動画:https://www.youtube.com/live/lPOonwAN58Y(Charles Hoskinson「TapTools」/2026年6月3日公開・Wyoming 収録)
2026年6月初旬、Cardano エコシステムを代表する分析プラットフォームの一つ TapTools(100万人超のユーザー、数百プロジェクトに API を提供)が、今後2週間で運用を縮小していくと発表しました。これは5月23日に運用を停止した Cardano 最大の NFT マーケットプレイス JPG Store に続く動きで、厳しい相場が続く2026年に「主要プロジェクトの撤退」が相次いでいることを浮き彫りにしました。
これを受けて Charles Hoskinson 氏が公開した動画「TapTools」は、定型的な広報ツイートとは正反対の、感情のこもった「コミュニティへの問題提起」でした。氏はまず TapTools の声明を読み上げ、そのうえで——なぜエコシステムはビルダーを失い続けるのか、自分にそれを止める実権はあるのか(ガバナンス鍵もトレジャリーへのアクセスも商標も持たない、と氏は言います)、そしてコミュニティとDRepはコマーシャル化とトレジャリー戦略にどう向き合うのか——という、踏み込んだ問いを次々に投げかけます。
この動画の核にあるのは、苛立ちの奥にある一つの構造的な問いです。Cardano は「技術は届けた」(年末には Ouroboros Leios も来る)。しかし、その技術の「先」——商業・経済のレイヤーに、エコシステムとしての戦略はあるのか。分散化されたコミュニティが、苦境のビルダーをどう資金面で支え、持続させるのか。本稿は、この動画の全文を日本語に翻訳したうえで、語られた論点を客観的な事実とあわせて整理します。
なお、この動画は感情的な熱量が高く、強い言葉や、コミュニティの「分裂(schism)」、さらには proof-of-burn による新チェーン立ち上げという「核オプション」といった過激な選択肢にも言及します。これらはいずれも Charles 氏自身の発言・氏自身の枠組みであり、本稿ではそのように提示します。SIPO 自身も Cardano の DRep であり、この動画が名指しで語りかけている当事者の一つです。立場の開示は末尾の透明性メモにまとめています。
何が起きたのか——TapTools 撤退と「撤退の波」
TapTools は、トークンチャート・ポートフォリオ管理・NFT ツール・データ API を提供し、4年かけて Cardano で最も広く使われるプラットフォームの一つになりました。その同チームが、運用の段階的な縮小を発表したのが今回の出来事です。声明では、年初に2名の共同創業者(CTO・COO)が離脱し、バックエンド開発者が CTO 役を引き継いで立て直しを図ったものの、その新 CTO も離脱を決め、「責任を持って運用・保守するための技術的知見は一朝一夕には replace できない」こと、そしてインフラ・開発・サポートの費用という「現実」を率直に認めています。同チームは、買収や持続的運用に必要なリソースを得られる「信頼できる道」が現れれば対話に応じる、とも述べています。
これは単独の出来事ではありません。5月には NFT マーケットプレイスの JPG Store が運用を停止しており、Charles 氏は動画の中で「2026年後半はさらに DeFi のプロジェクトが減り、淘汰(consolidation)が進むだろう」と見立てています。背景には、長く続く弱気相場と、それに伴うプロジェクト運営体力の低下があります。技術や理念の問題というより、「エコシステムをどう経済的に持続させるか」という、より根本的な問いが前面に出てきた局面だと言えます。
ホスキンソン氏の問い——「自分に何の実権があるのか」
動画の前半で氏が繰り返し強調するのは、「ADA の価格下落について毎日のように自分が名指しで非難されるが、自分にそれを動かす実権はない」という主張です。氏は、自分には特別な権限がなく、ガバナンス鍵も持たず、ハードフォークやプロトコル・パラメータ変更を起動する権限もなく、トレジャリーへのアクセスもなく、「Cardano」という名称の商標すら所有していない、と列挙します。エコシステムの成長・統治のために拠出された資金(最高値時点では数十億ドル規模)は、自分にではなく別個の組織群に渡された、とも述べます。
この点は、事実関係としても大筋で整合します。Voltaire 期を経て、Cardano の意思決定はオンチェーン・ガバナンス(DRep・憲法委員会・トレジャリー投票)に移っており、創設者個人が直接コントロールする構造ではありません。つまり氏の「自分には実権がない」という主張は、分散化が進んだ現在の統治構造を反映したものでもあります。一方で、氏が依然としてエコシステムに対して大きな発信力・影響力を持つことも事実であり、「実権はないが影響力はある」という非対称が、今回の苛立ちの背景にあります。
繰り返された提案と、すれ違い——国富ファンド・インデックス・買収
氏は、苦境を防ぐために自分が提案してきた施策と、それがことごとく実現しなかった経緯を振り返ります。ここは、氏の主張と、コミュニティ側に存在する慎重論の両方を踏まえて読む必要があります。
国富ファンド(sovereign wealth fund)——氏はかつて、トレジャリーの ADA の一部をステーブルコインに換え、エコシステムの戦略投資に使える「スラッシュファンド」を作ろうと提案しました(報道ベースでは、約1億ドル相当の ADA を起点に、最終的に10億ドル規模の多資産ファンドを目指す構想)。これに対し、Wheel や Anderson といったコミュニティの論者が「ADA を毀損する(売り圧で価格が崩れる)」と反対し、構想は前に進みませんでした。氏は「勝ってもいない(実現していない)のに、その件で毎日責められる」と述べます。
インデックス/救済ファンド——氏は、苦境のプロジェクトを支える「救済基金」としてインデックス商品の構想にも触れますが、これも実行に至らず、代わりに VC が大型の資金を得る形になった、と振り返ります。
買収によるコマーシャル化——氏は「自分が NAMI や Blockfrost を買ったように、苦境のプロジェクトを買って商業化することもできる」と述べます(実際、IOG はウォレットの Nami や、Cardano で広く使われる API プロバイダ Blockfrost を買収しています)。しかし氏は、買って商業化しようとすると「中央集権化だ、エコシステムを支配しようとしている」と批判され、買わなければ「なぜ助けないのか」と批判される——という板挟みを訴えます。
Pentad と商業統合——CF・IOG・EMURGO・Intersect・Midnight 財団からなる「Pentad(5者)」は、LayerZero(クロスチェーン接続)や Circle の USDC(USDCx)統合といった、コミュニティが長年求めてきた商業統合を実現しました。一方で氏は、ステーブルコインの発行について「約束されたほどには発行されなかった」部分があり、しかもそれは自分の権限外の別組織の話だ、と述べ、Pentad の取り組みもまた批判にさらされた、とします。
これらをどう読むかは、立場によって割れます。氏の側から見れば「商業化の機会を、コミュニティが自ら潰している」。一方、トレジャリー支出に慎重なDRep・コミュニティの側から見れば、ADA の希薄化リスク、財政規律(後述の NCL)、買収による寡占・中央集権への懸念、投資対効果の不確実性など、慎重になる正当な理由も存在します。「ガバナンスが No と言える」こと自体は、設計上はガバナンスが機能している姿でもある——この緊張こそが、今回の問題の中心にあります。
ガバナンスとトレジャリーの構造的な制約——NCL と Catalyst
氏の苛立ちを、制度の側から見ると、いくつかの構造的な制約が見えてきます。
一つは NCL(Net Change Limit=ネットチェンジリミット)です。これはトレジャリーからの引き出し総額に上限を設ける憲法的なパラメータで、2026〜27年の期間(Epoch 613/2026年2月13日〜Epoch 713/2027年7月3日)には総額 ₳350M という上限が設定されています。つまり、トレジャリー支出は憲法上の枠でキャップされています。
もう一つは Project Catalyst の停止です。Cardano のコミュニティ資金配分の仕組みである Catalyst は、運営が IOG から Cardano 財団へ移管される過程で、Fund15・Fund16 が当初の形では進まず、資金パイプラインが途中で止まっています(Catalyst はこれまで2,200件超のプロジェクトに1.5億ドル超を配分してきました)。氏が「CF は Catalyst を立て直して資金を出すことすらできていない」「そして我々は NCL に達している」と述べるのは、この状況を指しています。
これらの制約は、放漫財政を防ぎ、ガバナンスの監督を効かせるために意図的に設けられた側面があります。だからこそ「規律としての制約」と「機動的な救済の必要性」がぶつかる——氏が突きつけているのは、まさにこのトレードオフです。
「技術の先」の戦略という宿題
この動画でもっとも建設的に受け止められるのは、次の一節です。氏は「我々は技術を届けた。年末には Leios が来るし、他に類を見ない素晴らしいものがあり、巨大な問題を解決してきた。それは事実だ」と述べたうえで、こう続けます——「だが、それだけでは足りない。その上のレイヤーの戦略が要る」。
氏の問いを煎じ詰めると、こうなります。委任者(delegator)に対して「戦略は ADA とトレジャリーを保有し続けることだけ、いずれ価値が上がるのを待つだけ」と説明しているなら、プロジェクトが次々に廃業し、Cardano 上の dApp と利用が減り続けるなかで、いったい何を築いていくのか。資金をどこに振り向けるのか。新しいベンチャーに賭けるなら、その情熱ある人々を、どう「前の世代とは違う扱いをする」と説得できるのか。技術が強いことは、ビルダーが生き残れる経済モデルの代わりにはならない——これは、相場や個別の対立を超えて、エコシステム全体が向き合うに値する問いです。
氏が示す処方箋は、「リーダーシップ・ビジョン・戦略を選び、その戦略に実際の資金・実行能力・リーダーシップを付与する(endow)こと」。そして必要なら、憲法の変更、執行機能の整備、トレジャリー運用の見直し、さらにはプロトコルのフォークといった大きな改革まで選択肢に含めて、コミュニティが決断すべきだ、というものです。
過激な選択肢と、その温度——「分裂」と proof-of-burn
一方で、この動画には、率直に言って過激で、温度の高い部分があります。これらは Charles 氏自身の発言・氏自身の枠組みであり、SIPO がその内容を支持・推奨するものではない点を、はっきりさせておきます。
氏は、コミュニティが「ビルダー」と「ビルダーでない者」、「実行する者」と「悲観論者・冷笑家」に分かれる「分裂(schism)」が必要かもしれない、と述べ、「破壊だけを目的とする人々」を意味ある参加・対話から「排除する」可能性にまで踏み込みます。さらに最も過激な選択肢として、proof-of-burn によって「新しい Cardano」を立ち上げる案にも言及します。批判者は移行せず取り残され、異なるトークノミクスと組織設計の新チェーンができる、というもので、氏自身これを「核オプション(nuclear option)」と呼び、「考える材料(food for thought)」だと付け加えています。動画にはまた、自分への執拗な個人攻撃への強い疲弊と苛立ちも、繰り返し吐露されています(原動画には強い言葉が含まれます)。
こうした発言は、長年の蓄積と、目の前で起きるプロジェクト撤退への強い感情の中から出てきたものとして理解する必要があります。ただし、チェーンの分裂や proof-of-burn による新チェーンは、実行されれば極めて大きな混乱とリスクを伴うものであり、エコシステム全体にとって軽々に語れる選択肢ではありません。氏自身がこれを「最終手段」と位置づけていることも含め、現実的な重みを持って受け止めるべき部分です。
持続可能性という問いは本物で、真剣に、そして部族的な対立を脇に置いて向き合う価値があります。ビルダーが報われる仕組みは、エコシステムの将来そのものに直結します。とはいえ、その答えはおそらく、最も派手な「核オプション」ではなく、もっと地道なもの——実効性のある資金・商業化のモデルと、明確な実行体制——の側にあります。SIPO は、この動画が語りかける DRep の一つとして、引き続き提案を一つひとつ精読し、エコシステムの長期的な健全性を基準に判断していきます。誰かを断罪することではなく、何を築けるかが問われている局面だと考えています。
【全文翻訳(日本語)】
皆さん、こんにちは。今日まさに起きた、TapTools に関する出来事について動画を撮りたいと思いました。まず、彼らが出した声明をそのまま読み上げます。
「本日、私たちはこれまでで最も難しい報告の一つをお伝えします。Cardano コミュニティとともに何年も築いてきた TapTools は、今後2週間で運用の段階的な縮小を始める準備をしています。これは、私たちが望んだ結末ではありません。
初日から、TapTools は私たちだけのためのものではありませんでした。それは Cardano のためのものでした。ビルダーが見つけてもらえるよう手助けし、ユーザーが成長するエコシステムを理解できるよう助け、Cardano を探索し構築しやすくするツール・データ・コンテンツ・インフラを作ること。それが常に私たちのミッションでした。
友人同士の小さなプロジェクトとして始まったものが、Cardano で最も広く使われるプラットフォームの一つへと成長しました。この数年で TapTools は100万人を超えるユーザーに使われ、API を通じて数百のプロジェクトを支え、数百本の記事を公開し、数億回規模のソーシャル・インプレッションを生み、Cardano 全体の数えきれないビルダー・コミュニティ・プロジェクトに可視性をもたらしてきました。
私たちは TapTools が成し遂げたものを、心から誇りに思っています。しかし同時に、こうしたプラットフォームを運営する現実についても、正直でなければなりません。今年初め、2名の共同創業者——CTO と COO——が離脱しました。私たちは適応しようと懸命に努め、バックエンド開発者が CTO 役を引き継いでプラットフォームを前に進めようとしました。一時は、道があると信じていました。インフラ費用の削減、運用効率の改善、新製品の開発、そして TapTools をより持続可能な未来へ動かすために、積極的に取り組んでいたのです。
残念ながら、その新しい CTO も、離れる決断をしました。TapTools を責任を持って運用・保守するために必要な技術的知見は、一夜にして置き換えられるものではありません。同時に、こうしたプラットフォームを運営する経済性は、依然として厳しいままです。インフラ費用は現実です。開発費用も現実です。サポート費用も現実です。エコシステムを大規模に支えるプラットフォームの運営には、コストがかかります。問いは『続けたいかどうか』ではありません。問いは『現在の状況下で、責任を持って未来にコミットできるかどうか』です。いま、私たちはそれができるとは思えません。
TapTools を使ってくださったすべての方、API を統合してくださった方、プロ会員として支えてくださった方、記事を読み、コンテンツを共有し、あるいは私たちが築こうとしたものを信じてくださったすべての方へ。ありがとうございました。皆さんは、小さなアイデアを、Cardano にとって意味のあるものへと変える手助けをしてくれました。過去・現在のチームへ。何年にもわたる努力・犠牲・創造性・信念に感謝します。複数の市場サイクルを越えて築き続けることは簡単ではありませんが、私たちのチームは、この仕事に意味があると信じていたからこそ、毎日現れてくれました。
もし、買収を通じて、あるいはプラットフォームを持続的に運営し続けるために必要なリソースを通じて、信頼できる道が現れるなら、私たちはその対話に対して開かれ続けます。次に何が起きようとも、私たちは TapTools が成し遂げたものを心から誇りに思います。私たちは信じたから築きました。気にかけたから尽くしました。そして、意味のある何かを創る機会を Cardano が与えてくれたことに、いつまでも感謝します。この旅の一部でいてくれて、ありがとう。——TapTools チーム」
彼らは良い人たちでしたし、TapTools は私の毎日の習慣の一部でした。毎日 TapTools を開いて、何が起きているかを眺めていたのです。そして、これがエコシステムとしての私たちの現在地です。
私は年の初めに言いました。相場が本当に悪いので、多くの人が崩れていくのを目にすることになる、と。そして私たちには、エコシステムを救済し、次の段階へ進むために必要な「生命線」を彼らに届ける、何らかの手段が要る、と。そこで私は、インデックスという計画を考えました。それは実行されませんでした。だから私たちは JPG Store を失いました。TapTools もそうです。他にもすぐに続くところが出てくると私は見ています。エコシステムには、撤退の波が来るでしょう。
私は、NAMI を買い、Blockfrost を買ったように、そのいくつかを買うこともできます。そして、それらを引き取って商業化しようと試みることもできる。けれども、私たちがそれらを引き取って商業化しようとすると、皆さんはそれに反対票を投じる。そういうものなのです。ですから、こうしたベンチャーを次の段階へ引き上げるためにトレジャリーを使おうという意欲は、コミュニティにはあまり無いように見えます。
私たちには Draper がいます。皆さんは、彼らに大量の ADA を、多額の資金を与えると決めました。念のため申し添えますが、彼らはおそらく、古いものではなく、ほとんど新しいものに投資するでしょう。そして、これら古いものの多くは、いまのところ投資できる状態にありません。ですから、今年は、Cardano にとって後半が非常に厳しくなります。おそらく DeFi でさらにいくつかが死に、淘汰が起きるでしょう。これを解決するうえで、自分の役割や立場が何なのか、私自身はっきりとは分かりません。
私はオンラインで、絶え間なく批判され続けています。人々は毎日のように、私の Twitter のフィードに ADA の価格を投稿し、その下落について私を責めます。そして私は、本当に知りたいのです——ここでの自分の「主体性(agency)」とは何なのか、と。私は Cardano に対して特別な力など持っていません。ガバナンス鍵も持っていない。ハードフォークを起動する能力すら無く、ましてやプロトコル・パラメータの変更などできません。トレジャリーへのアクセスもありません。「Cardano」という名称の商標すら、私は所有していないのです。エコシステムの成長と統治のために与えられた資金は、すべて別個の組織に渡され、最高値の時点では数十億ドル規模でした。それは私に与えられたのではありません。では、私はいったいどうやって、この問題に影響を与え、成長させ、皆さんのために解決できるというのでしょう。正直に申し上げています。そして本当に、その答えを知りたいのです。私にどんな力があるというのか。これに対して、私にどんなコントロールがあるというのか。
何カ月も、いや何年も、私はエコシステムとして、こうした事態を防ぐためにやるべきことを、いくつも示してきました。まず私は言いました。国富ファンドを作ろう、と。ADA の価格がそれなりの水準にあるうちに、その一部をステーブルコインに換え、エコシステムとして戦略的投資を行い、人々を引き上げるために使える「スラッシュファンド(自由資金)」を持とう、と。Cardano Wheel のような人々や、その他の人々は「いや、それは ADA を破壊する。やめておこう」と言いました。その後の争いの中で、彼らは去っていきました。そして毎日、私はその件で責められます——私たちは勝ってすらいないのに。Cardano の国富ファンドは、実現しなかったのです。
次に、私たちは Pentad をまとめました。新しい商業統合を持ち込もうと、極めて懸命に取り組みました。そこには、ステーブルコインが発行されるという約束がありましたが、それは(約束どおりには)発行されませんでした。私には、それが起きるのを止める力はありません。それは別の組織の話だからです。私は「ここで物事を実現させる必要がある」と本当に懸命に訴えました。そしてもちろん、価格は下がっていく。だから、使えるリソースは減っていきました。そのうえ、Pentad の行動は——皆さんが何年も、何年も求めてきた LayerZero や Circle(USDC)などをきちんと実現したにもかかわらず——手厳しく批判されました。
次に私は、インデックスを作る必要があると言い、それに取り掛かり始めます。すると VC が入ってきて、多額の資金を得ます。Pentad のメンバーの一人がこれを推しましたが、私たちにとってはあまり役に立たず、いまや、廃業していくこれらの人々すべてを支える救済ファンドは、私たちの手元にありません。
そこで私は、そのいくつかを買収しようとします。そのたびに、皆さんは「お前はエコシステムを破壊している」「エコシステムを寡占化している」「中央集権化している」「エコシステムを支配したいのだ」と言います。だから私は買わない。すると今度は「これらの人々を助けず、救済しないとは何事だ」と言うのです。
これは、かなりもどかしいことです。なぜなら、私は気にかけているからです。気にかけていなければ、私はここにいません。この動画を作ってすらいないでしょう。ただ標準的な企業の広報ツイートをして、「TapTools、幸運を祈ります。これまでありがとう。皆さんは素晴らしい人たちでした」と言えばいい。けれども、こういうものが去っていくのを見ると、私は傷つきます。魂が痛むのです。ここにいる誰もが傷つく。これは、エコシステムの全員にとっての「負け-負け」です。そして、予測できたことでした。こういう事態が来ることは分かっていた。私には、それを止める主体性が無いのです。
私は、私たちが何をすべきか、どこへ向かうべきかについて、本当に懸命に助言しようとしています。そして、その助言に従ってもらえないとき、私たちはその結果を生きることになる。Cardano には、常軌を逸した病理のようなものが感染しています。それは、私のツイートの一つひとつの下に見て取れます。中には、本当に常軌を逸した人たちがいます。彼らの唯一の目的は、いまや私を叩き潰すことです。それだけ。彼らが X にログインする唯一の理由が、それなのです。私が作るすべての動画、すべてのツイート、すべての発信に対して。かつては Josephine と Monad だけでしたが、いまやその合唱は大きくなりつつあります。
そして、何のために? まず第一に、私にはエコシステムに意味のある形で影響を与える主体性も力も無い。それは、こうした事態を見れば明らかです。そして私は「これをやる必要がある」と言うのに、それは実行されず、私たちはその結果を生きる。それでいて、もし私が去れば、すでに生じた損害をさらに悪化させるだけでしょう。彼らは何を成し遂げたいのか。これだけのことをして、私たちはどこへ行き着いたのか。ただ破壊のために Cardano を破壊したいだけなのか。「自分たちは正しかった、Cardano はダメだった」と言うために、プロジェクトを破壊しよう、と?
TapTools が失敗するというのは、ただ TapTools が失敗するということではありません。それは、ミッションを、ビジョンを、進むべき道を気にかけ、Cardano を機能させたいと願い、そのミッションとビジョンを担うために何かをしたいと願った人々の、何年も、何年もの人生なのです。彼らには意味があった。私にとって意味があった。多くの人々にとって意味があった。彼らはビジョンを信じ、本当に特別な何かを創りたいと願っていました。
そして今、私たちへの報酬がこれです。今年は、毎週、隔週、毎月、別のプロジェクトから、あのようなツイートをまた読むことになる。そのたびに、あの常軌を逸した人たちが現れる。どうやら、それも私のせいらしい。私は本当に懸命に、人々にこれらへの投資を促そうとし、皆さん——DRep を通じた投票者——は、それをやらないと決める。「金の無駄だ。金が無い。やらない」と。これがどうして持続可能で、成り立つ話だというのか、私には理解できません。
もしこれが文化なのだとしたら、ここからどこへ行けばいいのか、私には本当に分かりません。皆さんはコマーシャル化を望まない。それでいて、コマーシャル化が起きないとき、全員を罰したがる。「我々はゴーストチェーンではない」と言いながら、ゴーストチェーンにしないために必要なことには、関心を払わない。
この動画は、こうしたことに反対票を投じる DRep に向けたものです。そしてこの動画は、Cardano を商業化しようとするあらゆる試みに、ことごとく激しく抵抗し続ける、すべての人々に向けたものです。少しのあいだ、自分のエゴを脇に置き、深く省みて、自問してください——計画は何なのか。それを機能させるために、誰にどんなインセンティブがあるのか。そして、ここで何が懸かっているのか、と。
私たちは技術を届けました。年末には Leios が来ますし、他に類を見ない素晴らしいものがすべて揃い、巨大な問題を解決してきました。私たちは届けたのです。それは事実です。けれども、それだけでは足りない。その上のレイヤーの戦略が要るのです。そして皆さんは、その断片を与えられてきました。
「ここからどこへ行くのか」について、正直にならなければなりません。もしあなたが、自分に委任してくれた人々に対して「戦略は、ADA とトレジャリーを保有し続けることだけだ。将来は魔法のようにもっと価値が上がるはずだから、ただ待てばいい」と言っているのなら——これらの人々がすべて廃業し、Cardano 上の dApp が死に続け、利用が死に続けるとき、あなたはいったい何で何を築くつもりなのですか。どこに(資金を)展開するのか。真新しいベンチャーにです。だとすれば、私たちはさらに情熱ある人々を見つけ出し、その情熱ある人々に「あなたたちは、前に来た情熱ある人々とは違う扱いを受ける」と説得しなければなりません。にもかかわらず彼らが足を踏み入れるのは、ネズミの巣、毒蛇の巣——間違ったことを言ったりやったりした瞬間に、彼らを焼き尽くそうと待ち構える人たちの巣なのです。それが、私たちの現在地です。
ほら、これがその態度です。ほら、これがその態度です。皆さんはリーダーを選ぶ必要がある。ビジョンを選ぶ必要がある。戦略を選び、それを正す必要がある。そうする必要がある——さもなければ、できないまま、死なせるしかない。それが皆さんの選択です。
これは「学びの機会(teachable moment)」です。TapTools。返信しないでください。すぐに反応しないでください。誰かのせいにしようとしないでください。ただ1週間、考えてみてください。よく見て、掘り下げ、本当に理解しようとしてください——どうやって私たちはここに来たのか、そしてどうやってここから抜け出すのか、と。もし分からなくても、それでいい。けれど、だからといって、助けようとしている他のみんなを焼き尽くしに行かないでください。そして私たちはコミュニティとして、分裂(schism)を経なければならない。エコシステム全体を焼き尽くすことだけが目的の人々を、もはや受け入れることはできません。申し訳ないが、それは「ビルダー」対「ビルダーでない者」、「実行する者」対「悲観論者・冷笑家」なのです。
私たちの中には、いまだに何かをやり、何かを築きたいと願う者がいます。そして私は、そう願わない人々と、もう同じ部屋にいたくない。もう二度と。ですから、人々はいくつかの決断をしなければならなくなる。そして「決断しないこと」もまた、一つの決断です。それは有害な地獄絵図であり、正気のビルダーなら誰も、こんなものに足を踏み入れたいとは思わないでしょう。こうした常軌を逸した人々は、あまりに多くの害をもたらしてきました。提案を出す側の人たちからは、攻撃があまりに激しく、自分の提案を宣伝することすら怖い、という声が私のもとに届いています。トレジャリーを何らかの商業化のために活用し、前へ押し進めようとした人は、誰もが容赦なく攻撃される。あらゆるプログラムを、私たちは強引に押し通さなければならない。あの3分の2の賛成投票に到達するのは、途方もない労力です。そして大多数の人は、そのプロセスを乗り切るだけの政治的な力も、意志も、胆力も持っていません。しかも、資金を得た後でさえ、その向こう側で容赦なく批判されるのです。
これは持続可能ではありません。それこそが、私たちが直さなければならない核心です。それは大量離脱(exodus)を意味するかもしれない。別の何かを意味するかもしれない。私には分かりません。皆さんが教えてください。私はもう、皆さんのためにこの問題を解決することはできません。できないのです。私は多くの提言を、多くの助言をしてきました。受け入れられたものもあれば、受け入れられなかったものもある。そして私はただ、私たちを前へ進めようと最善を尽くしています。技術を届けるために何をすべきか、私は知っている。エコシステムを築き、成長させる方法も知っている。そして、私を歓迎してくれる人たちのためなら、私は喜んでそれをします。私たちについてきてくれる人々のことは、できる限り大切にしようと努めます。Cardano は、いくつかの決断をしなければなりません。ビルダーをどれだけ大切に思うのか、そして毎週・隔週・4週ごとに、こうしたツイートをあと何回見たいのか、決めなければならない。そして委任者である皆さんは、関与しなければならない。自分の DRep が「問題の一部」なのか「解決の一部」なのか、彼らがどう投票してきたのかを、見なければなりません。なぜなら、彼らの中には非難に値することをした者もおり、もし幸福で結束したエコシステムを築きたいのなら、そうした者たちが権力の座にいる理由は無いからです。
そして、永遠の冷笑家たちについては、どこかの時点で、意味ある参加と対話から彼らを切り離さなければならない。彼らの唯一の目的は、個人的な恨みのために、すでに築かれたものを破壊することです。皆さんは「自分の保有資産が下がっている」と言う。彼らの目標は、皆さんの保有資産をゼロにして、「ほら、Charles は失敗した」と言えるようにすることです。それだけ。それがすべて。それが、彼らが望むすべてです。では、彼らは再建を手伝うために残るのか? いいえ。彼らは去り、「だから言っただろう」と言うだけです。それが現実です。ならば、なぜ彼らに政治的な代表権があるのか。なぜ彼らに発言権があるのか。そしてなぜ、エコシステムの誰もが彼らとその批判を恐れるのか。彼らには去ってもらう必要があるし、追放される必要がある。彼らを取り除くのです。
そして、選択肢はあります。ちなみに、これは私がただ口先で言っているのではありません。私たちは「新しい Cardano」を立ち上げ、proof-of-burn(バーンの証明)を行うこともできます。それは最も極端ですが、強力でしょう。なぜなら、私たちがそんなにも無能で物事を成し遂げられないと思っている、あの好き勝手に投稿してくる人たちは、移行してこないからです。彼らは、自分たち自身が作り出した有害な地獄絵図の中に——市場も、出来高も、商業化も無いまま——「悪の抜け殻」のように取り残されるでしょう。それが「核オプション」です。他の選択肢もあります。
他の中核組織も、いくつかの難しい決断をしなければなりません。私たちはプラットフォームを商業化しなければならない。それは、そのためのインセンティブと投資を生み出さなければならない、ということです。ただ口で言うだけではだめだ。「支持する」とただ言うだけではだめなのです。言葉には何の意味もありません。銀行にある冷たく硬い現金、そして守られる財政的コミットメントだけが意味を持つ。それが、前進する唯一の方法です。言葉には何の意味もありません。
はっきり言わせてください。私は外交辞令にうんざりしています。もう、そういうこと全部にうんざりです。「みんなで仲良くしよう、互いに楽しく、幸せに、ただ集まって団結しよう」というツイートに、うんざりしているのです。団結の向こう側にコミットメントが無ければ、団結には何の意味もありません。人々がテーブルに金を出し、物事を成し遂げ、成長させる気が無ければ、団結には何の意味もない。proof-of-burn のもう一つの利点は、異なるトークノミクスと、異なる資金を付与された組織群ができる、という点でしょう。あくまで考える材料として、です。そして、そうした選択肢が存在するということ自体が、ある人々に「戦略を変える必要があるのかもしれない」とようやく気づかせるかもしれません。
私には分かりません。私に分かっているのは、毎週毎週「衰退の管理」をすることに、私たちは心底うんざりしているということです。それが、私の分かっていることです。そして、そのすべてについて責められることに、私は本当に疲れ果てています。なぜなら、それは私のせいではないからです。私には、それを変える力が無い。ガバナンス鍵を持っていない。チェーンに直接影響を与えることもできない。トレジャリーへの直接のアクセスも無い。商標も所有していない。成長やコミュニティのために付与された資金も、私は持っていない。これを理解してください。もし私が持っていたなら、私を責めればいい。けれど、私は持っていないのです。
だから私たちは、やり方を変える必要があります。皆さんは、何らかのリーダーシップ・グループを選ぶ必要がある。執行機能を選ぶ必要がある。戦略を、前へ進む道を選び、その戦略の中に、実際の資金と、実行能力と、何かを成し遂げて前へ動かすためのリーダーシップ能力を付与する必要があります。なぜなら今は、誰も何の力も持っていないからです。誰も前へ進めない。澱んだ瘴気のような状態です。そして、皆さんがそれを使って前進できるように、と私が力を付与しようとして作った組織群——その組織群の敵は、まったくの嘘であるにもかかわらず「あれは Input Output の手先だ」と言うだけ。そしてその組織群の味方を、皆さんは資金・権限・参加から飢えさせる。だから彼らは、実際には意味ある形で前進する能力を持てず、性質として官僚的になっていくのです。
私たちはここで、いくつかの決断をしなければなりません。本当に。私たちエコシステムには、負ける理由が一つも無い。私たちには技術がある。哲学がある。10年間、塹壕の中を生き延びてきた。ブランドもある。そこには毎日、人々が、良い人々がいる。けれど、私たちは彼らを、週ごとに、週ごとに失っている。そして、いいえ、彼らを追い出しているのは Charles Hoskinson ではありません。彼らを追い出しているのは、経済的な現実です。それこそが、これを引き起こしているものなのです。
そして、私がそのために戦うたびに、返ってくるカウンターパンチは同じです。「プロの被害者層」とでも呼ぶべき人々がいる。彼らは攻撃し、そして殴り返されると、今度は文句を言いに行き、「Charles が殴り返してきた。IO が殴り返してきた。創設者がいかに不安定で、邪悪で、ナルシストか見てみろ」と言うのです。私たちの立場に身を置いてみてください。10年以上の人生を、何かを築くことに投じてきた。本気でそれを大切に思っている。勝たせたいと願っている。それを実現するための哲学・戦略を推し進めている。そして、その戦略を潰そうとする人々が、あなたがそれをめぐって彼らと戦うと、文句を言うのです。ここには懸かっているものがあります。私たちが失敗すれば、彼らは廃業する。私たちが失敗すれば、数十億ドルが失われる。私たちが失敗すれば、人々の何年もの人生が無駄になる。私たちが失敗すれば、ビジョンが、ミッションが潰える。
だから、ええ、これは情熱を傾けるに値することなのです。それは人々のキャリアです。人々の働く人生で最良の年月です。人々の蓄えです。人々の事業の未来です。ただの楽しみごとではない。マンチェスターが勝つかどうか、誰が気にする、というようなサッカーの試合ではないのです。これは世界中の何百万もの人々にとって、大きな問題です。だから、ええ、私たちは情熱的になる。ええ、それは重要なのです。そして私は腹を立てています。本当に腹を立てている。なぜなら、彼らは廃業する必要など無かったからです。無かったのです。
では、誰が彼らを救うのか。誰が彼らを存続させるのか。Cardano 財団(CF)は、Catalyst を立て直して人々に資金を提供することすらできていません。そして私たちは、NCL(ネットチェンジリミット=トレジャリー引き出しの上限)に達しています。
ですから、皆さん、1週間とって、ただ考えてみてください。互いに語り合ってください。自分たちが持っているリーダーと、自分たちが向かっている方向を、よく見てください。これは「行動の呼びかけ(call to action)」です。私の唯一のお願いは、皆さんがただ、これにうんざりして「変える必要がある」と言うことです。変えるためにできることは、たくさんあります。憲法の変更、執行機能の変更、トレジャリーの仕組みの変更。プロトコルのフォークほど劇的な変更だって、できます。私たちにできる方法は、本当にたくさんあるのです。本当に、たくさん。そして皆さんは、ただ決断しなければならない。
透明性メモ
SIPO は Cardano の SPO(ステークプール運用者)であり、登録済みの DRep として ADA 保有者から委任された投票権を行使しています。本動画は明示的に「こうした提案に反対票を投じる DRep」へ向けて語りかけており、SIPO もまた、その語りかけの対象に含まれる当事者の一つです。SIPO は加えて Midnight Ambassador としてこのエコシステムに関わっています。
本稿は投資助言や特定トークンの売買推奨ではなく、特定の投票行動を指示するものでもありません。トレジャリー提案やガバナンス・アクションについて、SIPO は内容を独自に精読・評価したうえで、エコシステムの長期的な健全性を基準に、自らの責任で判断・投票します。
動画と関連ソース
動画(一次ソース)
https://www.youtube.com/live/lPOonwAN58Y
TapTools 公式の発表(X)
https://x.com/TapTools/status/2061878260410241209
TapTools
https://www.taptools.io/
Cardano の Net Change Limit(NCL)解説(Cardano Foundation)
https://cardanofoundation.org/blog/understanding-cardanos-net-change-limit
Cardano ガバナンス(gov.tools)
https://gov.tools/
Intersect MBO(ガバナンス・アクションの文脈)
https://www.intersectmbo.org/
SIPO のブロックチェーンインフラ運用について
https://sipo.tokyo/
本稿は、Charles Hoskinson 氏の動画「TapTools」の内容を、解説と全文翻訳の2部構成でまとめたものです。正確な発言・ニュアンスは必ず原動画でご確認ください。原動画には強い言葉や伏字処理された表現が含まれます。本翻訳ではニュアンスを保ちつつ、過度に下品にならない日本語に置き換えています。固有名詞のうち自動書き起こしの揺れ(例:「Laos」→ Ouroboros Leios)は文脈に基づき補正しています。























