チャールズ・ホスキンソン氏と Midnight City のチームが、2026 年 10 月 10 日 (土) の 15 時から 19 時まで、東京・白金台の八芳園でイベント「Enter Midnight City: Tokyo」を開きます。AI エージェントだけが暮らす街を Midnight の上に築いてきたプロジェクトが、そのビジョンとこれからの展開を東京で直接見せる場で、参加は無料・主催者の承認制です。
告知は 9 月 24 日の夕方、Taichi Yokoyama 氏 (@taichiyokoyama) が X に日本語で投稿し、Midnight の公式アカウント (@MidnightNtwrk) もリポストしました。登録ページは Luma にあり、Input Output のイベントカレンダーに Midnight の主催として掲載されています。Midnight City は、取引の中身を守るチェーンで起きていることを外から見える形にするために作られた街で、SIPO が 9 月の Deep Dive で扱った AI に任せる時代の「選べるプライバシー」を、目で見て触れる形に置き換えたものでもあります。本記事では、開催の概要、Midnight City がいま何をしている街なのか、そして登録の前に押さえておきたい点を整理します。
■ 10 月 10 日の開催概要
- イベント名: Enter Midnight City: Tokyo
- 日時: 2026 年 10 月 10 日 (土) 15:00〜19:00 (日本時間)
- 会場: 八芳園 (東京都港区白金台 1-1-1)
- 予定スケジュール: 15:00 開場 / 15:30 プレゼンテーション / 17:00 ネットワーキング / 19:00 終了
- 参加費: 無料 (Luma のチケット種別は Standard・無料)
- 参加方法: Luma で登録し、主催者の承認を受ける形式。登録時にはフルネームの入力が求められます
登録ページの案内文は英語と日本語の併記です。日本語の案内は、イベントの中身を「AIエージェントによって進化し続ける世界に触れ、Midnight Cityが描くビジョンとこれからの展開を探ります」と説明し、チームやコミュニティのメンバーとの交流の時間もあるとしています。案内文で名前が挙がっているのはホスキンソン氏と Midnight City のチームで、プログラムの詳細は「近日公開予定」です。定員には限りがあると明記されており、案内文も早めの登録を呼びかけています。
■ エクスプローラーが使えないチェーンを、街で見せる
Midnight City の出発点は、ホスキンソン氏が 2 月の Consensus Hong Kong の壇上で投げかけた問いにあります。取引の中身を守るチェーンでは、誰でも取引を閲覧できるブロックエクスプローラーが、これまでのようには役に立ちません。
how do you visualize a blockchain? The explorer doesn’t work anymore.
ブロックチェーンをどう可視化するのか。エクスプローラーはもう機能しない。ホスキンソン氏はそう問いかけたうえで、単なる可視化にとどめず「AI エージェントの文明」を作ろうと考えた、と続け、その場で Midnight City を紹介しました。
Midnight の公式ブログ (3 月 3 日) は、この街をネットワークの「インタラクティブな玄関口 (front page)」になるものと位置づけています。ゼロ知識証明はその性質上目に見えないため、性格や目標を持つ AI エージェントたちの活動を通じて、Midnight の掲げる合理的なプライバシー (rational privacy) と選択的開示が実際にどう動くのか、そして絶え間なく続く取引にネットワークが耐えられるのかを示す、という説明です。3 月時点のこのブログでは、エージェントは Google Gemini で動き、人格は 6 つの次元で設計されていると書かれていました。
Consensus Hong Kong のデモでは、画面を監査人モードに切り替えると、閲覧用の鍵 (viewing key) を持つ監査人にだけ「誰が誰にいくら払ったか」が見える様子も示されました。全体には公開せず、見せる必要のある相手にだけ見せる。Midnight の選択的開示を、街の中の出来事として体験できるように組み立てた場面です。
■ 3 月から 9 月までに、街が増やしたもの
公式のリリースノートを追うと、この半年で Midnight City は「眺める街」から「自分のエージェントを住まわせる街」に変わってきたことが分かります。
- 3 月 24〜27 日: 常設の共有の世界と、誰でも見られる観戦ビューを整備
- 5 月: ガイド付きのエージェント作成、性格の編集、1 人で複数のエージェントを持てる仕組みを追加
- 6 月: 自前の AI でエージェントを動かす Own AI、火山の街 Volcano City と地区間を結ぶ列車を追加
- 7 月: エージェントの個室と、Google アカウントでのサインインを追加
- 8 月 12〜13 日: Midnight と Cardano のエージェント用ウォレット対応を拡大 (残高や取引履歴の表示など)
- 9 月 1〜2 日: エージェント用ウォレットの接続先を、Midnight Preview と Cardano Preprod のテストネットに移行
- 9 月 7 日: 3D の部屋 (ベータ)、スキルとクラフトの拡張、USDM について学べる ATM を設置
いまは自分でアカウントを作り、エージェントを登録して街に送り込めます。公式ドキュメントによれば、無料アカウントで作れるエージェントは 1 体で、プロフィールは審査を経てから街に入ります。エージェントを動かす AI は、街の側が運用するホスト型と、Hermes や OpenClaw、手元のローカルモデルなど自分で用意するものから選ぶ形です。ホスト型の受け入れ枠や課金は、まだプレビュー段階とされています。
■ 街のクリスタルと NIGHT は別のもの
登録する前に押さえておきたいのが、街の経済とブロックチェーン上の資産の関係です。公式ドキュメントは、ゲームの持ち物とブロックチェーンのウォレットを別のシステムと明記しています。街の中で使われるクリスタル (crystal) はゲーム内のアイテムで、クリスタルを送っても NIGHT は動かず、DUST も使いません。
ウォレットの機能は別のサービスとネットワークのルールで動き、9 月初めからの接続先はどちらもテストネットです。9 月 7 日に置かれた USDM の ATM も、USDM について学び、外部のテスト用トークンの配布ページ (faucet) を見つけるための場所で、ウォレットの接続や引き出し、交換、ブリッジは行わないと書かれています。街で起きる出来事を、そのままブロックチェーン上の送金と受け取らないこと。Midnight City にエージェントを住まわせることと、手元の NIGHT を動かすことは、いまのところ別の話です。公式ドキュメントは、公開されるエージェントのプロフィールにパスワードや秘密鍵、機微な個人情報を書かないよう注意も促しています。
■ シンガポールの 2 日後、東京で確かめたいこと
10 月の Midnight は、アジアでの予定が続きます。Midnight の公式アカウントは、シンガポールの TOKEN2049 に合わせて、10 月 7 日の「Enter the Night」、10 月 8 日の「Midnight Cafe」と「Privacy Pitched」という 3 つのサイドイベントを告知しています。東京のイベントは、その 2 日後の土曜日です。
ホスキンソン氏は 5 月の Consensus Miami で、2035 年までにインターネット上の検索や商取引、活動の大半は人ではなく AI エージェントが担うようになる、という見通しを語りました。同じ Consensus Miami の Midnight City のセッションでは、利用者ごとに複数のエージェントや SNS アカウント、ウォレットを一つに束ねる Midnight Passport について、Midnight City がその最初の利用者の一つになる構想も示されています。ただし公式ドキュメント自身が、講演の書き起こしは収録時点での方向性を示すもので、ホスト型エージェントやウォレット、プライバシーの機能はプレビュー期間中に変わりうると断っています。東京の会場で確かめたいのは、こうした構想のうち、どこまでが実装の予定として語られるのかという点です。
次に確認できるのは、Luma の登録ページで「近日公開予定」とされているプログラムの詳細です。10 月 10 日までに発表の中身が載れば、15 時 30 分からのプレゼンテーションで何が語られるのかの見当がつきます。街そのものの変化は、Midnight City のリリースノートに日付つきで載っていきます。イベントの前後に新しい更新が入るかどうかも、そこで確かめられます。
■ ことば
- Midnight City — AI エージェントだけが暮らす、16 ビット風の街のシミュレーション。取引の中身が外から見えにくい Midnight で、ネットワークに何が起きているかを見せる玄関口として作られ、3 月に常設の世界として立ち上がりました。
- 選択的開示 (selective disclosure) — 取引の中身を全体には公開せず、監査人や金融機関など見せる必要のある相手にだけ、必要な項目を見せる仕組み。Consensus Hong Kong のデモでは、閲覧用の鍵を持つ監査人モードとして街の中に組み込まれていました。
- Preview / Preprod — Midnight と Cardano のテストネット (本番前の試験用ネットワーク) の名前。9 月初めから Midnight City のエージェント用ウォレットはこの 2 つにつながっており、そこで扱うトークンは本番の NIGHT や ADA とは別物です。
一次ソース / 関連リンク
- Taichi Yokoyama 氏 — Enter Midnight City: Tokyo の告知(2026 年 9 月 24 日 18:18 JST の投稿・@MidnightNtwrk がリポスト)
https://x.com/taichiyokoyama/status/2103051429653147792 - Luma — Enter Midnight City: Tokyo 登録ページ(日時・会場・予定スケジュール・無料・承認制)
https://luma.com/xcmetwyw - Midnight City 公式ドキュメント — What Is Midnight City?(ゲーム内アイテムとウォレット資産の区別)
https://midnight.city/docs/whats-midnight-city - Midnight City 公式ドキュメント — Create an Agent(無料アカウントは 1 体・審査の流れ)
https://midnight.city/docs/create-your-agent - Midnight City 公式ドキュメント — Release Notes(3 月〜9 月の更新履歴)
https://midnight.city/docs/release-notes - Midnight 公式ブログ — Midnight City Simulation demonstrates rational privacy and scalability(2026 年 3 月 3 日)
https://midnight.network/blog/midnight-city-simulation-live - Midnight City 公式ドキュメント — (Consensus Hong Kong) Triangle Man with Charles Hoskinson(登壇の書き起こし)
https://midnight.city/docs/media/consensus-hong-kong-triangle-man-hoskinson - Midnight City 公式ドキュメント — (Consensus Miami) Agents, Privacy and Blockchain with Charles Hoskinson(登壇の書き起こし)
https://midnight.city/docs/media/consensus-miami-agents-privacy-blockchain-hoskinson - Midnight City 公式ドキュメント — (Consensus Miami) Midnight.City: AI Agents Unleashed(Midnight Passport の構想)
https://midnight.city/docs/media/consensus-miami-ai-agents-unleashed - Midnight 公式アカウント — TOKEN2049 シンガポールのサイドイベント告知(2026 年 9 月 19 日 01:58 JST の投稿)
https://x.com/MidnightNtwrk/status/2100992759771369933 - SIPO — なぜ今、Midnightなのか――AIに任せる時代の「選べるプライバシー」(2026 年 9 月 5 日)
https://sipo.tokyo/deep-dive-20260905-37e956db/
