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Intersect と Se7en Labs の予算、USDM で保有へ

Intersect は10月2日付の Update #131 で、Cardano のトレジャリーから引き出された 2 件の資金が、Cardano ネイティブの米ドル建てステーブルコイン USDM で保有されるようになったと報告しました。対象は Intersect 自身の 2026/27 年度予算と、Daedalus ウォレットを保守する Se7en Labs の提案で、どちらも Moneta を通じて USDM が発行され、資金を保持するスマートコントラクトはオンチェーンで稼働しています。

トレジャリーの引き出しは ADA 建てで可決されますが、その資金で払う仕事の契約や予算は固定額で合意されています。ADA の価格が 1 年のあいだにどう動いても、承認された仕事を合意どおりに支払えるようにする措置で、DRep が票を投じた「金額」と、実際に払われる「価値」を一致させる試みだと言えます。何が変わったのか、どこで確かめられるのかを整理します。

USDM で保有されるのは Intersect と Se7en Labs の 2 件

Intersect によると、USDM で保有されるようになったのは次の 2 件です。

  • Intersect の 2026/27 年度予算: Intersect は、第 3 四半期にコミュニティが承認した ADA の引き出しがこれに当たると説明しています。オンチェーンの記録では、Intersect が自らの活動費として提出した「Intersect: Governance coordination and technical stewardship」の引き出しは 2,540 万 ADA で、エポック 646 で実行されました
  • Se7en Labs の提案: 「Se7en Labs: Daedalus Wallet Maintenance and Improvements 2026-2027」。提案書が Cardano 唯一のフルノード型デスクトップウォレットと説明する Daedalus の保守・改善を、Se7en Labs が担う契約で、178 万 5,333 ADA の引き出しがエポック 647 で実行されています

Update #131 は、どれだけの額が USDM に換えられたかまでは書いていません。金額と詳細は、後述の Intersect のトレジャリーダッシュボードで公開されているとしています。

ADA 建てで可決し、ドル建ての契約を払う構造

この措置の背景には、トレジャリーの仕組みそのものがあります。Cardano のトレジャリーは ADA で積み立てられ、引き出しのガバナンスアクションも ADA の額で提出・投票されます。一方で、受け取る側の開発会社や Intersect の予算は、人件費や外注費など、多くが法定通貨建ての固定額で組まれています。

Intersect は Update で、ADA は市場とともに動くが、予算と契約は固定額で合意されていると説明しています。引き出した ADA をそのまま持っていると、年の途中で ADA が下がれば合意した仕事を払いきれなくなり、上がれば必要以上の価値を抱えることになります。USDM で持てば、承認された仕事を、ADA の価格にかかわらず合意どおりに支払えるというのが Intersect の説明です。Intersect の分については、予算年度が最初から固定額で回るとしています。

Cardano 上の USDM の流通量は、9月26日の Signal で取り上げたとおり、9月21日と23日のまとまった新規発行で増えていました。その発行の目的は当時、発行記録からは分かりませんでした。今回の 2 件の発行とどう対応するかは、ダッシュボードやコントラクトの記録で照らし合わせる余地があります。

引き出しからコントラクトまでたどれる

Intersect が強調しているのは透明性です。金額と詳細は Intersect のトレジャリーダッシュボードに載っており、稼働中のコントラクトは誰でもオンチェーンで確認できるので、ガバナンスアクションから資金を保持するコントラクトまで、トレジャリー資金の流れを追えるとしています。

DRep にとっては、可決した引き出しのその後を自分で確かめられる経路が増えることを意味します。引き出しの承認はこれまで、「何 ADA を誰に渡すか」の判断でした。資金が USDM に換わり、契約ごとのコントラクトで保持されるようになると、承認した金額がいつ・どの形で受け手に渡っていくかまで、オンチェーンで追えるようになります。

この流れは USDM の発行元にも及んでいます。Intersect は、Moneta(W3i)と組んだ会員向けの新しい特典を近日中に発表すると予告しており、10月7〜8日の TOKEN2049 シンガポールの Cardano ブースで W3i のチームに尋ねてほしいとしています。

次の予算サイクルで見えるもの

2 件の USDM 化は、トレジャリー資金をドル建てで持つ仕組みが、トレジャリー運営の中心にいる Intersect 自身の予算で動き始めたことを示しています。今後提出される引き出しでも、可決後に USDM へ換える前提で金額を組む提案が増えるかどうかで、この運用が標準になっていくかが見えてきます。

まず確認できるのは、トレジャリーダッシュボードに載った 2 件の USDM 建ての金額と、それぞれの契約の支払い記録です。Intersect は TOKEN2049 のブースで、2027 年の予算についての質問も受け付けるとしています。次の予算サイクルで、ADA 建てで提出しドル建てで保有する形が前提として書き込まれるかどうかが、次の分岐点になります。

ことば

  • USDM — Cardano ネイティブの米ドル建てステーブルコイン。発行体が法定通貨の準備に対して発行・償還する種類で、今回は Moneta を通じてトレジャリー資金の受け皿として発行されました。
  • トレジャリーの引き出し(Treasury Withdrawal) — Cardano のトレジャリーから ADA を支出するガバナンスアクション。DRep と憲法委員会が承認し、可決後に引き出されます。今回の 2 件は、引き出した資金を USDM に換えてコントラクトで保持する形を取りました。
  • Daedalus — Cardano のフルノード型デスクトップウォレット。ノードを内蔵してチェーンから直接データを得る方式で、Se7en Labs が保守を担っています。

一次ソース / 関連リンク