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Daedalus 11.4.0、ノードは 4 か月ぶりに 11.1.2 へ

2026-09-22SIPO

Daedalus を保守する SE7EN Labs は日本時間 2026 年 9 月 19 日早朝、Daedalus 11.4.0 を公開しました。フルノードを内蔵するこのウォレットでは、同梱の cardano-node が 5 月から据え置かれていた 11.0.1 から 11.1.2 へ、cardano-wallet が v2026-09-16 へ上がり、利用者が更新すると手元のノードも 4 か月ぶりに新版になります。

告知は「集中的な保守リリース」と控えめですが、SPO が 9 月に順に取り込んできた 11.1 系の変更、つまり旧トレーシングと LMDB ストレージの廃止、タイムロックスクリプトのメモリ最適化が、デスクトップの利用者にもこの版で届きます。本記事では、なぜ 11.1.0 と 11.1.1 を飛ばして 11.1.2 に着地したのか、Windows のインストーラから消えた部品、委任フローと CSV 書き出しの修正、そして同じ週の Lace 2.3.0 と Linux 版のこれからを、リリースノートと CHANGELOG にもとづいて整理します。

■ 11.1.0 と 11.1.1 を飛ばして、11.1.2 に着地した理由

Daedalus の CHANGELOG をさかのぼると、同梱ノードを 11.0.1 に上げたのは 5 月 13 日の 11.0.0 で、それ以降の 11.1.0(7 月)、11.2.0(8 月)、11.3.0(9 月 1 日)はいずれも cardano-wallet の更新と自前の改良が中心で、ノードの版は動いていません。11.4.0 が 4 か月ぶりにノードを動かした版にあたります。

行き先が 11.1.2 になった事情は、cardano-wallet 側のリリースノートに書かれています。9 月 16 日に出た v2026-09-16 は依存先を cardano-node 11.1.1 に固定し、「11.1.0 はこのリリースでは動作せず、使ってはならない」と太字で注意しています。11.1.0 では台帳ライブラリの更新で創世設定(ShelleyGenesis)の CBOR レコードが 15 フィールドから 16 フィールドへ増え、その形式をウォレットが復号できず、起動時に停止してしまうためです。11.1.0 はプレリリースで、9 月 8 日の 11.1.1 が 15 フィールドの符号化を戻しました。

そこへ 9 月 17 日、タイムロックスクリプトのメモリ使用を最適化した cardano-node 11.1.2 が出ます。ベンチマークとシステムテストは 11.1.1 の結果がそのまま当てはまるとされ、11.1.1 の上に小さな修正を重ねた版です。Daedalus 11.4.0 はその翌日に、ノード 11.1.2 とウォレット v2026-09-16 の組み合わせで公開されました。ウォレットが要求する下限を満たし、直近の修正まで含んだ組み合わせを選んだ形です。

■ Windows のインストーラから LMDB が消えた

CHANGELOG の「Chores」には、Windows 向けの 2 つの変更が並びます。同梱する mcfgthread の DLL 名が v1 から v2(libmcfgthread-2.dll と libmcfgthread-minimal-2.dll)に変わったこと、そしてインストーラから liblmdb.dll を取り除いたことです。後者の理由として、cardano-node 11.x で LMDB の UTxO バックエンドが LSM バックエンドに置き換わり、ビルド出力にこの DLL が含まれなくなったと説明されています。

これは、ノード 11.1.1 のリリースノートが「V1 LedgerDB と LMDB ストレージバックエンドを削除した。LMDB を使っている場合はバックエンドを切り替える必要がある」と書いていた変更が、Daedalus のパッケージにも反映されたものです。SPO が自分のサーバーで向き合ったのと同じ削除が、ウォレットの中のノードでも起きています。

ノード 11.1.2 の既知の課題も引き継がれます。同期中のメモリ使用は 11.0.1 と比べてわずかに増え(11.1.0 で出ていた退行よりは大幅に少ないとされます)、チェーン先端に追いついた状態でも台帳スナップショットの取得に伴って小幅に増えます。ノードの最小要件は InMemory バックエンドで RAM 24GB、OnDisk バックエンドで 8GB(こちらは確認中の注記付き)で、Daedalus 側のリリースノートにはどのバックエンドで動かすかの記載はありません。デスクトップでフルノードを動かす利用者にとって、メモリの話はサーバー運用者と同じくらい身近です。

■ 委任フローでウォレットが外れなくなり、CSV は「失敗」と書く

アプリ側の修正は 4 点です。投票権の委任フローで、最初に選んだウォレットがステップを進めても保持されるようになりました。DRep(委任代表者)のステータスバッジは専用のフォントを持ち、周囲の表示環境に影響されずに描画され、委任画面で選択中の DRep 名には明示的な文字色が付きました。SE7EN Labs のスレッドはこれを「ガバナンス委任がよりスムーズに」とまとめています。

取引履歴の CSV 書き出しでは、期限切れの取引が「承認済み」ではなく「失敗」と正しく記録されるようになりました。スレッドは、履歴や報告のために書き出しを使う利用者にとって記録がより正確になる、と補足しています。確定申告などで CSV を元帳代わりにしている場合、過去に書き出したファイルに期限切れ取引が「承認済み」として残っていないかを見直す価値はあります。

ウォレット側のエンジンにも、画面には出ない修正が入っています。cardano-wallet v2026-09-16 は、以前に委任したことのある DRep へ再び委任すると失敗していた問題を直し、停止時にデータベースの作業スレッドを正常に終了させるようにしました。委任先を一度変えてから元の DRep に戻すような操作は、この版から通ります。解析用の Matomo の送信先 URL も更新されています。

■ 同じ週の Lace 2.3.0 と、Linux 版のこれから

Cardano の主要なウォレットは、同じ週に二つとも DRep まわりに手を入れました。Lace 2.3.0(9 月 21 日告知)は DRep の一覧を投票力の順から品質の指標の順に並べ替え、Daedalus 11.4.0 は委任フローの途中でウォレットの選択が外れる不具合を直しています。投票先を選ぶ入口がウォレットになっている以上、ここが整うかどうかは DRep にも委任者にも効きます。Lace 側の中身は別記事にまとめています。

Daedalus の次の動きとして SE7EN Labs が予告しているのは Linux 版です。9 月 16 日の投稿は、進行中の設計評価で内蔵の更新機能をやめ、DEB・RPM・Arch のリポジトリと NixOS モジュールによるシステム管理のパッケージへ置き換える方針を示し、「詳細は近く」としています。フルノード型のウォレットを OS のパッケージ管理に乗せる方向で、更新の配り方そのものが変わる話です。

手元でノードを走らせる人の数は、分散の実体の一部です。Daedalus の利用者は、11.4.0 に上げた時点で 11.1.2 の一員になりました。次に確かめる場所は二つあります。cardano-node の次の版(Dijkstra 時代へ向けた 11.2 系)が IntersectMBO の GitHub リリース一覧に出たとき、Daedalus が何日で追随するか。そして Linux パッケージ化の詳細が @se7en_labs と GitHub の input-output-hk/daedalus に出たとき、更新の経路がどう変わるかです。

■ ことば

  • フルノードウォレット — ウォレットの中で cardano-node を動かし、チェーン全体を自分の手元で検証する型のウォレット。Daedalus がこの型で、ウォレットの更新が手元のノードの更新を兼ねるため、同梱ノードの版が SPO と同じ意味を持ちます。
  • cardano-wallet — Daedalus の裏で残高や取引、委任を扱うエンジン。Cardano Foundation が保守し、日付を版名にしています。今回の v2026-09-16 が動作条件として cardano-node 11.1.1 以上を要求したことが、11.4.0 の行き先を決めました。
  • LMDB — ノードが UTxO を保存するのに使っていた組み込み型データベース。cardano-node 11.1.1 で LSM バックエンドに置き換えられて削除され、Daedalus の Windows インストーラからも対応する DLL が外れました。

一次ソース / 関連リンク