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World Mobile、WMTX の Ethereum 版を廃止

2026-10-04SIPO

World Mobile Chain の公式アカウントは日本時間 10 月 3 日未明、ブリッジ攻撃を受けた WMTX の復旧状況を更新し、Ethereum 上の WMTX から Base 上の WMTX への移行作業と取引所との調整を続けていると伝えました。9 月 24 日以降の一連の告知で、Ethereum 版の WMTX は恒久的に廃止し、侵害前のスナップショットで対象と確認された保有者に Base 版を割り当てる方針が示されています。

不正な発行を止め、侵害前の残高を確定させるところまでは、9 月 22 日の時点で済んでいました。そこから 10 日あまりで、取引所での取引はどこまで戻り、何がまだ残っているのか。公式アカウントの告知とチェーン上の数字をもとに、復旧の現在地を整理します。止める段階の経緯は 9 月 23 日の Signal で扱いました。

9 月 24 日から 28 日までに戻ったもの

日本時間 9 月 25 日 0 時過ぎ、公式アカウントは「WMTX の未来は Base にある」と題した投稿で、封じ込めから復旧へ移ると宣言しました。同じ投稿は、Ethereum 版の WMTX を恒久的に廃止すること、侵害前のスナップショットとチェーン分析で対象と確認された保有者が、対応する量の Base 版を受け取ることを示しています。

その後の数日で、取引の再開が順に告知されました。

  • Chainlink の CCIP による Base と BNB Chain のあいだのブリッジが再開 (日本時間 9 月 25 日未明の告知)
  • Bitvavo が WMTX の取引を再開 (中央ヨーロッパ時間 9 月 24 日 19 時)
  • Kraken が入金・出金・取引を再開、Coinbase が入金を再開 (日本時間 9 月 25 日早朝の告知)
  • Coinbase で WMTX-USD が全面取引に戻り、指値・成行・逆指値の注文がすべて使える状態に (日本時間 9 月 26 日夜の告知)

9 月 25 日付の更新は「まだ影響を受けているもの」として、Coinbase での取引 (その後再開)、ほかの取引所の再開、Solana と Arbitrum につながる CCIP の経路を挙げていました。後者の 2 つについて、10 月 3 日までの公式告知に再開の報告は見当たりません。

Base 上の発行量は 10 日で約 1,779 万 WMTX 増加

9 月 22 日、公式アカウントは「Base 上で WMTX の発行がまもなく始まる。新しい発行トランザクションが見えても、それは想定どおりで認可されたものだ」と事前に告知していました。

編集部で Base 上の WMTX コントラクト (0x3e31966d4f81c72d2a55310a6365a56a4393e98d) の総発行量を読むと、日本時間 10 月 4 日 14 時 27 分の時点で 209,292,313.297580 WMTX でした。9 月 23 日 14 時 40 分に同じコントラクトで確認した値は 191,501,014.790603 WMTX で、この間に約 1,779 万 WMTX 増えています。公式の告知は、増えた分の内訳 (Ethereum 版からの振り替え分か、取引所向けの準備分か) を示していません。数字は BaseScan のトークンページで誰でも確かめられます。

Ethereum 版の保有者に向けて一連の告知で繰り返されている案内は、3 点です。Ethereum 版の WMTX を取引・送付・操作しないこと、受け取りの手順は「何らかの操作が必要になる前に案内する」こと、そして公式以外の DM や復旧サービス、移行用リンクを無視することです。

10 月 3 日の更新で加わった 2 つのこと

最新の更新では、復旧と並んでネットワークの開発を前に進めることが前面に出ました。投稿の冒頭は「私たちの焦点は World Mobile Chain を前進させること」で、Genesis と EarthNode のテストネットワークを進めながら、WMTX の復旧に必要な作業を続けると書いています。

もう一つは、事案の起点となったブリッジの運営元との関係です。同じ更新は「SingularityNET の全面的な協力をまだ待っている」と明記しました。9 月 22 日の時点で CEO の Micky Watkins 氏は、SingularityNET のチームと通話し、先方のインシデントレポートを ZeroShadow (@zeroshadow_io) と自社の人員とともに精査していると説明していました。Ethereum 版の廃止と Base 版の割り当ては World Mobile 側で進められる作業ですが、侵害の詳細な経緯と責任の整理は、運営元の側からの情報がそろうまで確定しない状態が続いています。

Cardano のエコシステムにとっても、この事案は外部のブリッジに依存することの重さを示しています。7 月には Wanchain の Cardano−BNB ブリッジでブリッジ済み NIGHT に影響する事案があり、今回も壊れたのはチェーン本体ではなく、チェーン同士をつなぐ第三者の設備でした。

受け取り手順の案内が次の節目

復旧の残りでいちばん大きいのは、Ethereum 版の保有者に向けた受け取り手順の案内です。World Mobile はこれを公式 X (@wmchain) と Discord の #wmtx-security-updates で出すとしています。案内が出たら、手順を確かめる先は公式の 2 か所だけに絞り、BaseScan のトークンページで総発行量が手順どおりに動くかを照らし合わせると、宣言と実態の一致を自分で確かめられます。Solana と Arbitrum の CCIP 経路の再開も、同じ公式アカウントで告知される見込みです。

ことば

  • CCIP — Chainlink が提供する、異なるブロックチェーンのあいだでトークンやメッセージを送る仕組みです。WMTX は今回侵害されたブリッジとは別に、この経路で Base・BNB Chain・Solana・Arbitrum をつないでおり、経路ごとに再開が進んでいます。
  • 恒久的な廃止 (deprecation) — そのチェーン上のトークンを今後は正規のものとして扱わないという宣言です。不正に発行された分と正当な分はチェーン上で同じトークンとして流通するため、侵害前の残高を基準に別のチェーンで配り直す方式は、正当な保有者だけを拾い出す手段になります。

一次ソース / 関連リンク