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Midnight 上のローンチパッド Noctis Zone、初日の購入を非公開に

2026-09-23SIPO

Midnight の公式アカウントが日本時間 9 月 23 日未明、Build Club に参加する Nightforce アンバサダーの MJ 氏(@Jinx_MJ_K)が開発したトークン・ローンチパッド「Noctis Zone」を紹介しました。売り出し初日の購入を誰にも見えない形で行い、終了後にゼロ知識証明で「どのウォレットも上限を超えなかった」ことを示す仕組みで、現在はプレプロッド(本番前の試験ネットワーク)で動いています。

必要な事実だけを証明し、それ以外は伏せるという Midnight の設計が、新しいトークンの売り出しという身近な場面に当てはめられた例です。初期報では発表の要点をお伝えしました。ここでは Noctis Zone のサイトに公開されている仕様をもとに、非公開の購入期間「DarkVeil」がどう動き、何が公開されて何が伏せられるのかを順に見ていきます。

■ 公開の購入はボットに読まれる

Noctis Zone が出発点に置いている問題は、ブロックチェーン上の購入がすべて見えてしまうことです。通常の売り出しでは、送った瞬間に購入が公開され、ボットが大きな注文を読んで一瞬先に割り込みます。サイトの説明を借りれば、もともと買うつもりだった人が、遅かったというだけで高い値段を払うことになります。

DarkVeil はこれに対して、最初の 1 日の購入を見えない状態で、全員同じ固定価格で行います。順番が見えず、値段も動かないので、先回りして得をする余地がありません。この期間の処理は Midnight 上で行われ、手数料(ガス代)はプラットフォーム側が負担します。何が行われたかは、終了後に Cardano 上へ証明として公開されます。

■ DarkVeil の 6 段階

サイトによれば、どの売り出しも次の順番で進み、作成者が順番や時間を変えることはできません。

  • 開始 48 時間前:登録受付 — 条件を満たすウォレットが登録します。登録時に約 50 ドル相当の NIGHT を預け入れ(ボンド)、購入期間が終わるまで Midnight 上で保管されます
  • 開始 2 時間前:登録締切と枠の確定 — 登録したウォレットには、DarkVeil 用の配分を頭数で等分した同じ基本枠が割り当てられます。ウォレットごとの上限 5% もここで適用され、DarkVeil と後の一般販売の合計で数えます
  • 開始から 24 時間:非公開の購入期間 — 各ウォレットは基本枠まで固定価格で買えます。アドレス、金額、参加者数はいずれも期間中は見えません
  • 24 時間後:ボンドの精算 — 預けた NIGHT は、枠のうち実際に買った割合に応じて戻ります。枠を使い切れば全額、まったく買わなければゼロです
  • その約 10 分後:証明書の記録 — 「ZK Fair Launch Certificate」が Cardano の L1 に書き込まれ、誰でも確認できるようになります
  • 精算後:一般販売へ — 買うたびに価格が上がる曲線(二次関数型のボンディングカーブ)で、誰でも買える段階に移ります

ボンドを買った割合に応じて返す設計には、はっきりした狙いがあります。買うつもりのないウォレットが登録すると、頭数が増えて全員の枠が小さくなります。預けた NIGHT が戻らないという負担を置くことで、登録だけして買わない行動を抑えています。なお、参加者が少なすぎて売り出し自体が成立しなかった場合は、買わなかったウォレットも含めて全員に全額が戻るとされています。

■ 公開されるもの、伏せられるもの

DarkVeil の終了後に Cardano へ記録される証明書には、次の項目が載ります。作成者がこの期間に 1 トークンも買っていないこと、上限 5% を超えたウォレットがないこと、集まった総額と配られたトークンの総数、戻った NIGHT と没収された NIGHT の合計、そして開始と終了の正確な時刻です。

一方で、個々のウォレットのアドレス、個々の購入額、そもそも誰が参加したかは、サイトの表現では「永久に」伏せられます。後から明かす予定もなく、明かす仕組み自体が存在しないと説明されています。

登録の段階にも同じ考え方が通っています。参加条件は、Cardano 上の取引履歴で確認できるウォレットの経過日数が 90 日以上であること、登録時点で 50 ドル以上の NIGHT を保有していること、そして作成者本人のウォレットや、それと stake key を共有するウォレット、作成者が直近 90 日に ADA を送ったウォレットではないことです。条件を満たしたウォレットの一覧はマークルルート(一覧全体を 1 つの値に要約したもの)だけが公開され、各ウォレットはゼロ知識証明で「自分がその一覧に入っている」ことを示します。登録しても、自分のアドレスがチェーン上に載ることはありません。経過日数の条件は、売り出しのために新しく作ったウォレットでは参加できないようにし、別名義を増やすことに手間をかけさせるためのものと書かれています。

■ いまの段階と、Midnight から見た位置づけ

現時点で使える決済先は Cardano のみで、Midnight 上でトークンを発行する形は開発中、Solana と XRP Ledger は「発表済み」の段階とされています。どの決済先を選んでも、非公開の購入期間は Midnight 上で動き、証明書は Cardano に記録されるという組み立てです。

Midnight 公式は「プレプロッドで稼働中」としていますが、サイト自体は冒頭で、ウォレット接続はまだ本番稼働しておらず、デモ用の仮ウォレットでサイト全体を試せるプレビュー段階だと表示しています。どちらにしても、本番ネットワーク上の実資金を扱う段階にはありません。サイトの末尾には、投資助言ではなく DeFi は実験的なものだという注意書きも添えられています。

Midnight の側から見ると、この事例はアンバサダー制度と開発支援の流れが、実際に動くアプリケーションにつながった例になります。Build Club は Midnight のインキュベーション・プログラムで、8 月に AKINDO と共催を告知した Buildathon でも、有望なプロダクトを作った参加者の招待先とされていました(8 月 18 日の Signal)。コミュニティ活動から始まった参加者が、Midnight のプライバシー機能と Cardano の公開台帳を組み合わせる設計まで進んだことが、今回の紹介の中身です。

次に確認できるのは、最初の証明書です。ローンチ一覧のページには、このネットワークではまだ DarkVeil の期間を終えた売り出しがなく、証明書も公開されていないと書かれています。プレプロッドで最初の DarkVeil が閉じたとき、Noctis Zone の Transparency ページに証明書が載り、サイトが約束した項目が実際に読める形で出てくるかどうか。そこが、仕様の説明が実装として動いたかを見分ける一点になります。

■ ことば

  • フロントランニング — 他人の注文が約定する前にそれを読み取り、先に同じ方向の取引を差し込んで利益を得る行為。ブロックチェーンでは取引が確定前から見えるため起きやすく、Noctis Zone はこれを防ぐことを設計の出発点に置いています。
  • ゼロ知識証明 — 中身を明かさずに、ある条件を満たしていることだけを相手に確かめさせる暗号技術。Noctis Zone では、登録資格と「誰も上限を超えなかった」ことの 2 か所で使われています。
  • プレプロッド — 本番ネットワークの前に置かれる試験用のネットワーク。実際の資金は動かず、開発者が本番に近い条件で動作を確かめるために使います。Midnight 公式が稼働先として挙げたのがこの環境です。

一次ソース / 関連リンク