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チャールズ・ホスキンソン氏動画「Blockfrost」紹介・解説・全翻訳:取引の過半が通る「見えないインフラ」の岐路

2026-07-17SIPO

取引の過半が通る「見えないインフラ」の岐路

チャールズ・ホスキンソン氏が、自身のYouTubeチャンネルで「Blockfrost」と題した動画を公開しました。

Blockfrostは、開発者が自分でノードを運用しなくてもCardanoブロックチェーンへアクセスできる、ホスト型のAPIサービスです。2020年にFive Binariesが立ち上げ、2024年にIOG(Input Output Global)の傘下に入りました。Cardano Foundationの開発者調査では4年連続で利用率1位のホスト型プラットフォームであり、2025年調査では回答者の71.5%が利用しています。

いま、このBlockfrostの所有権をIOGから切り離し、コミュニティが統治する非営利組織へ移す国庫提案「Blockfrost’s transformation to not-for-profit」(総額9,832,979 ADA)がオンチェーン投票にかけられています。提案の批准にはDRep投票力の67%が必要ですが、本記事作成時点の賛成は投票力ベースで12.65%にとどまります。

今回の動画は、この状況に対するホスキンソン氏からの応答です。氏は、Blockfrostが「多くのエポックでCardano全取引の半分以上」が通過するインフラであることを示した上で、すでに反対票を投じたDRepに対して「再考」を呼びかけました。同時に、投票の結果がどうであれ、Blockfrostのレガシーインフラは年末にIOを離れることも明言しています。

Blockfrostへの国庫提案は、今回が初めてではありません。5月には維持費と次世代インデックス技術(Project Cayley)を求める前回提案がエポック633で期限切れとなり、成立しませんでした。SIPOはDRepとして前回提案に期待事項付きの賛成票を投じています。

動画:Charles Hoskinson「Blockfrost」

関連するSIPO記事:SIPO DRep:『Blockfrost: Maintenance and Next Generation Indexing』提案をどう考えるか

この動画で語られたこと:SIPO視点の解説

1. 動画の位置づけ:前回の不成立から、2度目の提案へ

今回の動画を理解するには、二つの国庫提案を分けて見る必要があります。

前回提案「Blockfrost: Maintenance and Next Generation Indexing」は、分散型スライスインデックス技術Project Cayleyの開発(100万ドル)と、無料枠インフラの運営補助(90万ドル)を求めるものでした。エポック626に提出され、批准に至らないままエポック633で期限切れとなっています。動画でホスキンソン氏が「あなたがた投票者は、それを選ばなかった」と述べているのは、この結果を指します。

今回の提案「Blockfrost’s transformation to not-for-profit」はエポック639に提出され、失効はエポック646。つまり投票はエポック645が終わる日本時間2026年7月29日早朝まで可能です。求める金額は9,832,979 ADAで、提案書は0.19ドル/ADA換算で約186.8万ドルと記載しています。

同じBlockfrostを巡る提案ですが、前回が「維持費と開発費」だったのに対し、今回は「所有権の移転」を含む再設計です。この違いが本提案の核心です。

2. 提案の中身:ソースコードも商標も、コミュニティ統治の非営利組織へ

提案書(オンチェーンメタデータ)によれば、移行の骨子は次の通りです。

  • Blockfrostのソースコード、商標、ドメインを含む知的財産すべてを、独立したコミュニティ統治の非営利組織へ移転する
  • 資金は18か月分の移行・運営費用に充てる
  • 理事会は5席。4席はオープンソース実績のあるCardanoインフラ開発企業枠、1席は誰でも立候補できるコミュニティ枠。年内の選挙実施を目指し、遅くとも2027年第1四半期末までに新理事会を発足させる
  • 発足までの暫定理事会は、Beatrice Anihiri氏(Blockfrost)、Christina Gianelloni氏(BlinkLabs)、Federico Weill氏(TxPipe)、Jeni Davidson氏(SundaeLabs)、Francis Luz氏(Masumi / Begin Wallet)の5名
  • IOGは初年度のみ、議決権のない助言席を持つ
  • 法人格は新設または既存の非営利組織への統合(候補としてPRAGMAを検討中)から、形成過程で決める
  • インフラコストは公開ダッシュボードで開示し、理事会が承認する

18か月の資金期間の後については、非営利組織自身が有料プランを運営し将来の利益をCardano国庫へ還元する案と、非営利組織が知的財産と無料枠を保持したままベンダー連合が商用需要を担う案の二つが示され、DrupalやOpenStreetMapの運営モデルが前例として挙げられています。

「営利企業への補助金」ではなく「公共財化の移行費用」として設計し直した──これが前回提案との最大の違いです。

3. 「取引の半分」はどこまで確認できるか

動画でホスキンソン氏は、Blockfrostを「Cardanoの全トラフィックの50%を処理するベンチャー」と表現しました。提案書にも「多くのエポックで、Cardano全トランザクションの50%超がBlockfrost経由で送信されている」との記載があります。

提案書が示す利用規模は次の通りです。

  • 直近1か月で781,000のユニークビジター、18.4億件超のAPIリクエスト(毎秒約700件)、7TB超のAPIデータ配信
  • APIトラフィックの90%は無料枠から発生
  • Cardano Foundationの開発者調査での利用率は、2022年39.3%→2023年56.5%→2024年65.5%→2025年71.5%と毎年上昇

開発者調査はCardano Foundationが公開している独立の一次ソースで確認できます。一方、「全取引の50%超がBlockfrost経由」という数値は提案書とホスキンソン氏の発言に基づくもので、送信経路はオンチェーンデータだけでは判別できないため、本記事では第三者として独立検証はできていません。規模感を示す参考値として扱うのが適切です。

4. 投票の現在地:賛成12.65%、可決には67%

Koiosの集計によれば、本記事作成時点(エポック643)のDRep投票は、投票力ベースで賛成12.65%・反対87.35%。投票数では賛成49・反対38・棄権8です。国庫引き出しの批准にはDRep投票力の67%の賛成と憲法委員会の承認が必要で、現状は大きく届いていません。

背景として、現在のガバナンスでは国庫引き出し提案のほとんどが否決または失効しており、賛成率が1桁台の提案も珍しくありません。Blockfrost提案だけが特別に反対されているわけではなく、「国庫からの支出全般に対してDRepが強い規律を効かせている局面」であることは、公平のために添えておきます。

投票期限まで約2週間あり、Cardanoのオンチェーン投票は期限前であれば投じ直しが可能です。動画が「すでに反対票を投じた人」へ再考を呼びかけているのは、この仕組みを前提にしています。

5. 「ノードには資金を出し、Blockfrostには出さない」を事実で確認する

動画で最も強い主張は、「現在使われていないノードには資金を出しながら、ネットワークの半分が使うものには出さないのはなぜか」という問いかけです。

オンチェーンの記録で確認できる範囲では、Rust実装ノードのAmaru(Amaru Treasury Withdrawal 2026)はエポック620で、Blink LabsのGo実装ブロックプロデューサーDingoはエポック624で、それぞれ国庫引き出しが批准されています。一方、Blockfrostの前回提案はエポック633で失効しました。ブロック生成ノードの実運用がHaskellノードにほぼ依存している現状も、氏の発言の通りです。

ただし、ここには両面があります。ノード多様性への投資は「将来の耐障害性への先行投資」であり、市場シェアがまだ無いこと自体は資金化の理由と矛盾しません。DRep側にも、予算全体の上限(Net Change Limit)、提案設計の妥当性、IOG傘下企業への国庫支出の是非といった、個別の判断軸があります。「非対称な結果」は事実として確認できますが、それを「矛盾」と呼ぶかどうかは視点によって分かれる論点です。

6. オフチェーンインフラはCardano固有の弱点ではない

動画の後半でホスキンソン氏は、「これはCardanoの欠陥ではない。DeFi業界の100%がオフチェーンインフラを持っている」と強調しました。

この点は業界の実態として正確です。EthereumのdAppや取引所の多くはInfuraやAlchemyといったホスト型インフラ経由でチェーンへアクセスしており、「完全にオンチェーンで完結するチェーン」は存在しません。ウォレットが残高を表示し、取引所が入出金を処理し、DAppが状態を読むために、インデックスされたデータを供給する層が必ず必要になります。

Cardanoでこの層の標準化・分散化に向けた動きとして、動画ではCIP-165への言及がありました。CIP-165(Canonical Ledger State)は、台帳状態を検証可能な標準フォーマットで表現する提案で、成立すればノード実装に依存しない状態アクセスへの道が開けます。また、SPOやノード運用者が全チェーンではなく「スライス(部分)」をインデックスして提供できるようにするProject Cayleyが2年前から進行しており、100超の事業者が参加する分散型Blockfrost運用者のプログラム(Icebreakers)も始まっています。

つまり「オフチェーン層の存在」は業界標準であり、Cardanoの独自性はむしろ「その層を時間をかけて分散化しようとしている」点にあります。動画の主張は、この分散化が完成するまでの橋渡しを国庫が支えるべきだ、というものです。

7. ハッキングリスクという論点:信頼されたインフラの重み

動画には、見過ごされがちな重要な論点が含まれています。「このようなバックエンドが侵害され、偽のメッセージが注入されたらどうなるか」という問いです。

オフチェーンインフラは「信頼される」存在です。ウォレットやDAppがBlockfrostの返す残高やトランザクション情報を信じて動作する以上、仮にそこが侵害されれば、DeFiの誤作動やユーザー資産への攻撃ベクトルになり得ます。ホスキンソン氏は、Blockfrostが数年間無事故で稼働してきたことを「チームの品質と能力の証明」と述べました。

この論点は、「2人のエンジニアと月1,500ドルで代替できる」という批判への反論として提示されています。単にAPIを立てることと、取引所やウォレットが依存する本番インフラをSLA(サービス品質保証)付きで安全に運用し続けることは、要求水準が異なる──これは、ノードやインフラを実際に運用する立場から見ても妥当な指摘だとSIPOは考えます。他方で、適正なコスト水準がいくらかという問いは残り、そこは提案書の公開ダッシュボード(コスト開示)が答えるべき部分です。

8. SIPOの視点:「年末にIOを離れる」は投票結果と無関係に確定している

今回の動画で最も重要な一文は、「投票の結果がどうであれ、これ(Blockfrostのレガシーインフラ)は年末にIOを離れる」だとSIPOは考えます。

ホスキンソン氏は動画内で「これは最後通牒ではない。単なるビジネスの現実だ」と述べ、IOGがベンチャースタジオと研究開発へ軸足を移す中で、Catalystと同様にBlockfrostも手放していく方針を明確にしました。つまりDRepが投票で選んでいるのは「IOGに残すか、コミュニティへ移すか」ではありません。「コミュニティ資産として資金を付けて存続させるか、行き先を定めないまま年末を迎えるか」です。

仮にサービスが止まった場合の影響として、氏はCoinbase、Binance、Kraken、Trezorなどの利用企業が「別の基準でインフラを再構築するか、Cardanoの取り扱い自体を見直すか」の判断を迫られると述べました。これは本人の発言であり、各社が実際にどう動くかは検証できません。ただ、Blockfrostが取引所・ウォレット・カストディ事業者のCardano接続点として広く使われていることは提案書・公式ドキュメントから確認でき、影響範囲の大きさ自体は誇張とは言えません。

SIPOは前回提案に、コスト透明性などの期待事項を付けた上で賛成票を投じました(詳細は関連記事参照)。今回の提案は所有権移転を含む別の設計であり、SIPOとして改めて提案書を精査した上で投票判断を行います。投票期限はエポック645末、日本時間2026年7月29日早朝です。この記事が、DRepや委任者の皆さんが一次情報にあたって判断するための材料になれば幸いです。

以下は、チャールズ・ホスキンソン氏の動画「Blockfrost」(YouTube ID:YjP2M_VCAxg)について、日本語全翻訳です。読みやすさのため、言い淀み、反復、間投詞、自動字幕由来と思われる乱れを整えています。固有名詞と不明瞭箇所の扱いは末尾の透明性メモに記載しました。正確な表現は必ず原動画をご確認ください。

チャールズ・ホスキンソン氏動画「Blockfrost」全翻訳

ガバナンス予算は「ケーキの層」のように

こんにちは。チャールズ・ホスキンソンです。暖かく晴れたコロラドからライブ配信しています。いつも暖かく、いつも晴れています。時々、コロラドです。

今日は2026年7月16日です。ガバナンスの議題に上がっているあることについて、短い動画を作ります。

多くの方がご存じの通り、Cardanoには分散型の予算プロセスがあります。その予算は、ケーキのように層で構成されています。土台の層にあるのは、中核となるガバナンス機関、Pentadのようなイニシアチブ、コア開発などです。そこから上の層へ行くにつれ、第2、第3、第4といった順位の項目や、ガバナンス、研究、商業化などへ移っていきます。そして私たちは、何を残し、何をやめるのかという難しい決断をしようとしています。

ADAは大幅に下落しています。それは疑いのない事実です。昨年は83セントの時期がありました。昨年の最高値は、確か1ドル10セントか1ドル20セントくらいだったと思います。ADAが2021年の水準へ戻るのではないかという期待も大きく膨らんでいました。しかしWintermuteの問題、そして「10月10日」の問題の後、すべてが崩れ、ADAは15セントを下回る水準まで落ち込む、非常に厳しい状況に置かれました。だから多くの人が「原点に立ち返るべきだ」と言っています。

IOの転換:ノードの分散化とベンチャースタジオ化

IOの側でも、会社として大きな転換を進めてきました。私たちはこの2年間、オープンソース開発の分散化を積極的に推し進め、少数ではなく多くの企業がCardanoのコアに取り組む体制を作ってきました。Haskellノードは、いまや多くの企業の共同プロダクトです。今後9か月ほどをかけて、Haskellノードに携わるフルタイムエンジニアの大半は、段階的にパートナー企業へ移籍していきます。それによって、IOだけではない、より多様な発想、プロダクトロードマップ、技術的な舵取りが可能になります。

加えて、GoノードのBlink Labsがあり、RustノードのAmaruプロジェクトなどにも資金が付き、ノードの多様化が進められています。コアインフラについては、コミュニティの手に渡すか、より小さく機動的な企業へ移すべきだという強い要望があり、Input Outputグループは方向転換して、私たちが最も得意とする二つのことに集中します。私たちはベンチャーを作るのが得意ですし、イノベーションも得意です。研究開発が本当に得意なのです。

IORとARCには資金が付き、量子耐性や、次世代のOuroboros、UTXOを次の段階へ引き上げる方法といったテーマに全力で取り組んでいます。Blasterのようなハイブリッド研究プログラムでも、素晴らしい進捗があります。

ベンチャー群:RealFi、Pogun、Midnight

ベンチャースタジオの側を見ると、RealFiがあります。7月にテストネットを公開したばかりで、まもなくメインネットに進みます。CardanoのTVLを大きく押し上げる存在になると考えています。

Pogunもあります。これは、Bitcoin DeFiのビジョンと夢を、数億ドル、場合によっては数十億ドル規模のBitcoinがCardanoネットワーク上で活発に動く形で実現しようとするもので、TVLランキングを駆け上がり、成熟した、尊敬されるDeFiエコシステムの構築を始めるためのものです。

さらにMidnightがあります。Cardano上で最も成長が速いプロジェクトの一つ、あるいは最速のプロジェクトであり、第4世代暗号資産の正当な候補であり、パートナーチェーン戦略と哲学全体の先鋒でもあります。

Blockfrostを買収した理由と、赤字運営の構造

さて、この動画の本題であるBlockfrostは、そのベンチャーの一つです。数年前、彼らがエコシステムを離れようとしていたため、私たちが買収し、存続させてきました。そして赤字で運営してきました。私たちが商売下手だからではありません。Blockfrostの収益構造全体が、DeFiエコシステムが今とは異なる状態にあること、つまりSolanaやEthereumの水準に到達していることを前提としているからです。その水準に達すれば、Blockfrostのような企業は黒字化し、成長し、エクイティや収益をもとにさまざまな資金調達ができます。

しかしTapToolsなどと同じように、DeFiが十分に育っていないエコシステムの中にBlockfrostが置かれている場合、手数料収入だけでは運営を維持できません。

セキュリティとSLA:「2人と月1,500ドルで回せる」への反論

はっきり言っておきますが、これは「雰囲気でコードを書くエンジニアでもできる」という話ではありません。セキュリティとSLA(サービス品質保証)の話です。Blockfrostは、ネットワーク上の多くのオフチェーン活動の基幹部分を担っています。

Blockfrostの顧客の一部を印刷してきました。P2P、Blockdaemon、Crypto.com、Exodus、Fireblocks、Brave、BitGo、Intersect、Koinly、NuFi、Trezor、ADA Handle、Circle、Revolut、Binance、Kraken、Coinbase、その他多数です。Blockfrostは、これらの企業のインフラがCardanoへ出入りするための乗り口であり降り口です。Cardanoには、オンチェーンでは実行されないことがたくさんあります。それにはオフチェーンインフラが必要です。両方が一緒に動いて初めて、うまく機能するのです。

Blockfrostは、最も機動的で俊敏な企業の一つです。わずか9人ほどのチームで、インフラの運用コストに対して驚くべき成果を上げてきました。2人の人間と、雰囲気でコードを書く何人かと、月1,500ドルがあればこんなものは運用できる、などと言うのは、まったくもって侮辱的であり、ダニング・クルーガー効果そのものの理解度を露呈しています。安全には運用できません。ネットワークの複雑さに見合う水準でも、私たちが抱える多様な利用者プロファイルに対応できる形でも、不可能です。

Project Cayley:SPOが運営する分散型Blockfrostへ

私の長期戦略は、Blockfrostというものを分散化することです。私たちはProject Cayleyと呼ぶ取り組みを2年間続けてきました。Blockfrostが担う機能の分散化バージョンを、専用のコンセンサスアルゴリズムと技術を備えたパートナーチェーンとして立ち上げ、SPOたちが運営できるようにし、API手数料という収益モデルを超えて利用を促すトークノミクスを持たせるためのものです。それには時間がかかります。大きな進捗はありましたが、プロジェクトが進んだ結果、いまや明確に二つの会社が存在する段階に来ています。

一つはレガシーインフラです。Coinbase、Binance、Kraken、Trezorをはじめ多くの企業が、Cardanoエコシステムとの接続に使っているものです。もう一つは、Midnightが成功し、パートナーチェーンモデルを構築した後に生まれる新会社です。Marek氏をはじめとするメンバーがその新会社を追求しており、私たちはその行方にとても期待しています。Glacier Dropで皆さんが不満に感じた点を改善し、Midnightがこのエコシステムにもたらした成功を引き続き活用する、実に面白い方法になると考えています。

国庫への提案:前回の不成立と、今回の非営利化

では、レガシーインフラをどうするのか。

私たちは国庫に対して、「資金を付ける道筋を作ってはどうか。Cardanoが成長すれば、これはおそらく黒字資産になる。そうなれば、分散型エコシステムへ全体を統合していく方法を考えられる」と提案しました。あなたがた投票者は、それを選びませんでした。

そこで私たちは、2度目の提案を携えて戻ってきました。単なるオープンソース化ではありません(すでにオープンソースです)。Blockfrostを不可欠なコミュニティインフラとして、コミュニティが管理し、非営利の観点で運営するという提案です。

「半分のトラフィック」と、取引所が迫られる判断

あなたがたは、現時点で必要とされておらず、市場シェアもないノードに資金を出すことを選びました。そしていま、あなたがたの最大級のDRepたちは、Cardanoの全トラフィックの50%を処理するベンチャーに資金を出さないことを選んでいます。そこには、私たちを上場させている企業のトラフィックも含まれます。

もしこのサービスが停止すれば、Coinbaseは判断を迫られます。BinanceもKrakenも、他の企業も同じです。別の基準で自社インフラを作り直すのか、それともCardanoを上場廃止にしてノードの運用をやめるのか。再構築には時間と労力と資金がかかります。そのインフラの復旧費用を、誰が彼らに払うのでしょうか。Cardano Foundationかもしれませんし、違うかもしれません。他の企業も同じ判断を迫られます。

このようなサービスの運営は簡単ではありません。この種のバックエンドを信頼している状態で、もしそこがハッキングされ、偽のメッセージを注入されたらどうなるでしょうか。DeFiを混乱させ、一般ユーザーへの攻撃ベクトルを持ち込み、資産が侵害される事態もあり得ます。信頼されたオフチェーンインフラとは、そういうものだからです。Blockfrostが何年も無事故で稼働してきたという事実は、コアチームの品質、スキル、能力、そして倹約ぶりの証明です。普段は意識されない、見えない技術ですが、途方もなく重要なのです。

あなたがたのDRepが、現在誰も使えていない、使いようのないものに資金を出す選択をしていることに、私は少し困惑しています。ブロックを生成しネットワークを動かしているノードのインストールは、100%がHaskellノードです。そこに数百万ドル規模の資金が付きました。それなのに、ネットワークの半分以上が使っているものに資金を付けようと言うと、なぜかそれはできない、なぜか他の人たちでも同じようにできるはずだ、という話になるのです。

これは最後通牒ではなく、関係のリセットだ

はっきりさせておきます。これはInput Outputが金銭を得るための話ではありません。これは単純に、関係のリセットの話です。

10年以上にわたり、私は毎日起きるたびに、自分の仕事であろうとなかろうと、Cardanoをどう成長させ、繁栄させるかに関わろうとしてきました。私たちは数年前に、組織をベンチャースタジオへ転換するという意識的な選択をしました。その成果は、RealFi、Pogun、Midnightをはじめ、業界の外のものも含めて、明白に現れています。それらは各自の実力で評価され、利益を出すのか、影響を与えるのかが判定されるでしょう。しかし、これらのベンチャーはすべてCardanoに隣接するか、Cardanoの上に構築されており、その成功はネットワーク全体の成功です。私はここに時間を使いたいのです。

ただ、それは同時に、私たちが従来から作ってきたもの──皆さんがその費用を目にすることがなかったのは、この5年間で数億ドル規模の私の補助によって支えられていたからですが──を、段階的に閉じるか、外へ切り出してきたということでもあります。例えばCatalystがそうですし、もう一つの例がBlockfrostのレガシーインフラです。いくつかについては行き先を見つけましたが、この件に関しては、その行き先に国庫投票が必要なのです。

これは最後通牒ではありません。単なるビジネスの現実です。サービスに資金を付けないことを選べば、そのサービスは存在しなくなります。そして、それが必要なものかどうかを自問しなければなりません。CIP-165のようなものが成立するまでは、EthereumにおけるInfuraやAlchemyと同じように、誰かが運用するオフチェーンインフラが必要です。それをプロフェッショナルな水準で──24時間365日の稼働、セキュリティ、高い信頼性、多様なインフラとデバイスへの対応、十分なスループット──提供するのは、費用も時間もかかる仕事であり、一定の規模に達して初めて黒字になるものです。

DeFiエコシステムの現状と、Blockfrostが残してきたもの

CardanoのDeFiエコシステムが本来あるべき水準に達しておらず、トランザクション量が足りていないのは、Blockfrostの落ち度ではありません。だからCardanoのガバナンスは、何年もかけて、非常に信頼性が高く、歴史的に重要で、エコシステムを支え続けてきたサービスを作ってきた彼らを、罰するべきではありません。「あなたたちには何の価値もない」と告げるべきでもありません。

彼らが撤退すれば、利用者は別のサービスを探すか、自前で構築しなければなりません。そして、このエコシステムに商業的価値を見いだせなくなった企業は、流動性や上場を再検討するでしょう。ウォレットのサポートも同じです。「あれは死につつあるエコシステムだ。基本的なオフチェーンインデクサーすら確保できないのだから」と言われかねません。

さらに、彼らの専門知識を再現するのは極めて困難です。ステークプールオペレーターとの議論でも、インフラ開発者との議論でも──DB Syncの置き換えであれ、マルチチェーンモデルの実現であれ──この2年間、彼らは常にその場にいました。何をどうすべきかを考える上で、計り知れないほど有用で、助けになってきました。この種の頭脳集団を失うことは、Input Outputにとって痛手であるだけでなく、このエコシステム全体に時間と労力を投じてきた人々への裏切りにもなります。

投票への呼びかけ:コミュニティ資産としてのBlockfrost

私たちは難しい決断をしなければなりません。そして、「必要のないものに資金を出してしまったのだから、もうお金は使った、必要なものにも資金を出さないでおこう」という考え方はすべきではありません。

この動画は、意思決定に関わるすべての皆さんへのお願いです。もし反対票を投じたのであれば、どうか再考し、Blockfrostがコミュニティ資産になることに賛成票を投じてください。そして、コミュニティの手で運営しましょう。そのための戦略と計画があります。非営利です。誰かが金銭を得るための話ではありません。投票の結果がどうであれ、これは年末にIOを離れます。この提案は、完全な分散化への道筋が整うまでの間、必要不可欠なコミュニティインフラが動き続けられるようにするためのものです。

あからさまに不誠実なクリプトメディアと、ソーシャルメディアの客寄せ口上たちにも、はっきり言っておきます。これはCardanoの欠陥でも過ちでもありません。DeFi業界の100%が、オフチェーンインフラを持っています。100%オンチェーンなチェーンなど存在しません。もしそう聞かされているなら、それは嘘です。だからこそInfuraやAlchemyをはじめ、多くの企業が存在するのです。これは必要なインフラです。Cardanoもこの点では何も変わらず、この点における私たちの罪が他より重いこともありません。ただし違いがあるとすれば、私たちには、このオフチェーン部分を時間をかけて完全に分散化する方法を見つけ出すという決意があることです。例えばFilecoinのようなコンパニオンチェーンと関係を築いているのはそのためですし、Blockfrostの分散化を深く検討してきたのもそのためです。そこではBlockfrostチームの専門知識が計り知れない価値を発揮してきました。この取り組みは、投票の結果に関係なく続けます。

しかし、分散化への道筋を描いている間、レガシーインフラを維持する道を見つけられなければ、それはCardanoにとって有害だと私は考えます。他の選択肢があることは十分に理解しています。ただ、最大の存在を、そして一度もあなたがたを失望させたことのない存在を失うことには、コストが伴うことを理解してください。

選択と決断は、皆さんの手にあります。これは数億ドルという話ではありません。ごく妥当な金額です。繰り返しますが、ここで利益を得る者は誰もいません。私自身、ADAコミュニティの一員であること以外に、この件への利害関係は特にありません。そしてADAコミュニティの一員として、Coinbase、Binance、Kraken、Blockdaemonをはじめ多くの企業にサービスを提供している必要不可欠なインフラが、たとえ一瞬でも停止するのを見たくありません。私たちには、決して停止しないという評判があります。ハッキングされたことがないという評判があります。信頼性と24時間365日の稼働という評判があります。それは苦労して勝ち取った、正当に得られた評判です。この種の投票の結果は、その評判を傷つけるリスクをはらんでいます。一度傷つけば、取り戻すのは非常に困難です。コミュニティの一員として、そうなってほしくないのです。

お聞きいただき、ありがとうございました。投票で正しい選択をしてくださることを願っています。また近いうちにお会いしましょう。それでは。

透明性メモ

  • 本記事は、ユーザー提供の字幕ファイル「Blockfrost.txt」を主な翻訳素材としました。
  • 動画のYouTube IDは YjP2M_VCAxg です。字幕冒頭の発言に基づき、収録日は2026年7月16日(現地時間)としました。日本時間では7月17日未明の公開です。
  • 翻訳は内容忠実訳です。読みやすさのため、言い直し、間投詞、重複、自動字幕由来と思われる文の乱れを整えています。
  • 字幕の固有名詞は次の通り補正しました:Cardono→Cardano、waroris→Ouroboros、reali→RealFi、Pogan→Pogun(公式情報に基づく表記)、Block Frost→Blockfrost、HA hasll node→Haskellノード。
  • 字幕の「Project Kaye」は、前回国庫提案の記載と整合する「Project Cayley」と判断しました。「SIP 165」は、文脈(オフチェーンインフラの必要性が解消される条件)から「CIP-165(Canonical Ledger State:台帳状態の標準・検証可能フォーマット提案)」と判断しました。いずれも原動画の発音が不明瞭なため確定ではありません。
  • 「Blaster」は、IOGが公開している形式検証エンジンの実名(Cardano High Assuranceイニシアチブ)と確認し、そのまま表記しました。字幕の「I and IO and ARC」は、IO Researchの研究部門(IOR)と応用工学部門(ARC)を指すと判断しました(両部門を含む「Cardano Vision 2026」国庫提案はエポック636で批准済み)。
  • 字幕の「Merrick」は、Blockfrost創設者のMarek Mahut氏を指すと判断し「Marek氏」としましたが、発音が不明瞭なため確定ではありません。
  • 顧客リストは動画内で読み上げられた印刷物に基づきます。字幕の乱れは既知のサービス名へ補正しました(Block Damon→Blockdaemon、Bitco→BitGo、Coinly→Koinly、Newfi→NuFi、Treasure→Trezor、Revolute→Revolut)。一部は文脈からの解釈を含み、Blockfrostの公開顧客一覧としての独立確認はできていません。また字幕でInfura・Alchemyと並記された「Kido」は事業者名を特定できなかったため、翻訳では「多くの企業」に含めて処理しました。
  • 「Wintermuteの問題」「10月10日の問題」は、2025年10月10日前後の暗号資産市場の急落と、その後に議論となった一連の事象を指すとみられますが、動画内の言及のみで詳細の独立確認はしていません。ADAの価格水準(83セント、1ドル10〜20セント、15セント割れ)は本人発言です。参考として、本記事作成時点(2026年7月17日朝)のADAはおよそ0.16ドルです。
  • Blockfrostの利用規模(月間781,000ユニークビジター、18.4億APIリクエスト、7TB配信、無料枠90%、多くのエポックで全取引の50%超)は提案書(オンチェーンメタデータ)の記載で、Cardano Foundation開発者調査の利用率(2022〜2025年)は同財団の公開ページで確認しました。「全取引の50%超がBlockfrost経由」の独立検証は本記事ではできていません。
  • 投票集計(DRep賛成12.65%・反対87.35%、賛成49・反対38・棄権8)はKoiosのエポック643時点の値です。集計は投票の進行により変動します。
  • AmaruとDingoの国庫引き出し批准(それぞれエポック620、624)、前回Blockfrost提案の失効(エポック633)は、オンチェーンの記録で確認しました。
  • 「この5年間で数億ドル規模の補助」「決して停止しない」「ハッキングされたことがない」などは動画内の本人発言として記載しており、独立した監査資料としては扱っていません。
  • 本記事は投資助言、法的助言、金融商品の勧誘ではありません。ガバナンス投票の状況、提案内容、各種数値は変更・変動する可能性があります。判断の際は必ず最新の一次資料をご確認ください。

参考・出典