Cardano 発の無期限先物取引所 Strike Finance で、RealFi のドル建てトークン sUSDrf を担保にした借入の残高が、日本時間 10 月 18 日の早朝に 11 万 9,199 ドルに達しました。Strike が公開した担保の一覧の画面では、ADA や SundaeSwap の流動性トークンを上回り、借入の担保として最も多く使われている資産になっています。
sUSDrf が Strike の担保に加わったのは 10 月 13 日 (UTC) の発表で、そこから 4 日あまりでの数字です。RealFi のドルが RealFi 自身のアプリの外で実際の資金を集め始めたことを、画面の数字で確かめられる最初の機会になりました。どれだけの資金が、どんな仕組みで、どんなリスクを重ねて動いているのかを整理します。
2 枚の画面が示した借入の残高
Strike は 10 月 18 日の午前 2 時半ごろ (日本時間・以下同じ)、公式 X に「RealFi のドル建てステーブルコインが、私たちの保管庫で 10 万ドルに迫っている」と投稿しました。添付された sUSDrf の画面では、借入の残高 (Total loans) が 77,001.02 ドル、その借入で買われた保管庫の持ち分 (Vault equity backed) が 77,318.86 ドル、年率の表示は 50.24% でした。
約 1 時間 50 分後の午前 4 時 18 分ごろ、Strike は「1 時間前から、さらに 5 万ドルが流動性の保管庫に加わった」と続けました。このとき添付された担保の一覧は次のとおりです。
- sUSDrf (Cardano): 借入の残高 119,199.94 ドル・年率表示 49.31%
- ADA (Cardano): 57,563.77 ドル・同 37.79%
- SundaeSwap USDCx/USDM の流動性トークン (Cardano): 34,042.31 ドル・同 41.90%
- Aave aEthUSDC (Ethereum): 2,106.55 ドル・同 41.55%
画面に並んだ 4 つの担保の借入は合計で約 21 万 2,913 ドルで、sUSDrf はその約 56% を占めます。2 枚の画面のあいだで、sUSDrf の借入は約 4 万 2,000 ドル増えました。Strike が書いた「5 万ドル」が sUSDrf の分だけを指すのか、保管庫全体への入金を指すのかは、投稿からは分かりません。最初の投稿の「10 万ドルに迫る」も、添付画面の 7.7 万ドルとは開きがあります。数字を引くときは、投稿の文面より画面の表示を基準にするのが確かです。
Hoskinson 氏の「RealFi + Strike」
同じ日の午前 5 時 49 分ごろ、Charles Hoskinson 氏が「RealFi + Strike」とだけ書いて、ある投稿を引用しました。引用元の投稿は、RealFi の利回りと Strike の保管庫の運用成績を重ねて受け取れるこの機能を「Strike に 1,000 万ドルを呼び込みうる」と評し、同じ機能を持つ無期限先物の取引所はほかにないと書いています。続いて午前 7 時 10 分ごろには、Strike も同じ「RealFi + Strike」という言葉を投稿しました。
1,000 万ドルという数字は引用元の投稿者の見立てで、Strike や RealFi が目標として公表した値ではありません。いま確かめられるのは、画面に表示された 11.9 万ドルという実額のほうです。
借りたドルが入る先は保管庫 SLP だけ
この数字を動かしているのは、Strike の「Borrow and Earn」という仕組みです。公式ドキュメントによると、対応する資産を担保として預けたまま、ドル建ての借入枠で Strike 公式のマーケットメイク用の保管庫 SLP の持ち分を買います。借りたドルは SLP に直接入り、現金として引き出したり、自分の取引の証拠金に使ったりはできません。借入に時間で積み上がる金利はなく、SLP の手数料も 0% とされています。
sUSDrf の画面には、借入の上限 (最大 LTV) が担保価値の 100%、清算の目安がマイナス 10%、清算のときの割引が 1% と表示されています。sUSDrf を担保にした人は、sUSDrf 自身の利回りと SLP の運用成績を重ねて受け取る形になります。一方で、Strike のポイントのページは、Borrow and Earn で借りたドルによる預け入れをポイントの対象外と定めています (既報: Strike Finance、シーズン1報酬の前半1万 STRIKE を LP に配布)。仕組みの全体は 10 月 14 日の Signal で整理しています。
残高が増えても変わらない 3 つのリスク
利回りが重なる分、リスクも重なります。残高が増えたことで、この構造が変わったわけではありません。
ひとつめは担保の sUSDrf そのものです。RealFi のドキュメントによると、sUSDrf は USDrf の下に置かれた劣後の層で、ポートフォリオに損失が出たときは、プロトコル自身の損失準備で吸収したうえで、残りを sUSDrf が USDrf より先に引き受けます。損失は sUSDrf の償還レートの低下として表れます。
ふたつめは SLP の成績です。SLP の収益はマーケットメイクの損益や資金調達率の受け払い、清算の手数料などを合わせたもので、決まった利息ではありません。みっつめは借入です。借りた額はドル建てで残り、担保と持ち分の価値が下がって基準を割ると、Strike は SLP の持ち分の払い戻しや担保の換金で借入を減らす手続きに入ります。
利用できる地域にも制限があります。RealFi の製品は米国・EU と EEA・英国・香港などでは使えず、社債に当たる商品の個人向けの提供を制限している地域では、sUSDrf を使えるのは適格投資家などに限られます。日本は制限の一覧に挙がっていませんが、それだけで利用できるとは言えず、各自の地域の法令を確かめることが利用者の責任とされています。
担保の表に sUSDrf の行が載るか
10 月 14 日の Signal で確認先に挙げた Strike の公式ドキュメントの Borrow and Earn のページは、10 月 19 日の時点でも、担保ごとの条件の表に ADA、SundaeSwap の流動性トークン、Aave の aUSDC の 3 行しか載せていません。sUSDrf は 4 つの担保のなかで最大の借入を集めるようになった一方で、清算の基準や換金の割引の根拠は、いまも告知の画面でしか確かめられない状態が続いています。
確認できる次の一点は、このページの担保の表に sUSDrf の行が加わるかどうかです。あわせて、シーズン 1 が締まる 10 月 28 日には、Strike のアプリのポイントのページで、SLP 全体への預け入れがポイントの対象外の借入とどう分かれて並ぶかも見えてきます。RealFi のドルが「預けて利回りを得るもの」から「ほかのアプリの担保になるもの」へ進むとき、その条件が文書として残るかどうかが、資金の厚みを支える土台になります。
ことば
- sUSDrf — RealFi のドル建てトークン USDrf をステークすると受け取るトークン。週ごとのエポックで価値が積み上がる一方、損失を USDrf より先に引き受けます。今回、Strike の担保のなかで借入の残高が最も多い資産になりました。
- Borrow and Earn — 対応する資産を担保にドルを借り、そのドルで Strike の保管庫 SLP の持ち分を買う仕組み。借りたドルは SLP の中にだけ置かれ、引き出しや取引の証拠金には使えません。
- Vault equity backed — 担保ごとの画面に出る項目で、その担保で借りたドルが買った SLP の持ち分の価値。SLP の運用成績で上下するため、借入の残高とは少しずれて表示されます。
一次ソース / 関連リンク
- Strike Finance 公式 X: RealFi のドルが保管庫で 10 万ドルに迫る(2026年10月17日 UTC)
https://x.com/strikeperps/status/2111510523611062761 - Strike Finance 公式 X: 1 時間で 5 万ドルが保管庫に(担保の一覧の画面)
https://x.com/strikeperps/status/2111537322906816829 - Charles Hoskinson 氏の投稿「RealFi + Strike」
https://x.com/IOHK_Charles/status/2111560285756793032 - Strike Finance 公式 X: RealFi 利回りの組み込み(2026年10月13日 UTC)
https://x.com/strikeperps/status/2110053214745972805
Strike Finance ドキュメント: Borrow and Earn
docs.strikefinance.org
docs.strikefinance.org
RealFi ドキュメント: sUSDrf (staked USDrf)
docs.realfi.co
RealFi ドキュメント: Jurisdictional eligibility(利用できる地域)
docs.realfi.co
