LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
速報 Cardano Node 11.1.3がリリース、IPv4アドレスのデコード問題を修正 3時間前 速報一覧 →
HOME › Signal › SundaeSwap V4 の Linear Swaps、偏りを直した人に報酬
Signal

SundaeSwap V4 の Linear Swaps、偏りを直した人に報酬

2026-09-30SIPO #ステーブルコイン

Cardano の DEX「SundaeSwap」を開発する Sundae Labs は 9 月 29 日(日本時間)、次期版 Sundae V4 に入る新機能「Linear Swaps」の解説動画を公開しました。ステーブルコイン同士を 1 対 1 の固定比率で交換する仕組みを作り直し、需要が片側に偏ってもプールが干上がらないよう、偏りを直す取引をした人にバウンティ(報酬)を支払う設計です。

1 対 1 の交換は、価格曲線による目減りがない代わりに、同じ方向の取引が続くと片方の在庫が尽きます。V4 はこの弱点を、裁定取引が起きるのを待つのではなく、プール自身が再調整の手間賃を払う形で埋めにいきます。SIPO が追っている「発表」から「触れる実装」への移行でいえば、この機能は GitHub の公開コードにもう姿を見せています。告知の説明とコードの中身を並べて見ていきます。

1 対 1 で交換し続けると、プールは片側に寄る

SundaeSwap には現行版にもステーブルコイン向けの「Stableswaps」があります。Sundae Labs は 5 月の投稿で、USDM・USDCx・USDA・iUSD のような同じ 1 ドルを目指す資産同士の交換で、取引額が大きくなるほど受取額が不利になりやすい点を課題に挙げ、その目減りを小さくするのが Stableswaps の狙いだと説明していました。価格曲線を使う以上、目減りは小さくできてもゼロにはなりません。

Linear Swaps はその曲線を外します。9 月 4 日の告知では「true 1:1 stableswap product」と表現され、予測できる価格・低い手数料・スリッページゼロ・変動損失ゼロをうたっていました。公開されている SDK のコードでは、これに当たるのが固定価格で交換する「定和(constant-sum)」型のプールです。受け取る量は、渡した資産をプールが定めた価格で価値に換算し、手数料を差し引き、受け取る資産の価格で割り戻して決まります。取引の大きさで比率は変わりません。1 つのプールには 2〜16 種類の資産を入れられる設計になっています。

ただし、同じコードには「プールが持っている量より多くは受け取れない」という上限が書かれています。たとえば USDM を USDCx に替える人ばかりが続けば、プールの USDCx はいずれ尽き、その方向の交換はできなくなります。9 月 28 日の告知が「プールが追い込まれる(cornered)」と呼んでいるのは、この状態です。

偏りが大きいほど増えるバウンティ

V4 の答えが、プールに組み込まれた再調整バウンティです。偏りを直す方向の交換、つまり足りなくなった資産をプールに入れる取引をした人は、通常の受取額に上乗せしてバウンティを受け取れます。

9 月 29 日の続報では、このバウンティは「自動で伸縮する」と説明されています。

It creates a Dutch auction that fairly prices the labor needed to rebalance.

— Sundae Labs 公式アカウント(2026 年 9 月 29 日)

わずかな偏りなら上乗せはほとんど出ず、干上がる寸前まで偏ったプールでは、直してくれる人に大きな上乗せが出る、という趣旨です。上乗せ額が上がっていき、引き受け手が現れた時点で値が決まる、オランダ式の競りに例えています。

この「偏りに応じて増える」の中身は、注文をまとめて処理する Sundae のスクーパー(公開リポジトリ scooper-v2)の実装で確かめられます。偏りは、各資産の価値が均等な状態からどれだけずれているかを二乗して足し合わせた値で測られ、1 回の取引で取り出せるバウンティの上限は、その取引で偏りがどれだけ減ったかで決まります。二乗で測るため、偏りが大きいプールほど、同じ量を直したときの減り幅が大きく、バウンティも厚くなります。

行き過ぎを防ぐ条件も入っています。均衡点を越えて反対側に偏らせる取引ではバウンティを取れず、バウンティは実際の交換に付随する形でしか受け取れません。プールを作る側は上乗せの強さを決めるパラメーターを設定でき、SDK の既定値はプールの手数料率の半分、ゼロにすれば仕組みそのものを切れます。

流動性提供者にとっての損得

バウンティは誰かが払うものです。スクーパーのコードのコメントは、その原資を流動性提供者(LP)の手数料収入と説明しています。偏りを放置すれば交換が止まり、手数料も入らなくなるため、LP は稼ぎの一部を差し出してプールを動く状態に保つことになります。

同じコードには、その支払いを減らす工夫も見えます。同じ価格で交換できる定和型プールが複数あるとき、ルーターは通常の注文を、その取引によっていちばん偏りが直るプールへ回します。普段の注文の流れで偏りが解消されれば、バウンティとして外に払う分は少なくて済み、コメントにも「LP であることがより割のいいものになる」と書かれています。

一方で、固定比率で交換するということは、プールに入れた資産のどれかが 1 ドルから外れたときにも、その比率のまま交換が続きうるということです。8 月 2 日の SIPO の解説でも触れたとおり、Linear Swaps は各ステーブルコインの価値そのものまでは保証しません。発行体や償還のリスクは、プールに入る資産ごとに残ります。どの資産を 1 つのプールにまとめるかは、LP が確認すべき最初の点になります。

10 月 1 日を前に確かめたいこと

Sundae Labs は 9 月 10 日に、V4 のメインネット公開を 10 月 1 日と告知しています。ただ今回の投稿は Linear Swaps を「Upcoming」と呼んでおり、この機能が初日から使えるのかどうかは書かれていません。7 月の発表時点では、中核機能から段階的に出していく方針が示されていました。

見ておきたいのは 2 点です。1 つ目は、10 月 1 日以降に公式アプリ(app.sundae.fi)へ定和型のプールが並ぶかどうか、並ぶならどのステーブルコインの組み合わせか。2 つ目は、そのプールのバウンティの強さがどう設定されるかです。後者は SDK と scooper-v2 の GitHub リポジトリで設定項目(bounty_k)として公開されているので、公開後のリリースノートと合わせて照らし合わせることができます。

1 対 1 の交換をうたう仕組みは、在庫が尽きたときの振る舞いで評価が決まります。V4 はその場面を、報酬の設計で先に引き受けにいきました。実際のプールでバウンティがどれほど支払われるかは、稼働後の数字でしか測れません。

ことば

  • 定和(constant-sum)型プール — 資産どうしを常に決まった比率で交換するプールです。価格曲線がないので取引額による目減りは出ませんが、片方の在庫が尽きるとその方向の交換が止まります。Linear Swaps の土台がこの型です。
  • 再調整バウンティ — 偏ったプールに足りない資産を入れてくれた人へ、通常の受取額に上乗せして払う報酬です。V4 では偏りが大きいほど額が増え、原資は流動性提供者の手数料収入と説明されています。
  • スクーパー — SundaeSwap で、利用者が出した注文をまとめてプールに通す処理役です。バウンティの計算や、どのプールに注文を回すかの判断もここで行われます。

一次ソース / 関連リンク