Cardano の貸し借りのプロトコル Liqwid Finance が日本時間 10 月 22 日 1 時 39 分、7 月と 8 月の NIGHT の清算のあとで不良債権を引き受けることになった貸し手に、損失を補填すると公式 X で発表しました。Liqwid と Wanchain のチームなどが支える善意の取り組みとして行い、対象となる利用者のウォレットの記録はすでに取り終えているとしています。
夏の NIGHT の急な値動きで傷んだ Cardano の DeFi が、損失を誰がどう埋めるかという後始末の段階に入ったことを示す発表です。一方で、告知には補填の総額も、対象の市場の名前も書かれていません。本記事では、書かれていることと書かれていないことを分け、Liqwid に資産を預けている方が今確かめておくことを整理します。
告知に並んだ四つのこと
Liqwid の投稿が述べているのは、次の四点です。
- 7 月と 8 月の NIGHT の清算のあと、自分のポジションで不良債権を引き受けた貸し手に補填する
- 補填は Liqwid と Wanchain のチーム、それにほかの協力者が支える善意の取り組みとして行う
- コアチームは影響を受けた市場ごとに、資産を預けていた利用者のウォレットのスナップショットを取り終えており、補填の手続き全体を管理している。利用者が今することはない
- 請求の受付が始まるときは Liqwid の Discord と X で告知し、ADA と LQ のステーキング報酬に使っている SundaeSwap の受け取りアプリから請求できるようにする
「補填する」とは書かれていますが、損失の全額を埋めるのか一部なのか、金額の計算をどの時点の残高で行うのかは示されていません。協力者の名前も、Wanchain 以外は挙がっていません。
不良債権を貸し手が負う仕組み
Liqwid のような貸し借りのプロトコルでは、借り手は担保を預けて別の資産を借ります。担保の値段が下がって借りた額に見合わなくなると、担保が売られて借金が返される清算が起きます。
ところが担保の値段が短い時間で大きく崩れると、担保を売っても借りた額に届かないことがあります。返されずに残った差額が、この場合の不良債権です。差額はその市場に資産を預けていた貸し手の取り分から欠けることになり、貸し手は自分では何も借りていないのに損を負います。今回の補填の対象は、まさにこの立場に置かれた人たちです。
Liqwid 自身も 9 月 2 日の月次の報告で、8 月の回復を「7 月の強制的なデレバレッジのあと」と書いていました。7 月に担保の整理が大きく進んだことは、プロトコルの側も認めていた経緯です。
Wanchain が支え手に加わる理由は書かれていない
補填の支え手として名前が出た Wanchain は、Cardano と BNB Chain をつなぐブリッジを運営しています。Wanchain は 7 月 30 日の公式 X で、2026 年 7 月 20 日に Cardano 上の同社ブリッジが攻撃を受け、NIGHT が盗まれたと書いています。当社は 7 月 22 日の記事で、この事案の初期分析を整理しました (Wanchain の Cardano–BNB ブリッジから NIGHT が流出、Cardano 本体は無傷)。
ただし、今回の Liqwid の告知は、7 月と 8 月の清算とこのブリッジ事案の関係にふれていません。Wanchain が加わる理由も、どれだけを負担するのかも書かれていません。時期が重なっていることだけを根拠に因果を決めることはできないため、本記事でもその関係は確定したものとして扱いません。
請求の画面と、偽の案内への備え
請求に使われる SundaeSwap の受け取りアプリは、Liqwid が NIGHT のエアドロップの配布にも使ってきた画面です。9 月 3 日には、ADA の市場に資産を預けていた人向けの 3 回目の配布がこのアプリで受け取れる状態になり、最後の配布は 90 日後と告知されていました (Liqwid の NIGHT 第 3 回配布が受け取り可能に、残るは最終回)。Liqwid を使ってきた方には見慣れた入口です。
気をつけたいのは、告知が「利用者が今することはない」と明言している点です。請求の受付が始まる前に、補填を理由にウォレットの接続や署名、秘密のフレーズの入力を求めてくる案内があれば、それは今回の公式の手順とは食い違います。補填や返金の話題には偽のサイトが出回りやすいため、リンクは Liqwid の公式アカウントからたどるのが安全です。
次に確かめる一点
まず見るのは、Liqwid 公式 X と Discord に出る請求受付の開始の告知です。日付はまだ示されていません。そのとき、補填の対象になった市場の名前と、全額か一部かが書かれるかどうかで、今回の後始末がどこまで閉じたのかが分かります。
同じ受け取りアプリでは、9 月 3 日の告知から数えて 12 月初めごろに NIGHT の最後の配布が予定されています。どちらの受け取りも、アドレスが liqwid-rewards.sundaeswap.finance であることを確かめてから接続してください。
ことば
- 清算 — 担保の値段が下がり、借りた額に見合わなくなったときに、担保を売って借金を返させる仕組み。値段が速く崩れると売っても返しきれず、差額が残ることがあります。
- 不良債権 — 清算をしても回収しきれずに残った借金のこと。DeFi の貸し借りでは、その市場に資産を預けた貸し手の取り分から欠ける形で表れます。
- スナップショット — ある時点で誰がどれだけ預けていたかを記録すること。今回の補填では、影響を受けた市場ごとに取った記録が、誰に返すかを決める土台になります。
一次ソース / 関連リンク
- Liqwid Finance 公式 X の告知 (2026-10-22 01:39 JST・貸し手への補填)
https://x.com/liqwidfinance/status/2112946902216138956 - Liqwid Finance 公式 X (2026-09-02・8 月の月次報告)
https://x.com/liqwidfinance/status/2095124692407357733 - Liqwid Finance 公式 X (2026-09-03・NIGHT の 3 回目の配布)
https://x.com/liqwidfinance/status/2095513605550571545 - Wanchain 公式 X (2026-07-30・7 月 20 日のブリッジ事案について)
https://x.com/wanchain_org/status/2082873876682248250
Liqwid の受け取りアプリ (SundaeSwap)(liqwid-rewards.sundaeswap.finance)

