Cardano から始まった無期限先物の取引所 Strike Finance が、日本時間 9 月 30 日 23 時過ぎ、公式 X でモバイルアプリの Android 版を公開したと発表しました。これまでブラウザで使う前提だった取引画面がスマートフォンのアプリになり、メールアドレスでの登録から入金・発注・ポジション管理までを手元で完結できる形になります。
iOS 版は「次」とだけ書かれており、公開日はまだ示されていません。同じ日の朝には、10 月に流動性を厚くし、初めての「月間取引額 5 億ドル・手数料収入 10 万ドル」の月への足場にする計画も投稿しています。Google Play の掲載内容と公開統計から、アプリで何ができるのか、そしていま Strike がどこにいるのかを整理します。
Strike just got a lot bigger. We’re excited to announce our mobile app is now live for Android. iOS up next.
— Strike Finance 公式 X(2026年9月30日)
9 月に入ってからの記録については、1 日の取引件数が 6.1 万件で過去最高(9 月 28 日)、週間取引額 7,700 万ドルで過去最高(9 月 29 日)の 2 本で扱っています。今回は数字の節目ではなく、使い方そのものが変わる話です。
Google Play に載っている機能
アプリは Google Play に「Strike Finance」の名前で、金融カテゴリの無料アプリとして掲載されています。ストアの説明が挙げている機能は、大きく 4 つに分かれます。
- メールで始める — メールアドレスでアカウントを作り、残高・ポジション・取引履歴を一つの画面で見られます。出金などの重要な操作には、パスキーや認証アプリによる保護を設定できます。
- 10 以上のチェーンから入出金 — 10 を超えるブロックチェーンのネットワークと、ステーブルコインを含む 10 種類以上の資産で入出金できるとしています。ただし、使えるネットワークや資産、経路は変わることがある、と注記されています。
- 無期限先物の発注 — 価格とチャート、ファンディングの情報を見ながら、ロングとショートを建てられます。注文は成行・指値・逆指値に加え、利益確定(TP)と損切り(SL)に対応しています。
- 管理 — 保有ポジションと含み損益、注文・約定の履歴、入出金の記録、レバレッジとリスクの設定をまとめて扱えます。
ストアの更新日は 9 月 30 日で、更新内容には「出金の画面を簡素化し、送金前に送り先アドレスの全体を表示する」「発注や決済の数量を米ドル建てとトークン建てで選べる」「入金の進み具合に 3〜10 分の目安を表示する」といった項目が並んでいます。
説明の最後には、Strike Finance は分散型の取引基盤につなぐための画面(フロントエンド)であり、中央集権型の取引所ではない、という一文があります。口座の安全や取引の判断は利用者自身が負う、とも明記されています。
ブラウザからアプリへ移ると変わること
Cardano の DeFi は、ブラウザ拡張のウォレットをつないで使う形が一般的です。これに対して、アプリの説明が前面に出しているのはメールでの登録です。ウォレットの拡張機能を入れるところでつまずいていた人にとっては、入口がかなり低くなります。
もう一つは、相場を見る場所と発注する場所が同じ端末に収まることです。無期限先物は価格の動きが速く、逆指値や損切りの設定をすぐ動かせるかどうかが結果に効きます。スマートフォンで通知を受けてそのまま決済できることは、取引の頻度を押し上げる方向に働きやすい変化です。
その裏返しとして、少ない証拠金で大きなポジションを持てる商品に、ボタン一つで触れられるようになります。レバレッジの設定や損切りの置き方を理解しないまま始めると、損失も同じ速さで膨らみます。アプリの説明がリスク管理の機能を独立した項目として挙げているのは、その点を意識した構成だと読めます。
9 月の数字と、10 月に掲げた目標
Strike は日本時間 9 月 30 日朝の投稿で、立ち上げから 7 か月の取引額と手数料収入のグラフを示し、10 月に流動性を大きく厚くする計画があること、それが初めての「月間取引額 5 億ドル・手数料収入 10 万ドル」の月への足場になる、と書きました。いつその月に届くかまでは書かれていないので、ここでは目標として受け取っておくのが正確です。
Strike の公開統計で月ごとに合計すると、8 月の取引額は約 1 億 7,305 万ドル、手数料収入は約 3 万 3,700 ドルでした。9 月は、9 月 30 日(UTC)の途中までで取引額が約 2 億 4,647 万ドル、手数料収入が約 5 万 650 ドルです。9 月 26 日に掲げていた「手数料収入で初めて月 5 万ドル超え」は、この時点で超えています。取引額の「2 億 5,000 万ドル超え」は残り 350 万ドルほどでした。
5 億ドルと 10 万ドルは、どちらも 9 月のおよそ 2 倍にあたります。4 月の約 766 万ドルから 8 月まで毎月前の月を上回ってきた伸び方からすると、無理な数字ではない一方、1 か月で倍にするには流動性の上積みと新しい利用者の両方が要ります。Android アプリの公開が 10 月を目前にした 9 月 30 日だったことは、その後者を取りにいく動きとして読むことができます。
次に見るもの
確認できる次の一点は、App Store に Strike Finance の iOS 版が載る日です。Android 版だけでは iPhone の利用者には届きません。「次」と書かれた iOS 版がいつ出るかで、10 月の目標に対する新規利用者の上積みがどこまで効くかが変わります。
もう一つは、10 月 1 日(日本時間)の朝に締まる 9 月の合計です。Strike の公開統計(プラットフォーム・ダッシュボード)で、取引額が 2 億 5,000 万ドルを越えたかどうかを確かめられます。そのうえで 10 月末に、同じ統計の月間合計が 5 億ドルと 10 万ドルにどこまで近づいたかを見ると、流動性の施策とアプリ公開がどれだけ効いたのかが分かります。
ことば
- フロントエンド — 利用者が操作する画面の部分。Strike はアプリの説明で自らをフロントエンドと位置づけ、注文を実際に処理する取引基盤とは役割を分けています。中央集権型の取引所とは責任の置き方が異なることを示す言い方です。
- パスキー — パスワードの代わりに、端末に保存した鍵と指紋・顔認証などで本人確認をする方式。メールだけで始められるアプリでは、出金のような取り返しのつかない操作を守る役割を担います。
- ファンディング — 無期限先物で、価格を現物に寄せるためにロングとショートの間で定期的にやり取りされる支払い。ポジションを持ち続けるほど損益に効くため、アプリでもチャートと並べて表示されています。
一次ソース / 関連リンク
- Strike Finance 公式 X(Android アプリの公開・2026年9月30日)
https://x.com/strikeperps/status/2105299457075970299 - Google Play: Strike Finance
https://play.google.com/store/apps/details?id=org.strikefinance.app - Strike Finance 公式 X(7 か月の取引額・手数料収入と 10 月の計画・2026年9月30日)
https://x.com/strikeperps/status/2105070391467147286 - Strike Finance 公式 X(数日のうちに追う数字・2026年9月26日)
https://x.com/strikeperps/status/2103667262888476790 - Strike Finance 説明書: Platform Dashboard(公開統計の項目)
https://docs.strikefinance.org/api/platform-stats/platform-dashboard - Strike の無期限先物、週間取引額 7,700万ドルで過去最高(SIPO.TOKYO・2026年9月29日)
https://sipo.tokyo/signal-20260929-f8c6e91f/ - Strike Finance、取引件数が1日6.1万件で過去最高(SIPO.TOKYO・2026年9月28日)
https://sipo.tokyo/signal-20260928-f4620d5d/
月間の取引額と手数料収入は、日本時間 2026年10月1日1時台に Strike の公開統計から取得して合計したものです(9月30日 UTC 分は途中まで)。
