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期限が、答えになる──賛成61%の提案が票を数えられずに終わり、1億2,000万ADAが動いた5日間:エポックな日々650

2026-08-23SIPO

エポック650(2026年8月18日〜8月23日)

序章:数えるのをやめる日が、先に来る

投票の結果は、賛成と反対の数で決まる——とは限りません。決まらないまま期限が来れば、そこで終わります。終わり方は「否決」ではなく「期限切れ」です。反対が多かったからではなく、数え終える前に時計が止まったから、その提案はもう存在しなくなります。

エポック650は、それが実際に起きた5日間でした。

ハードフォークに「von Bergen」という名前を付けるだけの提案が、賛成61.28%、投票済みの反対0.04%のまま期限切れになりました。誰も反対していません。それでも通っていません。一方で、前のエポックで批准されたまま止まっていた1億2,000万ADAの引き出しは、この5日間に執行済みとして記録されました。同じ期間に、9月1日という別の期限が2件の提案にかかり、そのうち1件は「最終エポックまで批准できない」という設計であることが分かりました。そして、Dijkstraの「2026年内」という目標に、初めて留保がつきました。

前回のエポック649を、SIPOは「動かす人が、要る」の5日間として記録しました。可決された1億2,000万ADAが批准のまま止まり、橋が開き、委員会の席が問われた——決めたことを動かすには、人と手続きと道具が要るという回です。

エポック650で分かったのは、その次のことです。人と手続きが揃っていても、揃うまでの時間が有限であること。そして期限が来たとき、答えを出すのは票ではなく時計だということ。

軸は「期限が、答えになる」です。

市場のほうでも、似た形のことが起きました。この5日間、ADAは記録のうえで+31.6%動いています。動かしたのは暗号資産の側の出来事ではなく、米国の財務当局が国債の買い戻し枠を広げるという別の決定でした。そしてその決定が長期金利に与えた効果は、48時間で消えています。引き金は戻り、動いた値段は戻っていない。 第7章で、記録として並べます。

第1章:1億2,000万ADAは執行された。財務の残高は、まだそう言っていない

エポック649の記事の終章で、SIPOは7つの確認点を挙げました。その一番目が「PRIMEの執行」です。

対象は、AlphaGrowth の Cardano PRIME に1億2,000万ADAを引き出す財務引出アクション(Action ID: gov_action122wue2k65qq8gmpz795z2axt8apka6ay6xt3pwg8jxj5yfkujmtsqvlfpu7)です。前号の時点では、批准エポックが649として記録され、執行エポックは立っていませんでした。前号はこう書いています——確認時点がエポック649終了境界の43分後で、集計への反映待ちと、執行そのものが起きていないことを分けられない。だから答えを出さない。

今回、答えが出ました。

2026年8月23日7時25分(日本時間)の取得時点で、このアクションの執行エポックは650として記録されています。提出はエポック642、期限は649、批准が649、執行が650。1億2,000万ADAの引き出しは、エポック650のあいだに執行済みの状態へ移りました。

票の内訳は前号から動いていません。閾値は67%です。

区分投票力割合
賛成3,678,476,395.10 ADA80.10%
明示的な反対352,139,395.62 ADA7.67%
No Confidence171,179,298.20 ADA3.73%
未投票390,547,910.60 ADA8.50%

批准の分母は4,592,342,999.51 ADA。票数では賛成154票・反対39票で、棄権12票は分母の外です。憲法委員会は賛成6・反対0・未投票1。投票はすでに終わっていたので、この5日間に動いたのは票ではなく、状態のほうだけです。

残高のほうは、まだ動いて見えません

前号でSIPOは、Treasury残高がこの執行を映す数字の一つになると書きました。そこで並べます。

各エポックの集計に載った財務残高は、1,444,502,386 ADA(エポック647基準)→ 1,446,440,676 ADA(648基準)→ 1,450,053,249 ADA(649基準)→ 1,453,739,191 ADA(650基準・データ基準日2026年8月21日 23:59:53 UTC)と推移しています。増分は約194万→約361万→約369万ADA

増え続けています。1億2,000万ADAの減少は、この数字の並びには現れていません。

二つの記録は同じ期間を別の角度から映しているはずのものです。片方は執行済みと言い、もう片方は残高が増えたと言っています。基準日である8月21日はエポック650の期間内にあり、執行エポックが650である以上、本来なら反映されていておかしくないタイミングです。

それでも、原因は断定しません。 集計側の反映の遅れなのか、執行の記録と残高の更新が別の時点を指しているのか、この記事が手元に持っている数字だけでは分けられないからです。分けられないことを分けられたように書かないのが、この連載が続けている姿勢です。

執行済みという記録は立ちました。残高がそれに追いつくかどうかは、次のエポックの数字で確認します。

第2章:賛成61.28%、反対0.04%、それでも終わった

エポック649の終章で挙げた4番目の確認点は、ハードフォーク名称提案「von Bergen」でした。前号はこう書いています——期限はエポック651。閾値100%に対して賛成52.97%・未投票42.54%。情報提案がどう終わるかの実例になります。

実例になりました。

このアクション(Action ID: gov_action1fzatpjn3e3r09mjzzfptznef9wxg8q4a5uraq04xvfjyhmfzhzfsqqgfc9h)は、エポック651で期限切れになりました。取得時点の状態は「期限切れ」、期限切れエポックは651です。批准も執行も記録されていません。

終わったときの数字を、そのまま置きます。閾値は100%です。

区分投票力割合
賛成2,317,507,549.95 ADA61.28%
明示的な反対1,370,179.13 ADA0.04%
No Confidence162,263,149.47 ADA4.29%
未投票1,300,541,808.03 ADA34.39%

批准の分母は3,781,682,686.58 ADA。票数では賛成124票・反対2票で、棄権23票は分母の外です。憲法委員会は賛成0・反対3・未投票3でした。

前号の時点は賛成52.97%・未投票42.54%でしたから、この5日間でも賛成は8ポイント増え、未投票は8ポイント減っています。最後まで、票は集まり続けていました。 それでも足りませんでした。

「反対されて終わった」ではありません

読み違えやすいところなので、分けて書きます。

投票済みの反対は0.04%です。ADAの量にして137万ADA、票数にして2票。1万人が集まる会場で、4人が手を挙げた程度の比率です。この提案は、反対されて止まったのではありません。

止めたのは閾値です。情報アクション(Info Action)の可決には100%が要ります。批准計算の分母に含まれる委任のうち、棄権を除いた全部が賛成に回らなければ通らない、という設定です。未投票が1ADAでも残れば届きません。

構造上、これは「名前が良いか悪いか」を問う仕組みになっていません。情報アクションは、賛否を集計はしますが、可決を目的にした設計ではない——今回の結末は、そのことをいちばん分かりやすい形で示しました。名称提案としては誰にも嫌われず、制度としては最初から通らない場所に置かれていた、ということです。

憲法委員会が賛成0・反対3だった点も併記しておきます。委員会の側は、賛成には回っていません。ただし情報アクションは委員会の票でも可決されない設計なので、この反対が結果を決めたわけでもありません。

記録として残るもの

期限切れになった提案は、消えます。名前は決まっていません。プロトコルバージョン12のハードフォークをどう呼ぶかは、この提案の外側で改めて決められることになります。

一方で、記録は残ります。124のDRepが賛成し、2つが反対し、34.39%が投票しなかった。「誰も反対していないのに通らなかった」という事実は、次に情報アクションを出そうとする人が最初に見る前例になります。

エポック649の終章で、SIPOはこう書きました——反対されて止まるのではなく、誰も動かさないから止まる。これは投票では表現できない種類の停止です。 von Bergen は、その文がそのまま形になった一件でした。

第3章:9月1日にかかっている2件と、SPOの独立した51%

期限切れが一つ起きた同じ週に、別の期限が近づいています。

9月1日・エポック653。ここに2件のガバナンスアクションが同時にかかっています。「Update Constitutional Committee 2026」(2026年憲法委員会の更新)と、「Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)」(minPoolCostの75 ADAへの引き下げと、Plutusメモリ上限の引き上げ・第2部)です。

8月21日、Cardano財団がこの2件について、ステークプール運営者へ直接投票を呼びかけました。呼びかけの中心にあったのは、次の一文です。

Cardano’s governance is also driven by Stake Pool Operators. On Constitutional Committee changes and critical protocol parameters, SPOs are a separate voting body with their own threshold. Nothing passes without you.

(Cardanoのガバナンスは、ステークプール運営者によっても動かされています。憲法委員会の変更と重要なプロトコルパラメータについて、SPOは独自の閾値を持つ独立した投票主体です。あなたがたなしに通るものはありません)

「独自の閾値」は言葉のあやではなく、実在する数字です。SIPOが8月22日の記事で確認したところ、エポック650時点のプロトコルパラメータで、憲法委員会の更新に必要なSPO閾値は51%、セキュリティ関連パラメータ変更に必要なSPO閾値も51%でした。DRep側は別に設定されていて、委員会更新が67%、パラメータ変更はグループごとに67%から75%です。2つの集計は独立して走ります。片方が閾値を超えても、もう片方が超えなければ可決されません。

SPOが呼ばれている理由は、固定費ではありません

ここは読み違えやすいところです。パラメータ変更のほうは名前に minPoolCost が入っているため、プール運営の固定費の下限がSPOを投票に引き入れているように見えます。

違います。

CIP-1694 は、SPOの票を必要とする「セキュリティ関連プロトコルパラメータ」を列挙しています。maxBlockBodySize、maxTxSize、maxBlockHeaderSize、maxValueSize、maxBlockExecutionUnits、txFeePerByte、txFeeFixed、utxoCostPerByte、govActionDeposit、minFeeRefScriptCostPerByte の10個です。minPoolCost は、この一覧に入っていません。 入っているのは maxBlockExecutionUnits——今回の提案が引き上げようとしている、ブロック1つあたりの実行上限のほうです。

つまりSPOがこのアクションで投票権を持つのは、自分たちの報酬の下限が議題だからではなく、ブロックに詰め込める仕事量の上限が議題だからです。束ねられた2つの変更のうち、SPOを投票主体に引き入れているのはPlutus側でした。

minPoolCost:賛成45.21%、未投票48.11%

前号の3番目の確認点が、この提案でした。「DRep賛成32.97%が67%へ届くか」。

取得時点(2026年8月23日7時25分・日本時間)の数字を置きます(Action ID: gov_action14dr5yg75pchr2sz42djtuflpvx5qnsek29qg7s7cft8lzrqt5vrqqtqntpk)。

閾値は67%、期限はエポック653です。

区分投票力割合
賛成1,945,324,831.84 ADA45.21%
明示的な反対125,649,667.51 ADA2.92%
No Confidence161,785,643.89 ADA3.76%
未投票2,069,986,734.22 ADA48.11%

批准の分母は4,302,746,877.46 ADA。票数では賛成104票・反対15票で、棄権10票は分母の外です。憲法委員会は賛成3・反対0・未投票4。

前号は賛成32.97%・未投票62.05%でした。5日間で賛成が12.24ポイント伸び、未投票が13.94ポイント減っています。 前々号から続けて、2エポック連続で二桁の伸びです。

そして、伸び方の性質が見えます。投票済みの反対は1.03%から2.92%へ増えましたが、それでも3%に届きません。 この提案の前に立っているのは反対ではなく、まだ投票していない48.11%のほうです。閾値67%まで残り21.79ポイント。それを未投票の側から引き出せるかどうか、という一点に収束しています。

内容の賛否を戦わせる局面は、すでに過ぎています。いまは、投票そのものが行われるかどうかの局面です。

SPO側の集計については、この記事が使う数字の並びでは分母を明示できる形になっていないため、割合は出しません。 SIPOは8月22日のWeekly Brief #20でSPO側の推移を扱っています。数字はそちらに置きます。

第4章:委員会の更新は、最終エポックまで批准できない

前号の2番目の確認点は、憲法委員会の入れ替えでした。「期限は9月1日・エポック653。残りはわずかです。DRepとSPOの票が集まるか。集まらなければ、次のエポックからガバナンスが2種類の議題しか通せなくなります。この5日間で最も期限が近く、最も影響が広い一件です。

票の集まり方については、今回も数字を出せていません。 このアクション(Action ID: gov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5)の投票状況は、この記事が数値の土台にしている集計へ取り込めていないためです。取り込めないものを推測で埋めない、という理由で空欄にしています。現在の集計は、提案ページで直接確認できます。

その代わり、この5日間で条件のほうが大きく分かりました。 そして分かった条件は、前号の見立てを一つ書き換えるものでした。

早く通しても、通らない

このアクションの提案文書自体に、次のことが書かれています。

委員会更新のアクションは、新しい委員それぞれの任期満了エポックを固定値としてチェーン上に置きます。実際の任期は「その満了エポック − 執行されたエポック」であり、台帳はこの任期が committeeMaxTermLength(現在146エポック)以下であることを要求します。

今回のアクションは任期を上限いっぱいの146エポックに設定しています。すると何が起きるか。満了エポックが固定されている以上、早く執行すればするほど、任期は長くなります。 早い執行 = 早く始まって同じ日に終わる = より長い任期、です。146エポックを超える任期は台帳が拒否します。

したがって、このアクションが有効な任期を持てる執行エポックは、その生存期間の最後の1回しかありません。閾値が早く満たされても関係ありません。提案文書は「批准は、閾値にどれだけ早く到達したかにかかわらず、このアクションの最終エポックで起きる」と明記しています。

つまり、このアクションが「まだ批准されていない」ことは、票が足りていないことの証拠ではありません。 仕様どおりの待機です。前号でSIPOは、委員会の席が埋まらないことを「動かす人が足りないときに起きること」の例として並べました。その読みは、少なくともこの一件については当たっていませんでした。ここで訂正します。

ただし、提案文書は同時にこうも書いています——このしくみは投票の時期には影響しない。DRep・SPO・憲法委員会は、いつもどおり投票を進めるべきである。 待つのは批准のタイミングであって、票を集める作業ではありません。期限までに票が揃っていなければ、最終エポックが来ても批准するものがない、という関係です。

委員会が投票しない、という条件

もう一つ、構造として押さえておく点があります。憲法委員会の更新アクションでは、憲法委員会自身は投票主体に入りません。 決めるのはDRepとSPOの2者だけです。

第3章で見たとおり、この2件は同じ9月1日に期限を迎えますが、可決の条件は違います。パラメータ変更は憲法委員会・DRep・SPOの3者、委員会更新はDRepとSPOの2者。2件をまとめて語るときに、この違いを混ぜないようにします。

期限は、Dijkstraの日程に触れます

そして、この一件が委員会の話にとどまらないことが、この5日間にはっきりしました。

Intersect の週次アップデート #125(8月21日公開)が、この投票中のアクションについてこう書いています。

With this action due to expire on September 1, failure to ratify and enact it could interrupt Cardano’s governance continuity and consequently affect the Dijkstra timeline.

(このアクションが9月1日に期限を迎えるため、批准・執行に至らなければCardanoのガバナンスの連続性が途切れ、結果としてDijkstraの日程に影響しうる)

この因果を主張しているのは外部の観測者ではなく、Intersect 自身です。理由は次章とつながります。Dijkstra の作業には憲法上の変更の定義が含まれており、憲法にかかわる変更を審査する主体が定数を割ってしまえば、その審査は進みません。

9月1日は、委員の名簿の締切であると同時に、ハードフォークの日程に触れる締切でもあります。

第5章:「2026年内」に留保がつき、同じ週に測る器が置かれた

Dijkstra の日程は、この5日間に二度書かれました。書き方が変わりました。

8月18日、Cardano 公式は Dijkstra 時代の計画について、第1弾(Nested Transactions と Linear Leios)を2026年内、Peras を2027年Q2に置く二段構えを示しました。SIPOは翌19日に「公式が二週続けて同じ言葉を使いました」と記録しています。目標としての「2026年内」は、繰り返し確認されていた言葉でした。

8月21日、週次アップデート #125 が次のように書きます。

The Haskell node teams remain committed to achieving enactment in 2026, although the timeline carries risk around the availability of a node release candidate. Stability and release quality remain the priority.

(Haskellノードのチームは2026年内の発効に引き続きコミットしている。ただし日程には、ノードのリリース候補が用意できるかどうかというリスクがある。安定性とリリース品質が引き続き優先される)

目標そのものは動いていません。動いたのは、目標に添えられた但し書きのほうです。

直前の2週と並べると差がはっきりします。#123(8月7日)は目標だけを述べ、#124(8月14日)は「合意された範囲も目標日も変わっていない」と報告していました。この2週には、日程に添えられた留保はありません。#125 は、同じ言葉に条件を一つ足した回です。

「リリース候補」という一点

留保が置かれた場所を見ます。リスクとして名指しされたのは「ノードのリリース候補の availability」です。リリース候補とは、開発途上のビルドではなく、これで本番に出せるという前提で外部に配られる版を指します。

SPOの側から見ると、この版が出て初めて、自分のプール環境での検証を本番と同じ条件で始められます。 逆に言えば、リリース候補が出るまで、エコシステム側の準備には待つしかない部分が残ります。日程のリスクがここに置かれたということは、開発の終わりではなく、開発から検証への受け渡しの一点に不確実性が集まっている、という意味になります。

そして「安定性とリリース品質が引き続き優先される」の一文は、優先順位の宣言です。日程と品質のどちらかを選ぶ場面が来たときに後者を取ると、先に述べている。日程が動きうることを認める側の書き方であり、動いた場合の理由をあらかじめ示しておく書き方でもあります。

同じ節には、もう一つ新しい要素があります。Dijkstra の準備状況を追うトラッカーの初期版が置かれ、今後より詳細な判定基準とエコシステム側の報告を加えて拡張していく、と書かれました。#125 の本文には公開先も、現時点で何を測っているのかも記載がありません。確認できるのは「置かれた」ところまでです。

それでも、この一行は小さくありません。ハードフォークが間に合うかどうかは、これまで各チームの内部感覚と週次の文章に依存していました。判定基準が明文化され、エコシステム側の報告が乗れば、同じ問いを外側からも数えられるようになります。留保が付いた週に、留保の中身を測る器も置かれた。この二つは対になっています。

説明が、実測に変わりました

同じ週、スケーリングの話にも数字が付きました。

Essential Cardano の週次開発レポート(8月21日付)が、Leios のテストネット MusashiNet について Earth フェーズの実測をまとめています。6月23日の立ち上げから41日127,000超のブロック8,000近いオンチェーン証明書、参加プールは3から63へ。8週間で12のリリースが出ており、内容は連続運転で出た問題への対処——負荷が続いたときのメモリリークの解消、証明書検証の安定化、ブロックの重複した再エンコードの除去、mempool の作り直し。いずれも「動くかどうか」ではなく「動かし続けられるか」に属する修正です。

見出しになった「約6倍」の中身も、レポートに書かれています。合成的な負荷をかけた条件下でネットワークが26.8 TxkB/s に達し、比較対象として置かれたのが4.51 TxkB/s——Praos だけでメインネットが到達しうる値です。この2つの比が「約6倍」です。

同一条件での実測どうしの比較ではありません。 片方はテストネットに合成負荷をかけたときのピーク、もう片方はメインネットが現行方式で到達しうる上限値であり、実際にメインネットで測った日常の処理量ではありません。加えて、開発チーム自身の計測であり、第三者が同じ条件で再現した結果でもありません。

それでも、意味はあります。設計の主張が、測定値に変わりました。 8月8日の時点で書けたのは「性能を測れる場所ができた」までで、今回はその場所で実際に測定が行われ、値が公開されました。Earth フェーズで入った変更は Water フェーズでの検証に回されます。次に見るのは、Water フェーズでの実測値、メインネットへの道筋をまとめた文書の公開、そして第三者環境での再現です。3つ目が出てきたときに、「約6倍」という短い表現をそのまま使ってよいものになります。

第6章:入口の締切が、同じ数週間に並びました

期限の話は、ガバナンスの外側にも並んでいました。

8月20日15時(日本時間)、Catalyst Pilot の応募受付が閉じました。 8月9日に開いた枠で、1件あたりの助成額は5万ADAから20万ADA。支払いは実際に使われた度合いに連動する設計で、公式の説明では「あなたの統合が本当に使われるほど、助成のうち受け取れる分が増える」とされています。作って終わりではなく、使われて初めて満額になる、という考え方です。

前号の6番目の確認点は「応募が何件集まり、採択の10〜15チームがどう埋まるか」でした。締切は過ぎましたが、応募件数はこの5日間の公開情報では確認できていません。持ち越します。

同じ週に、配分を決める側の入口も開きました。Cardano財団は、Catalyst Pilot の Decision Panel に技術面・ビジネス面の経験を持つ人を募りました。エコシステム各所の実務者で構成され、コミュニティのキュレーターと並んで資金配分の判断をします。関与期間は8月末から9月初め。公式案内では、提案を出す側とPanelに入る側は兼ねられないと明示されています。どちらの椅子に座るかを選ぶ設計です。

さらにもう一段上の席も動きました。Intersect が8月19日、理事会の2席について選挙を実施すると発表しています。応募期間は8月31日12時(UTC)から9月11日12時まで、投票は9月14日12時から9月25日12時まで、結果公表は9月28日。任期は2年。理事会は7名で構成され、うち4名が会員による選挙で選ばれます。投票には180日以上の在籍と良好な会員資格、本人確認の完了が必要で、席に応募する側にはこれに加えて、Intersect の委員会で議決権を持つ委員を1期以上務めた経験、または理事の経験が求められます。

そして Cardano 財団は、Draper University との10週間プログラム「Apex」——Orion Fund につながる入口——の申込期限を9月1日に置きました。

四つ並べると構図が見えます。 助成を受け取る入口が8月20日に閉じ、その配分を決めるPanelの入口が8月末に閉じ、加速プログラムの入口が9月1日に閉じ、組織の意思決定そのものを担う理事の入口が8月31日に開く。お金の流れと、それを決める人の選び方が、同じ数週間の中で連続して問われています。

数字で示された、開発者の側

制度の入口と並んで、人の入口の側にも数字が出ました。

8月18日、Midnight は Electric Capital の開発者レポートを引いて、アクティブ貢献者が前年比+325%であると示しました。SIPOは翌19日、この数え方がリポジトリのタグ付けに基づくものであることを添えて記録しています。増え方そのものより、何をどう数えた数字なのかを併記するのが、この種の指標を扱うときの作法です。

8月20日には、MLH と共催したハッカソンの結果が公開されました。84チーム・48時間・7受賞。8月18日には AKINDO との Buildathon の共催が告知され、ワークショップが8月26日、ビルド期間が8月27日から。助成金と Build Club への導線が一本につながる形です。

8月22日には、SIPO 自身が Midnight Japan を迎えたワークショップを開催し、その内容を2本の記事として公開しました。「なぜ今、Midnight なのか——プライバシーの歴史と、AIが支払う時代のこと」と「AI × Privacy 何を隠し、何を証明するか——AIにお金を任せる時代の、”見せ方”のデザイン」です。

同じ週、Charles Hoskinson 氏は SALT Wyoming Blockchain Symposium の壇上で、エージェント金融の時代における「秘匿・検証可能・説明責任」を問いに置いています。AIが支払いを代行する時代に、何を隠し、何を証明するのか——制度の締切が並ぶ週に、その制度が何のためにあるのかを問う議論も同じ場所で進んでいました。

第7章:エポック650 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック650期間・8月18日〜8月22日の日次記録)

はじめに一点、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」は記録上の最高であって、日中の高値ではありません。また株式・金利・商品の記録は市場が閉じているあいだ直前の値が据え置かれます。この期間の株式系の最終記録は8月21日時点の値です。

この5日間は、記録のうえで大きく動きました。

ADAは記録の初日8月18日に$0.173462、最終日8月22日に$0.228275+31.6%です。期間の記録での最高は最終日の$0.228275、最安は8月19日の$0.172952でした。

エポック境界の確定値では、エポック649終了時の$0.174053からエポック650終了時の$0.225636へ、+29.6%。時価総額は$6.50bから$8.46b+30.1%。ADA/JPYは¥35.87、そのときのUSD/JPYは158.97です。前号は境界価格で−3.8%、前々号は−10.2%でした。3エポックぶりに向きが変わり、変わり方が大きく出ました。

$NIGHTは$0.01711 → $0.02213(+29.3%)。ADAとほぼ同じ幅で上げています。

BTCは$64,253 → $78,513(+22.2%)、ETHは$1,902.76 → $2,532.35(+33.1%)前号・前々号はADAの下げ幅がBTC・ETHより大きく出ていました。今回は上げの局面で、ADA(+31.6%)がBTC(+22.2%)を上回り、ETH(+33.1%)とほぼ並んでいます。 2エポック続いた「下げでADAのほうが大きい」という記録は、上げの回で反転しました。原因は断定しません。事実として記録し、次のエポックで水準が続くかを見ます。

他の暗号資産も同じ方向です。XRPが+43.0%、FETが+35.6%、LINKが+28.9%、SOLが+24.1%、AVAXが+23.9%、ALGOが+23.5%、DOTが+23.3%。ATOM(+12.7%)とICP(+11.6%)は伸びが小さく、WLFI(+4.8%)はほとんど動いていません。

株式は、逆方向でした。 S&P500が7,745.06 → 7,674.37(−0.9%)、ナスダックが26,644.91 → 26,180.46(−1.7%)、ダウが53,459.78 → 53,277.01(−0.3%)。日経平均先物は69,140 → 65,980(−4.6%)と、この期間で最も大きく下げた指標です。VIXは15.19から15.13へほぼ横ばい。暗号資産が2割から4割上げた同じ5日間に、株式は下げています。「全体がリスクオンになった」という記録ではありません。

金も上げました。$4,471.90 → $4,661.60(+4.2%)。期間の記録では8月19日の$4,391.30が最安で、そこから最終日の$4,661.60が最高です。暗号資産と金が同じ方向へ動き、株式が逆へ動いた——記録として、この形が残りました。

為替と金利では、ドル指数(DXY)が99.581から98.839(−0.8%)へ低下、USD/JPYは159.405から158.862へほぼ横ばい。米10年債利回り(TNX)は4.724%から4.738%へ小幅上昇していますが、期間中は8月20日の4.653%が最安で、いったん下げてから戻っています。

日本国債は、記録のうえで上げてから下げました。10年は2.878%で始まり、8月20日に2.934%まで上げ、最終日は2.854%。30年は4.002%から8月20日に4.096%、最終日は3.995%です。節目の4%台に一度乗って、戻っています。 日米10年金利差は1.846から1.884へ拡大しました。

商品では、WTIが$85.26 → $86.64(+1.6%)、ブレントが$91.37 → $93.87(+2.7%)。暗号資産関連株のCOINは150.55 → 186.49(+23.9%)で、暗号資産本体とほぼ同じ幅で上げています。

記録上の地合いは、5日間のうち4日が「リスクオン——BTC・ETH上昇・VIX低位安定」、1日(8月19日)が「方向感薄い横ばい局面」でした。前号は方向が定まらないまま終わりましたが、今回は一方向です。

何が引き金だったか

この記録の背景として、SIPO・SITIONが同じ期間に扱った出来事を1つ挙げておきます。米国の財務当局が、長期国債の買い戻し枠の上限を引き上げると発表しました。これを受けて長期金利が低下し、暗号資産のショートポジションが大規模に清算されています。SITIONは8月21日に「ビットコインの上昇を作ったのは買いではなく建玉だった」「ショートが焼けた同じ日、ビットコインの現物ETFには5.17億ドルが入っていた」と記録しました。

そして翌8月22日、SITIONは「買い戻しを倍にしても、長期金利は48時間で戻った」と書いています。引き金となった金利の動きは戻り、動いた値段のほうは戻っていません。 上の記録で米10年債利回りが「いったん下げてから戻っている」のは、この形です。

この上げが金利の見通しに支えられたものなのか、ポジションの巻き戻しが作ったものなのかは、この記録だけでは分けられません。 次のエポックで水準が保たれるかどうかを見ます。

Cardano オンチェーンKPI(Dune Analytics経由)

※自動集計の基準日は2026年8月21日 23:59:53 UTC(エポック650の期間内)です。この日は金曜にあたります。 前号の基準日は日曜(8月16日)でしたので、取引件数の比較には曜日の差が含まれます。ステーキング関連はエポック650:100%時点の実測を第9章に併記します。

  • ステーキング率:57.54%(Dune算出・8月21日基準)/エポック650:100%時点の実測では56.66%
  • Nakamoto係数:164(前回164・4回連続で横ばい
  • 日次トランザクション:40,063(8月21日・金曜)/前号の基準日は13,228でしたから、約3.0倍
  • アクティブアドレス:20,900/前号の9,513から約2.2倍
  • Script Tx比率:31.39%/前号の32.05%からわずかに低下
  • ステーブルコイン総額:$62.94M(USDCx $44.34M/USDM $9.64M/USDA $4.45M/Djed $2.21M/iUSD $1.58M/USDC $0.54M ほか)/前号の$62.55Mから約0.6%増
  • Treasury残高:1,453,739,191 ADA(エポック650基準)/前号の1,450,053,249 ADAから約369万ADA増
  • ガバナンス:提案中 6件/批准 0件/失効 69件(8月21日 23:59:53 UTC 基準)

三つ、読みを添えます。

取引件数とアドレスは、水準の低下ではありませんでした。 前号の7番目の確認点は「13,228件・9,513・32.05%が日曜による落ち込みなのか、水準そのものの低下なのかを、平日基準の点をもう一つ置いて分ける」でした。置きました。金曜基準で40,063件・20,900です。

直近の平日基準を並べると、8月6日(木)21,636件・11,310、8月11日(火)16,946件・9,765、8月16日(日)13,228件・9,513、そして8月21日(金)40,063件・20,900平日どうしで比べても、8月21日は直前の2つの平日の倍前後にあります。 日曜の落ち込みという説明では足りません。同じ日にADAが記録のうえで大きく上げていることを考えると、価格の動きと同じ時計で動いた可能性のほうが高いように見えますが、1点だけで結論は出しません。次のエポックで、この水準が続くかどうかを見ます。

ステーブルコインは、また横ばいでした。 総額は$62.55Mから$62.94Mへ約0.6%増。USDMは$9.63Mから$9.64Mで、ほとんど動いていません。前号の5番目の確認点は「橋は開いた。次のエポックで、渡る側の数字が動くか」でした。動いていません。2エポック続けて、経路は開いたまま、量は動かないという記録です。

Treasuryは約369万ADA増えました。 第1章で見たとおり、この期間に1億2,000万ADAの引き出しが執行済みとして記録されています。それでも残高は増えています。この2つが一致するのを見るのは、次号です。

SIPO DRep 活動

SIPO DRepの投票力は、2026年8月23日の確認時点で約₳88.17Mです(active・有効期限エポック667・委任者367名)。エポック649記事の時点では約₳88.70M・370名でしたから、₳0.53Mほど減り、委任者は3名減っています。 取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

同じ5日間にADAは境界価格で+29.6%動いていますが、DRepの投票力はADAの量で数えるため、価格の影響を受けません。減ったのは委任そのものです。

第8章:エポック650 配信記事の紹介

エポック650(8月18日〜8月23日)にSIPO・SITIONの各アカウントから配信した主な記事です(暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋)。

日付媒体種別タイトルURL
8/18@SIPO_Tokyoエポックな日々動かす人が、要る──1億2,000万ADAが批准のまま止まり、橋が開き、委員会の席が問われた5日間https://sipo.tokyo/epoch-649/
8/18@SIPO_TokyoDaily IntelDijkstra は一度に来ません|Linear Leios を 2026 年内、Peras を 2027 年 Q2 に分けた二段構えですhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2089489039703552244
8/18@SIPO_TokyoSignalMidnight が AKINDO と Buildathon を共催します——助成金と Build Club への導線が一本につながりましたhttps://sipo.tokyo/signal-20260818-67fa7b90/
8/18@SIPO_Tokyo速報Cardano、Dijkstra時代の開発計画を進行中https://sipo.tokyo/breaking-x-2089717978443006328/
8/19@SIPO_TokyoDaily IntelMidnight に来ているのは価格ではなく開発者です|第三者データが示した 3 年で 6.9 倍という増え方https://sipo.tokyo/daily-intel-20260819/
8/19@SIPO_TokyoSignalDijkstra 第 1 弾の目標は 2026 年末の「メインネット」です——公式が二週続けて同じ言葉を使いましたhttps://sipo.tokyo/signal-20260819-863e24e4/
8/19@SIPO_TokyoSignalMidnight が開発者の伸びを数字で示しました——アクティブ貢献者は前年比 +325%、その数え方はリポジトリのタグ付けですhttps://sipo.tokyo/signal-20260819-c52d15bd/
8/19@SITIONjpDaily Intel法律が止まった週に、規則が動いた|SEC が初の暗号資産ルールブックを提案https://x.com/SITIONjp/status/2089860861129359727
8/20@SIPO_TokyoDaily Intelお金を受け取る側の締切が今日、配分を決める側の募集が今月末ですhttps://sipo.tokyo/daily-intel-20260820/
8/20@SIPO_TokyoSignalIntersect 理事会の 2 席が選挙にかかります——立候補には委員会で議決権を持った経験が要りますhttps://sipo.tokyo/signal-20260820-50529165/
8/20@SIPO_TokyoSignalOrion Fund の入口に締切がつきました——Draper University の10週間プログラム「Apex」は9月1日が申込期限ですhttps://sipo.tokyo/signal-20260820-4361d7b8/
8/20@SIPO_TokyoDeep DiveSecondFi の移行ツールが公開されました——手順は 4 ステップ、委任は両方外れ、NIGHT の受け取り先は変更できませんhttps://sipo.tokyo/secondfi-migration-tool-now-live-guide/
8/21@SIPO_TokyoDaily Intel代理で動くのが AI なら、プライバシーは誰が決めるのか|Midnight ハッカソンで 7 プロジェクトhttps://sipo.tokyo/daily-intel-20260821/
8/21@SIPO_TokyoSignalLeios のテストネットが41日で12万7千ブロックを積みました——合成負荷での処理量はメインネットの約6倍ですhttps://sipo.tokyo/signal-20260821-dc4562b5/
8/21@SIPO_TokyoSignal84 チーム・48 時間・7 受賞——Midnight のハッカソンが示したプライバシー実装の現在地https://sipo.tokyo/signal-20260821-daaab517/
8/21@SIPO_TokyoSignalエージェント金融の時代は来る——ホスキンソン氏が SALT で置いた問いは「秘匿・検証可能・説明責任」でしたhttps://sipo.tokyo/signal-20260821-4edce2e4/
8/21@SIPO_TokyoSignalSugar Rush のテストネットが月曜に立ち上がります——Sundae Labs が 5,000 ドル超を出す 2 週間の取引コンペつきですhttps://sipo.tokyo/signal-20260821-12e917d8/
8/21@SIPO_TokyoDeep Diveなぜ今、Midnight なのか——プライバシーの歴史と、AIが支払う時代のことhttps://sipo.tokyo/post-47502/
8/21@SIPO_TokyoDeep DiveAI × Privacy 何を隠し、何を証明するか——AIにお金を任せる時代の、”見せ方”のデザインhttps://sipo.tokyo/post-47504/
8/21@SIPO_Tokyo速報Cardano、ステークプール運営者による重要な投票が9月1日で期限切れhttps://sipo.tokyo/breaking-x-2090793650833772841/
8/21@SITIONjpSignal米財務省が10-30年ゾーンの買入上限を倍にした——長期金利と金を動かしたのは金利見通しではなく、買い手の側だhttps://x.com/SITIONjp/status/2090530560011837778
8/21@SITIONjpSignalビットコインの上昇を作ったのは買いではなく建玉だった——清算の9割超がショートに集中したhttps://x.com/SITIONjp/status/2090531817841709378
8/21@SITIONjpSignalショートが焼けた同じ日、ビットコインの現物 ETF には 5.17 億ドルが入っていたhttps://x.com/SITIONjp/status/2090533327942127719
8/22@SIPO_TokyoDaily Intelスケーリングの話が、説明から実測に変わりましたhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2090913835419124168
8/22@SIPO_TokyoSignalSPO の票は、独立した 51% です——Cardano 財団が期限前に呼びかけた 2 件と、DRep 賛成 43.29%https://sipo.tokyo/signal-20260822-bb2d504c/
8/22@SIPO_TokyoSignalDijkstra の「2026 年内」に、Intersect が留保をつけました——ノードのリリース候補が出せるかというリスクですhttps://sipo.tokyo/signal-20260822-0111968d/
8/22@SIPO_TokyoWeekly BriefWeekly Brief #20|SPO は動いた、それでも 51% は遠いhttps://sipo.tokyo/weekly-brief-20/
8/22@SIPO_TokyoWeekly Brief (EN)Weekly Brief #20|The SPOs Moved, and 51% Is Still Far Awayhttps://sipo.tokyo/language/en/weekly-brief-20-en/
8/22@SIPO_Tokyo速報Intersect Weekly Update #125を公開、Dijkstra進捗など報告https://sipo.tokyo/breaking-x-2090934520287551794/
8/22@SITIONjpSignalトランプがCLARITY法の可決を議会に求めた——SECは前日、法案を待たずに州法を上書きする規則を提案していたhttps://x.com/SITIONjp/status/2090906070592131112
8/23@SIPO_TokyoDaily Intel9月1日まで一週間、まだ半分が投票していません|minPoolCost は賛成45.17%・未投票48.14%https://sipo.tokyo/daily-intel-20260823/
8/23@SIPO_TokyoSignalFluid V4 で $FLDT 保有者の bot が清算役になりますhttps://sipo.tokyo/signal-20260823-4e02b5a5/

(このほか、@SIPO_Tokyoは毎朝のDaily Intelと随時の速報、@SITIONjpは12指標・Daily Intel・Signal、@LifeMakersComはAIを中心としたDaily Intel・Signal・星読みをこの期間も配信しています)

第9章:エポック650 終了時点 ステーキング動向

今回も境界の直後に取得しています。エポック650の終了境界は2026年8月22日21時44分51秒(UTC)、取得は日本時間8月23日7時25分です。ブロック数・ネットワーク集計・境界のADA価格に加え、ライブステーク・有効ステーク・委任者数も境界に近い時刻の値です。

SIPO 3プール合計は、有効ステーク ₳105.60M / ライブステーク ₳103.98M / 委任者 2,183名。エポック650のブロックは96(前エポックから−19)、Lifetime累計は46,847に達しました。

プール有効ステークライブステーク委任者ep650ブロックLifetime
SIPO₳44.25M₳43.23M1,1324419,921
SIPO2₳33.60M₳33.59M4823214,948
SIPO3₳27.75M₳27.16M5692011,978

ブロックは115から96へ、19減りました。 プール別ではSIPOが45→44(−1)、SIPO2が38→32(−6)、SIPO3が32→20(−12)です。

直近6エポックでは84(645)→94(646)→90(647)→94(648)→115(649)→96(650)と推移しています。前号の115は6エポックで最も多い数字でしたが、今回は90台へ戻りました。 前号で「3プールを束ねると90前後に収まる回が続いていたところに上振れが出た、次のエポックで水準が戻るかを見ます」と書いたとおり、戻っています。 ブロック生成は確率的なので、1エポック単位の増減に意味を読みすぎないようにしています。

有効ステークとライブステークの照合が、初めて成立しました

前号でSIPOは、この照合の判定を持ち越しました。理由は、比較の相手側が境界の値ではなかったからです。「基準がずれているときに『通った』と書かない」——それが持ち越した理由でした。

今回、両端が境界で揃いました。 エポック649の取得は日本時間8月18日7時27分、エポック650の取得は8月23日7時25分。どちらも境界の直後です。

照合は「エポックNの有効ステークが、エポックN−1終了時点のライブステークと一致するか」を確かめるものです。結果を置きます。

プールep650 有効ステークep649 ライブステーク
SIPO44,251,440.13 ADA44,251,440.13 ADA0 ADA
SIPO233,601,644.84 ADA33,601,644.84 ADA0 ADA
SIPO327,747,619.79 ADA27,747,619.79 ADA0 ADA

3プールとも完全一致です。 有効ステークは前エポック終了時点のライブステークで確定する——という理解が、両端を境界に揃えた状態で確認できました。前号で「判定は次号から行います」と書いた照合が、ここで初めて成立しています。

ライブステークは減り、委任者も減りました

ライブステークの合計は105,600,704.76 ADAから103,977,394.14 ADAへ、₳1,623,311減りました。内訳は、SIPOが₳1,020,382減、SIPO3が₳588,260減、SIPO2が₳14,669減で、3プールすべてが減っています。

委任者数の合計は2,196名から2,183名へ、13名減りました。内訳はSIPOが13名減、SIPO3が4名減、SIPO2が4名増です。

減り方の形を見ます。 SIPOは委任者が13名減り、ライブステークが約102万ADA減りました。1名あたりに均すと約7.8万ADAです。SIPO3は委任者4名減で約59万ADA減——1名あたり約14.7万ADAになります。少人数の、比較的大きな委任が抜けた形に見えます。

同じ5日間に、ADAは境界価格で+29.6%動いています。価格が3割上げた5日間に、委任は3プールとも減りました。 前号までSIPOは「価格と委任は別の時計で動く」と繰り返してきましたが、今回は逆向きに揃って動いています。上げ相場で保有ADAを動かす判断があれば、委任は一度外れます。ただし、これは形からの推測です。断定はしません。次のエポックで戻るか、続くかを見ます。

ネットワーク全体でも、同じ向きが出ています

ネットワーク全体では、エポック650の集計で総サプライ₳37.81b、総ステーク₳21.42b、ステークを持つプール2,677、ブロックを生成したプール945、総ウォレット5,949,960、総委任1,343,317。ステーキング率は57.06%(649)から56.66%へ低下しました。

注目すべきは総ステークです。₳21.57bから₳21.42bへ、約1億4,852万ADA減りました。 同時に総委任は1,347,376から1,343,317へ4,059件減っています。一方で総ウォレットは5,938,726から5,949,960へ11,234増えました。

ウォレットは増え、委任は減っています。 SIPOの3プールで起きたことと同じ向きが、ネットワーク全体でも出ています。ステーキング率が0.40ポイント下がったのも同じ動きの表れです。価格が3割上げた5日間に、ネットワーク全体でステークが1億4,000万ADA以上抜けた——記録として、これを残します。

ブロックを生成したプールは928から945へ17増えました。ステークを持つプールは2,678から2,677へ1減っています。参加者は増え、プールの数はゆっくり減る——前号から同じ向きが続いています。

終章:期限が、答えになる

エポック649の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

PRIMEの執行は、確認できました。取得時点で執行エポックは650として記録されています。前号は「集計への反映待ちと、執行そのものが起きていないことを分けられない」として判定を保留しましたが、今回はその保留が解けました。ただし、Treasury残高のほうは1億2,000万ADAの減少を映していません。 執行済みという記録と、増え続ける残高。二つは同じ期間の別の角度の記録で、いまは一致していません。片方だけを答えとしては扱いません。

憲法委員会の入れ替えは、票の内訳を今回も確認できていません。 ただし、前号の見立てを一つ訂正します。このアクションが批准されていないのは、票が足りないからではありません。任期の上限が146エポックと決まっているため、有効な任期を持てる執行エポックは生存期間の最後の1回しかない——という台帳のしくみによる待機です。提案文書自身がそう書いています。前号でSIPOはこれを「動かす人が足りないときに起きること」の例として並べましたが、この一件については当たっていませんでした。 ただし、待つのは批准のタイミングであって票集めではありません。期限までに票が揃っていなければ、最終エポックが来ても批准するものがありません。

minPoolCostは、また大きく動きました。DRep賛成32.97%→45.21%、未投票62.05%→48.11%。5日間で賛成が12.24ポイント伸び、未投票が13.94ポイント減っています。投票済みの反対は1.03%から2.92%へ増えましたが、それでも3%に届きません。閾値67%まで、残り21.79ポイントです。 SPO側の51%については、今回も分母を明示できる形で数字を出していません。

von Bergenは、終わりました。エポック651で期限切れです。最後の数字は賛成61.28%・投票済みの反対0.04%・未投票34.39%、閾値は100%。誰も反対していない提案が、票が足りないまま消えました。 前号で「情報提案がどう終わるかの実例になります」と書いた、その実例です。

橋を通る量は、動いていません。USDMのCardano上の残高は$9.63Mから$9.64Mで、ほぼ変わりません。経路が開いてから2エポック、渡る側の数字は動いていないという記録が続いています。

Catalyst Pilot の結果は、まだ確認できていません。締切の8月20日15時(日本時間)は過ぎましたが、応募件数と採択の埋まり方はこの5日間の公開情報では確認できていません。持ち越します。

取引とアドレスの水準は、答えが出ました。金曜基準で40,063件・20,900です。前号の日曜基準(13,228件・9,513)の約3.0倍・約2.2倍で、直前の平日基準(8月11日火曜16,946件・9,765)と比べても倍前後にあります。低下の傾向ではありませんでした。 ただし今回は逆方向に大きく振れているため、この水準が続くかどうかを、次のエポックでもう一点置いて確認します。

7件のうち、答えが出たものが3件(PRIMEの執行・von Bergen・取引の水準)、部分的に答えが出たものが2件(minPoolCost・憲法委員会の条件)、持ち越しが2件(橋を通る量・Catalyst Pilot)です。前号・前々号は答えの出ない項目が半数を超えていましたから、今回は久しぶりに答えの側が多い回になりました。

そのうえで、エポック651で確認すべきものを挙げます。

  1. 9月1日の2件:期限はエポック653です。エポック651が始まったのが8月23日6時44分(日本時間)ですから、残りは2エポックしかありません。minPoolCostのDRep賛成が45.21%から67%へ届くか。憲法委員会の更新に、DRepとSPOの票が揃うか。揃わなければ、両方とも von Bergen と同じ終わり方をします。
  2. Treasury残高:1,453,739,191 ADAから、1億2,000万ADAぶんの逆向きの動きが現れるか。現れなければ、執行の記録と残高の集計が何を別々に見ているのかを、もう一段掘る必要があります。
  3. Dijkstra の readiness tracker:置かれたところまでは確認できました。公開先と判定基準が示されるか。示されれば、「2026年内」に付いた留保を外側から数えられるようになります。
  4. Leios の Water フェーズ:Earth フェーズで入った変更が、新しい鎖の上でどう出るか。そして第三者環境での再現が出るかどうか。
  5. 委任とステーク:ネットワーク全体で1億4,852万ADAのステークと4,059件の委任が減りました。SIPO の3プールでも同じ向きです。上げ相場の一時的な動きなのか、水準の移動なのか。次のエポックで戻るかどうかで分けます。
  6. 取引とアドレスの水準:40,063件・20,900が続くか。平日基準の点をもう一つ置いて、価格と同じ時計で動いたのかどうかを確かめます。
  7. Catalyst Pilot の応募件数:締切から2週間が経ちます。件数と採択の埋まり方が出るか。

エポック650は、期限が答えを出した5日間でした。

von Bergen は、反対されて止まったのではありません。数え終える前に時計が止まりました。1億2,000万ADAは、可決から6エポックを経て、ようやく執行済みの記録になりました。憲法委員会の更新は、票が集まっても最終エポックまで批准できないという設計のなかで待っています。Catalyst の応募は8月20日15時に閉じ、理事の応募は8月31日に開き、Apex の申込は9月1日に閉じます。Dijkstra の「2026年内」には、リリース候補が出せるかという条件が付きました。

どれも、賛否の話ではありません。時間の割り当ての話です。

投票は「やるかどうか」を決めます。前号で書いたとおり、決めたことが動くには、動かす人と場所が要ります。そしてエポック650が示したのは、その次のことでした。人と場所が揃うのを待っているあいだにも、期限は進みます。 期限が来たとき、そこに答えがなければ、期限そのものが答えになります。61.28%という数字は、その日を境に「集まった票」ではなく「間に合わなかった票」になりました。

同じことが、市場のほうでも別の形で起きています。ADAは5日間で3割上げましたが、その引き金となった金利の動きは48時間で戻りました。動かしたものが元に戻っても、動いた値段は戻っていません。 原因と結果が同じ時計で動くとは限らない、ということです。

いつもSIPO / SIPO2 / SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRepを通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPOはSPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。

9月1日まで、残り2エポックです。

出典・参照