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FluidTokens、Midnight のスマートコントラクトを監査中と公表

2026-09-24SIPO

Cardano の貸借プロトコル FluidTokens が日本時間 9 月 23 日 23 時 2 分、Midnight 向けのスマートコントラクトを監査中だと自社の X アカウントで公表しました。Midnight のメインネットでは契約の配備がまだ全面的には開かれておらず、開放を待つ作り手が自分の進み具合を公開の形で述べた例になります。

ただし、この投稿にあるのは 3 行だけです。誰が監査しているのかも、いつ終わるのかも書かれていません。同じ投稿に並んだ Bitcoin ブリッジの Bifrost と、ステーブルコイン向けの Whirlpool も含めて、開発元の自己申告と、外から確かめられる一次の状態を分けて読んでいきます。

■ 7 月に並べた 4 本のうち、1 本が本番に乗った

FluidTokens は 7 月 14 日の投稿で、同時に作っているものを 4 つ挙げていました。貸借の本体である Fluid Lending V4、Midnight のネイティブ dApp、Whirlpool Finance、そして Bifrost です。

このうち V4 は 9 月 21 日にメインネットで稼働しています。同日の投稿は、流動性を供給できること、どの担保を受け入れるかを供給側が決められること、複数の担保を同時に受け入れられること、V3 から一度の操作で移行できること、そして貸し借りをしながらガバナンスの権限とステーキング報酬を保ったままでいられることを挙げています。この点について、8 月 20 日の投稿はより細かく書いていました。プール運営者(SPO)と委任代表者(DRep)への委任、助成プログラム Catalyst の投票権、そして報酬の受け取りが、いずれも保たれるという説明です。担保に入れた ADA の委任先を手放さずに資金を動かせる、という設計になります。

9 月 23 日の投稿は、残る 3 本についての進捗報告にあたります。3 行はそれぞれ別のチェーンに向いていて、進み方も揃っていません。

■ 監査と、Midnight の展開審査は別の関門

Midnight についての行は「Midnight smart contracts are being audited」の一文です。受け身の形で、監査を担当している会社の名前は出ていません。対象がどの契約なのか、7 月に挙げていた Midnight ネイティブ dApp の全体なのか一部なのかも、この投稿からは読み取れません。

ここで区別しておきたいことがあります。Midnight のメインネットへ契約を置くには、公開リポジトリへ展開申請を出してレビュアーの承認を得る手続きがあり、これは監査とは別のものです。申請の採点基準を定めた文書は冒頭で、契約の展開申請のレビューは監査ではない、と明言しています。採点は、秘匿情報が漏れる危険・失われうる金額・台帳に残る状態量の 3 つの軸をそれぞれ 1 から 3 で評価する形で、1 つでも 3 が付けば設計をやり直すまで展開は止まります。

同じ文書は、失われうる金額が最も高い層について、最高水準の精査と形式検証、そして外部監査を求めると書いています。ただし、この部分は推奨として書かれています。FluidTokens が作っているのは利用者の資金を預かる貸借の仕組みですから、この軸が最も重く掛かる側に立つことになります。監査を終えることと、展開申請が通ることは、順番に並ぶ別々の関門です。

Midnight のメインネットで契約の配備が近く有効になるという予告は、9 月 19 日に Midnight 財団の CTO から出ています。日付も公式のリリースノートも、まだ出ていません。実際の展開申請がどう扱われるかは、9 月 23 日に承認された 3 本の投票関連コントラクトが先行例になります。あちらは資金を扱う回路を外したうえで出されたものでした。

■ Bifrost は M4 が完了に変わり、配分が 620,760 ADA へ

Bifrost については、外から確かめられる数字が動いています。

この Bitcoin と Cardano をつなぐブリッジは Catalyst の Fund 14 で助成を受けていて、マイルストーンの状態と配分額が提案ページに公開されています。FluidTokens は 8 月 28 日の投稿で、M4 を 7 月 28 日に提出してレビュアーの承認まで進んだものの、1 か月以上たっても最終のサインオフが出ていないと述べていました。当時この件を扱った記事では、M4 の状態が完了側へ変わるかどうかと、配分額が 563,560 ADA から動くかどうかを見る、と書きました。

9 月 24 日 14 時(JST)に提案ページを見ると、両方とも動いていました。

  • M4(Minimal Loveable Version・138,200 ADA)— Completed
  • M5(Documentation・36,950 ADA)— In Progress
  • MFINAL(Reporting and Full End-to-End Execution・110,850 ADA)— Incomplete
  • 配分済み 620,760 ADA / 残り 118,240 ADA / 総額 739,000 ADA

配分額は 563,560 ADA から 620,760 ADA へ、57,200 ADA 増えています。滞っていたサインオフが出たと読める動きです。

なお、マイルストーンの呼び名は両者で揃っていません。Catalyst 側の表記では M5 が Documentation、MFINAL が Reporting and Full End-to-End Execution です。一方 FluidTokens は 8 月 19 日の投稿で、M5 を SPO をブリッジに組み入れる段、MFINAL を完全に動くテストネットの提供と説明していました。9 月 17 日には最初の SPO とともにテストを行ったと述べ、開発を lantr.io と共同で進めていることも明かしています。テストネットに入っているという自己申告と、Catalyst 側で MFINAL が未完のままであることは、どちらも同時に成り立ちます。

■ Whirlpool だけ、まだ言葉が先にある

3 行目の Whirlpool については、貸借の次の進化という位置づけだけが述べられています。これまでの説明をたどると、8 月 11 日にステーブルコイン専用の新しい Cardano dApp として名前が出て、8 月 14 日に画面の最初の姿が公開されました。ステーブルコインを貸借の市場へ供給する、利用可能な流動性を担保に借りる、建玉と貸付と未処理の注文を一覧する、利用率と供給側・借り手側の年利を随時表示する、という機能が挙げられています。8 月 20 日の投稿では、ADA と Cardano ネイティブトークンを扱う Fluid 本体に対して、Whirlpool はステーブルコインの供給・借入・配分に特化した最も安定した貸借 dApp だ、と役割を分けて説明していました。

公開されているのはここまでで、稼働の日付も、監査の有無も出ていません。3 つの行のなかでは、確かめられる材料が最も少ないものです。

■ 3 つの面で、確かめられる度合いが違う

ひとつの開発元が 3 つの面で同時に動くとき、進捗は同じ速さでは並びません。今回の 3 行も、外から検証できる度合いで見れば階段状になっています。Catalyst の助成を受ける Bifrost は状態と金額が公開され、Midnight 向けの契約は監査中という自己申告だけが手元にあり、Whirlpool は機能の一覧が先に置かれている。SIPO は、手続きが公開の面でどこまで進んだかを基準にこうした発表を読んでいます。

次に確かめる場所は決まっています。Bifrost は Catalyst の Milestone Module(プロジェクト ID #1400012)と Fund 14 の提案ページで、M5 が完了に変わるか、配分済みが 620,760 ADA から動くか。Midnight 側は midnight-improvement-proposals リポジトリの deployments ディレクトリに、FluidTokens 名義の展開申請が現れるかどうか。申請が出た時点で、監査の完了ではなく展開審査の入口に立ったことが、採点とともに公開の形で分かります。

■ ことば

  • Bifrost — Cardano のステークプール運営者が署名を担う形で Bitcoin と Cardano をつなぐブリッジ。FluidTokens が lantr.io と共同開発し、Catalyst Fund 14 の助成を受けています。
  • Whirlpool Finance — FluidTokens がステーブルコイン専用に切り出している新しい貸借 dApp。ADA と Cardano ネイティブトークンを扱う Fluid 本体と、扱う資産で役割を分ける設計です。
  • 展開申請 — Midnight のメインネットへ契約を置くために公開リポジトリへ出す申請。秘匿情報・金額・状態量の 3 軸を 1 から 3 で採点し、1 つでも 3 が付くと差し戻されます。

一次ソース / 関連リンク

マイルストーンの状態・金額・配分状況は、Catalyst の Fund 14 提案ページに掲載されている値です(日本時間 2026 年 9 月 24 日 14 時取得)。