Cardano の DeFi に資金を出すプログラム Cardano PRIME は、日本時間 10 月 24 日朝、最初の資金提供先となる 9 チームを公式 X のスレッドで発表しました。Liqwid のレンディング V3、Indigo の CDP 改修、SundaeSwap の新機能、EVM チェーンとをつなぐブリッジ、実物資産の債券市場、そして監査を担う 2 社が並んでいます。
9 月の監査で現状を測り、10 月中旬に締め切った提案募集(RFP)を経て、ここで初めて「誰に何を作らせるか」が名前つきで示されたことになります。PRIME はこの顔ぶれを、Cardano の DeFi で「いちばん大きな穴」を埋めるための選定だと説明しています。9 チームがそれぞれ何を作るのか、募集の段階で手薄だった分野がどこまで埋まったのかを見ていきます。
9 チームと、資金が付いた中身
PRIME のスレッドは、9 チームを 1 投稿ずつ紹介しています。DEX、レンディング、ブリッジ、ボールト(資金を預けて自動で運用する仕組み)、実物資産、監査という並びです。
- Sundae Labs(SundaeSwap) — 新しい Sundae v4 のスマートコントラクトの上に作る、市場の中核機能群
- Liqwid — Liqwid V3。キュレーター向けの道具と公開 SDK を備えた分離型の貸し借り市場で、誰でも自分のレンディング用ボールトを立ち上げて運営できるようにする
- Indigo — 合成資産の CDP(担保を預けて資産を発行する仕組み)の改修一式。マルチシグでの所有、権限の委任、債務の再配分、担保に使える資産の種類の拡大
- Steer — 3 件の助成。SundaeSwap V4 の流動性ポジションを自動で管理するボールト、どのプロトコルも採用できる Cardano 向けのトークン化ボールト規格、遊んでいるレンディング資金を必要なときだけ流動性に回す仕組み
- VIA Labs — AnyToAny。主要な EVM チェーンや取引所から Cardano へ、また逆向きに、ブリッジ・交換・経路探索をひと続きの操作で行う集約サービス
- ReBond — 固定リターンの債券のマーケットプレイス。Cardano のメインネットでの立ち上げに資金が付き、最初の債券として、医療費のストップロス保険(想定を超える高額の医療費請求に備える保険)をトークン化したものが予定されている
- Dial — Cardano 向けのオープンソースの請求書の仕組み。ウォレット、DAO、マーケットプレイス、AI エージェントが、オンチェーンで請求書を作り、確かめ、決済できるようにする
- Midgard Labs — 人が主導し AI が補助するスマートコントラクト監査。新しく作られるものを、メインネットに出す前に 1 件ずつ監査する
- TxPipe — Cardano の開発者向け基盤ツールと監査を手がける。PRIME がまとまった監査時間を確保し、すべての助成先が独立したセキュリティレビューを経て公開できるようにする
チームごとの金額は、今回のスレッドでは示されていません。PRIME を運営する AlphaGrowth のプログラムページは、12 か月で総額 1 億 2,000 万 ADA の予算と、そのうちエコシステムへの助成に 3,500 万 ADA を割り当てる内訳を掲げています。
監査を 2 社、最初から組み込んだ
9 チームのうち 2 社は、何かを作る側ではなく、作られたものを確かめる側です。Midgard Labs は新しいビルドをメインネットに出す前に監査し、TxPipe は全助成先のために確保した監査時間を受け持ちます。資金を出す段階で、監査の担い手まで決めておく設計です。助成先のチームは、監査の手配を自分で一から整えずに済みます。
PRIME は 9 月 30 日、資金を出すアプリはすべてプログラマブルトークンの規格 CIP-113 を組み込むとも表明していました。資金の条件で規格をそろえ、監査を全件に付ける。今回の発表で、PRIME の助成が「作る」だけでなく「どの規格で、どう確かめてから出すか」までを含む枠であることが、具体的な顔ぶれとして見えてきました。
募集で手薄だった分野は、どこまで埋まったか
9 月 23 日、締切の 1 週間前に PRIME が公開した中間状況では、応募が少ない分野として、オラクル、ブリッジ、executor / scooper(注文をまとめて実行する仕組み)の共通規格、オンチェーン保険、集中流動性、自動の流動性管理、コミュニティの 7 つが挙がっていました。
今回の 9 チームと突き合わせると、ブリッジには VIA Labs の AnyToAny が、自動の流動性管理には Steer のボールトが入りました。一方、オラクルとオンチェーン保険を主題にした助成先は、この最初の顔ぶれには見当たりません。ReBond の債券は保険を裏付けにした実物資産ですが、DeFi の利用者を守る保険とは別のものです。
「最初の」コホートと呼んでいることから、PRIME は助成先を段階的に増やしていくと見られます。空いたままの分野が次の回で埋まるのか、別の進め方に切り替えるのかが、プログラムの後半を見るうえでの分かれ目になります。
10 月 27 日の配信と、四半期の報告
PRIME は、助成先のチームが直接話すライブ配信を 10 月 27 日(火)午後 1 時 ET、日本時間 28 日午前 2 時に X で行うと告知しています。各チームが公開の時期やマイルストーンをどこまで示すかが、最初の確認先です。
その先で見るのは、AlphaGrowth のプログラムページが掲げる四半期ごとの公開報告です。PRIME の目標は、12 か月で Cardano の DeFi の TVL を約 9,000 万ドルから約 2 億 9,000 万ドルへ伸ばすことで、6 か月目の伸びが 8,000 万ドルを下回れば、資金の向け先やプログラムの組み立ての見直しを勧めるという条件も、ページに書かれています。9 チームが作るものがメインネットに出る順番と、その数字の動きを並べて見ていくことになります。
ことば
- Cardano PRIME — AlphaGrowth が運営する、Cardano の DeFi を育てるための 12 か月のプログラム。現状の監査、穴の分析、資金の投入の順で進み、今回の 9 チームはその資金の行き先として初めて示された顔ぶれです。
- 分離型の貸し借り市場(isolated money market) — 担保と借入の組み合わせごとに市場を分け、1 つの市場の損失が他へ波及しないようにする設計。Liqwid V3 はこれを、外部のキュレーターが自分で開ける形にします。
- CDP — 担保を預けて、その価値の範囲で合成資産やステーブルコインを発行する仕組み。Indigo の改修は、担保に使える資産を増やし、管理をマルチシグや委任に対応させる内容です。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano PRIME 公式 X の告知(最初のコホート 9 チーム)
https://x.com/Cardano_Prime/status/2113781018939568311 - 同スレッド: Liqwid V3
https://x.com/Cardano_Prime/status/2113781048836592036 - 同スレッド: Steer の 3 件の助成
https://x.com/Cardano_Prime/status/2113781078506999947 - 同スレッド: TxPipe の監査時間
https://x.com/Cardano_Prime/status/2113781153400500519 - 同スレッド: ライブ配信の告知(10 月 27 日)
https://x.com/Cardano_Prime/status/2113781165446529525
AlphaGrowth: Cardano PRIME(予算・工程・目標)(alphagrowth.io)



