🎯 今日の主役
Cardano のプロトコルパラメータ stakePoolTargetNum(k)を 500 から 1000 へ引き上げるべきか——その賛否を問う Info Action が、9 月 17 日にオンチェーンへ提出されました。投票するのは SPO です。DRep も議論には招かれますが、集計には入りません。期限はエポック 663 です。
ここで押さえておきたいのは、これがパラメータ変更そのものではない、という点です。提案書は先に支持を測る二段構えを宣言していて、明示的な賛成が能動的な投票の過半を超えたときにかぎり付託とみなす、としています。今回の投票は「変えるかどうか」の決定ではなく、「決定へ進んでよいか」の測定です。
k が上がると、1 つのプールが報酬の効率を落とさずに預かれる量の上限——飽和点——は下がります。大きなところに集まっていた委任は行き先を探し始め、分散は進みやすくなります。ただし同じ変更は、小さなところの採算も動かします。受け取りの上限が下がる一方で、サーバー・監視・時間といった固定費は変わらないからです。
つまりこの提案が問うているのは「分散を進めるか」ではなく「分散のコストを誰が負担するか」です。委任する側は移動の手間を、大きなプールは規模の利益を、小さなプールは採算の余裕を差し出すことになります。エポック 656 の進行中にこの議論が始まったのは、Cardano の運営が「誰が・どれだけ・どう配るか」を同時に動かしている局面だからでもあります。9 月 21 日 13:00 UTC には、トレジャリーの配分についてのラウンドテーブルも予定されています。
飽和点が具体的にどの水準まで下がるのか、2023 年のオンチェーンポールと今回で何が違うのか、賛否が割れる論点はどこか——この 3 点は本日の別稿で詳しく扱いました。末尾の関連リンクからどうぞ。
🧭 今日の焦点 3 件
スケーリング: Ouroboros Leios が 1,000 TPS のショーケースに成功し、メインネットへ一歩近づいたと伝えられています。現在の Cardano の実効スループットは Cexplorer の集計でおよそ 10 TPS とされており、桁が 2 つ違います。Leios はブロックの作り方そのものを並列に変える設計なので、実現すれば「詰まったときに何を削るか」という議論の前提が変わります。
セキュリティ: IOG の YouTube チャンネルが乗っ取られたと、チャールズ・ホスキンソン氏が注意を呼びかけました。チャンネル上の動画やリンクを信用しないように、という内容です。同じ週に Keystone が、HP のセキュリティチームが暗号資産の利用者を狙う攻撃を検知したと共有しています。公式チャンネルであっても、そこに出てくるリンクを無条件に信用しない——今週はその前提が 2 回試されました。
エコシステム: Indigo がローン管理のフローを刷新し、これまで複数の操作が必要だった処理をまとめられるようにしました。FluidTokens は新しいレンディング DApp をメインネットで公開しています。Strike Finance は独自トレーダー数が 5,700 を超え、手数料で 1,600 万ドル超を生んだとされます。USDCx は 490 万ドル分の発行が確認されました。DeFi の側は、ガバナンスの議論とは別の速度で動いています。
📊 数値スナップショット
ADA $0.2236 +10.69%|NIGHT $0.02416 +11.30%(9月19日朝時点・24時間変化)
背景クロスマーケット: BTC $81,123 +6.07%|ETH $2,632.99 +7.49%(同)
Epoch 656 進行中(スロット 169,234 / 432,000・約 39%・Koios のチェーン情報による)
NIGHT の保有アドレス: 86,700 超(Cexplorer の集計)
Strike Finance: 独自トレーダー 5,700 超・手数料 1,600 万ドル超
USDCx: 490 万ドル分の発行
提案中のパラメータ: stakePoolTargetNum(k)500 → 1000
Regime(Cardano エコシステム): 分散の度合いを決めるパラメータと、トレジャリーの配分が、同じエポックの中で同時に議題に上がっています。
⚡ 先行指標 Watch(48-72h)
【1】k の Info Action の集計。期限はエポック 663 です。GovTool の当該ガバナンスアクションのページで、賛成が能動的な投票の過半に届くかを見ます。
【2】9 月 21 日 13:00 UTC のラウンドテーブル「Treasury Funding Allocation」。トレジャリーの配分の考え方が、どの粒度まで具体化するかを見ます。
【3】Leios のショーケース後の次の一手。IOG の週次開発レポートは毎週出ているので、Leios の記述がテストネットの日程にまで進むかを見ます。
【4】TOKEN2049 週の Midnight と Cardano。Midnight はシンガポールで 2 つの基調講演を予定しており、Cardano Foundation もサイドイベントを案内しています。
【5】Midnight ノード 2.1.0 の正式リリース。現在は rc.2 の段階で、MPS-0042(シリアライズ形式)も並行して動いています。
🔄 48-72h 分岐(観察軸)
分岐A(基準): k の Info Action は賛否が割れたまま集計が進み、エポック 663 の期限まで議論が続きます。Leios はショーケースの成果を踏まえて次の検証段階へ移ります。
分岐B(リスク): k の引き上げが小規模プールの採算を圧迫するという反対が強まり、分散の議論が停滞します。乗っ取られた公式チャンネル経由のフィッシングで実被害が出れば、エコシステム全体の信用コストが上がります。
分岐C(別軸): DeFi 側の動き(Indigo、FluidTokens、Strike Finance)が先行し、パラメータの議論とは別に利用が積み上がります。この場合、k の議論は「今の混雑度では急がない」という方向へ流れます。
📎 直近24時間の動き
■ 重要な動き
- stakePoolTargetNum(k)を 500 から 1000 へ引き上げるべきかを SPO に問う Info Action が、9 月 17 日にオンチェーンへ提出されました。期限はエポック 663 です。 リンク
- Cexplorer が、この k のガバナンスアクションをコミュニティへ告知しました。 リンク
- Cardano が 9 月 21 日 13:00 UTC のラウンドテーブル「Treasury Funding Allocation」を案内しました。 リンク
- Ouroboros Leios が 1,000 TPS のショーケースに成功し、メインネットへ近づいたと伝えられました。 リンク
- Cardanians が、現在の ADA の実効スループットは Cexplorer の集計でおよそ 10 TPS だと指摘しました。 リンク
- チャールズ・ホスキンソン氏が、IOG の YouTube チャンネルが乗っ取られたとして、動画やリンクを信用しないよう呼びかけました。 リンク
- Keystone が、HP のセキュリティチームが暗号資産の利用者を狙う攻撃を検知したと共有しました。 リンク
- IOG の週次開発レポートが出ました。Dijkstra のバッチ検証がサブトランザクションのスクリプトまで対象を広げたことなどが含まれます。 リンク
- Midnight が、NIGHT から DUST が生まれ、その DUST が手数料を払う仕組みを改めて整理するスレッドを公開しました。 リンク
- Midnight ノードのリリース候補 node-2.1.0-rc.2 が公開されました。 リンク
- Mithril の v2630.1-hotfix が公開されました。 リンク
- Midnight の改善提案リポジトリに MPS-0042(シリアライズ形式)が追加されました。 リンク
- Indigo がローン管理のフローを刷新し、複数の操作が必要だった処理をまとめられるようにしました。 リンク
- FluidTokens が新しいレンディング DApp をメインネットで公開しました。 リンク
- Strike Finance の独自トレーダー数が 5,700 を超え、手数料で 1,600 万ドル超を生んだと伝えられました。 リンク
- Midnight の NIGHT の保有アドレスが 86,700 を超えたと伝えられました。 リンク
▫ その他の動き
- Midnight がシンガポールでの予定を公開しました。TOKEN2049 で 2 つの基調講演を行います リンク
- Cardano Foundation が TOKEN2049 週のサイドイベントを案内しました リンク
- Midnight の日本語アカウントが、抽象化に取り組むエコシステムの事業者を紹介する記事を共有しました リンク
- Cardano がエコシステムの週次まとめを公開しました リンク
- Keystone が V-3.1.0 で、サブアカウントのパス方式のアドレスを既定にしました リンク
- Cardano Prime が、alphagrowth の参加にあわせて情報発信の体制を広げると示しました リンク
- palmeconomy が、農業の実物資産をトークン化することで金融アクセスが広がるという考え方を示しました リンク
- RealFi が、9 月 21 日にアルファ・アンバサダー・プログラムに関するオフィスアワーを開くと案内しました リンク
- Cexplorer が、今後の大きな改善を予告しました リンク
- Cexplorer が、USDCx の 490 万ドル分の発行を共有しました リンク
- NMKR が、制作者が「自分が作った」と証明する仕組みの必要性について述べました リンク
- チャールズ・ホスキンソン氏が、Pogun は ADA の DeFi の課題を実際に解いていると述べたと伝えられました リンク
- Pogun が香港の BFC シンポジウムでビットコインの信用・資本についてのセッションに参加しました リンク
- Trivolve の Indianchain が Cardano のメインネットで稼働を始めました リンク
- Midnight の改善提案リポジトリに、メインネットへ展開したアドレスの記録が追加されました リンク
- トランプ大統領がカナダの EU 準加盟案に対して関税を警告し、欧州市場の見通しに影響しました リンク
🗂 継続確認
- k の Info Action の集計状況は、GovTool の当該ガバナンスアクションのページで確認できます。
- Leios の 1,000 TPS は、ショーケースとして伝えられた値です。メインネットの実測値ではありません。
- Strike Finance のトレーダー数と手数料、NIGHT の保有アドレス数は、いずれも第三者の集計に基づく値です。
- 価格は 9 月 19 日朝時点の集計値で、記事公開時点の水準とは異なります。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano GovTool(k の Info Action 本体)
- 提案書の全文(IPFS ゲートウェイ)
- 本日の別稿: k の飽和点と 2023 年ポールとの違い
- 本日の別稿: IOG 公式 YouTube 乗っ取り
- 本日の別稿: 9/21 資金配分ラウンドテーブル
- Cexplorer(新しいガバナンスアクションの告知)
- Midnight ノード node-2.1.0-rc.2 のリリース
- Mithril v2630.1-hotfix のリリース
- Midnight 改善提案 MPS-0042(シリアライズ形式)
- IOG 週次開発レポート(2026-09-18)
- Koios チェーン情報
■ ことば
- stakePoolTargetNum(k) — プールの「目標数」を決めるプロトコルパラメータ。流通している ADA を k で割った量が 1 プールの飽和点になり、k を上げると飽和点は下がります。分散の度合いを直接いじる数字です。
- 飽和点 — 1 つのプールが報酬の効率を落とさずに預かれる量の上限。ここを超えると超過分の報酬効率が下がるため、委任する側は別のプールへ移る動機を持ちます。
- Info Action — Cardano のガバナンスで、意思を記録するだけで自動的な効力を持たない種類の提案。今回のように「本番の変更へ進んでよいか」を先に測る用途に使われます。
- Ouroboros Leios — ブロックの生成と検証を並列化して基盤層の処理量を上げる Cardano の設計。現在はテストと検証の段階で、今回 1,000 TPS のショーケースが伝えられました。
