Midnight は日本時間 2026 年 10 月 20 日 22 時 53 分、公式 X とブログで、他のチェーンにある資産にも Midnight の秘匿と選択的開示を使えるようにする「Nightmode」を発表しました。Sig Network と組んで作られており、投稿は対象として Bitcoin・Ethereum・Solana・Tron などの公開チェーンを挙げています。
資産は元のチェーンに置いたまま、誰が取引しているのかを隠す設計です。10 月にシンガポールで開かれた TOKEN2049 で Midnight が名前を挙げたロードマップの取り組みの一つで、今回ブログで仕組みが説明されました。Cardano から見ると、NIGHT から生まれる DUST の使い道が他のチェーンの資産にまで広がる話でもあります。ブログに書かれている仕組みと、まだ書かれていないことを分けて整理します。
資産は元のチェーンの MPC 保管庫に残る
ブログが説明する流れは、次の 4 段階です。
- 利用者は、資産のあるチェーン (元のチェーン) 上の MPC 保管庫のコントラクトに資産を預ける
- Midnight は、預けた分に対応する残高を、Multi-Chain Shielded (MCS) プールと呼ぶ秘匿の残高の中に発行する
- 利用者はその残高で取引やステーキングを行う
- 残高を焼却すると、元のチェーンで預けた資産が払い戻される
ブログは「ネイティブの資産は元のネットワークを離れない」と書いています。保管庫の出し入れは、元のチェーン上で 7 つの秘密の暗号署名の組で管理される仕組みです。資産を別のチェーンへ移してラップする一般的なブリッジとは、資産の置き場所の考え方が違います。
どこまで隠れるのかも、ブログは具体的に書いています。MCS プールに対する取引の内容は見え、取引の金額も公開されますが、利用者を特定できる情報は Midnight が秘匿するという説明です。つまり Nightmode が隠すのは金額ではなく、ウォレットと取引の結び付きです。そのうえで、ゼロ知識証明による選択的開示を使い、権限のある監査人には身元や残高を明かさずに規制への適合を示せる、としています。
秘匿取引から機関の支払いまで、5 つの使い道
Midnight の投稿は、Nightmode で可能になるものとして、秘匿取引・秘匿レンディング・リキッドステーキング・機関の支払い・RWA (実物資産) の決済の 5 つを挙げています。ブログはそれぞれの例として、Uniswap・PancakeSwap・CoW Swap のような取引所での交換、Aave のような貸借市場、Lido のリキッドステーキング、給与や取引先への請求書の支払いを書いています。
ここで挙がっているアプリ名は、使い方の例として書かれているものです。ブログはこれらの事業者と提携したとは書いていません。
手数料の考え方は Midnight 本体と同じです。NIGHT を保有していると、秘匿の取引に使うネットワーク資源の DUST が生まれ続けるため、利用者は預けた資産そのものをガス代に回さずに済む、とブログは説明しています。Cardano 側から見ると、NIGHT を持つことが、他のチェーンの資産を秘匿して使うための「燃料」の入口にもなるということです。
TOKEN2049 で挙がった 4 つの取り組みの 1 つ目
TOKEN2049 で基調講演を行った Midnight 財団のプレジデントは 10 月 20 日の投稿で、TOKEN2049 で紹介した Midnight のロードマップの取り組みとして、Nightmode・Collateral Warehouse・Offer Files・Midnight Passport の 4 つを挙げ、先頭に Nightmode を置いていました。それぞれ、他のチェーンの資産の秘匿、資産管理のための秘匿の保管庫、二者間の秘匿のアトミック決済、人・エージェント・組織のための秘匿の本人確認と認可、という役割です。
Midnight は 10 月 14 日に、7 分野について 2026 年 10〜12 月期と 2027 年 1〜3 月期に出すものを並べたロードマップを公開しています (SIPO の解説)。シンガポールで名前とデモが示された 4 つのうち、Nightmode は今回、単独のブログ記事で仕組みまで説明されました。
ブログにまだ書かれていないこと
今回の発表には、提供開始の時期がありません。テストネットで試せるのか、メインネットでいつ使えるのかについて、ブログは何も書いていません。
対応チェーンも、X の投稿は Bitcoin・Ethereum・Solana・Tron などを挙げていますが、ブログ本文は「元のチェーン」と一般的に書くにとどまり、具体的なチェーン名が出てくるのは、Sig Network の CEO が Ethereum で Midnight の秘匿を使う様子を見せるデモ動画の説明だけです。最初にどのチェーンから使えるのかは、まだ分かりません。
保管庫を管理する 7 つの署名を、誰がどのように持つのかも書かれていません。資産を預ける側にとっては、ここが信頼の置きどころになります。
年内に見る、利用手順の公開
Midnight のロードマップは 2026 年 10〜12 月期と 2027 年 1〜3 月期の 2 期を並べています。年内に、Midnight 公式ブログか開発者向けドキュメント (docs.midnight.network) に Nightmode の利用手順が載るかどうかが、最初の答え合わせになります。そこで、最初の対応チェーンと、7 つの署名の持ち手が示されるかを見ます。
ことば
- MPC (マルチパーティ計算) — 複数の参加者が秘密を分け持ったまま、共同で署名や計算を行う技術。Nightmode では、元のチェーンにある保管庫の出し入れを 7 つの署名の組で管理します。
- 選択的開示 — ゼロ知識証明を使い、必要な事実だけを必要な相手に示す仕組み。Nightmode では、身元や残高を明かさずに、権限のある監査人へ適合を示す用途が挙げられています。
- DUST — NIGHT を保有していると生まれる、Midnight の取引手数料に使う資源。Nightmode でも秘匿の取引に使われ、預けた資産をガス代に回さずに済む設計です。
一次ソース / 関連リンク
- Midnight 公式 X の発表 (2026-10-20 22:53 JST)
https://x.com/MidnightNtwrk/status/2112542744224629080
Midnight 公式ブログ : Nightmode enables cross-chain privacy (2026-10-20)(midnight.network)
- Midnight 公式 X : Nightmode の使い道 (スレッド 2/)
https://x.com/MidnightNtwrk/status/2112542747122942110 - Midnight 財団プレジデントの投稿 : TOKEN2049 で紹介した 4 つの取り組み (2026-10-20)
https://x.com/F_ZK_Now/status/2112488995372380406

