Cardano 財団は日本時間 10 月 7 日未明、Cardano Academy の上級資格「Cardano Blockchain Certified Professional(CBCP)」の試験を始めたと発表しました。あわせて入門資格 CBCA の講座を、CIP-1694 と Conway 期のガバナンスを反映した 2026 年版に作り直しています。
CBCP の講座と試験で最も大きな比重を占めるのはガバナンスで、ステーキング報酬を数字から計算する領域も含まれます。DRep やステーク委任者、ステークプール運営者(SPO)が日々向き合っている判断を、資格として測る仕組みができたことになります。この記事では、2 つの講座の中身と、受験の手順、SIPO から見た読みどころを整理します。
CBCP: 理解から「判断」へ進む 8 時間の講座
財団の公式 X は、発表を次のように始めています。
Cardano now has a professional-level certification. The new Cardano Blockchain Certified Professional (CBCP) exam is live.
— Cardano 財団公式 X(2026 年 10 月 6 日 UTC)
講座のページによると、CBCP は入門の CBCA の上に積む位置づけで、中心に置くのは基本概念の理解ではなく、実務家として概念を使いこなすことです。オンラインで自分のペースで進める約 8 時間の講座で、難易度は Advanced とされています。扱うのは試験と同じ 7 つの領域で、基本概念、ガバナンス、eUTXO(Cardano の取引モデル)を使った開発、分散型 ID、オープンソース、ステーキング報酬などにまたがります。
講座の内容から、いくつかを拾います。
- ガバナンス — CIP-1694 が定める役割、Cardano 憲法、Intersect、Project Catalyst から、DRep の登録、提案の起草、投票、承認、施行までのガバナンスアクションの一連の流れ
- 開発 — バリデーターの設計判断、ネイティブ資産の使い方、AI エージェントが Cardano 上で作ったものの評価。コードを読み書きする力は求めないとしています
- 分散型 ID — KERI(Key Event Receipt Infrastructure)の考え方と仕組み
- ステーキング報酬 — 報酬プール、トレジャリーへの取り分、プールの固定費、マージン、持ち分に応じた分配を、与えられた数字で順に計算する
講座のページは、この講座が鍛え、試験が測る中心の力を「もっともらしく聞こえる誤りと、筋の通った判断を見分けること」と書いています。
受験の仕組み: 講座と試験は別、合格証は 3 年有効
CBCP では、講座と試験が切り離されています。講座を終えると Credly のデジタルバッジがもらえ、認定証が欲しい人は別に試験を受けます。試験はいつでも受けられ、Pearson VUE のオンライン受験か試験会場で実施されます。出題はシナリオ型の設問と、実務でよくある思い違いをもとにした選択肢を含む多肢選択式です。講座の受講は受験の条件ではなく、合格者の認定証は 3 年間有効です。
対象として挙げられているのは、CBCA の取得者、eUTXO の設計判断を確かめたい開発者やアーキテクト、Cardano について企業に助言するコンサルタント、そして DRep や委任者、Intersect や Catalyst の参加者です。後者のガバナンス参加者については、ガバナンスが講座と試験で最も大きな比重を占めると明記されています。CBCA は準備として勧められていますが、前提条件ではありません。
CBCA の 2026 年版: 26 単元・4 時間弱に絞り直す
同時に作り直された入門の CBCA は、26 単元・4 時間弱の講座です。CIP-1694、Conway 期、Chang と Plomin のアップグレードといった最近の節目を反映し、分散型台帳、暗号の基礎(2024 年に NIST が定めた耐量子暗号の標準を含む)、コンセンサス、Cardano の構造を扱います。Hydra・Mithril・Peras・Leios の現状や、プールの最低固定費のような現行のパラメーターにも触れています。修了すると Credly のバッジが発行されます。
CBCA の試験も Pearson VUE で受けられ、Pearson VUE の Cardano 財団のページには受験料 99 ドルと記されています。CBCP の受験料は、講座のページには書かれていません。
SIPO 視点: ステーキングの計算が「試験に出る知識」になった
SIPO として目を引くのは、ステーキング報酬の計算が独立した領域になっている点です。報酬プールからトレジャリーへの取り分を引き、プールの固定費を差し引き、マージンをかけ、残りを持ち分で分ける。この順番を数字で追えることは、委任先のプールを選ぶ人にとっても、プールを運営する側にとっても、手数料の意味を正しく伝える土台になります。
その固定費の下限(minPoolCost)は、いままさにガバナンスで見直しが問われている数字でもあります。下限を 170 ADA から 75 ADA へ下げるパラメーター変更の案は DRep の投票にかかっており、賛成率の動きはエポックな日々 659 で伝えました(エポックな日々 659)。講座が教える計算は、こうした投票が委任者の受け取りにどう響くかを、自分の手で確かめる道具にもなります。
Cardano 財団はこの 2 週間、UCLA アンダーソン経営大学院との提携(9 月 29 日の記事)や、Cardano Academy の AI エージェントでアプリを作る無料講座(10 月 3 日の記事)と、人材育成の発表を続けてきました。今回の CBCP は、その流れの中で「知っている」を「判断できる」に引き上げる段を足したものと読めます。
CBCP の内容を細かく確かめたい人は、講座ページからダウンロードできる講座案内(prospectus)で 7 つの領域の内訳を、受験を考える人は Pearson VUE の Cardano 財団のページで予約の手順を見るのが近道です。あなたが日々の委任や投票で使っている判断のうち、試験で「もっともらしい誤り」として出されそうなものはどれでしょうか。
ことば
- CBCP / CBCA — Cardano 財団の Cardano Academy が出す資格。CBCA は入門、CBCP は上級で、どちらも試験は Pearson VUE で受けます。CBCP は今回新設されました。
- KERI — Key Event Receipt Infrastructure の略。鍵の作成や交換の履歴を記録して、特定の台帳に頼らずに ID の持ち主を確かめる仕組み。CBCP の分散型 ID の領域で扱います。
- minPoolCost — ステークプールがエポックごとの報酬から先に差し引く固定費の下限。いまは 170 ADA で、75 ADA へ下げるパラメーター変更が DRep の投票にかかっています。
一次ソース / 関連リンク
Cardano Blockchain Certified Professional(Cardano Academy 講座ページ)(cardanofoundation.org)
Cardano Blockchain Certified Associate(Cardano Academy 講座ページ)(cardanofoundation.org)
- Cardano 財団公式 X の告知(2026 年 10 月 6 日 UTC)
https://x.com/Cardano_CF/status/2107506978830356968 - Cardano 財団公式 X(CBCA 2026 年版の告知)
https://x.com/Cardano_CF/status/2107506981141463437
Cardano Foundation Blockchain Certification Exams(Pearson VUE)(pearsonvue.com)
