界団体が異議を述べた場合は取り扱えないという自主規制のもとに置かれてきました。

ただし、区別が要ります。今回 S.BLOX が取り扱うのは、Midnight ネットワーク上の NIGHT ではなく、カルダノネットワーク上の NIGHT(cNIGHT)です。NIGHT はもともとカルダノのネイティブアセットとして発行され、メインネット稼働後に Midnight 台帳側へ供給が写される設計になっています。公式ブログはこう書いています。

Once Midnight mainnet launches, the NIGHT supply will be mirrored onto the Midnight ledger.(Midnight のメインネットが稼働すると、NIGHT の供給は Midnight 台帳へ写されます)

つまり、国内の登録業者の取扱銘柄になったのは、カルダノ上で動く、追跡可能な資産のほうです。氏の言う「プライバシー保護のインフラがコインとして初めて載った」はエコシステムとして見れば正しく、資産の性質として見れば 2018 年に外れた銘柄群と同じ枠がゆるんだ話ではありません。プライバシーの機能そのものは Midnight ネットワーク側にあり、そちらの NIGHT に S.BLOX は対応していません。

2.NIGHT を載せると、カルダノの設備が付いてきます

SIPO の視座からいちばん見どころがあるのは、実はここです。

I don’t believe S.BLOX actually traded ADA before they listed Midnight. So, as a direct consequence of this, they also had to install and create Cardano infrastructure.(S.BLOX は Midnight を上場する前は、ADA を取り扱っていなかったはずです。ですからその直接の帰結として、カルダノのインフラを導入し、構築する必要もありました)

NIGHT を扱おうとすると、それがカルダノ上の資産である以上、カルダノを扱える体制が先に要る。プライバシーチェーンの銘柄を一つ載せるために、その土台にあたるチェーンの設備が同時に入った——順番としてはそういう形になります。

ノードを立て、同期を保ち、鍵を預かる。これは SIPO が日々やっていることそのものです。取引所が一銘柄を増やすというのは、画面に行が一つ増えることではなく、その裏で動かし続ける設備が一式増えることを意味します。氏が「これもまた、ずいぶん前から待たれていたこと」と付け加えたのは、その設備が日本の大手の系列に入ったこと自体を指していると読めます。

3.1 年かからなかったということは、二番目以降はもっと速いということでもあります

「カルダノでは何年もかかったことを、Midnight では 1 年かからずにやり遂げた」という部分は、日付で裏が取れます。NIGHT の発行から 8 か月 20 日、メインネット稼働からは 5 か月です。

ここで効いてくるのが、氏が触れた Midnight Foundation の書類作業です。この種の手続きは、最初の一件がいちばん重く、二件目以降は軽くなります。すでに一度通した説明資料と、一度答えた質問のやり取りが残るからです。「国内初」という表記は、裏を返せば現時点で一社だけだということでもあります。次に測れるのは、二社目が出るまでの時間のほうです。

4.入口が増えても、置き場所の問題は消えません

NIGHT を持っていると DUST が生まれる、という説明は広く知られていますが、Midnight の技術文書は生成の条件をもう一段細かく置いています。SIPO は 8 月 24 日の記事で、DUST の生成が鍵の登録に紐づいていること、そして業者に預けたままの NIGHT についてその扱いがどうなるのかがリリースに書かれていないことを記録しました。

今回の動画は、入口が一つ増えたことの意味を語るものです。入口の先で何が固定されるのかは、別の話として残ります。買いやすさを取るのか、DUST が生まれる状態を取るのか——両方を同時に満たせるかどうかは、預け先の説明が出てから判断する話になります。

ここから見ておきたいこと

ひとつ目は、二社目が出るかどうかと、そこまでの時間です。Midnight Foundation が今回積み上げた資料が、他の業者との話をどれだけ短くするのかが、ここで測れます。

ふたつ目は、預け先での DUST の扱いについて説明が出るかどうかです。生成の条件が鍵の登録に紐づいている以上、この点は預ける側の実務に直結します。

みっつ目は、氏が予告した来日です。動画では「そう遠くないうちに」としか語られておらず、時期の言及はありません。9 月 11 日から 13 日にかけては、コミュニティ主催の Midnight ミートアップが福岡・名古屋・東京の三都市で予定されていますが、これは氏の登壇を告知したものではありません。両者を結びつける材料は、今のところありません。

チャールズ・ホスキンソン氏動画「Welcome to Midnight Sony (S.Blox)」全翻訳

導入──コロラドから

こんにちは、チャールズ・ホスキンソンです。暖かくて晴れたコロラドから生放送でお届けします。いつも暖かく、いつも晴れていて、ときどきコロラドです。

今日は 2026 年 8 月 23 日です。短い動画を撮ろうと思いました。

ずっと一緒にやりたかった、日本の会社

少し前に、日本にどうしても一緒に仕事をしたい会社がある、何かを一緒にやりたい会社があると話しました。ずっと長いあいだ、その会社と何かをやりたいと思っていました。それがついに表に出ました。

私はソニーのプレイステーションを持っていますし、皆さんも持っているでしょう。組織としてのソニーは驚異的で、巨大な日本企業です。そのソニーには、日本で暗号資産を取り扱う部門があります。

日本で NIGHT を上場した、最初の取引所

今日お見せしたいのは、その部門である S.BLOX が、日本で NIGHT を上場した最初の日本の取引所になったということです。これは大きな、記念碑的な節目です。通常、これには非常に長い時間がかかります。

ADA の場合、流動性がつくまでに 5 年か 6 年はかかったと思います。JFSA(金融庁)との、とてつもなく厳しい手続きを通らなければなりません。そこに上場され、流動性を持っているトークンはごくわずかです。そして実のところ、プライバシーコインも、コインとして取引されるプライバシー保護のインフラも、今日まで一つも上場されていませんでした。その一つ目が Midnight です。

発表の 1 時間後

ですから、この発表を本当に誇りに思っています。S.BLOX が出来たてほやほやで発表したところです。文字どおり、1 時間ほど前のことです。

これから徐々に立ち上がり、日本じゅうに広がっていくでしょう。ご存じのとおり、日本には巨大なカルダノのエコシステムがあります。カルダノは日本から始まりました。その市場に Midnight がついに入ることができて、しかもこの種のインフラとしては初めての存在としてそうできた。そして、S.BLOX のような素晴らしい組織と、その親会社であるソニーと一緒にそれができたというのは、なかなかに目覚ましいことです。

Web2.5 という位置づけ

Midnight は Web2.5 の一手です。規制された金融の世界と Web3 の世界という二つの世界を本当に一つにまとめ、プライバシー強化技術とスマートコンプライアンス、そしてもちろん抽象化において、実にすばらしい機能をたくさん加えます。(※この列挙のなかに一語、字幕が判読できない箇所があります。原語を特定できないため訳出していません)

それを日本全体に持ち込むことができたこと、しかもこれほど短期間で、Midnight のローンチからこれほど間もなく、現地で規制下の取引資産になったというのは、かなり目覚ましいことです。とてもわくわくします。

ADA を扱っていなかったから、カルダノの設備も入った

S.BLOX は Midnight を上場する前は、ADA を取り扱っていなかったはずです。ですからその直接の帰結として、カルダノのインフラを導入し、構築する必要もありました。これもまた、ずいぶん前から待たれていたことでした。

感謝と、来日について

ということで、ファミリーへようこそ。支えてくださって本当にありがとうございます。S.BLOX の皆さんは素晴らしいです。

ご存じのとおり、日本は私にとって大切な場所です。これが長期的な関係の始まりとなり、これから何年かのあいだに、格好よくて面白いことをたくさん一緒にやれることを楽しみにしています。

これがどこへ向かうのか、本当に楽しみです。日本には素晴らしい人たちがいます。Wave から我々と一緒に働いてくれている Ben Tsai に感謝したいと思います。それから Taiichi さん、そしてカルダノのエコシステムで、あの松明をいつも明るく強く灯し続けてくれた多くの方々にも。

そしてもちろん、そう遠くないうちに日本へ行きます。実はこの発表に合わせて日本に行こうとしていたのですが、SALT の都合で日程を合わせられませんでした。まあ、それはそれで構いません。

カルダノでは何年も、Midnight では 1 年かからず

ともあれ全体として、すごくわくわくしています。カルダノでは何年も何年も、何年も何年も、何年も何年もかかったことを、Midnight では 1 年かからずにやり遂げました。そして、本当に多くの努力を要しました。Midnight Foundation も今回、懸命に取り組みました。大変な労力を注いでくれました。大量の書類作成があり、何度もやり取りがありました。

しかしそれは、あの組織のプロフェッショナリズムと、目覚ましい能力を示すものです。ですから、この発表が出たことをとても嬉しく思っています。しばらくのあいだ、この話を胸に秘めて待っていました。

締めくくり

私にとって大切な話です。古くからのプレイステーション好きとして、そしてあの革新的なエコシステムがもたらしてきた格好いいものすべてを思うと、なおさらです。皆さん、ありがとう。乾杯。

透明性メモ

対象動画の YouTube 上の配信時刻表記は 2026 年 8 月 23 日 21 時 11 分(UTC−7 表記)で、日本時間では 8 月 24 日 13 時 11 分にあたります。YouTube ID は QRmcUr3DBqE、尺は 267 秒です。動画名と投稿者チャンネルは YouTube 上で確認しました。動画中で氏は「今日は 2026 年 8 月 23 日です」と述べており、現地の日付と一致します。

翻訳は動画の英語字幕を基礎にしています。字幕にはタイムスタンプが含まれていなかったため、本稿では時刻区切りを付していません。見出しは話題の切れ目で SIPO が付したものです。話し言葉のため、言い直しやつなぎの語は読みやすさを優先して整えていますが、内容は補っていません。

固有名詞は文脈と公開情報に基づき補正しました。字幕の S blocksSblock's は S.BLOX、night は NIGHT、midnight は Midnight、salt は SALT としています。

「Web2.5」の説明のなかにある a jet to KI という字幕表記は、原語を特定できませんでした。推測で補うことを避け、訳出していません。

「Taiichi さん」は字幕のローマ字表記のままです。漢字表記は確認していないため、当てていません。「Wave から我々と一緒に働いてくれている Ben Tsai」も、氏の発言のとおりに記載しています。所属の詳細は独立確認していません。

「ADA は流動性がつくまでに 5 年か 6 年」の起点は、動画では明示されていません。「S.BLOX は ADA を扱っていなかったはず」は、氏自身が I don’t believe と留保をつけた表現です。カルダノのインフラをどこまで導入・構築したのか、入出庫に対応するのかどうかは、S.BLOX の公開資料からは確認できていません。Midnight Foundation の書類作業についても、手続きの内容は公開されていません。

氏が日程の理由として挙げた「SALT」を Wyoming Blockchain Symposium と解したのは、本稿の推定です。動画中で会議名が明示されているわけではありません。

販売所と取引所のどちらの形式で提供されるのかは、今回のプレスリリースには記載がないため、本稿でも断定していません。価格・出来高の数値は扱っていません。

本稿は投資助言ではありません。

一次ソース・関連資料

  • Charles Hoskinson「Welcome to Midnight Sony (S.Blox)」(2026 年 8 月 23 日配信・4 分 27 秒)
    https://www.youtube.com/live/QRmcUr3DBqE
  • S.BLOX 株式会社プレスリリース「暗号資産取引サービスS.BLOX 国内初となるナイト(NIGHT)、およびカルダノ(ADA)の取扱いを開始」(2026 年 8 月 24 日 11 時 55 分)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000042886.html
  • Midnight 公式ブログ「Guide to the NIGHT token launch and Redemption」(2025 年 12 月 4 日・NIGHT のカルダノ上での発行と台帳ミラーの設計)
    https://midnight.network/blog/guide-to-the-night-token-launch-and-redemption
  • Midnight 公式「NIGHT token」
    https://midnight.network/night
  • Midnight 技術文書「DUST architecture」(DUST の生成条件と非移転性)
    https://docs.midnight.network/concepts/dust-architecture
  • GMO コイン「カルダノ(ADA)取扱開始のお知らせ」(2022 年 1 月 26 日)
    https://coin.z.com/jp/news/2022/01/8909/
  • SALT / Kraken「Wyoming Blockchain Symposium 2026」(2026 年 8 月 17〜20 日・登壇者一覧)
    https://www.salt.org/events/wyoming-blockchain-symposium-2026

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