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Cardano トレジャリー円卓、許可不要の提案は維持で一致

2026-09-23SIPO

Cardano の公式アカウントが 9 月 22 日、前日に配信したラウンドテーブル「Treasury Funding Allocation – The Case for Reform」の要点を公表しました。登壇した 5 名は、トレジャリー資金を分野ごとの枠(バケット)に分けても、誰でも提案できる仕組みそのものは残すという点で一致したといいます。

2027 年の NCL(トレジャリーから引き出せる期間ごとの上限)を決めるサイクルを前に、配分の組み立て方をどう変えるかが公開の場で話された形です。要約に並んだ論点は、DRep がこれから投票で向き合う提案の書式そのものに関わります。開催前の告知と論点は 9 月 19 日の Signal で、要点の公表は初期報でお伝えしました。ここでは、要約に書かれた論点を一つずつ噛み砕き、事前に掲げられていた問いと突き合わせます。

■ 2 回の資金サイクルから出てきた 4 つの論点

公式の要約は、議論の出発点を「2 回の実際のサイクルが明らかにしたこと」と書いています。9 月 19 日の告知では、2025 年と 2026 年の資金サイクルが配分モデルの実地試験になったと位置づけられていました。そのうえで要約が挙げた論点は、次の 4 つです(要約は「ほかにも」と添えており、これで全部ではありません)。

  • 先着順の提案から、分野別のバケットへ — 提案が出てきた順に資金を取り合う形から、あらかじめ分野(ドメイン)ごとに枠を用意する形へ移す考え方です
  • コストと KPI を含む、より明確な基準 — 提案が何にいくら使い、何を達成したら成功とみなすのかを、共通の物差しで書かせる方向です
  • 投票疲れを和らげるガバナンス・カレンダー — 投票の時期をあらかじめ決めておき、判断が一度に押し寄せないようにする案です
  • 説明責任のためのポストモーテム — 資金を受けた取り組みが終わったあとに、何ができて何ができなかったかを振り返る仕組みです

4 つは、配る前・配るとき・配ったあとの 3 つの時点に分けて読むと整理しやすくなります。バケットと基準は配る前の設計、カレンダーは投票という配るときの段取り、ポストモーテムは配ったあとの検証です。どれか 1 つだけを入れても効き目は限られ、たとえば基準に KPI を書かせても、終わったあとに振り返る場がなければ、その KPI を次の配分に生かす道筋がありません。

■ 事前の問いと、要約に書かれた答え

9 月 19 日の告知は、答えの出ていない問いとして「NCL をどう構造化するか」「資金を定義された分野に分けるべきか」「トレジャリー・ランウェイはどんな役割を果たすべきか」「デリバリー、説明責任、測定可能な成果をどう位置づけるか」を挙げていました。

要約と並べると、2 番目の問いには分野別バケットという形で、4 番目の問いには KPI とポストモーテムという形で、それぞれ具体的な言葉が返っています。一方で、事前の問いにはなかったガバナンス・カレンダーが論点として加わりました。投票する側の負担が、配分の設計と同じ重さで扱われたことになります。

反対に、NCL そのものの構造と、残高があと何年もつかというランウェイの扱いは、公表された要約の文面には出てきません。配信の中で話されなかったとは限らず、要約が「ほかにも」とまとめた部分に含まれている可能性があります。文面から言えるのは、公式が要点として選んだのが、この 2 つではなかったという点までです。

■ 「誰でも提案できる」を残すという一致点

要約の中で、登壇者全員の合意として書かれているのは 1 点だけです。バケットは構造を加えるが、プロセスを閉じるものではない。つまり permissionless(許可不要)の原則は維持する、という点です。

Cardano のオンチェーン・ガバナンスでは、所定のデポジットを積めば、誰でもトレジャリーからの引き出しを含むガバナンス・アクションを提出できます。分野別の枠を設けると、「この分野の予算はここまで」という上限が先に決まるため、枠の外にある新しい発想が入りにくくなるのではないか、という懸念が生まれやすくなります。今回の一致点は、その懸念に対して「枠は整理のための棚であって、入口の門ではない」と先に線を引いたものと読めます。

DRep の立場から見ると、この線引きは判断の仕方に関わります。枠ができれば、同じ分野の提案を並べて比べやすくなります。その一方で、どの枠にも収まらない提案が出てきたときに、それをどう扱うのかという新しい判断が生まれます。枠の外の提案を受け止める道筋が具体的に書かれるかどうかが、「プロセスを閉じない」という合意の実質を決めます。

■ 次に確認できる一点

ラウンドテーブルで話された内容が、そのまま効力を持つわけではありません。効力を持つのは、2027 年の NCL を定めるオンチェーン提案です。Cardano 憲法のトレジャリー条項(TREASURY-01a)は、期間ごとの NCL を DRep がオンチェーンの提案で合意すると定めています。

確認先は gov.tools のガバナンス・アクション一覧です。2027 年の NCL 提案が掲載されたとき、本文に分野別の内訳や、KPI・ポストモーテムを求める条件が書き込まれているかどうか。卓の上で出た言葉が提案の文章に残っているかを見れば、今回の議論がどこまで実効を持ったかが分かります。配信そのものは、公式アカウントの録画で見直せます。

■ ことば

  • ドメイン別バケット — トレジャリー資金を、あらかじめ決めた分野ごとの枠に分けておく配分の考え方。告知が掲げた「資金を定義された分野に分けるべきか」という問いへの答えとして、要約の筆頭に置かれています。
  • ポストモーテム — 事後検証のこと。資金を受けた取り組みが終わったあとに、計画と結果の差を振り返ります。次の配分でどの分野を増減するかの根拠になるため、説明責任の論点として挙がっています。
  • 投票疲れ — 判断すべき提案が短期間に集中し、投票する側が一つひとつを読み込めなくなる状態。DRep の負担が配分の質に直結するため、ガバナンス・カレンダーという形で対策が議論されました。

一次ソース / 関連リンク