カルダノ財団とベンチャーキャピタルの Draper Dragon がシンガポールで開いた投資家向けのピッチイベント「Rooftop UTXO Pitch Night」で、Cardano や Bitcoin など UTXO 系のエコシステムで開発する 9 社のスタートアップが、90 人を超える投資家の前で事業を説明しました。Cardano のエコシステムの成長を支援する取り組み PRIME の公式アカウントが、日本時間 10 月 20 日の朝、この夜の振り返りを投稿しています。
会場に置かれた資金の枠は、総額で最大 50 万ドルです。PRIME はこの枠を、助成金で始まったプロジェクトを投資家の資金へつなぐ「次の段階」として位置づけました。9 月に応募の告知を取り上げた(9 月 12 日の記事)イベントが実際にどう開かれ、何がまだ決まっていないのかを整理します。
10 月 7 日の夜、LAVO のルーフトップで
イベントは TOKEN2049 シンガポールの初日にあたる 10 月 7 日の夜、Marina Bay Sands のタワー 1、57 階にある LAVO で開かれました。Cardano の公式アカウントは同日の夜、「シンガポールでいま開催中」と投稿しています。主催はカルダノ財団と Draper Dragon で、育成プログラムの Draper University も加わりました。
財団の 10 月 13 日の振り返り投稿によると、登壇したのは AI エージェント、DeFi、デジタル ID などの分野で開発する 9 社です。会場には 90 人を超える投資家を含む 400 人以上が集まりました。なお、PRIME のスレッドは開催日を「10 月 13 日」と書いていますが、事前の告知と当日の公式投稿はいずれも 10 月 7 日で、13 日は財団が振り返りの動画を投稿した日にあたります。
登壇した 9 社の一覧は、財団も PRIME も公表していません。登壇を自ら明かしているチームはあり、たとえば Kenomic は公式 X で「UTXO Pitch Night でピッチした」と投稿しています。また、商品(コモディティ)の在庫や将来の生産をデジタル資産にする Toto Finance の登壇者は、自身の投稿で「10 組のファイナリストの 1 つとして発表した」と書いており、財団の「9 社」とは数え方が一致していません。
「最大 50 万ドル」は、投資家の判断で配る枠
50 万ドルという数字の扱いには注意が要ります。イベントページの注記によると、この資金は勝ち抜いたチームのあいだで、参加した投資家の判断だけで配られるもので、条件や審査も各投資家の通常の手続きに従います。つまり、登壇すれば受け取れる賞金でも、財団が出す助成金でもありません。どの投資家がいくら出すのかも、ページには書かれていません。
PRIME のスレッドは、ここに今回の意味を置いています。助成金はプロジェクトを始める助けになり、そのあとの資金が開発を続ける助けになります。だから資金の仕組みには、助成金だけでなく、有望なチームを投資家へつなぐ道筋が要る、という整理です。PRIME は、助成先のチームを投資家へ橋渡しする自らのパイプラインも同じ考え方に立つと書いています。
助成金のあとを埋める入口が増えている
Cardano の周りでは、この半年ほどで、助成金のあとを埋める入口が続けて開いてきました。Cardano のビルダーが Draper University のプログラムに入り(8 月 6 日の記事)、Draper Dragon が運用する Orion Fund は 10 週間の育成プログラムを立ち上げ(8 月 20 日の記事)、10 月には Cardano 上の 8 チームがその加速プログラムを始めています(10 月 14 日の記事)。今回のピッチナイトは、育成とは別に、投資家の前に直接立つ一夜の枠として、その列に加わりました。
国庫の引き出し枠の残りが細ってきているいま(10 月 19 日の記事)、プロジェクトにとって外の資金への道筋がいくつあるかは、開発が続くかどうかを左右します。Cardano と Bitcoin が同じ UTXO の会計モデルを持つことを生かし、Bitcoin 側のチームと同じ舞台に立たせた点も、投資家の層を広げる工夫として読めます。
次に見るもの
確認できる次の一点は、カルダノ財団と Draper Dragon の公式 X で、勝ち抜いたチームと配られた額が公表されるかどうかです。ピッチから 2 週間近くが経った 10 月 20 日の時点で、両者の X に出資先の発表は見当たりません。出資の判断は各投資家の審査を経るため時間がかかりますが、どのチームに、いくらの資金がついたのかが出たときに、「最大 50 万ドル」が実際にどれだけ動いたのかが初めて分かります。あわせて、イベントページ(Luma)の表示が更新されるかどうかも見ておきたいところです。
ことば
- UTXO — 使い切りの「未使用の残高」を受け渡して残高を表す会計の方式で、Bitcoin と Cardano が共有しています。開発の考え方が近いことから、今回は Bitcoin 側のチームと同じ枠で募集されました。
- Draper Dragon — シリコンバレーとアジアをつなぐことを掲げるアーリーステージのベンチャーファンド。Cardano 向けの Orion Fund も運用していて、今回は出資する側からピッチナイトを主催しました。
- Cardano PRIME — AlphaGrowth が 1 億 2,000 万 ADA の国庫提案として出した、Cardano のエコシステムの成長を支援する取り組み(7 月 29 日の記事)。助成先のチームを投資家へつなぐパイプラインも掲げていて、今回のピッチナイトをその考え方の実例として紹介しています。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano PRIME 公式 X:9 社が 90 人超の投資家に登壇(2026 年 10 月 19 日 UTC)
https://x.com/Cardano_Prime/status/2112305793219650023 - Cardano PRIME 公式 X:最大 50 万ドルの資金と、助成金のあとの資金
https://x.com/Cardano_Prime/status/2112305805836145129 - カルダノ財団 公式 X:ピッチナイトの振り返り(2026 年 10 月 13 日 UTC)
https://x.com/Cardano_CF/status/2110063761633489304 - Cardano 公式 X:シンガポールでいま開催中(2026 年 10 月 7 日 UTC)
https://x.com/Cardano/status/2107780502350356485
- Kenomic 公式 X:UTXO Pitch Night での登壇
https://x.com/KenomicAI/status/2108038115780915660 - Toto Finance 登壇者の X:10 組のファイナリストとして登壇
https://x.com/stevengae_06/status/2108012074362441886



