🎯 今日の主役
Splash が、9月13日に起きた ADA/OADA の StableSwap プールの流出について、原因と資金の行方をまとめた調査報告を公開しました。流出は協定世界時13日0時47分から48分にかけての2回の取引で行われ、2回目の取引でプールから 2,434,648 ADA と 1,988,222 OADA が引き出されています。攻撃者が自分で入れた 9,870 ADA を差し引くと、持ち出された ADA は約242万 ADA です。Splash は、影響を受けたのはこのプールだけで、他の種類のプールは影響を受けていないとしています。
原因はプールの検証スクリプトにありました。このスクリプトは、実際の残高から積み上がった手数料を差し引いた値を「取引に使える残高」として計算していましたが、その値がプラスであることを確かめていませんでした。攻撃者は1回目の取引で手数料の記録を実際より大きく膨らませ、2回目の取引で取引に使える残高をマイナスにして、両方の資産を持ち出しています。Splash はチェーン上のスクリプトをソースから作り直してバイト単位で一致させたうえで、この部分は2024年の Anastasia Labs の監査の範囲に含まれ、監査の後も変わっていなかったと説明しています。残高がプラスかを確かめる仕組みか、手数料の増え方に上限を設ける仕組みのどちらか一方があれば、今回の攻撃は防げたとしています。
資金の行方も追われています。約255万 ADA が6つの入金アドレスへ送られ、82分以内に4つのカストディ型のまとまりに集められました。公開データで KuCoin に約78.7万 ADA、Gate.io に55万 ADA が結び付けられ、残る約121.5万 ADA の行き先の運営者は確認できていません。攻撃の元手になった 12,186 ADA は攻撃の17分前に KuCoin の出金用ウォレットから引き出されており、Splash は取引所と対応を進めています。攻撃者には、バグ報奨金として解決するよう連絡を呼びかけています。
OADA を運営する Optim Finance がプロトコルを止め、流動性の引き上げを求めていることは、今朝の Signal でお伝えしました(https://sipo.tokyo/signal-20260914-27c54c37/ )。報告書が新たに示したのは、持ち出された OADA の多くが Minswap の流動性の薄いプールで売られ、攻撃者が得たのは約11.5万 ADA にとどまったことと、そのプールに OADA が本来の価値を大きく下回る水準で残っていることです。報告書は、いま ADA/OADA の流動性を新しく出すと、その価格差を狙った取引の相手になるとしています。48〜72時間で見たいのは、修正したスクリプトの公開と、取引所の対応、Optim の再開の方針です。
🧭 今日の焦点 3 件
開発の足回り: Blink Labs が、Go で書かれた Cardano ノード Dingo の更新を公開しました。台帳とデータベースの性能改善、ロールバック処理の強化、Mithril とジェネシス、設定の検証の追加が並び、Musashi Dojo テストネットでの試用を呼びかけています。Charles Hoskinson 氏は Foreman の新しい試験版を GitHub で公開しました。PRAGMA は、トレジャリー提案、インシデント対応、貢献者の受け入れ、セキュリティ方針などに使えるテンプレート集 Mnemos を公開しています。今回の Splash の報告も、インシデントの記録をどこまで公開するかの一つの型になりそうです。
ガバナンスと資金: Cardano の公式アカウントが、今週のコミュニティの予定をまとめました。15日に Intersect のハードフォーク作業部会と CIP 編集者の会議、16日に Intersect の CPC の会合が並びます。RealFi の CEO が登壇したセミナーの動画も公開され、年の変わり目までに TVL 1億ドル、その先に10億ドルという目標が示されています。この目標の読み方は、今朝の Signal(https://sipo.tokyo/signal-20260914-dcefee7f/ )で解説しています。
日本とエコシステム: Midnight のアンバサダーリーダーによる3都市ツアーは、13日の東京で最終日を迎えました。ハードウェアウォレットの Keystone は、2023年11月に Eternl との連携で Cardano に対応してから約3年で、Typhon、Begin、VESPR、NuFi、Gero、Lace などへ対応を広げてきたと振り返っています。Revolut の顧客情報が流出した件では、関係者を装ったソーシャルエンジニアリングにも注意するよう、Atrium Lab が呼びかけています。
📊 数値スナップショット
ADA $0.207082 +0.95%|NIGHT $0.02078952 -0.13%(9月13日時点・24時間変化)
背景クロスマーケット: BTC $77,236 +0.17%|ETH $2,521.78 +0.16%(同)
Epoch 655 進行中(9月17日 6時44分ごろに Epoch 656 へ切り替わり・Koios のエポック情報による)
Splash StableSwap(ADA/OADA)の流出: 2回目の取引で 2,434,648 ADA と 1,988,222 OADA/攻撃者の差し引き約242万 ADA
資金の行方: 約255万 ADA が4つのカストディ型のまとまりへ(KuCoin 約78.7万 ADA/Gate.io 55万 ADA/運営者未確認 約121.5万 ADA)
OADA の売却: 約199万 OADA を Minswap で売却し、得たのは約11.5万 ADA
攻撃の元手: 12,186 ADA(攻撃の17分前に KuCoin の出金用ウォレットから)
Dingo: 台帳とデータベースの性能改善/ロールバック処理の強化/Mithril とジェネシスの検証
今週の会議: 9月15日 ハードフォーク作業部会・CIP 編集者会議/9月16日 Intersect CPC の会合
Regime(Cardano エコシステム): 価格は落ち着いていますが、DeFi の一つの流出が、監査の範囲と流動性の設計を問い直す週になっています。
⚡ 先行指標 Watch(48-72h)
- Splash の修正とプールの扱い。報告書は、残高がプラスかを確かめる仕組みか、手数料の増え方の上限のどちらか一方で攻撃を防げたとしています。修正したスクリプトがいつ、どの形で公開されるかを見ます。
- 取引所の対応。資金の一部が KuCoin と Gate.io に結び付けられ、元手も KuCoin から出ています。取引所が口座の特定や凍結に動くかどうかが、回収の見通しを左右します。
- OADA の再開の方針。Minswap のプールに OADA が本来の価値を大きく下回る水準で残っているため、Optim Finance がどの順序で連動を立て直すのかを見ます。
- 今週のガバナンス会議。15日のハードフォーク作業部会と CIP 編集者の会議、16日の Intersect の会合で、次の議題がどう設定されるかを見ます。
- Epoch 656 への切り替わり(9月17日 6時44分ごろ)。DeFi の流出の直後の境界で、委任の動きに変化が出るかを見ます。
🔄 48-72h 分岐(観察軸)
- 分岐A(基準): Splash が修正したスクリプトと再開の手順を示し、Optim Finance も OADA の立て直しの順序を公表します。影響は ADA/OADA のプールにとどまり、他の DeFi への波及は限られます。
- 分岐B(リスク): 監査を受けたコードで起きたことが重く受け止められ、StableSwap 型のプールや連動型トークンの流動性が全体に引き上げられます。取引所の対応が進まず、回収の見通しも立たない状態が続きます。
- 分岐C(別軸): 詳しい報告書の公開が評価され、インシデントの記録と開示の型がエコシステムに広がります。Mnemos のようなテンプレートの整備と合わせて、運営の透明性が話題の中心になります。
📎 直近24時間の動き
■ 重要な動き
- Splash が、ADA/OADA の StableSwap プールが13日にコントラクトの不備を突かれて流出したと告知し、他の種類のプールは影響を受けていないとして、詳しい報告書を公開しました。
https://x.com/splashprotocol/status/2099216297913377253 - Optim Finance が、OADA を扱う Splash のプールが悪用されたとしてプロトコルを停止し、OADA と O の流動性をただちに引き上げるよう呼びかけました。
https://x.com/OptimFi/status/2099029810626593147 - Blink Labs が、Cardano ノード Dingo の更新を公開しました。台帳とデータベースの性能改善、ロールバック処理の強化、Mithril とジェネシスの検証などが含まれます。
https://x.com/blinklabs_io/status/2099176113721278513 - Charles Hoskinson 氏が、Foreman の新しい試験版を公開しました。
https://x.com/IOHK_Charles/status/2099228537362473151 - Cardano の公式アカウントが、15日のハードフォーク作業部会と CIP 編集者の会議、16日の Intersect の会合など、今週のコミュニティの予定をまとめました。
https://x.com/Cardano/status/2098947795591782789 - Cardano の公式アカウントが、RealFi の CEO によるセミナーの動画を公開しました。年の変わり目までに TVL 1億ドル、その先に10億ドルという目標が示されています。
https://x.com/Cardano/status/2099131735573242319 - PRAGMA が、トレジャリー提案やインシデント対応などに使えるテンプレート集 Mnemos を公開しました。
https://x.com/InASingleWord/status/2098947471418196064 - Keystone が、2023年11月に Cardano に対応してから約3年の歩みと、対応してきたウォレットを振り返りました。
https://x.com/KeystoneWallet/status/2098403687819571694 - Midnight のアンバサダーリーダーが、福岡と名古屋に続く3都市ツアーの最終日を東京で開くと案内しました。
https://x.com/btbfpark/status/2098934794851852640 - Atrium Lab が、Revolut の顧客情報流出の影響を受けた方に、ソーシャルエンジニアリングへの注意を呼びかけました。
https://x.com/atrium_lab/status/2098773982799339661 - Cardanoscan が、新しい DEX のページを案内しました。
https://x.com/cardanoscanio/status/2099070535900795050
▫ その他の動き
- Astarter が、AIMETA と組み、AI エージェントの行動をチェーン上で検証できる形で実行する取り組みを始めると発表しました リンク
- Astarter が、AI を使ったゲーム制作の基盤を手がける企業との提携を発表しました リンク
- Iagon が、データを置く国や接続できる相手の条件を先に決め、条件に合うノードにだけデータを配置する仕組みを解説しました リンク
- Cardano の公式アカウントが、ベトナムの大学で学生起業家向けに分散型の資金調達を紹介した催しの報告を紹介しました リンク
- 地域の情勢で規模は縮小したものの、CED26 では企業や投資家との対話が多くあったと報告されました リンク
- Zano が、Ouroboros の考え方を取り入れた合意方式 Zenith を2027年にメインネットへ導入する計画が紹介されました リンク
- Infinity Rising が、次の更新で空を自由に飛べる機能と新しい雲の表現を加えると予告しました リンク
🗂 継続確認
- 流出の金額や資金の行き先は、Splash の報告書に基づきます。取引所への帰属は、公開データセットとチェーン上の取引を突き合わせた Splash の判断で、取引所自身が公表したものではありません。
- 修正したスクリプトの公開やプールの再開の時期は、まだ示されていません。
- 今週の会議の時刻は、Cardano の公式アカウントと Luma のページで確認できます。
- ADA と NIGHT の価格は9月13日時点の集計値で、記事公開時点の水準とは異なります。
一次ソース / 関連リンク
- Splash StableSwap(ADA/OADA)流出の調査報告(GitHub)
https://github.com/splashprotocol/splash-core/blob/main/validators_v2/validators/stable_pool/SPLASH_STABLESWAP_INCIDENT_2026-09-13.pdf - Optim Finance の告知
https://x.com/OptimFi/status/2099029810626593147 - Foreman の試験版(GitHub)
https://github.com/CharlesHoskinson/foreman/releases/tag/foredi-2026-09-13 - Cardano コミュニティのイベント(Luma)
https://luma.com/CardanoEvents - Koios エポック情報
https://api.koios.rest/api/v1/epoch_info?_epoch_no=655
