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Maestro の開発者 API がサンセット開始、Cardano dApp は移行へ

2026-09-18SIPO

Cardano 向けに API を提供してきた Maestro が、開発者 API のサンセットを 9 月 18 日に開始しました。同社の告知は、まだ Maestro の API で開発しているなら今が移行計画を立てる時期であり、エンドポイントが止まるまで待たないでほしい、と書いています。ホスト型の API に寄りかかってきた dApp は、別の提供者へ移るか、同じ層を自分で動かすかを選ぶことになります。アプリケーションの可用性がどれだけ他社の運用に載っているのか。この移行は、その棚卸しを日付つきで求めています。

■ 9 月 18 日の意味が、告知と移行ガイドで違う

Maestro の投稿は「サンセットが 9 月 18 日に始まる」という書き方です。どのエンドポイントがいつ止まるのか、段階の区切りは示されていません。公開ドキュメントの変更履歴ページやトップページにも、この日付を説明した記述は置かれていません。

一方、移行先のひとつである Gero の Nexus が公開した Cardano 向け移行ガイドは、はっきり別の書き方をしています。Maestro の開発者 API は 2026 年 9 月 18 日に退役し、2026 年 8 月 18 日の同社告知に沿って、すべてのエンドポイントが退役して鍵はその日に動かなくなる、という記述です。読み手の手元には、段階的に縮んでいくという読みと、その日に一斉に止まるという読みが、同時に存在している状態です。

実務では厳しい側で構えるのが安全です。9 月 18 日を鍵が使えなくなる日として扱い、もし動き続けたなら猶予が延びたと考える。逆の順序で構えると、止まった日を知る場所が本番のエラーログになります。

■ 名前が出ている移行先は 3 系統

今回のサンセットに合わせて、具体的な受け入れ先が公開の場に出ています。整理すると 3 つの方向です。

  • マネージドに移す — Demeter.run。TxPipe と Blink Labs が運営する Cardano 向けのマネージド基盤で、無料枠があり、移行のあいだは一部の上限を緩めるという申し出が出ています。
  • API の別提供者に移す — Gero の Nexus。Cardano 版と Bitcoin 版で、それぞれ Maestro からの移行手順が用意されています。
  • 自分で動かす — Maestro が 9 月 16 日に Apache-2.0 で公開した Cardano インデクサ。開発者 API を動かしていた実装そのもので、Docker Compose での起動手順と運用ドキュメントが付いています。ただしデータストアに TiKV を使う分散構成が前提で、Postgres を 1 台立てる話ではありません。この公開の中身は9 月 16 日の記事で詳しく見ています。

3 番目は移行先というより、サンセットの裏側にあるものです。ホスト型のサービスは畳むが、そのサービスを動かしていたコードは置いていく。Maestro は Bitcoin 側の UTxO インデクサを 9 月 8 日に公開した時点で、これを 3 本のうち 1 本目だと書いていました。Cardano が 2 本目でした。

■ 差し替えは URL の置換では終わらない

Nexus の移行ガイドを読むと、作業の重さがどこにあるかが分かります。認証ヘッダは api-key から X-Api-Key へ、ベース URL は mainnet.gomaestro-api.org/v1 から nexus.gerowallet.io へ。ネットワークの指定がホスト名ではなく鍵そのものに紐づく設計に変わるため、mainnet と preprod を URL で切り替えていたコードは組み替えが必要です。

より効くのはページングと一括問い合わせです。pagepageSize を使っていた箇所はカーソル方式の cursorlimit へ移り、まとめて問い合わせる呼び出しには 1 回あたりアドレス 50 件、datum ハッシュ 100 件、クレデンシャル 25 件という上限が入ります。ここは同じ結果が返るはずだという前提が崩れやすい場所で、件数の多い一覧画面や集計処理から先に壊れます。

逆に、Blockfrost の SDK 経由で叩いていた場合は軽く済みます。ガイドは customBackend/api/v0 に向け、nxs_ で始まる鍵をプロジェクト ID として渡す形を示しています。自分のコードがどの入口を使っているかで、必要な作業量は一桁変わります。

■ 18 日をまたいだあとに見る場所

確認する場所は 2 つあります。ひとつは自分の鍵で mainnet.gomaestro-api.org/v1 を叩いた結果です。401 や 404 がその日から返り始めるのか、それとも一部のエンドポイントだけ先に落ちるのかは、告知からは読めません。もうひとつは Maestro の変更履歴ページで、退役の段取りが後から書き足されるかどうかです。

もう 1 点、3 本目のインデクサが何になるかも見どころです。ホスト型のサービスを畳んだあとに、このコードベースがどこまで公開されるのか。maestro-org の GitHub がその答えが出る場所になります。

■ ことば

  • サンセット — サービスを段階的に終わらせること。停止日を一度に告知するのではなく、新規受付の停止、機能の縮小、エンドポイントの停止を順に進める運用を指します。今回は開始のみが告知され、完了の日付は示されていません。
  • インデクサ — ブロックチェーンのブロックを読み、アドレスや資産、取引の単位で引けるように並べ替えて保存するソフトウェア。dApp が残高や履歴を表示するとき、実際に問い合わせている相手はノードではなくこの層です。
  • Apache-2.0 — 改変と再配布、商用利用を認めるオープンソースライセンス。特許の扱いが条文に書かれているため、企業が自社サービスの土台に取り込みやすい形式として使われます。

一次ソース / 関連リンク