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Iagon、Cardano データ API「Insight」のベータ版を公開

2026-10-02SIPO

Iagon は日本時間 9 月 30 日、Cardano のデータを 1 つの API で引ける「Iagon Insight」のベータ版を公開しました。Blockfrost や Koios を使っているアプリは、接続先のアドレスを変えて Insight のキーを加えるだけで、これまでの呼び出しがそのまま動くと Iagon は説明しています。

9 月には Maestro が開発者向け API を終了し、Cardano の dApp 開発者はデータの取得先を選び直す局面にあります。ホスト型 API の選択肢が 1 つ増えたことは、特定の事業者に依存しすぎない開発環境をつくるうえで小さくない変化です。この記事では、公式サイトに書かれている対応範囲と料金の仕組みを、乗り換えを考える開発者の目線で整理します。

1 つのキーで、3 つの API の形に答える

Iagon の公式 X は、Insight が扱うデータを「アドレス、残高、UTXO、アセット、トランザクション、ステーキング、プール、ガバナンス」と紹介しています。公式サイトによれば、ノードやインデクサを自分で動かす必要はなく、署名済みのトランザクションを送信することもできます。

特徴は、問い合わせの「形」を 3 通り用意していることです。

  • /api/v0 — Blockfrost と同じパスで、トランザクション、ブロック、エポック、アカウント、アドレス、アセット、プール、スクリプト、メタデータ、ガバナンスの呼び出しに答えます
  • /koios/v1 — Koios と同じ形の問い合わせ(GET・POST の両方)に答え、DRep、憲法委員会の投票、ガバナンス提案も含みます
  • /v1 — Iagon 独自の API で、同じデータに加えてトランザクションの送信などを扱います

3 つとも同じキーで使え、キーは Authorization: Bearer か project_id のヘッダーで送ります。project_id は Blockfrost が使っているヘッダー名なので、既存のコードの書き換えを最小限にする設計だと読めます。

料金はクレジット制、ベータ中は抽選で無料分

課金の単位はクレジットです。公式サイトの説明では、95% のエンドポイントは 1 回の呼び出しで 1 クレジット、重い処理を行う 10 本ほどはそれより多くかかり、個別の単価はダッシュボードで確認できます。購入したクレジットの有効期限は 30 日で、期限の近いものから使われます。

1 日に使える量は、保有しているクレジットを 30 日に割り振った量で、上限は 1 日 100 万クレジットです。日次の上限に達すると UTC の翌日まで HTTP 429 が返り、クレジットが尽きると 402 が返ります。キーは 1 アカウントで 25 本まで作れ、キーごとに使える量の割り当てと、最大 32 件の IP 許可リストを設定できます。チームの他のメンバーを招待して、権限を分けることもできます。

ベータ期間中は、抽選で無料クレジットを配布しています。ベータ終了後の支払い方法は、カード(法定通貨)、USDC、ADA の 3 通りとされています。大量に使う予定のプロジェクトや企業は、別途バウチャーを申し込めます。

対応はまだメインネットだけ

乗り換えを検討する前に確かめたいのは、ネットワークの対応範囲です。公式サイトの表記は「Cardano mainnet, others follow soon」で、現時点ではメインネットのみです。テストネットの preprod や preview で開発・検証している段階のプロジェクトは、当面ほかの提供元と併用することになります。

また、「呼び出しがそのまま動く」という説明は、同じパスと同じ形で答えるという意味です。エラーの返し方や流量制限の数値は提供元ごとに異なるため、本番の切り替え前には、自分のアプリが使っている呼び出しを一通り試しておくのが安全です。公式サイトのリファレンスには、各エンドポイントのリクエスト例とメインネットからの実際の応答が載っています。

Iagon は 9 月 14 日の開発報告で、Insight の画面を全面的に見直して大幅に簡素化したと伝えていました。今回のベータ公開は、その作業の外向けの区切りにあたります。

選択肢が増えることの意味

Cardano のアプリには、自前のノードを持たず、こうしたホスト型の API の上で動くものが少なくありません。1 つの提供元が撤退すると、その上の dApp がまとめて移行作業を迫られることは、9 月の Maestro の件で実際に起きました(9 月 18 日の記事)。同じ呼び出しに答える提供元が複数あれば、アプリは接続先を切り替えるだけで済み、1 社の判断がエコシステム全体の停止につながりにくくなります。

Blockfrost・Koios と互換の入口を持つ Insight は、その「切り替え先」の候補を増やす動きです。一方で、ベータ版である以上、稼働の安定性や長期の料金体系はこれから示されるものです。

開発者が次に見ておきたいのは、公式サイト insight.iagon.com の対応ネットワークの表記と料金表です。preprod などテストネットへの対応が加わる時期と、ベータ終了後のクレジット単価が示された時点で、本番の接続先として採用できるかを判断しやすくなります。

ことば

  • Blockfrost — Cardano で最も広く使われているホスト型 API の 1 つ。project_id ヘッダーでキーを送る方式で知られ、Insight はこの呼び出しの形をそのまま受け付けます。
  • Koios — コミュニティが運営する分散型の Cardano API。DRep や提案など、ガバナンス関連のデータを細かく引けるのが特徴です。

一次ソース / 関連リンク