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Lace 2.3.0、プール一覧に年率・DRep は品質順に

2026-09-22SIPO

Lace の公式アカウントは日本時間 2026 年 9 月 21 日の夜、ブラウザ拡張機能版とモバイル版の Lace 2.3.0 を告知し、あわせて公式ブログに変更点の全一覧を載せました。ステークプールの一覧に推定年率が付き、DRep(委任代表者)の一覧は投票力の大きさではなく、プロフィールの質と完成度で並ぶようになったのが、委任する側にもされる側にも効く変更です。

画面に出ない変更も多い回です。DApp からの要求が拡張機能の再起動をまたいで生き残るようになり、ハードウェアウォレットへはステーク登録と委任が別々の証明書として送られ、Cardano への問い合わせは Lace 自身のサービスを経由する形に変わりました。本記事では、並び順の変更が何を意味するか、署名と DApp まわりの修正、残高表示と Midnight の直し、そして「2.3.0」という番号と 9 月の日付の関係を、公式ブログと GitHub のリリースノートにもとづいて整理します。

■ プール一覧に推定年率、並び順は総合スコアに

プールを探す画面には、推定年率が表示されるようになりました。公式ブログは、プールを選ぶときの「もう一つの役に立つ情報」として位置づけています。GitHub のリリースノートは、一覧が「考え抜かれた既定の順序」で開き、年率の計算もより正確になったと書いています。

並び順そのものも変わりました。一覧は、複数の要素を合わせた推奨スコアの順に並びます。裏側の変更として、プールの報酬は国庫(トレジャリー)取り分を差し引いた流通供給量に対して測るようになり、ティッカーを持たないプールは ID の一部を使って表示されるようになりました。ブログにはスコアの内訳や重みの記載はありません。

プール運営者から見ると、委任者が最初に目にする順番を決めているのはウォレット側の設計です。ティッカーを登録していないプールは、これまで空欄のように見えていたものが ID の断片で識別できるようになり、年率という共通の物差しが一覧の中に置かれました。SIPO も一つのプールとして、この一覧の中でどう見えるかを更新後の端末で確かめる立場にあります。

■ DRep の一覧は品質の指標で並び、除外先は ID 検索だけ

ガバナンスの画面では、DRep ブラウザの並び順が変わりました。これまでは委任された投票力の大きさで単純に順位を付けていましたが、2.3.0 からは品質を示す指標を使って並べます。GitHub のリリースノートはこれを「各 DRep のプロフィールの質と完成度にもとづく既定の順序」と説明し、検索も改善したとしています。

ポリシーで除外された DRep は主一覧に出ません。ただし、正確な ID で検索すれば見つけられます。ブログは除外の基準そのものは示していません。もう一つ、アクティビティの詳細や取引の確認画面で、DRep ID が現行の標準形式で表示されるようになりました。GitHub 側には、スクリプト型(マルチシグ)の DRep への委任が正しく動くようになった修正も載っています。

DRep にとっては、見つけてもらえるかどうかを決める要素が、集めた票の量からプロフィールの中身へ動いたことになります。名前・説明・目的・連絡先といった項目をきちんと埋めているかが、一覧での位置に直接つながる設計です。9 月 1 日に公開された Daedalus 11.3.0 が DRep ディレクトリを新設し、9 月 18 日の 11.4.0 が委任フローでウォレットの選択が途中で外れる不具合を直したのと同じ週に、Lace は一覧の並べ方を変えました。Cardano の主要なウォレットが二つとも、DRep 委任の画面に手を入れた一週間です。

■ 署名は証明書を分けて送り、DApp は再起動をまたぐ

ハードウェアウォレットまわりは Ledger・Trezor・Keystone・SeedSigner の四つに変更が入りました。ステーキングと委任の署名では、ステーク登録と委任を別々の証明書として端末へ送るようになり、対応する機器はそれぞれを正しく画面に表示できます。エアギャップ型の Keystone と SeedSigner では、スクリプト型ウォレットに必要な追加の署名をより確実に扱えるようになり、Ledger がその署名を提供できない場合は Lace 側がきれいに処理を止めます。Trezor では、Trezor Suite に接続できないときの案内が分かりやすくなり、Chrome がローカル接続を遮っている場合も含めて、オンボーディングの早い段階で表示されます。GitHub のリリースノートには、Trezor Safe 7 への対応も追加項目として載っています。

DApp との接続では、拡張機能のバックグラウンド処理が要求の途中で再起動しても、要求が失われずに生き残るようになりました。安全な呼び出しは再実行され、すでに承認された取引を再送した場合は、失敗扱いにせず成功として報告されます。使用中のアカウントを切り替えたときに接続先の DApp へ正しく通知する修正、自分の未承認の出力を使う取引を正しく認識する修正も入っています。

もう一つ、目に見えないところで経路が変わりました。Cardano ネットワークへの問い合わせは Lace のプロキシを経由するようになり、拡張機能に同梱されていた Cardano プロバイダの鍵は取り除かれました。公式ブログはこれをプライバシーの項目に置き、GitHub のリリースノートはセキュリティの項目で「プロバイダの認証情報をアプリの外へ完全に出す」と説明しています。データ提供元の鍵が利用者の手元に配られない構造になった、という変更です。

■ 残高表示と同期の見え方、Midnight の詰まりは自分で戻せる

残高は古い値を持ち続けずに確実に更新されるようになり、ネットワークからの空の応答は空のアカウントとして正しく扱われます。公式ブログはここで、以前の残高表示の問題について「資金は常にオンチェーンで保護されており、影響を受けていません」と明記しました。同期の進み具合は、始まったばかりのときも空欄にならず 0% と表示され、まだ同期していないアカウントは読み込み中の表示になります(以前は残高ゼロのように見えていました)。

Midnight まわりでは、アカウントの同期が途中で止まった場合に、アカウント設定から同期状態をリセットできるようになりました。送金フォームの既定は NIGHT になり、DUST の手数料は使用可能な DUST から計算されます。ウォレットを停止したあとも状態の書き込みがバックグラウンドで続いてしまう問題も直っています。

細かな改善も並びます。ポートフォリオは既定で価値の高い順に並び、選んだ並び順は記憶されます。資産を選んでいない状態では取引が組み立てられなくなり、アドレスをまだ生成していないアカウントでも受け取り画面が動き、Bitcoin の取引は送信直後から保留中として表示されます。日本語の用語の修正も含まれています。

■ 「2.3.0」の番号と、9 月 10 日・17 日・21 日

告知は「Lace 2.3.0 が来ました」という書き出しですが、GitHub のリリース一覧を見ると、拡張機能版の 2.3.0 タグは 9 月 10 日、その修正版の 2.3.3 は 9 月 12 日、モバイル版の 2.3.0 は 9 月 17 日に公開されています(いずれも UTC)。2.3.3 の変更はトークンのプロパティ設定と Midnight サービスの再設定の 2 点で、いずれも小さな修正です。9 月 21 日の告知は、拡張機能とモバイルの両方に 2.3 系が行き渡った時点でのまとめにあたり、拡張機能の利用者はすでに 2.3.3 まで進んでいる可能性があります。

一つの更新で変わったのは、並び順という「見せ方」と、署名・接続経路・同期という「裏側」の両方でした。プール運営者と DRep にとっては、自分がどう見えるかを決める物差しが動いた回です。確認する場所は二つあります。手元の拡張機能のバージョンは、Chrome の拡張機能管理画面の表記と GitHub の lace リリース一覧(input-output-hk/lace)で突き合わせられます。プールと DRep の見え方は、更新した Lace で一覧を開けば今日から確かめられ、次のエポック境界(657 から 658 へ、日本時間 9 月 27 日朝)を過ぎれば、年率の値がどう動くかも見えてきます。

■ ことば

  • DRep(委任代表者) — Cardano のガバナンスで、ADA 保有者から投票力を預かって提案に投票する役割。Lace と Daedalus が同じ週にその一覧と委任画面を直したのは、投票先を選ぶ入口がウォレットになっているためです。
  • 推定年率 — プールに委任したときの年間報酬の見込みを割合で示した値。今回の更新で一覧に並び、報酬の測り方も国庫取り分を差し引いた流通供給量に対する計算へ変わりました。
  • エアギャップ署名 — 秘密鍵を持つ機器を通信経路から切り離し、QR コードなどで署名だけをやり取りする方式。Keystone と SeedSigner がこの型で、スクリプト型ウォレットに要る追加署名の扱いが今回改善されました。

一次ソース / 関連リンク