Cardano の DEX アグリゲーター SteelSwap は、日本時間 10 月 2 日 0 時過ぎ、API と交換エンジンの第 2 版(v2)を公開しました。最大の変更は、前夜に稼働した Sundae V4 と RealFi に対応したことで、API は提携先に開かれ、提携先の画面からその日のうちに交換できるようになるとしています。
新しい種類のプールや新しいドル建て資産が生まれても、利用者が実際にそこへたどり着けるかどうかは、注文の通り道を探す仕組みが対応するかどうかに左右されます。この記事では、v2 で何が公開され、何がまだ先なのかを、SteelSwap と関係するプロジェクトの公式投稿をもとに整理します。
v2 で公開されたのは API と交換エンジン
SteelSwap は、複数の DEX に分かれた流動性を横断して、交換に有利な経路を探すサービスです。ひとつの DEX だけを見て交換するのではなく、どのプールをどう通れば受け取る量が多くなるかを計算して注文を組み立てます。
公式 X の告知は、これまで「ほのめかしてきた」更新の当日だとしたうえで、次の 3 点を伝えています。
- SteelSwap の API と交換エンジンの v2 を正式に公開した
- いちばんの知らせは、Sundae V4 と RealFi への対応
- API を提携先に公開し、早ければ当日から提携先の画面を通じて交換できる
一方、SteelSwap 自身のサイトで使う新しい画面(v2 UI)は「今後数週間のうちに」公開するとしています。つまり今回の更新は、利用者が目にする画面より先に、裏側の計算部分と、それを外部のアプリから呼び出す窓口を入れ替えたものです。
We have made our API available to partners, and you will be able to swap through partner interfaces as early as today.
— SteelSwap 公式 X(2026 年 10 月 1 日 UTC)
Sundae V4 の 2 つのプールが経路に入る
Sundae V4 は日本時間 10 月 1 日 23 時過ぎに稼働し、最初に開いたのは RealFi のステーブルコイン向けの 2 つのプールでした。USDCx と USDrf の交換は、スリッページ(注文時と実際の交換時の価格のずれ)がなく手数料が一定の「Linear Swap」型、USDrf と sUSDrf の交換は、sUSDrf が利回りを得るにつれて基準の比率がチェーン上で上がる「Stableswap」型です。仕組みは 10 月 2 日の Signal で詳しく扱いました。
どちらも、従来の DEX が使ってきた価格曲線とは計算の仕方が違います。アグリゲーターが新しい曲線を経路の候補に入れるには、そのプールで交換したときにいくら受け取れるかを正しく見積もれる必要があります。SundaeSwap は稼働の夜、USDCx と USDrf のプールについて「入れた分が、手数料を除いてそのまま出てくる」と説明していました。
USDrf は RealFi のドル建てステーブルコインで、sUSDrf はそれを預けて利回りを受け取る形の資産です。RealFi の稼働とポイントの仕組みは 10 月 2 日の別の Signal にまとめています。アグリゲーターが対応したことで、USDrf を手に入れたい人は、どの DEX のどのプールに流動性があるかを自分で調べなくても、ほかのトークンから経路を組んでもらえる余地が広がります。
提携先の画面から使う形
「提携先の画面から交換できる」という形は、v2 で急に始まったわけではありません。9 月の公式投稿を追うと、他のプロジェクトの画面の中に SteelSwap の交換機能やデータを組み込む例が続いていました。
- Sundae Float(9 月 8 日)— SundaeSwap は、市場データサイト Float の直近の更新の筆頭に「SteelSwap の統合」を挙げました
- Eternl(9 月 11 日)— ウォレットの Eternl は、ウォレットの中で資産や Cardano 全体を分析できる「Eternl Analytics」のベータ版を公開し、この機能は SteelSwap のおかげで実現したと投稿しました
ペグ安定化の仕組み(PSM)を持つ Indigo の V3 のドキュメントにも、PSM は DexHunter や SteelSwap などの DEX アグリゲーターと統合すると書かれています。アグリゲーターは、利用者から見えにくい場所で、DEX・ウォレット・DeFi のあいだをつなぐ配管の役を担いつつあります。
なお、今回の告知には、API を使える提携先の一覧や、提携の条件・料金は書かれていません。どのアプリの画面から v2 の経路が使えるのかは、各提携先の告知を待つことになります。
新しいドル建て資産と「通り道」
RealFi の稼働、Sundae V4 のステーブルコイン向けプール、そして SteelSwap の対応は、ほぼ同じ時間帯にそろいました。Cardano に新しいドル建て資産が入ってくるとき、受け皿となるプールと、そこへ注文を運ぶ経路が初日から用意されていたことになります。10 月 3 日には Indigo が USDrf を iUSD の PSM に加える提案を DAO に出しており、ドル建て資産どうしの交換の経路はさらに増える可能性があります。
次に確かめられる一点は、SteelSwap 公式 X で予告された v2 UI の公開です。告知では「今後数週間のうち」とされており、公開のときに Sundae V4 のプールや RealFi の資産が自社サイトの画面でどう選べるようになるか、あわせて API を採用した提携先の名前が出るかどうかで、今回の更新の広がりが見えてきます。
ことば
- DEX アグリゲーター — 複数の DEX のプールを横断して、交換に有利な経路を探して注文を組み立てる仕組み。Cardano では流動性が多くの DEX に分かれているため、新しいプールが増えるほど経路探しの役割が大きくなります。
- API — 外部のアプリが、あるサービスの機能をプログラムから呼び出すための窓口。SteelSwap の場合、ウォレットや市場データサイトが自分の画面の中に交換機能を組み込むときの入口になります。
- Sundae V4 — SundaeSwap の新版 DEX。10 月 1 日に段階的な展開を始め、最初は RealFi のステーブルコイン向けの 2 つのプールだけが開いています。新しい価格曲線を持つため、アグリゲーター側の対応が必要になります。
一次ソース / 関連リンク
- SteelSwap 公式 X(2026 年 10 月 1 日 UTC・API と交換エンジン v2 の公開)
https://x.com/SteelSwap/status/2105674438901395730 - SundaeSwap 公式 X(2026 年 10 月 1 日 UTC・V4 の 2 つのプールの仕組み)
https://x.com/SundaeSwap/status/2105700209988694048 - SundaeSwap 公式 X(2026 年 9 月 8 日・Float の更新と SteelSwap 統合)
https://x.com/SundaeSwap/status/2097340104293396808 - Eternl 公式 X(2026 年 9 月 11 日・Eternl Analytics と SteelSwap)
https://x.com/eternlwallet/status/2098451850978619751 - Indigo Protocol ドキュメント: Indigo Protocol V3(PSM とアグリゲーターの統合)
https://docs.indigoprotocol.io/readme/indigo-protocol-v3
