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最後の 36 時間で 80 プールが動きました——委員会更新は承認され、残るのは 9 月 7 日の着任です

2026-09-02SIPO

Cardano の憲法委員会を入れ替えるガバナンスアクション「Update Constitutional Committee 2026」が、日本時間 9 月 2 日 6 時 44 分のエポック境界で承認されました。提案を主導した Intersect は境界の 11 分後に承認を告知し、そこで謝辞とともに挙げたのが「取引所とプールへの連絡」という、チェーンの外側の作業でした。閾値は自動では超えません。最後の 36 時間に何が動いたのかを、投票の記録と提案書の両方から追います。

初期報: Constitutional Committee更新アクションが承認

■ 最後の 36 時間で、賛成したプールが 80 増えました

この提案は 8 月下旬の時点で、SPO 側が閾値にまるで届いていませんでした。SIPO が定点で取ってきた集計を並べると、終盤の動き方がはっきり出ます(AdaStat を主・Koios で照合、いずれも取得時刻は日本時間)。

  • 8 月 31 日 18 時 16 分 — DRep 賛成 66.43%(139 票) / SPO 賛成 39.92%(221 票)
  • 9 月 1 日 5 時 40 分 — DRep 賛成 67.37%(148 票) / SPO 賛成 48.29%(249 票)
  • 9 月 1 日 19 時 19 分 — DRep 賛成 69.60%(157 票) / SPO 賛成 51.06%(272 票)
  • 9 月 2 日 6 時 33 分(締切の 11 分前) — DRep 賛成 71.61%(166 票) / SPO 賛成 56.12%(301 票)

SPO 側は 36 時間あまりで 39.92% から 56.12% へ 16.20 ポイント上がり、賛成票を投じたプールは 221 から 301 へ 80 増えました。DRep 側も同じ窓で 139 票から 166 票へ 27 増えています。閾値は DRep が 67%、SPO が 51% ですから、SPO が基準を越えたのは 9 月 1 日の昼から夜にかけて、締切の半日前です。

SIPO はこの投票を 8 月 29 日9 月 1 日と追ってきましたが、8 月 29 日時点の SPO 賛成は 35.47% でした。残り 4 日で 20 ポイント積み増したことになります。

■ 「取引所とプールに連絡を取った」と書かれています

この曲線が何でできていたのかは、Intersect の告知本文が説明しています。同社は舞台裏の作業として、”reaching out to exchanges and pools, tracking down contacts, sharing information”(取引所とプールに連絡を取り、担当者をたどり、情報を共有すること)を挙げ、その労力を「immense」と表現しました。さらに、投票の重要性を自身の発信力で説明した Charles Hoskinson 氏にも名指しで謝辞を送っています。

ここは読み飛ばしたくないところです。オンチェーン投票は、票が集まらなければ何も起きない仕組みです。誰かが集計を見て、動いていないプールを特定し、連絡先を探して、なぜこの議案が重要なのかを説明する。その工数がなければ、8 月 31 日の 39.92% は 51% にはなりませんでした。分散型の意思決定が「自動的に機能する」という言い方は、この 36 時間の実態には合いません。動員があったから閾値を越えた、というのが記録の示す順序です。

■ 反対が少なかったのではなく、投票しないまま残った側が多かったのです

締切 11 分前の集計をもう少し分解します。SPO 側の内訳は、賛成 56.12%、投票済みの反対 0.02%(1 票)、AlwaysNoConfidence 0.44%、そして未投票が 43.42% でした。DRep 側は賛成 71.61%、投票済みの反対 0.28%(7 票)、AlwaysNoConfidence 2.85%、未投票 25.27% です。

つまり、この議案に明示的に反対したのは SPO で 1 票、DRep で 7 票しかありません。最後まで残っていたのは反対ではなく沈黙でした。そしてここが重要な点ですが、可決基準の分母は「明示的な棄権を除いた委任ステーク全体」です。SPO 側でいえば、全プールの委任ステークから明示 Abstain と AlwaysAbstain を差し引いた額が分母で、ブロック生成実績のあるプールだけに絞った母数ではありません。投票しないまま残ったステークは分母に残り続けます。

結果として、賛成が閾値を越えるには「反対を上回る」のでは足りません。分母に残った委任分の過半を、賛成だけで埋める必要がありました。反対票がほぼゼロでも 8 月 31 日まで閾値に届かなかったのは、この構造のためです。

■ 台帳にはまだ「承認」までしか書かれていません

チェーン上の記録を見ると、この提案は ratified_epoch が 653、enacted_epoch は空欄のままです(本稿執筆時点)。承認は確定しましたが、委員の入れ替えそのものはまだ台帳に反映されていません。反映されるのは、いま走っているエポック 653 が終わる日本時間 9 月 7 日 6 時 44 分です。

提案書はこの時間差を、偶然ではなく仕様として説明しています。新任 4 名の任期満了はエポック 799 という固定値で書き込まれており、任期の長さは「799 − 施行エポック」で決まります。protocol parameter の committeeMaxTermLength は現在 146 エポックですから、早く施行するほど任期が 146 を超えてしまい、台帳に弾かれる。だから提案書は「たとえ閾値に早く到達しても、このアクションは生存期間の最終エポックより前には施行できない」と明記しています。早く可決しても着任が早まらないのは、ここが理由です。

入れ替わる顔ぶれは 8 月 29 日の記事で扱ったとおりで、提案書は施行後の委員会を Marek Mahut / Cardano Curia / Philip DiSarro / Leandros BSP / Eastern Cardano Council / Tingvard / Ace Alliance の 7 者と記載しています。日本のコミュニティにとっては、Cardano Japan Council が退任側に入っている点が引き続き見どころです。新任 4 名の任期はエポック 799 まで、146 エポック(およそ 2 年)です。

■ 次に見るもの

まず 9 月 7 日 6 時 44 分の境界で、enacted が実際に書き込まれるかどうか。ここが空欄のままなら、承認と施行のあいだで何かが起きたことになります。

もうひとつは、次に SPO 票を必要とする議案が来たときに、今回と同じ動員が必要になるのかどうかです。今回は締切の半日前に閾値を越えました。裏を返せば、連絡を取る人がいなければ 51% には届かなかった水準です。SPO として投票する側から見ると、これは「投票しない」という選択が可決基準の分母に残り続ける、という運用上の事実でもあります。委員会更新のように期限のある議案では、その重みは特に大きくなります。


一次ソース / 関連リンク