LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
速報 Constitutional Committee更新アクションが承認 1時間前 速報一覧 →
HOMEエポックな日々 › 止まるものを、名指しした──期限の11分前に委員会更新が通り、minPoolCost が流れた5日間:エポックな日々652
エポックな日々

止まるものを、名指しした──期限の11分前に委員会更新が通り、minPoolCost が流れた5日間:エポックな日々652

2026-09-02SIPO

エポック652(2026年8月28日〜9月2日)

序章:反対されていたわけではありませんでした

エポック652は、二つの提案が同じ期限を共有したまま走り、同じ境界で別の結末を迎えた5日間でした。

「Update Constitutional Committee 2026」(憲法委員会の更新)は批准されました。 一方、「Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)」(最低プール手数料を75 ADAへ引き下げ、Plutus のメモリ上限を引き上げる)は、期限切れになりました。 どちらもエポック653を期限に持ち、日本時間9月2日6時44分51秒という同じ時刻に数え終わっています。

分かれ目は、賛成の多さではありませんでした。DRep側は、二つとも閾値の67%を超えています。 委員会更新が71.95%、minPoolCost が68.57%です。片方だけが通ったのは、SPO側が閾値の51%に届いたかどうかの差でした。

そして、その51%に届かなかった理由も「反対」ではありません。minPoolCost に明示的な反対を投じたのは59プール、11億3,081万ADAぶんです。同じ議案で投票していないステークは158億4,015万ADAあります。 反対の14倍が、投票していない側にありました。委員会更新のほうはもっと極端で、明示的な反対はたった1プール、200万ADAです。

前回のエポック651でSIPOは「見えるところに、置く」という軸で5日間を記録しました。足りていないものを、外から数えられる形にする回でした。エポック652で起きたのは、その次のことです。数えられる形になったものについて、「これが通らなければ何が止まるのか」が名指しされました。

Intersect は8月31日、期限48時間前の呼びかけで、否決された場合に止まるものを具体的に列挙しています。委員の任期が切れて委員会が必要定数の5名を下回り、財務引き出し・パラメータ更新・憲法更新・ハードフォーク開始の4種類のアクションが批准できなくなる、と。8月30日には、コミュニティ側から「最低プール手数料の議案は、委員会が定数を保っているうちにしか通らない」という整理も出ました。承認する側がいなくなれば、承認される側も動けません。

そのあと、票が動きました。 SIPOが記録した取得時点の値では、委員会更新のSPO賛成は8月31日7時54分に39.07%、9月1日5時41分に48.88%、そして期限11分前の9月2日6時33分に56.12%です。48時間で17ポイント積み上がっています。 同じ期間、反対は1票のままでした。

対してminPoolCost は、SPO賛成が9月2日6時34分の取得時点で34.46%。届きませんでした。この議案には、「通らなければ何が止まるか」を一文で言える相手がいなかった、というのが、二つを並べたときのいちばん大きな違いです。

軸は「止まるものを、名指しした」です。

市場のほうは、5日間ずっと同じ向きでした。ADAは日次の記録で$0.214427から$0.198926へ−7.23%、しかも5日すべてで前日を下回っています。 境界の確定値では−8.30%。第7章で記録として並べます。

第1章:エポック652の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。読者がこの章だけで期間の全体像をつかめることを目的にしています。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
8月28日Intersect の Upgrade Bulletin 31 が、SPO のオンチェーン投票を要する現行議案が最終エポックに入ったと告知Intersect
8月29日Cardano 公式が DRep と SPO に向け、委員会更新への対応期限まで残り4日と呼びかけ。7議席のうち4議席がエポック653の終わり(9月6日)で任期満了Cardano
8月30日6年運用のSPOが自ノードの db-sync 集計を公開。エポック641〜650のブロックあたり平均総報酬は298.11 ADA、固定170 ADA は1ブロックのプールで報酬の57.0%、20ブロックでは2.9%GrahamsNoPlus1
8月30日170 ADA ちょうどを宣言する現役プールは504(プール数の18.8%・ステークの22.6%)。この床は207エポック動いていないと報告同上
8月30日引き下げに小規模プールの多くが反対しているという観測。インフラ費用を賄えなくなる懸念が先に立つのではないかという読みつきada_stat
8月31日Intersect が期限48時間前の呼びかけ。否決なら委員会が必要定数5名を下回り、財務引き出し・パラメータ更新・憲法更新・ハードフォーク開始の4種類が批准できなくなると明記Intersect
9月1日Cardano Foundation が期限1日前の呼びかけCardano Foundation
期間末委員会更新がエポック653で批准(ratified)と記録されたAdaStat
期間末minPoolCost Part 2 がエポック653で期限切れ(expired)と記録されたAdaStat
期間末2024年9月1日・エポック507の Chang ハードフォークからちょうど2年。CIP-1694 のオンチェーンガバナンス第一段階の開始日Cardano

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
8月28日Upgrade Bulletin 31 が、早期テストが近づくなかで Dijkstra が形になってきていると報告Intersect
8月29日Input Output Research が9月3日にオンチェーンのデータ可用性をテーマとする技術ワークショップを開くと告知。Cardano Vision 26 の連続開催の一回Input Output
8月29日同ワークショップで扱う内容として、Hydra と Midgard に必要なデータ可用性の要件と、今後の Cardano Problem Statement を起こすための要件の洗い出しが挙げられたInput Output
8月29日週次の開発レポートで、Lace が Keystone のハードウェアウォレット対応を追加、DevEx の cardano-init が外部からの貢献を含む最初のタグ付きリリースを出したと報告Input Output
8月31日CIP 編集者会議が9月1日16〜17時(UTC)に Discord で開催と告知。誰でも参加できる公開の会議Cardano
8月31日2026年後半の予定を1本にまとめた記事が案内された。Leios、Nested Transactions、2つ目の本番ノード、L2 まわりの作業、研究プログラムが一覧にCardano
期間末Daedalus 11.3.0 が公開。DRep Directory が委任先を1か所にまとめ、新しい委任ツールで選べるようになり、サポートポータル Ariadne も同梱Input Output

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
8月28日DUST サイクルの4フェーズと、DUST スポンサーシップが利用体験の大きな問題をどう解けるかの解説が案内されたMidnight
8月28日8月分の State of the Network でも同じ主題を扱うMidnight Blog
8月29日プライバシーは1つのネットワークの境界で止まるべきではないとして、Midnight Passport の構想が案内されたMidnight
9月1日Aliit フェロー2名に「Midnight で作るとは実際どういうことか」を聞いた記事が公開(ブログは8月31日付)Midnight Blog
9月1日委任すればするほど自分のことが相手に見えてしまうという論点と、抽象化の隠れたコストについての投稿Midnight
期間末OpenZeppelin による4チェーンのオンチェーン・コンプライアンス比較を紹介(Stellar はプロトコル組み込み、Ethereum はアプリケーション層の規格、Canton は可視性と承認権限の制限、Midnight は既定でプライベート)Midnight
期間末AI 開発者向けの Midskills が日本語に対応Midnight 日本語公式

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
8月28日FluidTokens で $ASCEND の貸借が開始。Ascend は Cardano と Midnight の上でプライベートかつマルチチェーンの無期限先物市場を構築していると説明FluidTokens
8月28日Fluid Lending V4・Bifrost・Aquarium にまたがる公開コミットが680件を超え、1つのスタックへ収束しつつあると報告FluidTokens
8月29日Liqwid Finance がプロトコル保有流動性のローン返済についての最新状況を公開Liqwid Finance
9月1日Aquarium では、アプリ側が取引手数料を肩代わりでき、利用者はネイティブトークンで手数料を払える設計がすでに動いていると説明FluidTokens
8月30日コミュニティの集計として、DEX 出来高が8月22日の約5,600万ドルから24時間ベース約95万ドルへ縮小、DeFi の TVL 約5,790万ドル、24時間アクティブアドレス約2万という数字が示された(発信者自身が「利用者が98%減った意味ではない」と注記)ISPF_Cardano

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
8月29日Bifrost の Catalyst マイルストーン M4 が、7月28日提出・レビュアー承認済みのまま1か月以上サインオフを待っている状態だと報告FluidTokens
8月29日Genesis Pre-Accelerator のコホートがシリコンバレーで活動。6か国から13チームが決済・機関投資家向け DeFi・コンプライアンス・企業向けツールに取り組むCardano
8月30日Cardano Foundation が、24か月熟成の証明という具体例で、認証をオンチェーンの改ざん検知可能な記録として固定する企業向けの使い方を提示Cardano Foundation
8月30日ベトナムの大学生向け実践ワークショップとオンボーディングの連続企画が第1回から第9回まで完走し、総括が公開Cardano
9月1日Blockforce のトレーサビリティ基盤で Cardano が公開証明レイヤーとして稼働を開始。50万件超のサプライチェーン記録がアンカー済みで、商用データは Hyperledger Fabric 側に非公開のまま置かれるCardano Foundation
9月1日10月7〜8日にシンガポールで開かれる TOKEN2049 にプラチナスポンサーとして参加すると発表。アジア太平洋では過去最大の規模Cardano Foundation
9月1日Draper University の Apex Growth Accelerator が Cardano のファウンダーに開放。最大7万ドル、シリコンバレーでの10週間、メンタリングを提供Cardano
期間末TOKEN2049 で、UTXO の上で作っているチーム向けのピッチ枠を10月7日に用意。最大50万ドルが提示されたCardano Foundation
期間末ReefData の取り組みを紹介。協同組合の形でデータ販売と分配を Reeve が Cardano 上に記録し、組合員が自分の取り分をオンチェーンで確認できる設計Cardano Foundation

市場

日付出来事一次ソース
8月28日〜9月1日ADA は日次の記録で $0.214427 → $0.198926(−7.23%)。5日すべてで前日を下回った。 同じ期間に BTC は −1.90%、ETH は −1.64%12指標の日次記録
9月1日WTI が +3.42%($86.25)で、この期間の日次変化としては最も大きい動きになった同上

この5日間は、どこが重かったか

重かったのはガバナンスです。 前号でSIPOは「件数だけを見ればガバナンスが最も多いが、構図そのものは変わっていない」と書きました。今回は変わりました。構図が変わったのではなく、構図に決着がついたからです。 2件の議案が同じ境界で結論を迎え、片方が批准され、片方が流れました。エポック646に提出されてから7エポック、約35日走った提案が、どちらも同じ時刻に数え終わっています。

2番目に重かったのは開発です。 ただし、性格が前号と違います。前号の Leios は「41日間の運転記録」という完成した報告でした。今回並んだのは、9月3日のデータ可用性ワークショップ、9月1日の CIP 編集者会議、2026年後半の予定一覧、そして Daedalus 11.3.0 の DRep Directory です。どれも「これから決める場所」と「決めるための道具」で、結果ではありません。 次のハードフォークを誰がどこで決めているのかが、この5日間で公開の日程として並びました。第4章で扱います。

静かだった領域もあります。 Midnight は、この5日間に新しい取扱い開始や新しい提携の告知を出していません。出たのは DUST の手数料設計の解説、Midnight Passport の構想、Aliit フェローのインタビュー、他チェーンとのコンプライアンス比較です。入口を増やす回ではなく、既に出ている設計を説明し直す回でした。 DeFi・アプリの側も、$ASCEND の貸借開始を除けば新規の立ち上げはなく、既存のスタック(Fluid Lending V4・Bifrost・Aquarium)の状況報告が中心です。

そしてSIPO自身のプールに関わる制度面では、この5日間に手数料・誓約・運用条件の変更はありませんでした。 委任とステークの水準は大きく動いています(第9章)が、それは制度の変更ではなく、委任そのものの移動です。

第2章:同じ期限、違う結末

二つの提案は、同じエポック646に提出され、同じエポック653を期限とし、同じ境界で数え終わりました。結果だけを先に置きます。

項目Update Constitutional Committee 2026Reduce minPoolCost to 75 ada(Part 2)
種別委員会の更新(NewCommittee)パラメータ変更(ParameterChange)
提出エポック646エポック646
期限エポック653エポック653
結果批准(ratified・エポック653)期限切れ(expired・エポック653)
DRep 賛成71.95%(閾値67%)68.57%(閾値67%)
SPO 賛成閾値51%に対して届いた(後述)閾値51%に対して届かず
委員会この種別に委員会の投票はない賛成5・反対0・未投票2(閾値66.67%)
投票総数賛成467・反対9・棄権45賛成300・反対93・棄権51

Action ID は次のとおりです。同名・類似名の提案と混同しないよう、本文でも参照します。

  • 委員会更新:gov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5
  • minPoolCost Part 2:gov_action14dr5yg75pchr2sz42djtuflpvx5qnsek29qg7s7cft8lzrqt5vrqqtqntpk

DRep側は、二つとも通っていました

まず押さえておきたいのは、DRep側では両方とも閾値を超えていたということです。委員会更新が71.95%、minPoolCost が68.57%。閾値はどちらも67%です。

つまり、minPoolCost が流れた理由をDRepに求めることはできません。 代表者の側は、二つとも「賛成」と答えています。minPoolCost には明示的な反対も相応にあり(DRepで34件・2億4,225万ADA)、委員会更新の反対8件・1,412万ADAとは大きな差がありますが、それでも閾値は超えました。

分かれたのはSPO側です。

反対ではなく、投票されていませんでした

minPoolCost のSPO側を、投票の中身で分けてみます。境界時点の確定値です。

区分ステークプール数
賛成36億8,337万ADA147
明示的な反対11億3,081万ADA59
棄権(Abstain)7億1,959万ADA41
未投票158億4,015万ADA

明示的な反対の14倍が、投票されていない側にあります。 批准の分母は棄権を除いた206億5,433万ADAで、そのうち未投票が158億ADA。SPO側の議論は「賛成か反対か」ではなく、そもそも投じられているかどうかで決まっていました。

委員会更新のほうは、もっと極端です。

区分ステークプール数
賛成62億1,376万ADA302
明示的な反対200万ADA1
棄権(Abstain)4億9,761万ADA35
未投票146億6,054万ADA

反対したのは1プール、200万ADAだけです。 それでも期限の前々日まで閾値に届いていませんでした。

ここで、SPO側の分母について一言添えます。批准の分母は「全プール委任ステーク − 明示的な棄権 − AlwaysAbstain」であり、ブロック生成実績のあるプールに絞った母数ではありません。 未投票のステークは分母に残るので、事実上の反対として効きます。「投票しない」は中立ではない、というのがこの設計の要点です。

動いたのは、止まるものが名指しされたあとでした

SIPOが期間中に記録した取得時点の値を並べます。いずれも期限前の途中経過であり、境界の確定値ではありません。取得時刻を添えて扱います。

取得時点委員会更新 DRep委員会更新 SPOminPoolCost DRepminPoolCost SPO
8月30日 6時06分63.5%(128票)27.04%(105票)
8月31日 7時54分66.35%(139票)39.07%(209票)63.62%(132票)28.07%(112票)
9月1日 5時41分67.37%(148票)48.88%(250票)63.79%(137票)31.70%(125票)
9月2日 6時33分71.61%(166票)56.12%(301票)68.23%(149票)34.46%(147票)

委員会更新のSPO賛成は、48時間で17.05ポイント動いています。 8月31日から9月1日で9.81ポイント、9月1日から期限直前で7.24ポイント。同じ48時間に、明示的な反対は1票のままでした。動いたのは未投票だった側です。

そしてこの48時間は、「否決されたら何が止まるか」が繰り返し名指しされた48時間でもありました。Intersect が8月31日に、委員会が定数5名を下回れば財務引き出し・パラメータ更新・憲法更新・ハードフォーク開始の4種類が批准できなくなると書き、9月1日には Cardano Foundation が同じ内容を期限1日前として繰り返しています。8月30日の時点で、コミュニティ側から「最低プール手数料の議案は、委員会が定数を保っているうちにしか通らない」という整理も出ていました。

対して minPoolCost の側は、同じ48時間でSPO賛成が28.07%から34.46%へ6.39ポイントしか動いていません。こちらには、「通らなければ明日から何が止まるか」を一文で言える相手がいませんでした。 通らなければ、いまの170 ADA という床がそのまま続くだけです。困る人はいますが、止まるものはありません。

因果は断定しません。 期限が近づけば票は集まりますし、委員会更新は反対がほぼ皆無という点でも minPoolCost と条件が違います。ただ、同じ期限・同じ提出エポック・同じDRep通過という条件のもとで、片方だけが最後の48時間で17ポイント動いたという事実は記録しておきます。

何が守られたのか

批准によって守られたものは、はっきりしています。憲法委員会の7議席のうち4議席が、エポック653の終わり(9月6日)で任期満了を迎える予定でした。更新が通らなければ議席は3になり、成立に必要な最低人数の5を下回ります。 チェーンそのものは止まりませんが、委員会の承認を要する意思決定ができなくなります。

止まる範囲として名指しされていたのは、財務引き出し・パラメータ更新・憲法更新・ハードフォーク開始の4種類です。Dijkstra と Leios は技術面の更新に加えて憲法上の更新も必要になるため、ここで止まれば日程に効いてきます。第4章で見るとおり、この5日間は次のハードフォークを決める場所が公開の日程として並んだ週でもありました。その日程が動ける前提のほうが、同じ週の最後に確保された形になります。

なお、期限が来たのは2024年9月1日の Chang ハードフォークからちょうど2年の週でした。エポック507でプロトコル9.0が有効になり、CIP-1694 のオンチェーンガバナンスの第一段階が始まった日から2年後に、委員の任期切れという最初の期限を、投票する側が自分たちで越えたことになります。

第3章:同じ「賛成率」でも、分母が違えば別の数字です

前章で、SPO側の最終的な賛成率を書きませんでした。理由があります。

境界の時点で出典が返す内訳が、期限前と変わっているためです。

境界時点の値でSPO側の賛成率を計算すると、委員会更新が29.76%、minPoolCost が17.83%になります。ところが期限11分前の取得値では、委員会更新が56.12%でした。批准された議案の賛成率が、境界を越えたあとで半分近くまで下がって見えるという、そのままでは読めない並びです。

分母が倍になっています

内訳を突き合わせると、変わったのは票ではなく分母でした。

項目エポック651時点(委員会更新)エポック652時点(委員会更新)
AlwaysAbstain のプール数5800
AlwaysAbstain のステーク約105億4,952万ADA0 ADA
批准の分母約108億411万ADA約208億7,631万ADA
賛成率30.53%29.76%

AlwaysAbstain として分母から除かれていたステークが、境界時点の取得では0として返っています。 その結果、分母が約108億ADAから約209億ADAへ、ほぼ倍になりました。minPoolCost も同じ形で、分母が約111億6,426万ADAから約206億5,433万ADAへ動いています。

逆算してみます。期限11分前の56.12%を成り立たせる分母は、賛成62億1,376万ADAに対して約110億7,000万ADAです。境界時点の分母約208億7,631万ADAとの差は約98億ADA。前号で AlwaysAbstain として除かれていた約105億ADAと、同じ桁です。

原因は断定しません。 5日間で543から580のプールが AlwaysAbstain への委任を一斉に外した、という説明は、規模から見て考えにくいものです。「消えたのは票ではなく、分母の除外項だ」と読むのが自然ですが、そう書くだけの確認をSIPOは持っていません。 次のエポックで同じ現象が出るかどうかを見ます。

DRep側は、突き合わせが成立しています

一方、DRep側は期限前と境界時点で整合しています。委員会更新は期限11分前が71.61%、境界時点が71.95%。minPoolCost は68.23%と68.57%です。どちらも0.34ポイントの差で、最後の数分の投票で説明がつく幅に収まっています。

つまり、今回ずれているのはSPO側の分母だけです。DRep側の分母(賛成+明示的な反対+No Confidence+未投票)には同じ現象が出ていません。

なぜ、この話を長く書くのか

割合は、分子と分母の両方が揃って初めて意味を持ちます。SIPOは前号で「SPOの賛成が『2割前後』と言われている状態と、『分母は111億6,426万ADA、そのうち78億4,343万ADAが未投票』と言われている状態は、同じ事実でも動かし方が違う」と書きました。今回は、その分母のほうが動いたケースです。

この記事では、SPO側の最終賛成率を1つの数字として断定しません。 確定しているのは結果のほうです。委員会更新は批准され、minPoolCost は期限切れになりました。そして期限11分前の記録では、SPOは56.12%と34.46%でした。 この2つは、どちらも取得時点を添えれば正しく読めます。混ぜると読めなくなります。

数えられる形にする、というのは、数字を1つ出すことではありません。その数字が何に対する割合なのかが、あとから確かめられる状態にすることです。

第4章:次のハードフォークを決めている部屋は、どちらも公開されています

ガバナンスの決着と同じ5日間に、次に何を決めるのかを決めている場所が、公開の日程として並びました。

9月3日:データ可用性のワークショップ

Input Output Research が、9月3日に技術ワークショップを開くと告知しました。テーマはオンチェーンのデータ可用性です。Cardano Vision 26 のプログラムをめぐる連続開催の一回で、扱う内容として挙げられているのは、ロールアップとオフチェーン系のスケーリング——具体的には Hydra と Midgard に必要となるデータ可用性の要件です。

少し噛み砕きます。取引の処理をメインチェーンの外に出すと、速さと安さは手に入ります。代わりに「外に出したデータを、必要なときに誰でも取り出せるのか」という問題が残ります。取り出せなければ、外で何が起きたのかを後から検証できません。Hydra はチャネルの中で、Midgard はロールアップとして処理を外へ出す仕組みですから、どちらもこの問題を避けて通れません。

注目したいのは、このワークショップが答えを配る場ではなく、要件を集める場として設計されていることです。もう一つの目的として、今後の Cardano Problem Statement を起こすための研究上・技術上の要件を集めることが明記されています。Cardano Problem Statement は、解決策を提案する CIP の前段にあたる文書で、まず「何が問題なのか」を共有された形で書き留めます。

9月1日:CIP 編集者会議

改善提案が公式の標準になる場である CIP 編集者会議が、9月1日16時から17時(UTC)に Discord で開かれました。誰でも参加できる公開の会議です。 編集者は原則として隔週で集まっており、今後の開催日・議題・扱うテーマは公開のハブに集約されています。

問題の定義を集める場(9月3日)と、提案を標準へ通す場(9月1日)が、同じ週に、どちらも公開の日程として並んだことになります。

Dijkstra と、2026年後半の一覧

Upgrade Bulletin 31 は、早期テストが近づくなかで Dijkstra が形になってきていると報告しました。ただし、前号で求めた「公開先と判定基準」も、早期テストの具体的な日程も、この5日間では埋まっていません。

一方、Cardano 公式は2026年の残りに予定されている内容を1本にまとめた記事を案内しています。Leios、Nested Transactions、2つ目の本番ノード、L2 まわりの作業、研究プログラムが一覧になったものです。個別の発表を追いかけるのではなく、全体像を一度に見たいときに向いた形です。

委員会更新の議案が Dijkstra と Leios の日程に触れていたことを思い出すと、この一覧と第2章のガバナンスは地続きです。 一覧に並んでいるもののうち、ハードフォークの開始を要するものは、委員会が定数を保っていなければ批准できません。

手元の道具も、同じ週に増えました

週次の開発レポートでは、Lace が Keystone のハードウェアウォレット対応を追加したこと、DevEx の cardano-init が外部からの貢献を含む最初のタグ付きリリースを出したことが報告されました。

そして期間の最後に、Daedalus 11.3.0 が公開されています。今回の目玉は DRep Directory で、委任先となる代表者を1か所にまとめて表示し、新しい委任ツールで選ぶところまでを一続きにしています。あわせて新しいサポートポータル Ariadne が同梱されました。

この5日間で最後まで残っていたのが「反対」ではなく「未投票」だったことを踏まえると、委任先を探す手間そのものを減らす更新が同じ週に出てきたのは、順番として噛み合っています。 ただし、それが実際に投票率へ効くかどうかは、次の議案を待たなければ分かりません。

第5章:手数料を「誰が払うか」に書き換える

Midnight とその周辺は、この5日間に新しい取扱いや新しい提携を告知していません。出たのはすでにある設計の説明です。そのなかで、主題として繰り返されたものが一つあります。手数料を誰が払うか、という論点です。

DUST の4局面

Midnight は、DUST サイクルの4つのフェーズとその仕組み、そして DUST スポンサーシップが利用体験の大きな問題をどう解けるかについての解説を案内しました。8月分の State of the Network でも同じ主題が扱われています。

ここで解こうとしている問題は、地味ですが実務では大きなものです。新しいネットワークを使い始めるとき、最初の一歩が「手数料用のトークンをどこかで手に入れる」ことになると、そこで人は止まります。 何をしたいかの前に、支払い手段を調達しなければならないからです。スポンサーシップは、その支払いをアプリ側に肩代わりさせる設計です。

同じ設計が、Cardano 側でも動いています

FluidTokens は、Aquarium ではアプリ側が取引手数料を肩代わりでき、利用者はネイティブトークンで手数料を払えると説明しました。 処理を担う運用者側には報酬が入る設計です。

つまり、同じ「手数料の払い手を差し替える」という発想が、Midnight 側の解説と Cardano 側の実装として、同じ5日間に並んだことになります。前者は設計の説明、後者は稼働中の報告です。

$ASCEND と、境界をまたぐ設計

8月28日には、FluidTokens で $ASCEND の貸借が開始しました。Ascend は Cardano と Midnight の上でプライベートかつマルチチェーンの無期限先物市場を構築しており、機関投資家向けの水準の DeFi をプライバシー・スタックに持ち込むものだと説明されています。

同社はあわせて、Fluid Lending V4・Bifrost・Aquarium にまたがる680件を超える公開コミットが1つのスタックへ収束しつつあるとし、高度な UTxO レンディング、Cardano の SPO が守るビットコイン・ブリッジ、コミュニティ運営のインフラを挙げました。

貸借の規模については、開始直後のため数値を伴う報告をSIPOは持っていません。 前号の確認点にも置いていませんが、次のエポックで預入と借入の実額が出るかを見ます。

見せる相手を、要件だけに絞る

期間の最後に、Midnight は OpenZeppelin による4チェーンのオンチェーン・コンプライアンス比較を紹介しました。Stellar はコンプライアンスがプロトコルに組み込まれ、Ethereum は ERC-3643 のような規格を通じてアプリケーション層に置かれ、Canton は誰が取引を見て承認できるかをプライバシーで制限する、という整理です。

Midnight は既定でプライベートで、ゼロ知識証明を使えば、機関側は「KYC を通過した」「制裁チェックをクリアした」という事実だけを、元のデータを見せずに検証できると説明されています。そして続けて、機関にとっての論点は、オンチェーンでどう規制を守らせるかだけではなく、既に負っている守秘義務を保ったまま守らせられるかだと書かれていました。

前号で記録した「Zswap の注文を、探す場所だけ共有の層へ置く」という設計と、方向は同じです。手元に置くものと、外に出すものを、層で分ける。 今回はそれが、手数料の払い手とコンプライアンスの証明という別の面で繰り返されました。

日本語の入口も一つ増えています。 AI 開発者向けの Midskills が日本語に対応しました。学習の入口が母語になることは、参加人数の話より前に効いてくる部分です。

第6章:待っているものと、止められるもの

この5日間には、決着したもの(第2章)と、待っているものが両方ありました。後者を記録します。

レビュアーは承認済み、サインオフは1か月以上待ち

FluidTokens は、Bifrost の Catalyst マイルストーン M4 について、7月28日に提出してレビュアーの承認はすでに得ているものの、1か月以上たった今も Catalyst 側の最終的なサインオフを待っている状態だと述べました。

開発は終わっている。審査も通っている。それでも資金の受け渡しが進まない。 前号でSIPOは、財務の残高が執行の記録に追いついた回を記録しました。今回は、その一段下の層——個別の助成金が、承認と支払いのあいだで止まっている——が見えた形です。

これは提案の可否とは別の問題です。 通ったものが実際に届くまでの時間は、次に応募する人の判断に効きます。数字としては「1か月以上」しか公開されていませんので、SIPOはそれ以上には踏み込みません。

入口は、同じ週に増えています

待ち行列の話と並行して、入口のほうは増えました。

  • Genesis Pre-Accelerator のコホートがシリコンバレーで活動。6か国から13チームが、決済・機関投資家向け DeFi・コンプライアンス・企業向けツールに取り組んでいます
  • Draper University の Apex Growth Accelerator が Cardano のファウンダーに開放。最大7万ドル、シリコンバレーでの10週間、投資家と創業者によるメンタリングが提供されます
  • TOKEN2049(10月7〜8日・シンガポール)にプラチナスポンサーとして参加。アジア太平洋では過去最大の規模とされ、10月7日にはUTXO の上で作っているチーム向けのピッチ枠が用意されます。最大50万ドルが提示されました
  • ベトナムの大学生向けの実践ワークショップとオンボーディングが、第1回から第9回まで完走して総括が公開されました

資金と場所の入口は増え、いったん通ったものの出口は詰まっている——という並びになります。どちらも同じ5日間の記録です。

実運用のほうも、1件動きました

Blockforce のトレーサビリティ基盤で、Cardano が公開証明レイヤーとして稼働を開始しました。 すでに50万件を超えるサプライチェーンの記録がアンカーされているとのことです。

構造が重要です。商用データそのものは Hyperledger Fabric 側に非公開のまま置かれ、Cardano には公開して検証できる証明だけが載ります。 許可型のチェーンで機密を守りながら、公開型のチェーンで「改ざんされていないこと」を誰でも確かめられるようにする、という分担です。企業導入で議論になりやすい「データを公開したくない」という点を、設計で回避した形になっています。

同じ週に Cardano Foundation が示した「24か月熟成の証明」という例え話と、ReefData(協同組合のデータ販売と分配を Reeve が Cardano 上に記録し、組合員が自分の取り分をオンチェーンで確認できる設計)も、同じ発想です。業務そのものは変えず、証明だけを載せる。

止められるチェーンという対比

期間中、SIPOは Cardano 以外のチェーンについても1本記録しています。Cronos がチェーンごと停止した件です。数分で全ネットワークを凍結できた背景として、稼働バリデータが33、しかも招待制という設計が挙げられていました。

これを引き合いに出すのは、優劣を言うためではありません。止められるということは、止める権限がどこかに集まっているということです。 逆に、止める権限が分散していれば、緊急時に素早く止めることはできません。

今回のエポック652で確保されたのは、「委員会という承認の器を、定数を割らせずに次の期へ渡す」ことでした。Cardano では、財務引き出しもパラメータ更新もハードフォークの開始も、この器がなければ批准できません。誰か一人が止められる代わりに、誰も一人では動かせない。 その仕組みを維持するための投票が、期限の11分前に基準を越えました。

この設計がよいと断定はしません。 8月30日に出ていた6年運用のSPOによる集計——固定170 ADA が1ブロックのプールでは報酬の57.0%、20ブロックでは2.9%——という不均衡は、基準に届かなかったことによって、もう1期そのまま残ります。 動かせないことのコストも、同じ5日間の記録です。

第7章:エポック652 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック652期間・8月28日〜9月1日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。また株式・金利・商品の記録は市場が閉じているあいだ直前の値が据え置かれます。この期間は8月29日(土)・8月30日(日)を含み、8月30日と8月31日の株式系の記録はどちらも8月27日時点の値です。

この5日間のADAは、一度も上げませんでした。

日次の記録で$0.214427(8月28日)→ $0.201525 → $0.201171 → $0.199031 → $0.198926(9月1日)。−7.23%です。期間の記録での最高は初日の$0.214427、最安は最終日の$0.198926。5営業日すべてで前日を下回っており、期間中に一度も戻していません。 前号は「初日が最高」でしたが、最安は8月26日で最終日ではありませんでした。今回は最高が初日、最安が最終日という、きれいな一方向です。

エポック境界の確定値では、エポック651終了時の$0.213079からエポック652終了時の$0.195384へ、−8.30%。時価総額は$7.99bから$7.33b−8.29%。ADA/JPYは¥31.30、そのときのUSD/JPYは160.19です。前号が境界価格で−5.57%でしたから、2エポック続けて下げ、下げ幅は拡大しています。

$NIGHTは記録上$0.0200351 → $0.01849955(−7.66%)ADAとほぼ同じ幅です。 前号ではADA −6.80%に対しNIGHT −3.13%で、NIGHTのほうが小さく下げていました。今回は差がほぼ消えています。

BTCとETHは、今回は同じ向きでした。 BTCは$80,275 → $78,752(−1.90%)、ETHは$2,511.62 → $2,470.32(−1.64%)前号でSIPOは「BTC・ETHが上げた5日間に、ADAは下げている」と記録しました。今回は全部が下げています。ただし幅が違います。 ADAの−7.23%に対してBTCは−1.90%——約3.8倍です。

他の暗号資産も、全12銘柄が下げました。 下げ幅の大きい順に、FET(−6.81%)、ALGO(−6.39%)、SOL(−5.45%)、DOT(−5.41%)、XRP(−4.83%)、LINK(−4.70%)、ATOM(−4.55%)、WLFI(−4.15%)、AVAX(−3.99%)、ICP(−2.85%)、BTC(−1.90%)、ETH(−1.64%)。ADAの−7.23%とNIGHTの−7.66%は、この並びの先頭にあります。 前号は「ADAとDOTが下げ側の先頭」でしたので、2エポック続けてADAが下げ側の先頭に近い位置にいます。

株式は、小幅に下げました。 S&P500が7,730.99 → 7,686.14(−0.58%)、ナスダックが26,541.35 → 26,370.89(−0.64%)、ダウが53,569.44 → 53,185.90(−0.72%)。VIXは14.51から14.92(+2.83%)へ上昇し、期間中の最安は8月29日記録の14.43でした。日経平均先物は66,130 → 65,830(−0.45%)です。

商品では、金と原油が逆に動きました。 金は$4,659.70 → $4,498.30(−3.46%)で、期間中の最安は9月1日記録の$4,478.10。一方WTIは$83.55 → $86.25(+3.23%)と上げており、9月1日の日次変化+3.42%はこの期間で最も大きい動きです。ブレントは$88.62 → $88.55(−0.08%)でほぼ横ばいでした。WTIが上げてブレントが動かなかったため、二つの原油指標の差は縮んでいます。

為替と金利では、ドル指数(DXY)が99.129から99.413(+0.29%)へ上昇。期間中の最高は8月29日記録の99.692です。USD/JPYは159.38から159.739へ小幅の円安(期間中の最高は160.102)。米10年債利回り(TNX)は4.672%から4.758%(+1.84%)へ上昇しました。

日本国債も上げています。10年は2.892%から2.930%、30年は4.039%から4.084%へ。30年は前号で4%台に乗ったまま終わり、今回もその上で終わりました。2エポック続けて4%台です。 日米10年金利差は1.780から1.828へ拡大しています。前号は縮小でしたので、向きが逆になりました。

暗号資産関連株のCOINは190.72 → 188.12(−1.36%)。期間中の最安は8月29日記録の178.64で、そこからは戻しています。

記録上の地合いは、8月28日が「リスクオン」、8月29日が「方向感薄い横ばい局面」、8月30日・8月31日が「リスクオン傾き」、9月1日が「BTC堅調×原油急騰の複合局面」でした。地合いの記録が「リスクオン」寄りの日が3日ある一方で、ADAは5日とも下げています。 この不一致は記録として残しておきます。

この5日間についても、価格を動かした個別の引き金をSIPOは特定していません。 ガバナンスの決着は境界の直前でしたので、5日間の下げをそれで説明することはできません。事実として記録し、次のエポックで水準がどちらへ動くかを見ます。

Cardano オンチェーンKPI

今回のエポックについて、Dune 経由のオンチェーンKPIをSIPOは数値として持っていません。 前号まで並べていた Nakamoto 係数・日次トランザクション・アクティブアドレス・Script Tx 比率・ステーブルコイン総額・Treasury 残高は、今回は掲載しません。持っていない数字は書かないという方針です。次号で連続性を回復します。

そのため本章では、境界時点で確定しているネットワーク指標のみを扱います。これは第9章の表と同じ出典です。

  • ステーキング率:56.57%(エポック652:100%時点/前号の56.53%から+0.04ポイント)
  • 総ステーク:21,391,325,253 ADA(前号から+17,806,051 ADA
  • 流通供給量:37,817,187,274 ADA(前号から+5,851,905 ADA)
  • 委任者総数:1,339,905名(前号から−1,222名
  • アカウント総数:5,969,832(前号から+8,658)

総ステークが、3エポックぶりに増えました。 前号は−4,564万ADA、その前は−1億4,852万ADAでした。今回は+1,781万ADAです。ただし委任者は−1,222名で、減り続けています。 3エポック連続の減少です。

ステークが増えて委任者が減った——前号で「新しいアカウントは増え、委任は減っている」と書いた形が、今回は「委任されている量は増え、委任している人は減っている」に変わりました。1件あたりの委任が大きくなっている、という読み方はできます。ただし個別の委任を特定できる情報を持っていないため、原因は断定しません。 第9章のSIPO3プールの動きも、同じ枠で見ることになります。

SIPO DRep 活動

SIPO DRepの投票力は、2026年9月2日の確認時点で約₳82.29Mです(登録済み・active・有効期限エポック671・委任者373名)。エポック651記事の時点では約₳82.93M・368名・有効期限エポック671でしたから、₳0.64Mほど減り、委任者は5名増えています。 取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

前号は₳5.24Mの減少でしたので、減り方は8分の1程度に落ち着いています。 委任者のほうは前号が+1名、今回が+5名で、2エポック続けて増えています。量は減り、人数は増えるという向きが2回続いた形です。

なお、DRepの投票力はADAの量で数えるため、価格の影響を受けません。この5日間にADAは境界価格で−8.30%動いていますが、₳0.64Mの減少は委任されている量そのものの変化です。

第8章:エポック652 配信記事の紹介

エポック652(8月28日〜9月2日)にSIPO・SITIONの各アカウントから配信した主な記事です(暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋)。

日付媒体種別タイトルURL
8/28SIPOエポック記事見えるところに、置く(エポックな日々651)https://sipo.tokyo/epoch-651/
8/28SIPOSignalHydra のコスト表が訂正されました——最低手数料が実際より低く出ていた件と、Leios の攻撃修正https://sipo.tokyo/signal-20260828-85500b43/
8/28SIPOSignalMidnight で動く perps のトークンが、Cardano の貸借市場に載りましたhttps://sipo.tokyo/signal-20260828-5ac75c54/
8/28SIPOSignal「最終エポック」は、いま走っている 652 のことです——Upgrade Bulletin 31 の3点と、閾値に届いていない SPO 票https://sipo.tokyo/signal-20260828-61ac0b15/
8/28SIPO速報Upgrade Bulletin 31発表、Dijkstraの早期テスト開始へhttps://sipo.tokyo/breaking-x-2093067300010184847/
8/28SIPODaily Intel次のアップグレードの輪郭と、投票の締切が、同じ朝に並びましたhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2093104255121117598
8/28SIPOSignalCardano 財団がガバナンス専任を募集していますhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2093098233027506415
8/28SIPOSignalLeios のテストネットで壊れたものが、記録つきで公開されましたhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2093098309586149849
8/29SIPOWeekly Brief票は集まった、それでも閾値は越えていない(Weekly Brief #21)https://sipo.tokyo/weekly-brief-21/
8/29SIPOWeekly Brief(EN)The Votes Came In, the Thresholds Did Not Fallhttps://sipo.tokyo/language/en/weekly-brief-21-en/
8/29SIPODeep DiveDUST は4つの局面を回っています——手数料を「誰が払うか」を書き換える sponsorship の設計を読むhttps://sipo.tokyo/deep-dive-20260829-35221fe0/
8/29SIPOSignal早く通っても、着任は9月6日から動きません——委員会更新に残った 2.76 ポイントと 15.53 ポイントhttps://sipo.tokyo/signal-20260829-3deb92d9/
8/29SIPOSignalL2 が増えるほど、データの置き場が問題になります——IOR がデータ可用性のワークショップを開きますhttps://sipo.tokyo/signal-20260829-366b1936/
8/29SIPOSignalレビュアー承認済みのマイルストーンが、1か月以上サインオフを待っています——Bifrost の M4https://sipo.tokyo/signal-20260829-a5897aa9/
8/29SIPO速報Constitutional Committee更新ガバナンス提案、投票残り4日間https://sipo.tokyo/breaking-x-2093399997224022350/
8/29SIPODaily Intelスケーリングの次の論点に、9月3日という日付がつきましたhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2093493836026990851
8/30SIPODaily Intel最低プール手数料を下げる議案は、委員会が生きているうちにしか通りませんhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2093853525386428770
8/31SIPOSignalあと 0.57 ポイントと 11.08 ポイント——最後の36時間に必要なペースは、この30時間の4倍ですhttps://sipo.tokyo/signal-20260831-cb4d359a/
8/31SIPO速報Update CC 2026投票、9月1日が期限。DReps66.3%、SPOs39%の進捗https://sipo.tokyo/breaking-x-2094179617317753117/
9/1SIPOSignal17時間で 10.21 ポイント動きました——DRep は 67% を越え、SPO に残るのは 0.87 ポイントですhttps://sipo.tokyo/signal-20260901-db6ce1d4/
9/1SIPOSignalCronos がチェーンごと停止できた理由を、バリデータの数から整理しますhttps://sipo.tokyo/signal-20260901-076132c7/
9/1SIPO速報「Update CC」ガバナンス投票が終了間近、SPOは閾値の42%に到達https://sipo.tokyo/breaking-x-2094465112618967045/
9/1SIPODaily IntelDRep が基準を超えました。残っているのは SPO の 2.12 ポイントですhttps://sipo.tokyo/daily-intel-20260901/
9/1SIPO速報Cardano、Hard Fork Working GroupとCIP Editors Meetingを開催https://sipo.tokyo/breaking-x-2094758448965566600/
9/2SIPOSignal次のハードフォークを決めている部屋は、どちらも公開されていますhttps://sipo.tokyo/signal-20260902-592e4bdb/
8/29SITIONSignalCoinbase のトークン化株式はアブダビの枠組みで米国外にだけ開いたhttps://x.com/SITIONjp/status/2093472046584041818
8/29SITIONSignalUSDC がチェルシーの胸に載る——ステーブルコインの競争軸は、決済レールから毎週映る面へ移ったhttps://x.com/SITIONjp/status/2093476722696155244
8/30SITIONSignalOpenAI が Cursor への供給を打ち切る——効いたのは性能競争ではなく、支配権移転条項だったhttps://x.com/SITIONjp/status/2094041443816165380
9/1SITIONSignal63の中銀が加盟する BIS が、ステーブルコインを決済の本流から外したhttps://x.com/SITIONjp/status/2094562628039331994
9/1SITIONSignalCronos がチェーンごと止まった——数分で全ネットワークを凍結できたバリデータ設計https://x.com/SITIONjp/status/2094560874019320304
9/1SITIONSignalStrategy が10週間ぶりに買い戻したhttps://x.com/SITIONjp/status/2094559356352086208
9/1SITIONSignal金融庁の「金融イノベーション」の柱に載った唯一の項目は、信託型ステーブルコインの減税ではなく調書の提出免除だったhttps://x.com/SITIONjp/status/2094523621054259524
9/2LifeMakersSignalロンドン証券取引所の最大手100社が、自分のウォレットに置けるようになるhttps://x.com/LifeMakersCom/status/2094898962960622044

このほか、@SITIONjp では12指標の朝のマーケットを毎日、@LifeMakersCom では星読みを毎日配信しています。表には暗号資産・ブロックチェーンに関わるものを中心に載せていますので、金利・関税・AI といったマクロ側の記事は一部のみの掲載です。

第9章:エポック652 終了時点 ステーキング動向

エポック652の終了境界は2026年9月2日6時44分(日本時間)です。以下はその時点で確定した値です。

3プール合計

項目エポック652終了時点前回比
ライブステーク110,111,186 ADA+6,858,004 ADA
有効ステーク103,253,181 ADA
委任者2,166名+1名
当該エポックの生成ブロック115ブロック+14
通算生成ブロック47,063ブロック+115

プール別

プールライブステーク前回比委任者前回比当該エポックのブロック通算
SIPO57,193,919 ADA+14,580,7721,125名+14320,014
SIPO225,339,462 ADA−7,694,080474名−23915,011
SIPO327,577,804 ADA−28,687567名+23312,038

手数料は3プールとも変動費3.9%、固定費340 ADA、誓約は各50,000 ADAで、この5日間に変更はありません。

有効ステークとライブステークの照合が、3回続けて成立しました

前号で「再現するものとして扱える」と書いた対応が、今回も成立しています。エポック652終了時点の有効ステークは、エポック651終了時点のライブステークと、3プールとも小数点以下まで一致します。

  • SIPO:42,613,147.20 ADA(652の有効ステーク=651のライブステーク)
  • SIPO2:33,033,542.70 ADA
  • SIPO3:27,606,491.39 ADA

3回連続です。いま増えた委任がすぐ報酬に効くのではなく、境界をまたいでから効く——この時間差は、もう確認済みの性質として扱ってよいと考えます。

この対応には、今回とくに大きな意味があります。 SIPOのライブステークは今回1,458万ADA増えましたが、この増加が報酬計算に効くのは次のエポックからです。 逆に、SIPO2の769万ADA減も、次のエポックまでは有効ステークに反映されません。

大きな委任が1件、SIPO2からSIPOへ動いたように見えます

3プール合計のライブステークは6,858,004 ADA増えました。前号は724,213 ADA減でしたので、向きが反転しています。 委任者は合計で1名増です。

内訳を見ると、動きは明確に2プールに集中しています。

  • SIPO:+14,580,772 ADA、委任者+1名
  • SIPO2:−7,694,080 ADA、委任者−2名
  • SIPO3:−28,687 ADA、委任者+2名

SIPOは委任者が1名増えただけで、ライブステークが1,458万ADA増えています。 1名あたり平均で1,458万ADAという計算になりますから、大口の委任が1件入ったと読むのが自然です。 同じ期間にSIPO2は委任者が2名減って769万ADA減っていますので、そのうちの一部がSIPOへ移った可能性はあります。

ただし、断定はしません。 個別の委任先を特定できる情報をSIPOは持っていません。SIPOへの増加分1,458万ADAはSIPO2の減少分769万ADAより大きいので、少なくとも外部からの新規委任が含まれているということは言えます。それ以上は、次のエポックで水準が維持されるかどうかを見て判断します。

3プール合計で見れば、前号まで2エポック続いた減少が止まりました。 前号は−724,213 ADA、その前も減少でした。今回は+6,858,004 ADAです。 ただし1件の大口で説明できる規模ですので、「傾向が変わった」とは書きません。 次のエポックで、この水準が残るかどうかが分かれ目になります。

ブロック生成のほうは、合計115ブロックで前回の101から14ブロック増えました。プール別ではSIPO2が24→39、SIPO3が27→33と増え、SIPOが50→43と減っています。ブロック生成は確率的な事象なので、1エポックの増減から傾向は読みません。

ネットワーク全体では、ステークが3エポックぶりに増えました

エポック652終了時点のネットワーク全体は、次のとおりです。

項目エポック652前回比
総ステーク21,391,325,253 ADA+17,806,051 ADA
ステーキング率56.57%+0.04ポイント
委任者1,339,905名−1,222名
ブロック生成のあるプール944+5
ステークのあるプール2,676±0
アカウント総数5,969,832+8,658
流通供給量37,817,187,274 ADA+5,851,905 ADA

総ステークの向きが、3エポックぶりに変わりました。 エポック650が−1億4,852万ADA、651が−4,564万ADA、そして652が+1,781万ADAです。減り方が鈍り続けた末に、向きが反転しました。

ただし委任者は減り続けています。 −1,222名で、3エポック連続の減少です。前号が−2,190名でしたので、こちらも減り方は鈍っています。

この2つを並べると、「量は戻り、人数は戻っていない」という形になります。 前号でSIPOは「上げ相場だから抜けた」という説明では足りないと書きました。今回、価格は境界で−8.30%と2エポック続けて下げていますが、ステークの量は増えています。 つまり、価格の向きとステークの量の向きは、この2エポックで一致していません。 価格を理由にした説明は、いよいよ成り立たなくなりました。

ブロック生成のあるプールが5つ増えて944になったのも、記録として残しておきます。前号は−6でしたので、こちらも向きが反転しています。

終章:投じられて、初めて数になる

エポック651の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

9月1日の2件の決着は、答えが出ました。 委員会更新は批准され、minPoolCost は期限切れになりました。前号で「DRep側は52.94%と56.38%から67%へ届くか。SPO側は25.60%と30.53%から51%へ届くか」と置きました。DRepは二つとも届きました(71.95%と68.57%)。SPOは委員会更新だけが届き、minPoolCost は届きませんでした。 前号で「未投票が7割前後残っている以上、SPO側は誰かがまとめて動かなければ届きません」と書きましたが、委員会更新では実際にまとめて動きました。 48時間で17.05ポイントです。前号の問い「揃わなければ、両方とも von Bergen と同じ終わり方をします」への答えは、片方だけが von Bergen と同じ終わり方をした、になります。

Leios の Water フェーズの実測値は、今回は確認できていません。 前号で挙げた「ブロックの伝播が1秒を超えた40%という記録が、どこまで戻るか」も、3エポック持ち越している「第三者環境での再現」も、この5日間の公開情報では埋まっていません。Leios は2026年後半の予定一覧に名前が挙がっただけです。持ち越しになります。

NIGHTの預け先での扱いは、今回も確認できていません。 国内の登録業者に預けたままのNIGHTについて、DUSTの生成条件(鍵の登録)がどう扱われるかの説明は出ていません。二社目の登録業者も、この5日間には現れませんでした。2エポック連続の持ち越しです。 ただし Midnight 側では、DUST スポンサーシップという別の角度から「手数料を誰が払うか」の設計が説明されています(第5章)。問いの立て方としては近い場所にありますが、預け先での扱いそのものの答えではありません。

Treasuryの次の1点は、今回は数値を持っていません。 前号で「今回1億1,638万ADA減った残高が、次のエポックで通常どおりの積み増しに戻るか」と置きましたが、Dune 経由のオンチェーンKPIをこのエポックでは取得できていないため、残高を並べられません(第7章)。持ち越しです。 次号で必ず突き合わせます。

ステーブルコインの向きは、同じ理由で今回は数値を持っていません。 前号の$61.18Mから動いたかどうかを並べられませんでした。持ち越しです。 ただしコミュニティの集計として、8月30日時点でステーブルコイン約6,550万ドル、DeFi の TVL 約5,790万ドルという数字が出ています(第1章)。一次で裏を取っていないため参考にとどめ、確定値としては扱いません。

委任とステークの水準は、答えが出ました。しかも向きが変わりました。 ネットワーク全体の総ステークは3エポックぶりに増加(+1,781万ADA)、SIPOの3プール合計も2エポックぶりに増加(+685万ADA)です。ただし委任者は、ネットワーク全体で−1,222名と3エポック連続で減っています。 そして前号で同じ枠に置いたSIPO DRepの投票力は、₳82.93Mから₳82.29Mへ₳0.64Mの減少。前号の₳5.24M減から、減り方は8分の1程度に落ち着きました。委任者は5名増えています。 量は戻り、人数はまだ戻っていない、という形です。

Catalyst Pilot の応募件数は、今回も確認できていません。 締切の8月20日から2週間が過ぎましたが、応募件数と採択の埋まり方は公開情報から確認できていません。3エポック連続の持ち越しです。 前号で「3エポック目の持ち越しにするかどうかは次号で判断する」と書きました。判断します。この項目は、いったん定点観測から外します。 代わりに、同じ助成の運用面としてBifrost の M4 のサインオフ(第6章)を次の確認点に置きます。公開情報が出ていないものを毎回「確認できていません」と書き続けるより、公開情報が出ているところを追うほうが、記録として役に立つと判断しました。

7件のうち、答えが出たものが2件(9月1日の2件の決着・委任とステークの水準)、持ち越しが5件(Leios の Water・NIGHTの預け先・Treasury・ステーブルコイン・Catalyst Pilot)です。前号は答え3件・部分3件・持ち越し1件でしたから、今回は持ち越しの側が大きく増えました。 そのうち2件(Treasury・ステーブルコイン)は、相手が動かなかったからではなく、SIPOが数字を持てなかったからです。 これは記録として区別しておきます。

そのうえで、エポック653で確認すべきものを挙げます。

  1. 委員会更新の実務:批准は記録されましたが、新しい委員の着任は9月6日からです。4議席が実際に入れ替わり、委員会が定数5を保った状態で機能を再開するか。あわせて、批准後の最初の議案——いま投票を受け付けている国庫引き出しの2件、期限はエポック656です——で、委員会の投票が実際に出るかを見ます。
  2. SPO側の分母の見え方:第3章で記録したとおり、境界時点で AlwaysAbstain のステークが0として返り、分母が約108億ADAから約209億ADAへ倍増しています。次のエポックで、決着済みの議案と進行中の議案とで分母の出方が違うのかどうか。 同じ現象が再現すれば、読み方を固定できます。
  3. minPoolCost の次の形:DRepは68.57%で基準を超えたのに、SPOで届きませんでした。同じ論点が Part 3 として出し直されるのか、最低マージンを含む報酬設計の組み直しとして別の形で来るのか。 8月30日に出た「1ブロックのプールで報酬の57.0%、20ブロックで2.9%」という不均衡は、基準に届かなかったことでもう1期そのまま残ります。
  4. 9月3日のワークショップの成果:データ可用性の要件が、実際に Cardano Problem Statement の形になるか。Hydra と Midgard に必要な要件が、文書として公開されるかどうかが具体的な目盛りになります。あわせて、Dijkstra の早期テストの日程が出るかも見ます。
  5. Bifrost の M4 のサインオフ:7月28日提出・レビュアー承認済みのまま1か月以上待っている案件に、最終的なサインオフが出るか。通ったものが実際に届くまでの時間は、次に応募する人の判断に効きます。
  6. SIPOへの大口委任が残るか:SIPOのライブステークが1,458万ADA増え、SIPO2が769万ADA減りました。次のエポックでこの水準が維持されるか、それとも1エポックで戻るか。 有効ステークへは次のエポックから反映されますので、報酬側の変化も同時に見ます。
  7. Daedalus 11.3.0 の DRep Directory が投票率に効くか:今回は最後まで残ったのが「反対」ではなく「未投票」でした。委任先を探す手間を減らす道具が入った次の議案で、未投票の比率がどこまで下がるかを見ます。期限はエポック656です。

エポック652は、止まるものを名指しした5日間でした。

議案そのものの中身が支持を集めたのではありません。「これが通らなければ、財務引き出しもパラメータ更新も憲法更新もハードフォークの開始も止まる」と、期限の48時間前から繰り返し名指しされたのです。そして票が動きました。同じ48時間に、明示的な反対は1票のままでした。

もう一方の議案には、それがありませんでした。最低プール手数料が170 ADA のまま残っても、明日から止まるものはありません。困る人はいます。1ブロックしか作れないプールでは、報酬の57.0%が固定費で消えます。けれど、それは「止まる」とは言われませんでした。 DRepは68.57%まで賛成したのに、SPOでは投票そのものが集まりませんでした。

投じられて、初めて数になります。 賛成でも反対でもなく、投じられていないステークは、批准の分母には残り、賛成率には入りません。沈黙は中立ではなく、事実上の反対として効きます。 委員会更新で最後に動いたのは、反対から賛成へ転じた人ではなく、投票していなかった人でした。

そして今回、SIPOはもう一つのことを記録しました。その「賛成率」という数字自体が、分母の取り方で倍近く変わるということです。期限11分前に56.12%だったものが、境界を越えると29.76%に見えます。票は1つも減っていません。除外されていた項目が、除外されなくなっただけです。

前号でSIPOは「足りていないものが、数えられる形になっていなければ埋めようがない」と書きました。今回分かったのは、その次のことです。数えられる形になったあとで人を動かすのは、数字そのものではありませんでした。 「あと11.93ポイント」という数字は8月31日から出ていましたが、それだけでは動きませんでした。動いたのは、その11.93ポイントが埋まらなかったときに何が止まるのかが、具体的に書かれてからです。

数字は、状態を示します。止まるものの名前は、理由を示します。 両方が揃って、初めて投票所へ行く動機になる——エポック652の48時間は、そういう記録として残りました。

2年前の9月1日、Chang ハードフォークでオンチェーンガバナンスの第一段階が始まりました。その2年後の同じ週に、最初の任期切れという期限を、投票する側が自力で越えました。 期限の11分前です。間に合ったことと、余裕を持って通ったことは、違います。 次の議案で未投票がどこまで下がるかを、SIPOは同じ物差しで見続けます。

いつもSIPO / SIPO2 / SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRepを通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPOはSPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。

次の期限は、エポック656です。

出典・参照