Cardano の DEX、SundaeSwap を開発する Sundae Labs は日本時間 10 月 8 日早朝、新版 Sundae V4 の「Atomic Swaps」を公式 X で紹介しました。複数のプールを経由する交換を 1 つの注文・1 つの Cardano の取引で処理し、すべての段階が成立するか、どの段階も成立しないかのどちらかになる仕組みで、メインネットでは USDCx から sUSDrf への交換が 2 つの V4 プールを通って 1 回の取引で決済されているとしています。
10 月 1 日の V4 稼働の告知では「アトミックなルーティング」は新機能の名前として挙がるだけでしたが、今回はそれが実際の経路として動いている例が示されました。利用者の側から見ると、何をどれだけ受け取りたいかだけを書けば、途中の乗り継ぎは V4 に任せられるということです。告知の説明と、開発者向けの SDK の変更履歴を並べて、仕組みと今の範囲を整理します。
乗り継ぎのたびに取引が分かれていた
交換したい 2 つの資産を直接結ぶプールがないとき、DEX では間に別の資産をはさんで乗り継ぎます。Sundae Labs の投稿によると、従来は複数のプールを通る交換は乗り継ぎごとに別々に実行されていました。そのたびに取引が 1 本増え、価格のずれ(スリッページ)が生じる機会が増え、さらに、持つつもりのなかった途中の資産を抱えたまま止まってしまうおそれがありました。
Atomic Swaps は、この乗り継ぎの間のすき間をなくすものだと説明されています。利用者が指定するのは、差し出す資産と、最低限受け取りたい量だけです。V4 のルーターが V4 のプールの中から最もよい経路を探し、経路全体を 1 つの取引の中で実行します。投稿は「すべての段階が成立するか、どれも実行されない」とし、部分的な成立も、途中の資産が取り残されることも、取引と取引の間で値動きにさらされることもない、とまとめています。
メインネットの例は USDCx から sUSDrf へ
投稿が示したメインネットの例は、USDCx を sUSDrf に換える交換です。最初に RealFi の Linear 型の USDCx / USDrf プールを通り、2 つの V4 プールを経て 1 回の取引で決済されています。
V4 が 10 月 1 日にメインネットで最初に開いたのは、USDCx / USDrf の Linear Swap 型と、USDrf / sUSDrf の Stableswap 型の 2 つのプールでした(10 月 2 日の記事)。USDCx から USDrf へ、USDrf から sUSDrf へと進めば、ちょうどこの 2 つを順に通る経路になります。ドル建てのステーブルコインを、利回りを受け取る形の sUSDrf に換えたい利用者にとって、乗り継ぎを別々に行えば 2 回になる操作が、1 回で済みます。
この例はステーブルコインどうしの組み合わせで、ADA と各種トークンの交換に同じ仕組みがどこまで使われるかは、まだ示されていません。使える経路は、V4 で開いているプールの数に左右されます。
SDK の変更履歴が示す「経路を書かない注文」
開発者向けの公式 SDK(sundae-sdk)の変更履歴にも、同じ考え方が書かれています。8 月に公開された版で加わった V4 の交換の注文は、差し出す資産と下限だけを持ち、プールを指定しません。注文を実行するスクーパーが、1 つのプール、複数のプール、あるいはプールの連なりを使って成立させる、と説明されています。
同じ変更履歴は、利用者が経路を明示する従来型の交換の注文について、監査を受けた公開時の範囲の外にあるため、SDK の上では使えないようにしたと書いています。少なくとも公式 SDK から出す V4 の交換では、経路を選ぶのはスクーパーの側です。7 月 30 日の V4 の発表記事も、注文の分け方をスクーパーに任せ、それで生じた上乗せ分は利用者に戻ることをスマートコントラクトが保証すると説明していました。
同じ発表記事は、大きな指値注文を時間をかけて少しずつ成立させる「部分約定」を V4 の機能に挙げています。今回の投稿の「部分的な成立はない」は、1 つの交換の経路が途中で止まらないという意味で、時間をかけて約定させる指値注文の話とは別の機能として整理できます。
次の確認点は、ADA を含む経路
V4 は小さな範囲から段階的に機能を開く方針をとっています。次に見たいのは、ADA を含むペアのプールが V4 に開いたときの Sundae Labs の告知です。そこで ADA から各種トークンへの交換が同じ Atomic Swaps の経路に乗るかどうかで、この仕組みがステーブルコインの外まで広がったかが分かります。開発者の側では、GitHub の sundae-sdk の変更履歴で、経路を明示する注文が監査済みの範囲に戻ってくるかも確かめられます。
ことば
- アトミック(atomic) — 一連の処理を「全部成立するか、まったく成立しないか」のどちらかで扱う性質。Cardano の取引は 1 本の中の処理がまとめて成立するため、乗り継ぎを 1 本に収めれば途中で止まる状態がなくなります。
- スクーパー — SundaeSwap で、利用者が出した注文をまとめて実行する役割の運営者。V4 では、どのプールをどう通って注文を成立させるかを、このスクーパーが選ぶ設計になっています。
- sUSDrf — RealFi のドル建てステーブルコイン USDrf を預けて利回りを受け取る形の資産。利回りの分だけ USDrf に対する価値が上がっていく設計で、V4 では専用の Stableswap 型のプールで交換されています。
一次ソース / 関連リンク
- Sundae Labs 公式 X(V4 の Atomic Swaps・2026 年 10 月 7 日 UTC)
https://x.com/SundaeSwap/status/2107921745302941957
sundae-sdk の変更履歴(GitHub・V4 の交換の注文)(GitHub)
Sundae V4 発表記事(2026 年 7 月 30 日)(Sundae Labs)


