SundaeSwap は日本時間 10 月 1 日 23 時過ぎ、新版の DEX「Sundae V4」を Cardano のメインネットで稼働させました。ただし最初に開いたのは 2 つのプールだけで、いずれも同じ夜に始動した RealFi のステーブルコイン向けです。
V4 は 7 月の発表で、集中流動性や複数資産のプール、自動のルーティングなど、Cardano の DEX としては大きな作り直しを掲げていました。稼働初日はその一部に絞り、小さな範囲から段階的に広げる方式が取られています。この記事では、いま使えるものとこれから順に開くものを分けて整理します。機能の発表と稼働の順番を見分けておくことは、Cardano の DeFi の厚みを測るうえでの基本になります。
稼働告知と「段階展開」の説明
SundaeSwap の公式 X は「Sundae V4 is LIVE」と告知し、すべてを作り直した最大の更新だとして、アトミックなルーティングからモジュール式のプールまでを新機能として挙げました。
約 8 分後、Quantumplation 氏が X で稼働の範囲を補足しています。
We’re doing a phased roll-out to ensure everything goes smoothly; For now, just two pools are live
— Quantumplation 氏の X 投稿(2026 年 10 月 1 日)
確実に滑り出すための段階展開で、いまは 2 つのプールだけが稼働している、という説明です。Cardano PRIME も翌未明、V4 が集中流動性やルーティングの改良、モジュール式のプール、Linear Swap をもたらすと祝っていますが、これは V4 全体として予定されている機能の紹介で、稼働初日にすべてが開いているという意味ではありません。
最初の 2 プールは、どちらもステーブルコイン
稼働している 2 つのプールは、仕組みが異なります。
- USDCx / USDrf — 新しい「Linear Swap」型のプールです。スリッページ(注文時と実際の交換時の価格のずれ)がなく、一定の手数料で交換できます。SundaeSwap は「入れた分がそのまま出てくる、手数料を除いて」と説明しています
- USDrf / sUSDrf — V4 の「Stableswap」型のプールです。sUSDrf は利回りを受け取るにつれて価値が上がるため、交換の基準となる比率がチェーン上で上がっていく設計になっており、実際の価格に沿った交換を保つとしています
USDrf は RealFi のドル建てステーブルコイン、sUSDrf はそれを預けて利回りを受け取る形の資産です。RealFi の稼働そのものとポイント制度については、10 月 2 日の Signal で扱いました。
Linear Swap が 1 対 1 の交換を保てるのは、プールの資産の偏りを直した人に報酬を払う仕組みがあるためです。SundaeSwap は 9 月 29 日、この報酬がプールの資産が尽きる危険の大きさに応じて増える、ダッチオークション型の設計だと説明していました。仕組みの詳細は 9 月 30 日の記事にまとめています。
これから順に開く機能
7 月 30 日の V4 の発表記事は、展開の進め方を「小さな中核機能から始め、確信が得られるにつれて一定の間隔で新機能を出していく」と書いていました。同じ記事が V4 の機能として挙げていたのは、次のようなものです。
- モジュール式のプール — プールを「資産の準備金と、それに対する持ち分トークン」に分解し、価格の曲線などを差し替えられるようにする設計
- 自動のルーティング — 注文を複数のプールに分けて流し、そこで生まれた余剰を利用者に戻す仕組み
- 他のプロトコルとの組み合わせ — Butane の合成トークンや Indigo のペグ安定化の仕組みを経由した交換
- 複数資産のプール、集中流動性、部分約定(大きな指値注文を時間をかけて少しずつ成立させる仕組み)
今回の 2 プールで実際に使われているのは、このうち Linear Swap と Stableswap という新しい価格曲線です。ADA と各種トークンの交換に集中流動性が使われるようになる時期や、既存の V3 の流動性がどう移るかは、今回の告知では触れられていません。
ステーブルコインから始めた意味
新しい DEX を、値動きの大きいトークンではなく、ドル建ての資産同士の交換から開いたことには合理性があります。価格がほぼ動かない組み合わせなら、新しい仕組みに不具合があっても損失の幅を抑えやすく、同時に RealFi という新しい資金の入口に初日から交換の場を用意できます。
Cardano の DeFi にとっては、ステーブルコイン同士を低コストで交換できる場が、新しい資産を受け入れる土台になります。V4 がこの土台から広がっていくなら、DEX の役割は「トークンを売買する場所」から「ドル建ての資金が行き来する経路」へも広がることになります。
確認先は、SundaeSwap の公式 X と sundae.fi のブログです。次のプール、特に ADA を含むペアがいつ V4 で開くかが、段階展開の次の節目になります。開かれたときに、集中流動性や自動のルーティングがどこまで有効になっているかを、告知の文面で見分けると、機能の発表と稼働の差が分かりやすくなります。
ことば
- Linear Swap — 2 つの資産を常に 1 対 1 で交換するプールの型。偏りが出ると直した人に報酬が出る仕組みと組み合わせて、ステーブルコイン同士の交換で価格のずれをなくします。
- Stableswap — 価格がほぼ同じ資産どうしの交換に向けた価格曲線。V4 では、利回りで価値が増える sUSDrf に合わせて、基準となる比率がチェーン上で動く形で使われています。
- 段階展開 — 新しいシステムの機能を一度にすべて開かず、少しずつ有効にしていく進め方。不具合が見つかったときの影響範囲を小さく保つために、DeFi のプロトコルでよく取られます。
一次ソース / 関連リンク
- SundaeSwap 公式 X(2026 年 10 月 1 日・V4 稼働告知)
https://x.com/SundaeSwap/status/2105659878656340043 - Quantumplation 氏の X 投稿(2026 年 10 月 1 日・段階展開と最初のプール)
https://x.com/Quantumplation/status/2105661779778884042 - SundaeSwap 公式 X(2026 年 10 月 2 日・2 つのプールの仕組み)
https://x.com/SundaeSwap/status/2105700209988694048 - Sundae V4 発表記事(2026 年 7 月 30 日)
https://sundae.fi/blog/sundae-v4-announcement/ - Cardano PRIME 公式 X(2026 年 10 月 2 日・V4 稼働について)
https://x.com/Cardano_Prime/status/2105737377193046024
