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Midnight メインネット、コントラクト配備が審査なしで可能に

2026-10-02SIPO #Midnight

Midnight 財団と Midnight の公式アカウントは日本時間 10 月 2 日 16 時台、メインネットで誰でもスマートコントラクトを配備(デプロイ)できる「パーミッションレス配備」が始まったと X で告知しました。これまで必要だった Preprod(本番前の試験環境)での審査を経ずに、開発者がコントラクトを直接メインネットへ出せるようになります。

3 月のメインネット稼働以来、Midnight では本番に載るコントラクトを一件ずつ審査する段階が続いていました。その門が外れたことで、秘匿のまま動くアプリが「申請して待つもの」から「書いて出すもの」に変わります。SIPO では 9 月 19 日の予告、9 月 23 日の審査承認、9 月 26 日のノード更新と、この移行の手前を追ってきました。ここではその到達点として、何が変わり、何がまだ変わっていないのかを整理します。

初期報: Midnight メインネットでパーミッションレス・スマートコントラクト展開が開始

10 月 2 日の告知で変わったこと

最初に告知したのは Midnight 財団(16 時 37 分)で、5 分後に Midnight Network の公式アカウントが続きました。財団の投稿は変更点を 2 つに絞っています。

That means builders can deploy contracts directly without additional security reviews, while contracts can also dynamically deploy other contracts on behalf of users.

— Midnight Foundation の X 投稿(2026 年 10 月 2 日)

開発者は追加のセキュリティ審査なしにコントラクトを直接配備でき、コントラクトの側も利用者に代わって別のコントラクトを動的に配備できる、という内容です。財団 CTO の Sebastien Guillemot 氏も 17 時 48 分に「Contracts are LIVE on Midnight mainnet」と開発者へ呼びかけました。

公式ブログの月次報告「State of the Network」9 月版は、経緯をもう少し詳しく書いています。3 月にネットワークが稼働したときの最初の段階は、運用の安定・安全性・開発者の準備を優先したもので、初期のアプリチームが管理された環境の中でロジックを試し、性能を詰めるための期間だった、という位置づけです。そのうえで今回の移行を、計画されていた次の段階への切り替えと説明しています。

9 月までの申請と審査の仕組み

審査の段階が実際にどう回っていたかは、GitHub で公開されている Midnight の改善提案リポジトリから確認できます。メインネットに出したいチームは、このリポジトリの deployments フォルダへ申請書をプルリクエストで提出し、Midnight 側のレビュアーが承認するとマージされる、という流れでした。

9 月 23 日の記事で取り上げた Shadow Labz の投票コントラクト 3 本は、この経路で通った申請の一つです。審査基準の文書は、プライバシー・価値・状態量の 3 つの観点を 1〜3 の段階で評価し、どれか一つでも 3 と判定されると展開を止める仕組みを定めていました。同じ文書は冒頭で、この審査が監査ではないことも明記しています。

日本時間 10 月 2 日 20 時台に確認した時点で、deployments フォルダには審査基準の文書のほか、申請書が 19 件置かれています。リポジトリへの最後の変更は 9 月 29 日で、今回の移行に合わせてフォルダや基準文書がどう扱われるかは、まだ反映されていません。

審査の門が外れたことは、裏返すと、配備されたコントラクトを誰も事前に確かめていない状態が標準になる、ということでもあります。以前の審査も監査ではありませんでしたが、少なくとも資金を預かる設計かどうかは一件ずつ見られていました。これからは、どのコントラクトに資金を預けるかの判断が、利用者とウォレットの側に移ります。

コントラクトがコントラクトを配備する

もう一つの変更点は、利用者の入口に関わります。ブログは「アプリが利用者に代わってコントラクトを配備できるようになり、利用者の受け入れが簡単になる」と書いています。たとえば投票や個人用の金庫のように、利用者ごとに一つのコントラクトを立てる設計のアプリでは、これまで利用者側で行っていた配備の手順を、アプリ自身のコントラクトが引き受けられるようになります。

ここで混同しやすいのが、10 月 2 日昼の記事で扱った v9 のコンポーザビリティです。v9 で年内に見込まれているのは、あるコントラクトが別のコントラクトを呼び出して機能を組み合わせることでした。今回始まったのは、コントラクトが別のコントラクトを新しく作ることです。告知文は両者の関係に触れておらず、今回の移行が Guillemot 氏の言う v8 にあたるのかどうかも、公式の文面からは確認できません。

同じ報告に並んだエコシステムの動き

同じ月次報告には、開発者と利用者の周辺の動きも並んでいます。Gero Wallet は 9 月 16 日の 2.7.1 で Midnight の dApp に完全対応し、Google Cloud は Web3 ポータルの中に Midnight の専用ページとテストネット用 NIGHT の配布所(フォーセット)を設けました。Ura Labs が 9 月 8 日に Preprod で始めた Relay Club は、アプリの DUST 手数料を API 経由で肩代わりする試験です。VIA Labs の開発スプリントには 37 人が参加し、Cardano から Midnight への USDM のクロスチェーン送金が 12 件、決済アプリが 5 本完成しました。

手数料の肩代わりと、利用者に代わるコントラクト配備は、どちらも利用者に手順を意識させない方向を向いています。配備の門が開いたいま、この 2 つが組み合わさったアプリがどれだけ早くメインネットに出てくるかが、移行の実際の効果を測る材料になります。

次に見るもの

  • GitHub の deployments フォルダ:申請書の受付が止まるのか、基準文書が利用者向けの目安として残るのか。リポジトリの次の更新で、審査段階の後始末が見えます
  • メインネットのノード 1.0.4:Guillemot 氏が 10 月 1 日に「間もなく」としていた更新です。リリースノートが出たら、今回の移行との関係が書かれているかを確かめます
  • ブログが予告した次の節目:「プロトコルの中核機能を広げ、ネットワーク全体の分散化を進める」とだけ書かれています。中身が具体化するのは、10 月分の State of the Network が出るころが一つの目安です

ことば

  • パーミッションレス配備 — 運営側の承認なしに、誰でもコントラクトを本番チェーンへ出せる状態のこと。Midnight は安全性を優先して 3 月から審査制で始め、10 月 2 日にこの段階へ移りました。
  • Preprod — 本番(メインネット)の手前に置かれた試験用のネットワーク。審査制の時期には、ここでの確認がメインネット配備の前提でした。今後は開発者が自分の判断で使う試験場になります。
  • DUST — Midnight の手数料に使う資源で、NIGHT を保有すると生成されます。他人の手数料を肩代わりできる設計のため、アプリ側が利用者の手数料を負担する仕組みづくりが進んでいます。

一次ソース / 関連リンク

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